2020年12月05日
東北の人たちに言わせると、
まだ冬になっていない12月5日。
彼は思い立った。
『いつもの峠に湧き水を汲みに行こう』
気温は3℃。
空気は澄み渡り、空も青空が広がる中、
彼は通い慣れた峠道を颯爽を愛車を走らせた。
湧き水の場所までは、急なカーブが続く登り道。
交換したばかりのスタッドレスタイヤのグリップ力の
限界を探るかのように、速度を上げて走った。
珍しく前を行く地元の車もなく、気の済むまで
アクセルペダルを踏み込むことが出来たのだった。
『先日変えたプラグのおかげで、上り坂でも4速で走れる(^◇^)/』
『緑の中での陽の光がまぶしいぜ、サングラスサングラス』
『豆腐をホテルに運ぶって大変だろうなぁ』
ドライビングしながらも、そんなことを考えるくらいの
余裕がある道中であった。
気分良く水汲み場に到着し、その水で車の窓ガラスや
ヘッドランプなどを清めるかのように綺麗に拭き上げ、
ふと気づいた。
『タイヤの焦げた匂いがする』
『気持ちよく走ったけど、タイヤに負担かけすぎか?』
『腕の未熟さは、努力するしかない』
帰り道の目標は決まった。
『タイヤにやさしい運転をするぞ』
『下りきったところでタイヤの焼けた匂いだ出ない運転だ』
『豆腐運ぶよりは、はるかに簡単なはず』
彼は、20Lの湧き水が入った水タンクを運んでいることもあり、
タイヤをいたわる運転を心がけた。
『え、もう下りきった?』
『時間が過ぎるのが早過ぎる』
『全集中すると時間を感じないぞ』
車を安全なところに停めるべく、コンビニで軽い昼食を
食べながら、目標が達成しているかを確かめるように、
4本のタイヤを順に確認していった。
『タイヤの焦げ臭い匂いはあまり感じない』
彼は喜んだ。
しかし、彼は重大な失敗を犯していた。
軽い昼食は、焼き鳥のタレ味だったのである。
甘く、香ばしいタレの匂いが、タイヤの微かな焦げた
臭いをかき消していたのである。
ぬか喜びであったことを知っているのは、
彼の愛車、アルテッツァだけである。
しかし、真実は教えなくても、大事に乗ってくれてるから、
良しとしよう。
これからもよろしく。そんな思いを抱きながら、
彼の運転に同調していくアルテッツァだった。
(完)
ちょっと、小説風にしてみましたー(^◇^)/
Posted at 2020/12/05 19:02:34 | |
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