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2014年08月08日 イイね!

Pバルブについて1

Pバルブについて1ふと我に返るマッドメカニック・・・









大丈夫ですかね??このブログ。

段々と、頭の固い教授の自分語りようなつまらない内容になってきてませんかね?

え、既になってる?(汗





いやえっとそうじゃないんですよ。カーチューニングはドリームなんですよ。ファンタジーですよ。

もし杖を振って炎を出せたりしたらなんかすごいかっこいいじゃないですか。
しかもその仕組みが分かっちゃったりしたらすごくワクワクするじゃないですか。

そういうワクワクをメカニカルな分野でも共有したいんですよ!



・・・






えー。Pバルブの解説いきます。




Pバルブ(プロポーショニングバルブ)って知っていますか?

辞書には、
制動時の車輪ロックを防止するために、ホイールシリンダーに作用させる液圧を減圧する液圧制御バルブの一種である。


となっていて、
ざっくり言えば、ブレーキの前後配分において絶妙なプロポーション(調和の取れた比率)を実現するための部品です。






Pバルブにはいくつか種類があります。種類というか用途別というか。


1.普通のPバルブ
最も多く使われている、"普通の" Pバルブ。
主に、マスターシリンダ内か、そのすぐ下流側についていて、後輪側の油圧を減圧する働きをします。
一般的に、減圧の比率は固定で調整不可。

2.LSV(LSPV)
ロードセンシングバルブ。
主にトラック、バン等のリアホーシング付近に付いており、積載量(車体の沈み具合)に応じて適切なブレーキ力になるように油圧を減圧します。
リアブレーキの強さは空車時は弱め。積載時は強めになる。

3.調整式プロポーショニングバルブ
ブレーキチューンの最終手段のような、夢のパーツ。
レースゲームのブレーキバランスセッティングを実車でも実現できちゃう。
しかし、実物には制約も多く、後輪側しかいじれない。弱くすることは出来ても強くすることは出来ない。などゲームのようにはいかない。
モノ自体は上記のLSVとほぼ同じで、ホーシングの上下で動くレバーを手動で操作するだけの違い。








で、Pバルブはどんなことが出来るのかですが、

Pバルブさんが居ると、


前回の日記で出てきたこんなブレーキバランスが、







こうなります!!!



ちょっと分かりにくいですが途中で一回折れるわけですね。




S13の場合、もともとリアにかなりの余裕を持たせたブレーキバランスなので、Pバルブを追加しても理想と現実の隔たりは広がるばかりですが、

たとえば、上の状態からリアブレーキを30%ほど強化すれば、


こうなります!!




だいぶ、理想制動配分曲線に近づきました。

Pバルブ無しの場合は、1G制動付近のみ理想的な前後バランスでしたが、上のセットでは全域に渡ってバランスが改善されています。

こうしたチューニングを施すことにより、低μ路や、旋回制動、過渡域の特性などでより安定したブレーキングが実現できるわけですね。



S13シルビアより後に発売された自動車には、ほとんど標準でPバルブが付いています。
そのため、基本的な前後のブレーキシステムもPバルブがあること前提で設計されています。




Pバルブは、理想配分のような二次曲線的な調整はできませんが、単純な機構でブレーキの性能アップにかなり貢献するので、無くてはならない存在です。


次回、Pバルブの構造とか調整式Pバルブとかを解説!
Posted at 2014/08/08 22:16:57 | コメント(1) | トラックバック(0) | 駆動ブレーキ足回り | 日記
2014年08月06日 イイね!

理想制動力配分(S13)

理想制動力配分(S13)どーもー!トライズです!


さあ!!ブレーキ前後配分の続きいきましょう!





前回、制動Gあたりの理想前後制動力をグラフにするところまでいきました。



これですね。





これを、横軸をフロントの制動力、縦軸をリアの制動力にしてグラフに書き直します。


すると、




こんな感じ!




これが、理想制動配分曲線と呼ばれるもので、ブレーキを設計するには必ず必要になるデータです

フロントの制動力に対して、リアをどのくらいの制動力に持っていけば一番効率が良いかが一目でわかるわけですね。

グラフの各点は0.1G刻みで、一番右が1.0Gです。






このグラフに、S13の実ブレーキ配分を重ねてみます。


S13のブレーキセットは次のとおり。

フロント:片押しシングル
キャリパピストン径:57.20mm
ピストン断面積:25.68cm2
ローター径:280mm
有効ローター半径:111.40mm

リア:片押しシングル
キャリパピストン径:33.96mm
ピストン断面積:9.05cm2
ローター径:258mm
有効ローター半径:112.02mm

前後ブレーキ比F:R=2.8:1


ブレーキ比(%)F74%:R26%







こうなります。



実制制動配分は、ブレーキそのものの前後比のまま一定なので、グラフも直線になります。

S13はPバルブという後輪油圧を制限する機能が付いていないグレードもある(らしい)ので、一番分かりやすいシステムなんですよね。





グラフを詳しく見ると、1G付近で、実制動配分が、理想制動配分に近づいています。

それ以下の領域では、常に理想曲線より実配分が下の位置にあることに注目してください。
理想制動配分曲線より下の領域は、リアのグリップに余裕がある状態です。
一般車のブレーキ前後バランスは、常にこの下側の領域に収まるように設計されています。




カートの経験がある人は気づかれると思いますが、リアにしかブレーキの付いていないカートでは、リアタイヤがロックした途端、車体は不安定になります。

同様に、もし一般車でフロントよりリアが先に限界を迎えるようなセッティングは非常に危険です。

車が前向きに進行方向を取っている以上、フロントのグリップがゼロになっても進行方向に向けて車体が収束する動きしか起きませんが、リアのグリップがゼロになると、振り出されたリアは、フロントを追い越して車体の向きを180度変えるハンマーになってしまいます。



それで、ブレーキ前後バランスは、


理想制動配分に極めて近く、かつ超えない下の領域でセッティングするべきです。



追記:セオリーでは理想制動配分よりも下の領域でセッティングするということになっているようですが、タイムアタック車両のブレーキバランスについては、軽量化や車高等で理想配分は変わってしまうので、そこまでシビアになる必要は無いかもしれません。
むしろ、多少上の領域(リアロックのほうが先に起こりうるセッティング)のほうが車の向きが変えやすくていいんじゃないかとか思ってみたり。





さて、話は戻りますが、S13のブレーキは、ハイグリップタイヤの限界とされる1G付近まで常に下側の領域に収まっています。

ブレーキの前後比で言えば、
F74%:R26%

静止状態の軸重比を考慮したとしても、
F71%:R29%
(フロントを100%とすると、リアの仕事率は41%)

というえらいフロント寄りのセッティングですが、1G付近で最大のパフォーマンスを発揮するようにきっちり設計されているわけですねー。



メーカーの設計は良く出来ています。






さて、問題はS15です。

うちの車はS13ではないのですよ。S15ですよ。

なんですが、S15の場合は、説明中にちょいちょいでてきた"Pバルブ"というのを考慮しないといけないものでして。


次回からはPバルブネタで2回くらい引っ張ると思います^^;


それでは!
Posted at 2014/08/06 22:08:05 | コメント(0) | トラックバック(0) | 駆動ブレーキ足回り | 日記
2014年08月04日 イイね!

前後荷重移動とブレーキング

前後荷重移動とブレーキング基礎編ばっかでつまんないと思いますがね。



続けますw




ブレーキチューンを考慮するに当たって、もうひとつ重大なファクターがあります。



それは、荷重移動。

ブレーキング時にはかならず前後の荷重移動が起こります。
ブレーキの前後バランスを決定するに当たっては、この荷重移動分を必ず考慮しなければなりません。


今回は、制動時の荷重移動量の計算について説明したいと思います。




ちなみに、ブレーキング時の挙動は、サスペンションセッティングや、ロール剛性の影響をもろに受けます。
いくらアンダーが強い車でも、リアに極端に硬いバネを入れたり、リアタイヤをいわゆるドリケツタイヤにすれば、簡単にケツが出ますし、すーぱーテールハッピーな楽しい車が出来上がります。

しかし、タイムアタック車両として考えた場合、リアのハイレート化やタイヤの変更は思いっきりトラクションを下げる方向になってしまいます。

考え方としては、ブレーキを適正なバランスまで合わせ、それからサスセッティングを詰めることで、立ち上がりでのトラクションを犠牲にすることなく、進入(ブレーキング)で向きが変えられる車が作れるんじゃないかとかそんな感じで考えています。





えーとまずー。

S13シルビアで説明します!


S13シルビア
車重:1140kg
前軸重:610kg
後軸重:530kg
車両重心高(推定):500mm
ホイールベース:2475mm

13軽いなー



制動時の荷重移動量は、ブレーキバランスに関係なく、制動Gと、重心高、車重およびホイールベースから求められます。


制動Gは、その限界が路面とタイヤの摩擦係数に依存しますが、普通の路面で新品ハイグリップラジアルを使ったとき、最大で1Gくらいと思ってください。はっきり調べてないのでアレですが、多分1Gくらいは出るんでしょう。


まあまあ強めのブレーキングで0.5Gくらい。
普通の町乗りのブレーキで0.2とか0.3G

ウェットなら、ロックする限界で0.5Gとか。
スノーなら、同じくロックする限界でも0.3Gとか。





さて、改めて荷重移動量。

制動時にリアからフロントへ移動する荷重は、

(車重W×重心高H÷ホイールベースL)×加速度G
で求められます。

式前半は、車両サイズによって(だいたい)固定の値で、S13の場合は、

1140kg*0.5m/2.48m
=229.8kg/G(単位がはっきりしないので適当w)

になります。



これに、Gを掛けると、


ドライ路面のフルブレーキングで、

229.8*1.0G=229.8kg



ウェット路面でのロック寸前で、

229.8*0.5G=114.9kg

この重さ分が、前後に移動します。







ドライのフルブレーキングの場合の前後荷重は、

フロント荷重
=610kg+229.8kg=839.8kg

リア荷重
=530kg-229.8kg=300.2kg


ってことですね。



制動Gを横軸、移動する荷重量を縦軸にしてグラフにすると、



こうなります。







で、制動Gとその加速度を発生させるための制動力との関係を式にすると、

制動力F = 制動G * 車重W

となり、グラフに起こすと、



こうなります。

1140kgの車体を1Gで止めるには、1140kgfの力が要るってことですね。

合ってるかな?単位系は若干あやういww






で、その総制動力をフロントとリアに理想的に振り分けてグラフにすると、



こんなかんじ。



つまり、ブレーキングによる荷重移動に合わせて、フロントのブレーキはより強く、リアのブレーキはより弱く変化させることが出来れば、理想的ということ。

あくまでも理想は。ですけどね。




さー盛り上がってきたところで続きは次回ー!


ワクワク。
Posted at 2014/08/05 23:05:06 | コメント(3) | トラックバック(0) | 駆動ブレーキ足回り | 日記
2014年08月01日 イイね!

パッド面積とか4potとか

パッド面積とか4potとかあっついっすねー。

どうも。トライズです。






前回は、ブレーキの前後比と軸重に注目しました。

その補足をもう少し。




■まず、ブレーキ性能はパッド面積に左右されないのかと言う点。

なんとなく、パッド面積が広いほうがブレーキは良く効く気がしますね。



パッド面積を広げることは、ブレーキの安定性に貢献します。
まず、パッド-ローター間の摩擦係数には温度依存性があり、ある特定の温度帯でのみ安定した性能を発揮します。
それで、パッドを大きくする、面圧が均一になるようにする、もしくはローターの冷却性能を上げることによって温度変化を抑えるなら、より安定した制動力を得られるようになります。

とはいえ、同じ温度帯であれば、パッド面積を大きくしたとしても制動力は変わりません。


このあたりはピンヒールで踏まれると痛い理論ですな。
大きいパッドでも、同じ力で押すなら面積が広がるぶん力も分散しますから。

専門用語では、しゅうどうするめんのめんせきはまさつりょくにはむかんけいとかなんとか言うあれ。
クーロン先生ありがとう。



そういうわけで!
ブレーキの前後バランスを検討する場合、パッド面積は考慮しないことにします。









■次に、片押しピストンと複数ピストンの計算について。


S15のフロントブレーキは、NAが片押しシングルピストンで、ターボが対向4potです。
これまでずっと片押しキャリパーの車をいじってきたわたくしとしては、4potと聞くだけですげー効きそうな、なにやら神々しさすら感じます。

ですが実際片押し→4potにすると、ブレーキ性能はどのくらい上がるのでしょうか。

計算します。


ローター径=280mm

キャリパピストン径(片押し)=57.2mm
断面積=25.68cm2

キャリパピストン径(4pot 1個)=40.4mm
断面積=12.81cm2





ブレーキの基本性能は、ローター径(有効ローター径)と、キャリパピストン受圧面積(キャリパシリンダ内径)によって決まります。




まず、ローター外径は、NAもターボも280mmです。

このうち、ピストンの中心を通る径を有効ローター径とします。

実測すればいいのですがーまーざっくりでw





4potキャリパーはピストンの径が小さいため、ローターの外側を有効に使えます。
これが、複数ピストンキャリパーの大きな利点ですね。



有効ローター半径(片押し)=111.40mm
有効ローター半径(4pot)=119.80mm






次に、キャリパピストンの受圧面積について、


対向キャリパーと片押しキャリパーの受圧面積を比較するには、対向の場合はすべてのピストン断面積の合計を、片押しキャリパはピストン断面積を2倍して計算します。





理由は上記の図のとおり、片押しの場合、キャリパ内の油圧は、ピストン側と、アーム側の両方に作用するから。

片押しピストンは2倍仕事をすると覚えましょう。
なんて合理的。




で、計算すると、

片押しが
断面積=25.68cm2

に対して、

4pot(片側合計)が
断面積=12.81×2
=25.62cm2



たった、0.06cm2しか変わりません!
てか、4potのほうが面積小さいんですね。






さて、改めまして両者の制動力を比較します。

同じパッド、同じ温度、キャリパーのゆがみなどは考慮しないものとしてー、



片押しキャリパ制動力=
25.68cm2×11.14cm=286

4potキャリパ制動力=
25.62cm2×11.98cm=307


片押し:4pot

=286:307

=1:1.07



結果

4potキャリパーは、片押しキャリパーの、

1.07倍効く!!!



ほぼかわらねぇwww
こんなもんす。

ピストン4個で性能も4倍どころか2倍はおろかほぼ変わらないwww
ま、こんなもんす。



フロントのキャリパーが違っても、ブレーキの前後バランスが大きく変わらないようにしてるのかもしれないですね。
そのほうが、メーカー的にも共通部品増えてお得だし。設計も楽だし。






さて、計算上は片押しとなんら制動力が変わらない4potさんの、メリットデメリットについてはこんなかんじ。

メリット
キャリパ剛性を高めやすいため、パッド面圧が均一になりやすい。
シングルに比べて外当たりにできる。
ピストンストロークが少ない分、レスポンスが早い。

デメリット
ローターの振れを拾いやすい。
外側に大きいので、ホイールを選ぶ。
重い。

こんなところでしょうか。
あ、あと、メリット:かっこいい。





ちなみに、日産には、片押し2potキャリパーと言うのも存在します。
c24セレナとかで採用しているあれですな。

片押し2potも4potも、キャリパピストンは同じものなので、基本的なブレーキ性能はほぼ同じです。前後バランスチューンを考えるにあたってはどちらを使っても計算上は変わらないわけですね。

ただし、前述のとおり、対向キャリパーのほうがレスポンスが早いという点でほんの少し有利。

そして何より、片押し2potより4potのほうが軽い!!!という事実。
片押しキャリパとはいえ2potともなるとブラケットが意外に重いんですよね。


最初は、同じ性能なら片押し2potもいいかなーと思っていたんですが、重いなら却下です。
軽いの大好きー!




それではまた!


追記)
後にS15スペックSのブレーキをより詳しく調べたところ、キャリパピストンの外周の最外部は、ローター外周より外側にあるので、ローター有効径は上記数値よりも大きいようです。
同ブレーキの有効半径について、ピストン径ではなく、パッド幅の半分をローター半径から引くと、約117.5mmとなりました。
この値をもとに再計算すると、4potと片押しの性能差は、1.02倍となりました。

検索用: 4pot 4pod 4ポット 4ポッド 対向キャリパー 片押し シングル
Posted at 2014/08/01 20:38:24 | コメント(1) | トラックバック(0) | 駆動ブレーキ足回り | 日記
2014年07月30日 イイね!

ブレーキ前後比

ブレーキ前後比こんばんは!トライズです。

先日に引き続きブレーキの話をば。








S15シルビアってブレーキバランスが前寄りな気がしませんか?

サイドブレーキが利きにくいのはディスク式だから仕方ないとして、とゆーかサーキットタイムアタックでは、サイドはほぼ使わないので置いておくとしても。

たとえば、ヘアピンのターンインとかブレーキングドリフトをやろうとしてもなーんかどうも大人しくて物足りない気がします。

また、S15シルビアは全車ABS標準装備ですが、ABSをキャンセルすると、この無駄な安定感がより強くなります。いまいちバランスが悪い感じ、、


では、実際のところ、S15のブレーキ前後バランスはどんな感じなのでしょうか。
ざっくり試算してみます。






まず、ブレーキの前後バランスを決定する要件を列挙します。

1.ローター径
前後のローター径の比は、そのままブレーキバランスを決定する係数になります。
ただし、より正確に計算するならばローター外径ではなく、キャリパピストンの中央を通る弧の位置(有効ローター径)を用いて計算します。

2.キャリパピストン面積
これも前後比がそのまま係数になります。
パッドに当たるほうではなく、油圧がかかるほうの面積で計算します。
対向ピストンの場合はその片側の面積、複数ピストンの場合はその片側合計面積で計算します。

3.軸重
当たり前のことですが、ブレーキをどんなに大きくしてもタイヤと路面間の摩擦力を超える制動力は得られません。
タイヤ-路面間の摩擦力は、摩擦係数μ×垂直加重Wで、求められます。
タイヤの摩擦係数は加重によって一定ではありませんが、基本的に、軸重が重いほうが摩擦力も強くなります。
よって、軸重が大きければ、より大きなブレーキを付けた方が効率が良くなります。


とりあえず基本はこの3点。

静的な状態での最適なブレーキバランスとは、いかに軸重バランスに見合った大きさのブレーキを前後に組み合わせるかという点に集約されます。





では、試算です。

S15 SpecSのブレーキ。

F
キャリパピストン径(片押し)=57.2mm
断面積=25.68cm2
ローター径=280mm

R
ピストン径=38.1
断面積=11.40cm2
ローター径=258mm


有効ローター径は、キャリパピストンの外側とローターの外周がだいたい同じ位置にあるので、キャリパピストンの半径分をローター半径から引きます。

F有効ローター径(半径)
=280mm/2-57.2mm/2=111.40mm

R有効ローター径(半径)
=258/2-38.1/2=109.95mm



ブレーキ前後バランス

Fブレーキ力
=25.68*111.40=2860
Rブレーキ力
=11.40*109.95=1253

F:R=2860:1253

リアを1とすると、
ブレーキ前後比F:R=2.28:1

となります。


これを、S15の軸重比と比較すると、

F軸重=670
R軸重=540
軸重比F:R=1.24:1

軸重比とブレーキ比がどれほど寄ってるのかを比較するために、ブレーキ前後比を軸重比で割って、フロントを100%にして、リアの仕事率を計算すると、

リア仕事率=
1/(2.28/1.24)=0.54

フロントタイヤが100%の仕事をしている時に、リアは54%だけ仕事をしていると。まだ46パーセントの余裕があるということですね。あくまでも概算ですが。

この数値が100に近いほうが、4輪均等に使えているということですね。
ただし、乗用車のブレーキバランスは必ずフロントのほうが強く効くようになっているので、リア仕事率が100%になることはありません。せいぜい、60~70%でしょう。




同様に、S15ターボ用のブレーキセットを計算すると、
フロントキャリパーが4potになった分前効きになって、

リア仕事率=0.51

さらにリアが効かなくなっています。






で、結局54%やら51%は、他の車と比べてどうなのかと言うと、


前後ブレンボのR34GT-Rが、約62%

R32GT-Rが、64%

それほど参考にはなりませんが、
FF車のB15サニーは、61%くらいです。




ただ、古い車になるとより安全方向に振ってあるのか、

軸重前後比が理想的と言われるZ32が、54%

Pバルブの付いてないモデルもあるPS13シルビアで、41%

とかもあります。

FRは安全マージンが大きめに必要なのかもしれません。




リア仕事率が50%そこそこだとしてもPバルブの設定で多少は良い感じに振れそうですが、
そこはやっぱタイムアタックマシンですから、無駄な安全マージンは出来るだけ削りたいところ。


せっかく重量バランスのいいFR車ですし、車高も下げられるだけ下げたいので、静止状態のブレーキバランスは、60%から70%付近を目指したいですねー。







最後になりますが、上記の計算はPバルブが働いていない領域でのブレーキバランスです。
簡単に言えば、フルブレーキングで0.3G程度しか出ない低μ路(グラベルとか?)に限り計算に近くなるはず。

とりあえずの基本計算ってとこですな。

Pバルブ作動領域の計算はまた後の日記で!
Posted at 2014/07/30 20:54:03 | コメント(0) | トラックバック(0) | 駆動ブレーキ足回り | 日記

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