秘密保護法の成立について朝日新聞と読売新聞の社説を比べてみましょー
【朝日新聞12/8社説】秘密保護国会―異様な光景の果てに
特定秘密保護法案をめぐって、臨時国会は最後の最後まで異常な状態が続いた。
7月の参院選で衆参両院のねじれが解消して最初の国会だった。
安倍政権は「成長戦略実行国会」だといっていたが、開けてみれば、
目を覆うようなこの惨状となった。
参院選後の長い休みをへて、国会の開会は10月中旬にずれ込んだ。
短い会期に、国家戦略特区など多くの重要法案が詰め込まれた。
最終盤になって混乱はきわまり、解任、不信任、問責の決議案が乱れ飛んだ。
こんな国会を有権者は望んではいなかった。
政権のブレーキ役を自任していた公明党は、参院選が終わると
「ブレーキをかけるのが目的ではない。力をあわせて前進をはかるのが国民の期待だ」
とギアを切り替えた。
自民党の行き過ぎをただす役割より、与野党の合意形成をはかるほうが大事だ。
そんな考えから、公明党は秘密保護法案の修正に応じ、かえって政権の背中を押した。
だが、それは国会内の合意形成でしかない。公明党は広く国民の合意形成をめざすことなく、
自民と強行採決を繰り返したことを恥じるべきだ。
政府は、日本版NSCと呼ばれる国家安全保障会議と秘密保護の両法案はセットといいながら、
参院選前に提出したのはNSC法案だけだった。世論の反発を恐れていたのは明らかだ。
たしかに、安全保障上の秘密保護は「国家」の機能を強めることにはなるだろう。
だが、それは一方で「国民」の権利を制約することにつながる。
だからこそ、慎重のうえにも慎重な法案づくりと、異なる意見に耳を傾ける丁寧な
国会審議が必要なはずだった。
ところが首相は、予定された会期末の2日前になって「情報保全諮問会議」
「保全監視委員会」「独立公文書管理監」と新チェック機関の設置を表明。
野党に反発されると「情報保全監察室」の設置も加えた。
まるで閉店まぎわの大安売りだ。それぞれの機能や相互の関係もはっきりしない。
この有り様を見るだけで、これが欠陥法案だったことは明らかだ。
国会を大幅延長できないというのは政権の勝手だ。
それが出来ぬなら、せめて継続審議にすべきだった。
なにより法案が抱える数々の問題を考えれば、廃案にしてしかるべきだった。
国民の不安を切り捨て、異様な光景を残して臨時国会は事実上、閉幕した。
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【読売新聞12/7社説】秘密保護法成立 国家安保戦略の深化につなげよ
◆疑念招かぬよう適切な運用を
日本にもようやく米英など他の先進国並みの機密保全法制が整った。
外交・安全保障政策の強化につなげる一方で、「知る権利」が損なわれるという疑念を
国民から抱かれぬよう、政府は運用に十分配慮しなければならない。
安全保障に関わる機密情報を漏らした公務員らの罰則を強化する特定秘密保護法が
6日深夜、参院本会議で自民、公明両党の賛成多数によって可決、成立した。
与野党が激しく対立する中、衆院で賛成したみんなの党が
与党の「強引な国会運営」を批判して退席した。
極めて重要な法律が異例の事態で誕生したのは残念だ。
◆統一的なルール明確に
中国の防空識別圏設定の動きが象徴するように、日本の安全保障環境は厳しさを増している。
米国はじめ各国から重要な情報を入手し、連携を強めねばならない。
それには秘密保護への信頼を高めることが不可欠だ。
既に国家公務員法の守秘義務や1954年の日米相互防衛援助協定に伴う特別防衛秘密、
2001年の改正自衛隊法による防衛秘密などの法制はある。
それでも十分ではなく、日本は情報が漏れやすいと指摘されてきた。
今回、防衛、外交、スパイ活動防止、テロ防止に関する、政府全体の統一的かつ本格的な
秘密保全ルールが整ったと言える。
今週発足した国家安全保障会議(日本版NSC)の情報収集と分析の能力を高めていく上でも、
欠かせない法制度である。
ところが、国民を守るための立法趣旨が軽んじられている。
審議の中で戦前、思想犯の弾圧に用いられた治安維持法になぞらえた批判まで
出たのには驚く。
戦後の民主主義国家としての歩みや政治体制、報道姿勢の変化を無視した
暴論と言うほかなかろう。
安倍首相が
「一般国民が特定秘密を知ることはあり得ない。ゆえに処罰されることはあり得ない」
と答弁したように、普通の国民が対象となることはない。
ただ、法案審議を通じ、政府に対する国民の不信感が増したことも否めない。
政府は、秘密保護法の趣旨を国民に丁寧に説明し、理解を求めていくべきである。
与党と維新の会やみんなの党との協議で、秘密指定対象がより絞られ、
指定解除後の公開原則も明確になったことは評価できる。
◆知る権利とのバランス
参院審議の最大の論点は、官僚が恣意しい的に秘密の範囲を拡大するのではないか
という点だった。
秘密指定の妥当性をチェックする第三者機関として、首相は
「保全監視委員会」を設けると約束した。
菅官房長官も、内閣府に20人規模の「情報保全監察室」を発足させると言明した。
政府側が次々と妥協を図ったと言える。
第三者機関には実効性を持たせることが肝要だ。
特に、警察庁や公安調査庁などテロやスパイ活動を取り締まる分野での秘密については、
国民の不安が強いことに留意しなければならない。
民主党は、政府内の組織では、機能を果たせないと言うが、
民主党の提案するように与野党が指名した有識者による委員会で的確に検証できるのか、
疑問だ。
秘匿性の高い情報をどう扱うかという高度の判断は、政府の方針や
国家戦略に基づいてこそ可能になる。
情報漏えいリスクが高まる観点からも、政府内の監視組織の方が望ましい。
最も懸念されるのは、公務員が懲役10年以下という厳罰を恐れ、
報道機関の取材に対して萎縮しかねないことだ。
秘密保護法を理由に情報を秘匿する恐れがある。
個人情報保護法に対する過剰反応で、社会に必要な情報まで流通しにくくなった。
その傾向に拍車をかけてはなるまい。
◆「原則公開」も問われる
特定秘密の公開は原則30年後だ。
延長する場合も一部例外を除き最長60年である。
指定解除後の文書をどう公開・廃棄するのか、具体的な方策はこれからだ。
秘密保護とセットであるべき情報公開制度にも問題がある。
現行の制度では公開の幅が狭く、国民が情報にアクセスしにくい。
特定秘密に関する訴訟が起きた場合、裁判官が対象文書を見ることができるようにしなければ
裁判所としても役割を果たせない。
国会の関与のあり方も、検討課題である。特定秘密の提供を受ける秘密会をどう運営するか、
国政調査権との関係をどう考えるか、与野党は議論を深めるべきだ。
公布後、1年以内に施行される。与野党は協議を重ね、より良い法制に仕上げてもらいたい。
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さて、どちらを支持しますか?
私は朝日の
>なにより法案が抱える数々の問題を考えれば、廃案にしてしかるべきだった。
に悔しさが溢れていてメシウマですwww
あ、あと読売の
>審議の中で戦前、思想犯の弾圧に用いられた治安維持法になぞらえた批判まで
>出たのには驚く。

>戦後の民主主義国家としての歩みや政治体制、報道姿勢の変化を無視した
>暴論と言うほかなかろう。
は朝日や毎日、東京新聞と言った反対を煽っていた連中には耳が痛い指摘でしょうねw
※どうせ聞こえないふりするんだろうけどw