
今年の夏は雨がひどいですねぇ、、
どうも!トライズです!
Pバルブの中身がどのように動作しているのか解説したいと思います。
こちらがPバルブの断面図。
Pバルブの作動グラフ
マスターシリンダ側が入力圧
リアキャリパ側が出力圧
Pバルブは、油圧制御弁の一つですが、その動作は不思議な感じがしませんか?
1ウェイバルブ(チェックバルブ)とかリリーフバルブとかなら、入力圧が一定以上になると油圧がスプリングの力に勝って弁が開く仕組み。油圧はその圧力以上あがらなくなります。
オリフィスなど流量を調整する絞り弁であれば、圧力変化の過渡期は入力側と出力側の圧力が違いますが、一定圧で保持していれば、入出力の油圧は同じになります。
ブレーキ用のPバルブの場合は、一定圧以上で弁が開きリア側の油圧が入力側よりも低くなります。そこまでは、リリーフバルブの動作と同じですが、一定圧(スプリットポイント圧)以降のリア油圧は、フロント側より低いものの比例して変化します。
ただし、オリフィスとは違いペダルを保持(入力油圧が一定)なら、時間経過によってリア油圧が変化することはありません。
不思議な感じがしませんか?
解説です。
細かい図なのので拡大して見てください。
■加圧(スプリットポイント前)
真ん中に入っているピストンは、左右に2mm程度移動可能で、油圧がかかっていない状態では、スプリングの力によって右側に押されています。
そのため、ピストンとバルブ間の流路は開いており、フルードは自由に移動できます。
また、ピストンの両端は、入力側及び出力側の油圧を受ける構造になっています。
ブレーキの初期に、入力側から押し込まれるフルードは、ピストン中央に開いた細い流路を通って出力側に流れ出します。
出力側流れ込んだフルードは、ピストンの裏側(右端面)に回り込み、ピストンを左方向に押します。
もちろん、入力側の油圧によってピストンは左側からも押されていて、油圧が低いうちは、
入力油圧*入力側面積+スプリング力が、
出力油圧*出力側面積
よりも大きいため、
ピストンは右方向に押されたまま動きません。
油圧が高くなってくると、ピストンを左右方向に押す力が、スプリングの力より大きくなってきます。
ピストンが油圧を受ける受圧面積は、入力側よりも出力側のほうが大きいため、
油圧が高くなるとピストンを左に押す力が増え、徐々に左に移動します。
■スプリットポイント油圧付近
ピストンは初期位置よりも左に移動し、スプリットポイント油圧付近で左側先端がバルブと接触し、流路を遮断します。
■加圧(スプリットポイント後)
スプリットポイントからさらに加圧すると、入力側だけ油圧が高くなり、ピストンはほんの少し右に移動し、バルブから先端が離れます。
すると、ピストン中央の流路が開き、出力側にフルードが流れ、出力側の油圧が上昇します。
しかし、出力側の油圧上昇に伴い、ピストンが左に押される力も増えるために、出力油圧が入力側油圧に達する前に再び流路は遮断されます。
■保持
ペダルを一定で保持し、入力圧が変わらない時は、Pバルブ内の流路は遮断されています。
このときの油圧は、入出力で異なった圧力を維持し、その圧力はピストンの受圧面積の比によって決まります。
保持された状態の油圧は、
入力油圧*入力側面積+スプリング力
=
出力油圧*出力側面積
で安定します。
■減圧(ペダルリリース)
ペダルを離し、入力側の油圧が下がると、リア側の圧力がピストン内部の流路を通してバルブを押し、流路を開きます。
Pバルブの正体を文字で表すとすれば、
フィードバック機能付きの1ウェイバルブ。
とか、そんな感じだと思うんですよね。
しかも、ブレーキをリリース(入力側油圧が低下)するとちゃんとリアの油圧も下がるわけですから、
逆流弁を追加したフィードバック機能付き1ウェイバルブ。
みたいなものですかねぇ。
だいたいこんな説明で、Pバルブの中身について分かっていただけたでしょうか?(^^;)
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駆動ブレーキ足回り | 日記
Posted at
2014/08/26 22:35:50