雨の日に読みたい本らしい

長いあいだハードボイルドな生活を送っている俺はここ数年、定期的に病院に通っている。特に目は長年M16のスコープを覗いてきたからか、ハードボイルドなヤツが病む定番の網膜剥離になってから、半年に一回Follow Upに通院している。こいつを読んでいる俺のファンには悪いが、どこの病院かは検査中に後に立たれるのがイヤなので教えられないけどな。

今日はそんなわけで病院に行った。俺のようにハードボイルドな男は病院にいても周りに注意を払う必要がある。
だがピリピリした雰囲気が周りの一般人に分かるようじゃ駆け出しだ。
俺はそんな時の小道具に文庫本を使っている。コイツを読んでいれば周りに緊張が伝わらないだろ。
だがいつも必ず持っていく文庫本を今日は忘れちまった。しかたない病院の売店で買うか。
どの本にするかだが素速い判断を求められるハードボイルドな俺、後のカバーを見ると「2スト」「キャブレター」「分解」っていう単語が目に入った。コイツはハードボイルドな本だ。

病院の待合室で読み始める。なに「100回泣くこと」だ。コイツはセカチューみたいなお涙ちょうだいの恋愛小説じゃないのか。ハードボイルドな俺が読む本じゃないぜ。



視界が歪むのはなぜだ？　ウカツだ・・・俺としたことが・・・
敵の組織のトラップか・・・・・？？
誰かが俺の名を呼んでいる。
「あ、呼ばれました？・・いやーちょっと本を読んでて気がつかなくって・・・
どうしましたって？ああ、このハンカチ！実はさっきさした目薬が溢れてきまして・・・
え！涙！って？いやだなぁ・・・そんなワケ無いじゃないですか・・・ハハハッ（汗