タイトルの件は、すでにあちこちのニュースやBlogで取り上げられ、ご存じの方や“実際に被害に遭われた方”も多いことかと思います。
以前私が所有していたiBookは対象外のロットでしたが、
Sony側の発表をみる限りではまだまだ安心できるレベルでは無いのかも知れません。
また、iPodへのウィルス混入(Windowsのみ、且つ日本には対象ロット無しの模様)の件も、
Apple社のコメントのせいで波紋を広げております。
もっとも、サポートの文面を読む限りでは、マスコミや世間が騒ぎ立てるような『マイクロソフトへの揶揄』は私には感じられません。
→日本語のページから引用してしまいますが、「アップルは、Windows がこのようなウイルスに対して脆弱であることや、出荷前に問題を把握できなかったことを大変遺憾に思います。」
Windowsの脆弱性に関してはいまさら語るまでもないことですし、そもそも“デフォルト設定が危険性のより高い設定”になっていること自体が無責任だと思います。
アンチウィルスソフトも、別途購入を強制されているようなモノですしね・・・。
ところで私は北海道の“とある自動車部品メーカー”に勤めており、開発部門や品質保証部門、兼任で製造現場の管理もやっておりました。
現在はまた怪しげなモノを開発する部署におりますが、それらの経験上前述の不具合には同情すべき点があると考えます。
(ただし、例えそうであっても企業として取るべき責任というモノが存在し、速やかに対処する義務が当然あります。)
以下に私見を記載させていただきますが、飽くまでも私の経験と関連技術からの推測ですのでご容赦願います。
また、あからさまな間違いに関しては、むしろ積極的にご指摘していただきたく思います。
マズiPodへのウィルス混入ですが、対象となる台数が少ないことと製造工程のWindowsPCからの感染であると判明していること、ロットの特定(9/12以降)がなされていることから考えて、実際に市場に出まわった数量はわずかではないかと推測されます。
また、Winユーザーであればアンチウィルスソフトを入れておくことが“義務”だと断言せざるを得ない現状では、実際の被害者すらも少ないのではないでしょうか!?
では、なぜウィルスが混入したかを検証してみますと、本来製造ラインに『製造工程の一部』として存在しているPCであれば、『当然スタンドアロン、もしくは限定のイントラネット環境』で使用されているハズです。
もしコレが徹底されていない場合は、Appleには反論の余地はないです。
しかし、実際に感染してしまったことから、『作業者が無断で製造ラインのPCで“何かをしてた!”』か、『イントラネットのホストPC、もしくはサーバーのセキュリティが不十分』であったことが考えられます。
後者は如何に中国の工場といえど問題外だと思いますので、おそらくは前者が原因だと私は考えています。
故意か過失かはもちろん分かりませんが、以前中国のiPod工場での過重労働が問題にもなりましたので、故意の可能性も十分有り得ることだと思います。
当然、過重労働や異常な低賃金での労働は問題ですが、Appleに限らず多くのメーカーが中国へ工場を建設する理由が『安い労働力を当てにする』コトですし現地の労働者がその条件でもイイという場合もありますので、正直難しいところです。
もっとも、それは品質問題として正直に跳ね返っても来ますので、目先の利益だけを追求する姿勢をAppleにだけは取って欲しくはないのですが・・・(実際、過去に私のiPodは死亡しましたので)・・・実情は分かりかねます。
→ただ・・・ウチの会社は現実に品質問題で長いこと苦しんでますし、某世界最大手のメーカーでも同じだと聞きます。
あちらでも地域による格差(レベル差)は大きいようです。
次に
Sony製のLiイオンバッテリーの回収問題ですが、現在も「発火原因の特定は困難」「100%発火しないとは言えない」と、殆どサジを投げているかのようなコメントを出しておりますが、部分的に漏れてきた情報では、「セルの電極間にミクロンレベルの金属粉が混入し、充放電の繰り返しでそれらの金属粉が集まり電極間の短絡を引き起こした。」ということのようです。
当初、DELLとAppleのノートPCのみが「ノート・パソコンの充放電システムと組み合わさったときに起きる」と“有り得ない言い訳”をしておりましたが、さすがにロサンゼルス空港でのLenovo(旧IBM)製ノートPCの発火事故をうけ、対象ロットを大幅に拡大したようです。
その後、東芝、日立などもSonyの自主回収プログラムを受ける形で対象ロットを発表し、東芝に至っては『賠償請求』をすると息巻いております。
『賠償請求』報道の直後に、SonyのVAIOに関しても『充放電システムが違うので危険性はないが、とりあえず回収します。』的な発表がありました。
この回収にかかる費用は、『損害賠償は含まない状態』でおよそ
510億円で数は960万個とのことです。
本音としては、コレはかなり情けない対応で組織が未だ古い体質である証拠だと思いますが、彼らの本音としては『俺たちのせいじゃないんだけどなぁ・・・』と考えているんだと思います。
最新の記者会見では、「外側(筐体)が金属の管でできており,その中に電池セルを詰めている。そのときの封入工程で金属粉が入ってしまった。」と弁明してますが、コレだとVAIOでは安全であるという根拠が皆無だと思いますので、やはり当初の『電極間にあるセパレーター(絶縁物でかつ電解液を保持するシート:通常紙か不織布)に金属微粉が混入していた』という理由の方が納得がいきます。
これが原因であった場合、目に見えないサイズの微粉末が数百メートルに数個あったと仮定しても、対象の960万個から考えると相当な面積となりますので、そのシートの全てを検査することなど到底不可能です。
この絶縁シートは、当然第三メーカー製でありSonyの立場では秘密裏に原因の特定を指示し、賠償問題としていると思われます。
リコールのかかった自動車と同じ状態でしょうか。
→メーカー内製の部品の方が少ないです。
→ただし、以前の三菱ふそうのハブ折れは別問題です。
アレは設計ミスの上、耐久試験を実施していません。
話しを戻すと、おそらくその第三メーカーは“本来専用のラインであるべき”なのにも関わらず、そのラインで別のモノも製造したか、試作トライを行ったコトが予想されます。
その後のライン洗浄が不十分であったため、製品への混入に至ったのではないかと。
(注:あくまでも個人の想像の範疇です。)
こーいったことは、私の勤める業界でも非常に多くあり『お客様からの有り得ない値下げ要求』が毎年来てます。
正直、メーカー側には“原価割れ”なんぞ無関係ですから。
世間では○ーン改革で復活したと評価されているメーカーが、正直一番酷いです。
反対に『石油化学製品業界』や『鋼材メーカー』は、業界の力が強いために各方面へ向けて“値上げしました”で済んでしまいます。
その値上がりした材料を購入し、完成品の値下げを要求されるのが“部品メーカー”ですので、前述の企業も“専用ライン”には出来ないのが実情でしょう。
だから、企業は安い労働力を求め中国へ進出し、手痛い品質問題で悩んでいると思います。
いや・・・・担当者だけですけどね・・・ホントにつらいのは・・・
いずれにせよ、どちらにも共通なのは『全数検査は不可能に近い!』と言う事実だけですので、少なくともAppleを攻める気には全くなりませんし、Sonyも同情には値すると思います・・・少々対応悪いですケドね・・・
大体、この程度で大騒ぎしてたら・・・・
スバル車になんか乗れませんって!!(笑)