
どーもー!トライズです!
さあ!!ブレーキ前後配分の続きいきましょう!
前回、制動Gあたりの理想前後制動力をグラフにするところまでいきました。
これですね。
これを、横軸をフロントの制動力、縦軸をリアの制動力にしてグラフに書き直します。
すると、
こんな感じ!
これが、理想制動配分曲線と呼ばれるもので、ブレーキを設計するには必ず必要になるデータです
フロントの制動力に対して、リアをどのくらいの制動力に持っていけば一番効率が良いかが一目でわかるわけですね。
グラフの各点は0.1G刻みで、一番右が1.0Gです。
このグラフに、S13の実ブレーキ配分を重ねてみます。
S13のブレーキセットは次のとおり。
フロント:片押しシングル
キャリパピストン径:57.20mm
ピストン断面積:25.68cm2
ローター径:280mm
有効ローター半径:111.40mm
リア:片押しシングル
キャリパピストン径:33.96mm
ピストン断面積:9.05cm2
ローター径:258mm
有効ローター半径:112.02mm
前後ブレーキ比F:R=2.8:1
ブレーキ比(%)F74%:R26%
こうなります。
実制制動配分は、ブレーキそのものの前後比のまま一定なので、グラフも直線になります。
S13はPバルブという後輪油圧を制限する機能が付いていないグレードもある(らしい)ので、一番分かりやすいシステムなんですよね。
グラフを詳しく見ると、1G付近で、実制動配分が、理想制動配分に近づいています。
それ以下の領域では、常に理想曲線より実配分が下の位置にあることに注目してください。
理想制動配分曲線より下の領域は、リアのグリップに余裕がある状態です。
一般車のブレーキ前後バランスは、常にこの下側の領域に収まるように設計されています。
カートの経験がある人は気づかれると思いますが、リアにしかブレーキの付いていないカートでは、リアタイヤがロックした途端、車体は不安定になります。
同様に、もし一般車でフロントよりリアが先に限界を迎えるようなセッティングは非常に危険です。
車が前向きに進行方向を取っている以上、フロントのグリップがゼロになっても進行方向に向けて車体が収束する動きしか起きませんが、リアのグリップがゼロになると、振り出されたリアは、フロントを追い越して車体の向きを180度変えるハンマーになってしまいます。
それで、ブレーキ前後バランスは、
理想制動配分に極めて近く、かつ超えない下の領域でセッティングするべきです。
追記:セオリーでは理想制動配分よりも下の領域でセッティングするということになっているようですが、タイムアタック車両のブレーキバランスについては、軽量化や車高等で理想配分は変わってしまうので、そこまでシビアになる必要は無いかもしれません。
むしろ、多少上の領域(リアロックのほうが先に起こりうるセッティング)のほうが車の向きが変えやすくていいんじゃないかとか思ってみたり。
さて、話は戻りますが、S13のブレーキは、ハイグリップタイヤの限界とされる1G付近まで常に下側の領域に収まっています。
ブレーキの前後比で言えば、
F74%:R26%
静止状態の軸重比を考慮したとしても、
F71%:R29%
(フロントを100%とすると、リアの仕事率は41%)
というえらいフロント寄りのセッティングですが、1G付近で最大のパフォーマンスを発揮するようにきっちり設計されているわけですねー。
メーカーの設計は良く出来ています。
さて、問題はS15です。
うちの車はS13ではないのですよ。S15ですよ。
なんですが、S15の場合は、説明中にちょいちょいでてきた"Pバルブ"というのを考慮しないといけないものでして。
次回からはPバルブネタで2回くらい引っ張ると思います^^;
それでは!
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駆動ブレーキ足回り | 日記
Posted at
2014/08/06 22:08:05