
さあ!!なんかよくわからないお家騒動的なアレコレに巻き込まれてめんどくさい!!!www
どうも、マッドメカニックトライズです!
ROMチューンシリーズの続き行きます。
いよいよK定数です。
超長いです。覚悟して!!
K定数
英語で書くと K constant value だとか。
Kがなんのことなのかよくわかんないですが、おそらく数学の比例定数を表す記号がKなので比例するよー的な意味なのではないかと。
まあ、KだろうがXだろうがなんでもいいんですがね。
日産の新型車解説書では、K定数はK定数と定義されているので抗うことなくそのまま覚えることにしますよっと。
さて。K定数とは何なのかについて語りたいと思います!
前々回 「TP」
前回 「VQ」
でTPとVQについて紹介しました。
TPというのがいわゆるエンジン負荷 及び 燃料噴射時間のことで、
VQというのがいわゆる吸入空気量です。
エンジンを動かす時に必要な燃料をどのくらい噴射するかは、様々なセンサーと演算値に基づいて決定されます。
その時の吸入空気量が多ければ、より多くの燃料が必要だと判断しますし、
上り坂など負荷が大きければ、やはりより多くの燃料が必要だと判断するわけです。
以前の日記でも取り上げましたが、日産のECUが燃料の噴射量を決定するための式は次のとおりです。
TP = (VQafv / RPM) * Kconst
TP = 標準インジェクタ通電時間
VQafv = 吸入空気量
RPM = エンジン回転数
Kconst = K定数
いきなり丸投げですが、K定数の中身については、ニーモニックさんの日記で詳しく書かれています。
とても勉強になりますのでぜひご一読を↓
ROMチューン備忘録_その1_K定数
後ほど、私も自分なりにK定数の中身を計算したいと思います。
そして、K定数の非常に分かりやすい定義式をもうひとつ紹介します。
Kconst ∝ S / INJ
S = エアフロハウジング面積(もしくはエアフロサイズ)
INJ = インジェクタ容量
∝ ← 比例するの記号
と表すことができます。(Martenさん解説ありがとうございます!!)
つまり、K定数は、エアフロサイズに比例し、インジェクタ容量に反比例するということ。
純正状態のK定数が分かっているとして、エアフロを1.5倍にしたら、K定数も1.5倍に。
インジェクタを10%大きいものにしたら、K定数は /1.1 するということ!
K定数の定義についてはとりあえずここまで分かっていればOKです。
ここから先は暇つぶし用のネタだとでも思ってくださいw
ひとまず、心を和ませるために秋っぽい画像を載せておきます。
さて、改めまして最初の式に戻り、トライズなりのK定数解説をば。
TP = (VQafv / RPM) * Kconst ・・・式1
この式を俯瞰して見ると、左辺は燃料噴射量を表す式で、右辺は吸入空気量の式と考えることができます。
燃料と空気の式といえば、有名なのがA/Fの式。
Mfuel = Mair / AFR ・・・式2
Mfuel[g] = 1サイクルあたりの燃料噴射量
Mair[g] = 1サイクルあたりの吸入空気量
AFR = 空燃比
これですね。
このA/Fの式をとっかかりにして、K定数の中身について考察してみたいと思います。
まず燃料。
1サイクルあたりの燃料噴射量を Mfuel 、組み合わせるインジェクタの毎分吐出量を INJ とし、ECU が扱うインジェクタ通電時間を TP、それぞれの値の単位を合わせるための係数を Kfuel と置くと、
Mfuel = INJ * TP * Kfuel ・・・式3
INJ = インジェクタ容量
Kfuel = 燃料係数
という関係がなりたちます。
ガソリンの密度を ρG として、4気筒分の燃料噴射量をから Kfuel について解くと、
Mfuel[g] = INJ[cc/min] * TP * Kfuel
Mfuel[g] = (INJ / 60)[cc/sec] * (TP / 8000)[sec] *ρG[g/cc] *4
※Kfuel = ρG/60/8000*4
= 0.75/60/8000*4
Kfuel = 6.25*10^-6
1TP = 0.125[msec] = (1 / 8000)[sec]
INJ[cc/min] = インジェクタ容量
ρG[g/cc] = ガソリンの密度 約0.75[g/cc]
となります。
次に、空気のほう。
燃料と同じく1サイクルあたりの吸入空気量を Mair 、エンジン回転数を RPM 、吸入空気量をECU が扱えるように変換したデータを VQafv 、さらにエアフロの最大計測吸気量を MAF、それぞれの値の単位を合わせるための係数を Kair と置くと、
Mair = VQafv * MAF / RPM * Kair ・・・式4
VQafv = 吸入空気量
MAF = エアフロ最大計測吸気量
RPM = エンジン回転数
Kair = 空気係数
となります。
ちょっと式が長くなるので分割しますがー
吸入空気量 VQafv を重量単位に変換するため、空気の密度をρA とすれば、
(VQafv /65535 * MAF[L/sec] * ρA) [g/sec]
MAF [L/sec] = 最大計測吸気量
ρA[g/L] = 空気の密度 = 1.16[g/L] (30℃)
途中の65535は VQafvの最大値。 VQafv/65535 が、エアフロ最大容量に対する割合になります。
これで、VQafv の単位を毎秒重量に変換できます。
RPMの項について、4気筒4ストロークエンジンの場合、2回転で1サイクルなので、単一気筒の毎秒あたりのサイクル数は、
(RPM /60 /2)[cyc/sec]
で表せます。
で、式4にそれぞれの係数を代入して Kair を求めると、
Mair[g] = (VQafv /65535 * MAF[L/sec] * ρA) [g/sec] / (RPM /60 /2)[cyc/sec]
※Kair = ρA /65535 *60 *2
= 1.16 / 65535 *60 *2
Kair = 2.12 * 10^-3
空気の係数についてはこんな感じです。
ここまでで、1サイクルあたりの燃料と空気を求めることができました。
燃料や空気の密度が一定だと考えれば、燃料係数 Kfuel も、空気係数 Kair も、ただの定数です。
もちろん、空気であれば、吸気温度が違えば密度も違ってくるのですが、それらは別の補正係数があるので、K定数自体には影響がない。。はずです。
なお、実際のECUの標準噴射時間の演算で、それぞれの密度がいくつに設定されているのかまでは調べられませんでした。ので、上記式中の燃料及び空気の密度は、たぶんこのくらいじゃないかという数値を当てはめています。
ここでちょっと、出てきた式をまとめます。
TP = (VQafv / RPM) * Kconst ・・・式1
Mfuel = Mair / AFR ・・・式2
Mfuel = INJ * TP * Kfuel ・・・式3
Mair = VQafv * MAF / RPM * Kair ・・・式4
Kfuel = 6.25*10^-6
Kair = 2.12 * 10^-3
K定数を定義するために、式2に、式3と式4を代入します。
Mfuel = Mair / AFR
INJ * TP * Kfuel = VQafv * MAF / RPM * Kair / 14.7
K定数は理論空燃費を実現するための定数なので、AFR = 14.7となります。
さらに、式1に含まれる項をまとめます。
TP = VQafv / RPM * MAF * Kair / 14.7 / INJ / Kfuel
いよいよ大詰めです。
上式と式1より、
Kconst = MAF * Kair / 14.7 / INJ / Kfuel
ということです!!!
ちょっと並び替えて、
Kconst = (MAF * Kair) / (INJ * Kfuel * 14.7)
てことは結局、
Kconst = (MAF / INJ) * (Kair / (Kfuel * 14.7))
Kconst ∝ MAF / INJ
おお、Martenさんの式までたどり着いた!
ちなみに、MAF(エアフロ最大計測吸気量)と、S(エアフロハウジング面積)は、 MAF= S * V(流速) が成り立つので、比例するという意味ではどちらも同じですねー。
いやー長かった。
ただですねー。ここまでやっといてなんなんですが、結局、上記式のすべての項に値を入れてK定数を計算しても、ROMに書き込まれている値と合わないんですよねー。
その辺は、やはりK定数が1箇所じゃ無いということなのかー、レブリミットで回転数がx12.5になっているように、入力値に他の係数が必要ということなのかー。
若干の不毛さを感じるでありますw
そういえば、制御は若干違うのですが、
日産の新解にはこんな解説があります。
K 多すぎ!!!
次回!ログデータとか広げながら、実値を入れてTPを計算します!!
いやその前にMAFの容量についてをはさむかもしれません!
それではまた!