• 車種別
  • パーツ
  • 整備手帳
  • ブログ
  • みんカラ+

LGtouringのブログ一覧

2025年08月14日 イイね!

エアコンの仕組み【どうやって冷えるの?編】


では、具体的にエアコン(ここではカーエアコン)の冷却の仕組みを見てみます。
※ネット上によくある形だけの説明ではなく、なるべく物理・化学的な理屈を踏まえて説明します。


(5)冷媒は気体と液体の変化を繰り返す

作動流体である冷媒のことを、エアコンガスと呼ぶのが一般的なため、常に気体のまま循環していると考える人もいますが、実は気化と液化を繰り返すことで熱を運んでいます。



このサイクルに外部から仕事、つまりコンプレッサーに動力を与えるのはエンジンです。

①コンプレッサーによって冷媒(気体)は圧縮されますが、これによって分子間の衝突が増えるので温度が上がり、高温高圧になります(70~80℃)

②次に、コンデンサーで冷やされて(50~60℃)、冷媒は液化します。
※電子部品であるコンデンサと同じ綴りですが、ここでは復水器の意味です。冷媒の沸点は-26.5°C(R134a)ですが、加圧されているので高くなっている(冷却水と同じで圧力が高いと沸点は上がるため)

③レシーバーを通った後、通称エキパンで霧状に噴射されます(流速が上がる→低圧になる)

④エバポレーターで気化される際に、周りの熱を奪います(気化熱。キャブレターのアイシングと同じ原理)
※気化熱により生じた冷気を、ブロアで室内に送ります。

気化された冷媒(低温低圧)は、コンプレッサーに戻り、再び同じ行程を繰り返します。

このように、「エバポで気化する際に熱を吸収して、コンデンサーで液化する際に排出する」というサイクルを繰り返すことで、低温の熱源(室内)から高温の熱源(室外)に熱を移動させます。


(6)COP(性能係数)とは?

COPは、供給された仕事量1kWあたりで得られる熱量(kW)を示す数値で、熱量÷仕事量という形で表しますが、これは熱機関の熱効率(仕事量÷熱量)の逆数です。

つまり、熱機関の場合は、熱をいかに多く仕事に換えられるか(移す熱をいかに少なくするか)が焦点ですが、エアコンの場合は逆で、いかに少ない仕事で、より多くの熱を移せるかが焦点になります。

このCOPは、家庭用エアコンなどで省エネ性能を表示するのに用いられていますが、カタログ等に表記のある「定格COP」は冷房の場合は外気温35℃で計算しますが、外気温が上がれば当然COPは落ちるので、車の燃費と同じであくまでも目安です。
※カルノーサイクルにおいては、2つの熱源の温度差、つまり外気温と内気温の差が大きい方が、熱効率(1-Tl/Th)は上がるため。


ところで、カーエアコンの場合、家庭用に比べて振動等も多いため、経年劣化で繋ぎ目のOリングなどから少しずつガスが漏れますが、古い車などで「街中では効きが悪いが、高速に乗るとそれなりに冷える」なんて話を聞きます。

これは簡単に言うと、コンプレッサーの回転数が高くなり、圧縮比が上がるために冷媒流量が増えるからです(可変容量式はこの限りでない)
なので、修理書によっては、「ガス補充の際はエンジンを1500回転に保て」などと書かれています(流量を増やしてガスの吸い込みをよくするため)

ですが、それ以前の問題として、実際には猛暑日でも気化熱ですぐに缶が氷のように冷たくなり、その後の気化が中々進まないため、(エンジン回転云々よりも)缶をお湯につけ気化を促進させる方が早く終わります。
※お湯につけると気化しやすくなるのは何故かというと、水は空気より20倍熱を伝えやすいため(何事も「理屈を理解した上で経験を積む」ことが重要ですね)

Posted at 2025/08/14 16:33:35 | トラックバック(0) | 日記
2025年08月13日 イイね!

エアコンの仕組み【熱機関とは何か?編】


さて、永久機関が存在し得ないことが分かった上で、次は熱機関についてです。


(3)熱機関のおさらい

熱機関には内燃機関と外燃機関がありますが、内燃機関は、作動流体そのものを燃焼させて動力を得ます。
つまり、燃焼ガスが膨張する圧力で直接ピストンを押したり、タービンを回転させるなどの仕事をします。
自動車のエンジンは、言わずも知れた内燃機関の一つです。
※内燃機関は、熱エネルギーを直接運動エネルギーに変換するので効率は高い(概ね20~50%)

一方、外燃機関は、作動流体そのものを燃やすのではなく、熱交換器により熱源の熱を作動流体に与え、この作動流体がピストンを押したり、タービンを回転させるなどの仕事をします。
蒸気機関車がそうですね(石炭を燃やしてボイラーで蒸気を生成し、過熱器にあたる蒸気管で高温高圧になった過熱蒸気をシリンダーに送り込む)
※プロセスが増える分、内燃機関よりも効率が低くなる(概ね10~40%)


(4)熱機関は可逆である

全ての熱機関は高温の熱源から正の熱を受け取り低温の熱源に移すと同時に、外へ仕事をする訳ですが、これは可逆サイクルです。
よって、これとは逆に、外から仕事をされれば、低温の熱源から正の熱を受け取り高温の熱源に移すことが可能です。

つまり熱機関の逆サイクルが、エアコンの冷房原理です。


ここでようやくエアコンと話が繋がったところで、最後に【どうやって冷えるの?編】へと続く。

Posted at 2025/08/13 12:28:45 | トラックバック(0) | 日記
2025年08月12日 イイね!

エアコンの仕組み【永久機関は可能か?編】


夏になると増える(というか顕在化する)エアコントラブルですが、そもそもエアコンがなぜ冷えるか?の仕組みについては、解っているようで解っていない人も多いのではないでしょうか?
※かく言う自分も、仕組みについては曖昧な理解のままで、エアコン修理したことがある。


(1)永久機関は可能か?

いきなりエアコンとは関係ない話のように見えますが、知っておくとどこかで役に立つと思うので書きます(ご存じの人、興味のない人は、本編は全て読み飛ばしてください)

第1種永久機関、即ち「外部から何らのエネルギーを受け取ることなく、永久に仕事を行い続ける装置」が不可能であることは誰でもすぐに解りますが、では第2種永久機関と呼ばれるもの、即ち「外部の熱源から正の熱を取り出し、その熱を捨てることなく100%仕事に換える」事は可能でしょうか?

興味のある方は色々調べてみると面白いと思いますが、長くなるので結論だけ書くと、第2種永久機関もまた不可能です。
なぜなら、熱力学第2法則に反するからです。
※本来は、第2種永久機関が存在しないと証明したことから熱力学第2法則が生まれたので、この説明は禁じ手ですが・・・


(2)熱力学第2法則

①クラウジウスの原理「低温の熱源から高温の熱源へと正の熱を移す以外に、他にどんな痕跡も残さないようにする事はできない(高温の熱源から正の熱を受け取り、低温の熱源に移す以外に何らの変化を伴わないサイクルは不可逆である)」

②ケルヴィンの原理「ある熱源から正の熱を取りだし、それをすべて仕事に変えるようなサイクルは存在しない」

③オストヴァルトの原理「第2種永久機関は存在しない」 
となります。


つまり、
①自然界においてはエネルギーは高い方から低い方へ移動するのであって、その逆は(何らかの仕事を与えない限り)起こらない。

また、
②どのような熱機関においても、最大熱効率が1.0(100%)以上になることはない(必ずいくらかの熱を捨てる)

そして、
③仕事は100%熱に換えられるが、熱を100%仕事に換える事はできないので、第2種永久機関は不可能。
※過去には中松エンジンだとか、大手マスコミまでもが挙って取り上げた燃料電池「ウォーターエネルギーシステム」などもありましたが、いずれも単なるトリックで永久機関ではありません。


↑日経クロステックの記事より引用。一般紙ならともかく、技術系雑誌の専門記者が「水と空気だけで発電し続けます」とは・・・


なお、この第2種永久機関に関する特許を取ることは不可能だと言われていますが、実際、それらしき発明は殆どが取り下げられています(却下すると後々面倒なので、特許庁に限らずどこの役所も説得して取り下げさせる方向で動くため)

ちなみに、特許は前例のない技術、発明、アイデアなどに対し、政府が一定期間の独占権を保証するもので、「特許を取得している=科学的根拠がある」と認められた訳ではありませんので、仮に特許を取った永久機関らしきものがあったとしても、100%オカルトです。
※現実に、(アルミテープチューンに代表されるような)オカルトチューンでも特許を取れるのは、皆さんご承知の通り。

(続く)

Posted at 2025/08/12 13:02:10 | トラックバック(0) | 日記
2025年08月10日 イイね!

【超雑学】バッテリーは12Vなのか? それとも12.6Vなのか?


今までバッテリー関連の話を色々書いてきましたが、元々の出発点は、ドチテ坊やじゃないが「何故そうなるの?」という素朴な疑問が都度浮かんできたからです。

自分は文系で、以前は電気の知識も殆どありませんでした。

それでも共通一次(5教科5科目時代)では化学を選択、私大入試でも定番だった英国社ではなく、英国数を選択したので、いくらかは理系的な能力があったのかもしれません。
※当時は「大学への数学」なども買って勉強していましたが、いまでは微積などすっかり忘れていて解くのは無理ですが(笑)

そんな中で色々調べるうちに、自分でも多少の事は解ってきましたが、先日「標準電極電位」について調べていたら、バッテリーについて非常に詳しく書かれたサイトが見つかったので、ここで紹介しておきます。


【リンク先】

産業用蓄電池について(充電・放電反応、標準電極電位)(記事4)
https://note.com/kobutade/n/n1c82bbde97f7

産業用蓄電池について(蓄電池の種類・充放電反応の詳細)(記事5)
https://note.com/kobutade/n/n762efc60d1f0


以前、化学反応について【保存版】と称して書きましたが、あれは恥ずかしながら高校生レベルの説明だった訳ですが(笑)、リンク先の内容を一通り理解できれば、もはや専門家領域でしょう。


前置きが長くなりましたが、今回は何を言いたいかというと、
・鉛蓄電池の起電力(電圧)は、2Vなのか2.1Vなのか?
についてです。


(1)電極電位(反応電位)について

標準電極電位については、詳しい説明はリンク先を読んでいただくとして、
・水素と水素イオンとの反応に対する電極電位(2H⁺+2e⁻→H2):0.000 V(基準)
・鉛蓄電池の正極板(PbSO4+2H2O→PbO2+H2SO4+2H⁺+2e⁻)での電極電位:1.685 V
・鉛蓄電池の負極板(PbSO4+2e⁻→Pb+SO42⁻)での電極電位:-0.355 V

なので、電位差は1.685 V-(-0.355 V)=2.04 V
※これを四捨五入すれば2Vとなる。

以上が、鉛蓄電池の起電力(電圧)が2V、つまり合計で12Vと言われる所以です。


(2)過電圧について

過電圧についても、詳しい説明はリンク先を読んでいただくとして、
・過電圧は、電極電位と実際に反応が起こる電位との差分である。
・過電圧には、活性化過電圧、濃度過電圧、抵抗過電圧の3つがある。
・実際の起電力は、正極と負極の電極電位だけでなく、活性化過電圧、濃度過電圧が影響する(なお、抵抗過電圧は一般に言う内部抵抗であり、起電力とは分けて考える)
・具体的には、充電時の端子電圧=電極電位+過電圧(=起電力+内部抵抗)、放電時の端子電圧=電極電位-過電圧(=起電力-内部抵抗)となる。

以上が、ざっくりとした説明です。


(3)なぜ一般に2.1Vと言われるのか?

上記(2)で起電力(電圧)には活性化過電圧や濃度過電圧が影響すると書きましたが、中でも濃度過電圧については、元の電解液濃度が影響します。
そこでJISを見ると、「出荷時には濃度37%の電解液を入れろ」と書かれていますが、この場合の比重は液温が20℃で1.28なので、その時の電圧は約2.1Vです。

一般的に「バッテリーは(満充電で)12.6V」と言われる理由は、たぶんこれです。


ただ、これもJISの定義上の話で、実際にネットで買った製造後1か月程度のバッテリー(カオス)を測ると、開放電圧で13Vぐらいあります。



で、JISをよく読むと「製造業者が推奨する密度がある場合は、この限りではない」と書かれているので、標準的なバッテリー(廉価バッテリー)だと比重1.28を使うのかもしれませんが、カオスのような高性能を謳うバッテリーの場合、比重1.30(濃度約40%)~の電解液を工場で充填しているのだと思います。

実際、日置が出している資料を見ると、「満充電では2.14V(12.84V)、濃度約39.7%、比重約1.30」とされているので、イマドキは比重1.28を使っているバッテリーの方が少ないのかもしれません。
※なお、AGMだとさらに高く比重1.32~が使われているようですが、市販(業販)されている補充用の電解液は、今でもJISの規定通り1.28が一般的なようです。


つまり、高性能バッテリーとは、実は電解液の濃度を高める事で過電圧を小さくして充放電性能を上げている、とみる事も出来ます。
※もちろんそれだけではない。

従って、正確に言えば「JISに定める標準的なバッテリーの場合は、(満充電で)2.1V」となるだけで、巷でよく言われる「満充電で12.6Vあれば大丈夫」という判断基準には根拠がありません。

この電圧測定による具体的な劣化判断基準は、またの機会に。

Posted at 2025/08/10 10:16:32 | トラックバック(0) | 日記
2025年07月30日 イイね!

やっちまった日産!(ハブ固定方法の雑学)


たいやき屋に後輪タイヤが(2本とも)ハブごと飛んでった事故、当初の報道では車検を受けた直後という話だったので、それで運転者(顧客)の責任を問うのはどうか?とも思ったが、どうやら整備士が試運転中に起こした事故だったらしい。しかも日産ディーラー。


※記事には「ブレーキドラムと車軸を結ぶ」とありますが、正確には「ハブとナックルを結ぶ」です。


内容がお粗末すぎて、どうコメントしていいのか解らないが、最初に読んだ時に「これって旧車?」と思った。

というのも、80年代以前の車ならベアリングとハブが別体だったので、ナット仮締後にプリロード調整をし、割りピンで止めてハブキャップを嵌めると言う作業が必要だったが、イマドキの車はハブが非分解(ASSY)になっていて、通常4本のボルトで止める構造になっているはず(非駆動輪の場合)

参考)
ブレーキ移植など
https://minkara.carview.co.jp/userid/2036415/car/2073284/3836623/note.aspx


なので、若い整備士が慣れない旧車の整備をしてドジを踏んだのかと思ったが、車種はノートだったようで。
不思議に思って調べたら、今でも軽の殆どや、日産車などはナット止めのようです。


なお、それぞれの構造については、三菱の修理書に詳しく載っているので、掲載しておきます。

(1)別体型(ナット仮締→プリロード調整→割りピン)

86年型デボネアV

(2)一体型(ロックナット締付)※軽以外の三菱車では過渡的に採用

90年型ディアマンテ

(3)一体型(4本ボルト締付)

95年型ディアマンテ


単純に指定トルクだけで考えれば、(2)のナット止め(T=20~26)よりも、(3)の4本ボルト止め(T=30~36)の方が軸力は高くなりますが、(2)の場合はロックナットなので、カシメておけば緩まない(割りピン式もある)
※ボルトの呼び径即ち有効断面積(太い1本と細い4本の合計)が同じとした場合。

作業性やヒューマンエラーなども含めて、どちらが優れているかは一概には言えないと思いますが、主流は(3)です。


おまけ)
そういえば、以前トヨタが「(ハブとホイールの結合を)欧州車のようなハブボルトにすると、足回りの剛性が上がって操縦安定性が高くなる」などと出鱈目を言っていましたが、(百歩譲って)もしそれが本当だとしたら、ハブボルトを採用したISやbZ4Xは、当然ここ(ハブとナックルの結合部)のボルトも本数を増やすなどの対策をしてるんだよね?・・・でなきゃ本末転倒だべさ(笑)

何を言っているか解らない方は、こちらをどうぞ↓
間違いだらけの自動車評論家選び?(ホイールボルト編)
https://minkara.carview.co.jp/summary/13686/

Posted at 2025/07/30 09:19:47 | トラックバック(0) | 日記

プロフィール

「エアコンの仕組み【どうやって冷えるの?編】 http://cvw.jp/b/2036415/48596830/
何シテル?   08/14 16:33
ネット上には、車の情報に関する様々な誤解やデマ、更にはオカルトチューン (疑似科学)が大手を振ってまかり通っているので、本音で書きます 皮肉屋なので...
みんカラ新規会員登録

ユーザー内検索

<< 2025/8 >>

     12
3456789
1011 12 13 141516
17181920212223
24252627282930
31      

愛車一覧

日産 セドリック 日産 セドリック
18年ぶりのY32 しかも、Ⅴ30E「グランツーリスモ」anniversary これでY ...
トヨタ クラウンハードトップ トヨタ クラウンハードトップ
 短命だったデボネアVに代わり、新たに戦列に加わりました。  13系では希少な前期の7M ...
三菱 デボネア 三菱 デボネア
【長所】  ボディ剛性は、この年式にしてはしっかりしてます(実際、Bピラーはかなり太い) ...
トヨタ マークII トヨタ マークII
 GX81でネオヒスに片足突っ込んだ後に購入。  当時はハチマルヒーローも創刊されておら ...

過去のブログ

2025年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2024年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2022年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2021年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2020年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2019年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2018年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2017年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2016年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2014年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
ヘルプ利用規約サイトマップ
© LY Corporation