先般、#5カリフォルニア州のEV普及施策について、投稿しましたが、
カリフォルニア州では、環境対策の優遇車両として、
EV/PHEVの他にCNG車(圧縮天然ガス車)も含まれていることに反響が
ありましたので、世界でのCNG車普及についての状況を整理してみました。
また、CNG車の普及失敗・成功事例に透けて、
今後の環境対策車の普及課題も見えてくる様です。\(^_^ )
出所は、
日経テクノロジーONLINE
電気自動車普及に成功した国は何をしたのか?
第2回 天然ガス車で失敗したニュージーランド、成功したアルゼンチン
詳細は、上記リンクをご参照いただきたい。
天然ガス車の普及に成功した国は、アルゼンチンとブラジルくらいで、
ニュージーランドほかは、成功とはいえない。
天然ガス車は第2次オイルショックを機に、各国で積極的に普及が図られた。
特にニュージーランドは、政府が天然ガス車の購入に補助金を給付、さらに、ガス燃料にも補助金給付と税金減免を行った(最終価格はガソリンの約3分の1までに)ことから、1980年初頭に11%もの市場シェアを天然ガス車が占めることになった。
しかし、1985年に政府が各種補助金や優遇施策を打ち切ると、1995年には天然ガス車は市場からほぼ消えた。
一方のアルゼンチンは、燃料への税制優遇に加えて、天然ガス車向けのガススタンドを整備する民間事業者が確実に収益を出せるしくみを政府が提供した。
自動車用天然ガスは、公定卸価格をガソリンや軽油に対して3分の1となる様に圧倒的に安価で、ガススタンドが得られる利ざやを大きく確保したのだった。
ただ、こうした施策を実現できたのは、アルゼンチンが自国で天然ガス産出できるためであり、燃料補助金を給付せずとも、政策を持続することが可能だった。
そして、ニュージーランドは、天然ガス等の資源に恵まれなかったため、燃料給付金(国費)を永続的に給付するモデルが成り立たなかった。

世界での天然ガス自動車(NGV)の普及の推移
出所:Sonia Yeh “An empirical analysis on the adoption of alternative fuel vehicles:The case of natural gas vehicles” Energy Policy 35 (2007) 5865-5875
ここから読み取れることは、
環境対応車といえども、理想だけでは、消費者はクルマを買ってくれない。
消費者やインフラ事業者へのメリットも、必要条件なのだということです。
では、日本ではどうだったか?
東京ガスのうたい文句
天然ガス自動車は天然ガスを燃料とする自動車で、代替エネルギー車(非石油燃料車)として、また、低公害車として世界で普及が進んでいます。
黒煙の排出や排気臭がほとんどないことや、静かなエンジン音が評価され、特に街中を走るバスやトラックでの採用が進んでいます。
ガソリン車に近い燃焼方式を採用するものがほとんどですが、筒内直噴方式や、ハイブリッドシステムとの組み合わせなど、高い効率を目指した研究・開発が進められています。
天然ガスを圧縮して高圧容器(ボンベ)に充填する方式が主流ですが、北米などでは長距離を走る大型車向けに低温断熱容器に液化天然ガスを充填する方式も実用化されています。
ということで、東京都がディーゼル車の運行制限を行った時に、バスや資源回収車などで普及しだした。
天然ガスの価格が日本では高いといわれているが、それでも、ガソリンやディーゼルよりは安い価格だったりします。
しかし車両価格が高いため、補助金があっての普及でした。
そうした状況下で、
仕分けで天然ガス車ピンチ[日経ビジネス 2010年6月24日(木)]
経済産業省が来年度から天然ガス車への補助金を廃止する。電気自動車の推進とは裏腹に、“仕分け”のあおりを食った。世界で急増する天然ガス車の需要への目配りも必要である。
ということがあり、
今は、ガス冷暖房やコージェネ等しか無くなってしまった。(T T)
近視眼的な発想から、梯子を外されてしまった。(T T)
これも、民主党政権後遺症の一つ。(T T)
今や、天然ガスステーションの数は、約300弱。・・・急速充電器の方が多くなってしまった。
天然ガス車の課題は、航続距離。約250kmぐらいだそうです。
それで、天然ガスステーションが少ないと、つらいものがあります。
従って、バスや資源回収車等の走行ルートが限られるクルマで、運用されている模様。
一方、ドイツでは、
e-Gasという、風力発電での余剰電力から水素を作り、その水素と大気中のCO2を合成したメタンを
商業生産しており、Audiなどが「g-tron車」と呼び、普及活動をしています。
これなら、天然ガスの輸入量がいくらか減り、また、カーボンニュートラルなメタンを使うので、
私には、究極の環境対策だと考えています。
以上から、
燃料やそのインフラ事業者を含むメリットが、継続的な普及に必要なことであり、
70MPa水素には、そのどちらもが欠けている。
EV/PHEVには、電気は安く作れていても、充電インフラが持続的に自立経営できないと、
天然ガス車の運命をたどりかねない!。ということを危惧しています。
ロシアから安い天然ガスが引ければ、もっと違う未来がアルかも知れません。\(^_^ )
Posted at 2014/11/11 13:19:52 | |
トラックバック(0) |
次世代自動車 | 日記