ネパールその9(命の水)
投稿日 : 2008年01月22日
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これは私達がカトマンズで滞在した高級ホテルの風呂です。決して入浴剤は入れていません。水道から出て来る水がこの状態です。汚れているだけではありません、大腸菌に汚染されている可能性が高いです。なのでシャワー中や洗顔中には、水が口に入らない様に、しっかり口を閉じておかないと危険です。歯磨きで水道水を使えないだけでなく、歯ブラシを水道で洗うことも危険です。ネパールの人でも水で下痢になって死ぬことがあります。
お腹の弱い私はネパール滞在中、水に関してだけは、とっても神経質になりました。だって生きて帰りたいですから。
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でも、高級ホテルは蛇口を捻るといつでも水が出てくるから恵まれているのが現実です。
街にはこんな水場が沢山あり、人々は生活に使う水をここに汲みに来ています。女性が水を汲んでいる金属の水瓶は水を一杯入れると約20kgです。毎日使う水をこれで家に持ち帰っています。ネパールで水汲みは女性の仕事です。女性の皆さん、ネパールへ嫁げますか?
この水場の古い石の彫刻から分かるように、ネパールの公共水道が整備されたのはかなり古いです。
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これは別の水場です。次々と人がやって来て水を汲んで行きます。中にはカストロールのオイル容器に水を汲んでいる人もいて、この国の人達の健康が心配になります。
水道が整備されていても、肝心の水が足りません。私が住む高松市の市民1人が1日に使う水道水は平均361リットル、対してカトマンズ市民は45リットルです。45リットルというと、日本では水洗トイレ3回分で終わりです。カトマンズの人々は、この水で炊事して、飲んで、洗濯して、トイレを流して、体を拭いて生活しています。
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これも別の水場です。家まで水を持って帰るのが面倒なのか、洗濯モノを水場に持ち込んで洗濯する子供達です。この国では子供達も良く働くんですよね。
僅かな水道水ですが、この水ですら煮沸しないとネパール人でも飲めません。日本人なら煮沸して飲んでも下痢になるでしょう。
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でも、全ての家庭が共同水場で水を汲んでいる訳ではありません。家まで水道を引ける(裕福な)家庭は、ポンプで水道水を屋上まで汲み上げて、この写真の左端にあるような水タンクに必要な生活用水を確保しています。
水道を家まで引けても、慢性的な水不足の為に計画的に断水します。なので金銭的に余裕がある家や、会社、商店などは、必ず屋上に大きな水タンクを備えています。
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ちなみに、ネパールのトイレは水洗です。これは訪問した政府機関のトイレで失礼して撮影したものです。さすが政府機関なだけあって汚物を水洗で流します。
でも要チェックポイントはそこではなく、右上の水道と青い桶。紙はありません。お尻も水洗です。もちろん桶に汲んだ水と自分の左手で…(汗)
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そして普通のトイレになるとこんな感じに。桶の水でお尻を洗ったついでに汚物もセルフで流します。これがネパール流儀のトイレです。ネパールへ行けば皆さんも経験できますよ。
これを見て不潔と感じますか?紙で拭くより水で流す方が清潔だよってネパールの友人は言ってましたよ。ネパール旅行の時にトイレットペーパーを持参して使うのは止めましょう。郷に入れば郷に従えです。水道事情が悪い以上に下水事情も悪いです。紙はダクトに詰まるし、その下流の小川でも不潔な姿を晒します。
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この現状を見て「何とかできないのか」って思いませんか?幸いな事に、そう思う日本人の方々にも沢山会いましたので、最後に付け加えておきます。
1992年から現在に至るまで、日本政府からの政府開発援助(ODA)資金と国際協力機構(JICA)の尽力、さらに多くのボランティアの力により、浄水場建設等の水道施設整備事業が続けられています。それでもカトマンズの水道事情がまだまだ悪いのが、とても歯がゆかったです。
私は今回、色々な所を見て回り多くの人々と話しましたが、行く先々で日本人というだけで好意的・友好的に受け入れてもらえました。もしかしたら、同じアジア人というだけでなく、今までに日本人が頑張って援助を続けてきた成果が、こんな形で現れていたのかもしれません。
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