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LGtouringのブログ一覧

2026年08月12日 イイね!

ディスク VS ドラム、どちらが強力か?(1)


先日、BYDのラッコの試乗記を見ていたら、「重い車重に合わせて前後ディスクブレーキを採用している。」と書かれていました。

BYD「ラッコ」を正直レビュー! 乗ってわかった中国産軽EVの真価
https://news.mynavi.jp/premium/article/20260810-racco-testdrive/

BYDが広報資料でそのことをアピールしていたので、それに乗っかって書いたのだと思いますが、「重い車重に合わせて前後ディスクブレーキを採用している。」には3つの誤解があります。

①重い車重の車は止まらない。
②ブレーキを強化すればよく止まるようになる。
③ディスクの方がドラムより強力だ(注)

このうち、①と②は過去ブログでも散々書いているので、今日は③をテーマに取り上げます。


(1)世間一般の認識は?

まず、ディスク派とドラム派のどちらが多いかですが、ネットを見ると、(ディスクの方が高性能というイメージが浸透しているからか)概ねディスク派が多いようです。

特に一般ユーザーの間では、カーメディアの論調が効いているのか、ディスク派が多いようですが、一方で訳知り顔のマニアさんに限定すると、ドラム派が多いのが特徴です。


(2)シューやパッドの接触面積が増えると、効きは強くなる?

で、ドラムの方がなぜ強力なのかというと、割と多いのが、「ドラムの方が(シューの)接触面積を増やせるから」という理由です。

例えばJAFでは、
「ドラムブレーキのライニングは、ディスクブレーキのパッドより面積が大きくできるので、ドラムとディスクローターの直径が同じであれば、制動力そのものはドラムブレーキのほうが上になります。」と解説しています。

[Q]ディスクブレーキとドラムブレーキは何が違うのですか?
https://jaf.or.jp/common/kuruma-qa/category-construction/subcategory-structure/faq075

また、GAZOOでも、
「(ドラムブレーキは)ブレーキシューのサイズも大きいため、制動力も充分でした。」などと解説しています。

仕組みは? 性能は? ディスクブレーキとドラムブレーキは何が違う?
https://gazoo.com/column/daily/19/11/17/

実は自動車業界(というかカーメディア)では、紙媒体の時代から「接触面積が大きい方が制動力は大きくなる」という常識がまかり通ってきましたが、クーロンの摩擦法則を考えれば、接触面積は(基本的には)関係ありません。
※JAFもGAZOOもそれなりに影響力は大きいので、もっと精査した記事を載せて戴きたい。


(3)自己サーボとは?

で、ドラムブレーキが強力な理由ですが、自己サーボが働くからです。
※簡単に言うと、押付けたときにリーディング側のシューが回転方向に引き摺り込まれるので、食い込む力が働く。

サーボ比は概ねリーディング&トレーリング式で2.0、ツインリーディング式で2.5ぐらいのようです。
※サーボ比が2.0なら、シューを押す力が(ピストンを押す力の)2倍になる。

ドラムブレーキの構造や仕組みについては、説明が面倒なので興味のある方は下記のリンクをご参照ください。

曙ブレーキ工業㈱
https://www.akebono-brake.com/product_technology/product/automotive/drum/

という訳で、ピストンを押す力が一緒なら、ドラムの方が効きが強くなります。
※なぜ下線部分を強調したかは、次回以降に。


【おまけ】

更にベストカーには、ディスクの方が強力というだけでなく、荷重移動についてもおかしな事が書かれていました。

「ブレーキをかけると荷重が前方へ移り、前輪側が大きな制動力を受け持つため、後輪は(効きが弱い)ドラム式でも十分という考え方だ。」

軽EVなのに後輪までディスクブレーキ!! BYDラッコが4輪ディスクを採用した理由
https://bestcarweb.jp/newcar/1593920

一応正しく解説すると、荷重移動で制動距離が延びるのは、後輪は荷重が減ることで制動力が下がるため、逆に効きを強くしないと十分な制動力が発揮できないので、全体として制動力不足になるからです。
※納得できない人は、EBDの仕組み(なぜ積載時に後輪のブレーキ力配分を増やすのか)を考えて下さい。

もっとも、カーメディア界の夕刊フジ&ゲンダイに当たるのが、カートップとベストカーなので、あまり難しいことを言っても始まらないですが(笑)


(注釈)
③に関しては、「耐フェード性が高くなるから」という意味では正解だが、単純に「効きが強力だから重い車でも止まれる」という意味で使われていたようだ。

Posted at 2026/08/12 17:12:18 | トラックバック(0) | 日記
2026年08月10日 イイね!

ダウンフォースを考える(おまけ)


最後に、ウイングのありなしでの(100km/hからの)制動距離はどう変わるのでしょうか?

その前に、揚力の公式ですが(注1)
・L=Cl×(1/2×ρ×v²)×A
となります。
Cl:揚力係数
1/2×ρ×v²:動圧
A:翼の前面投影面積
つまり、揚力(ダウンフォース)は速度の二乗に比例します。

従って、F1のダウンフォースですが、今や最大で3,500kgあたりに達するようですが、これが300km/h地点の物だとすれば、速度の二乗に比例するので100km/h地点では約390kgになります(注2)


で、市販のスポーツカーの場合ですが、実際のダウンフォースのデータがありませんので、WRXとかランエボのような派手なウイングを付けた車で、100km/h地点で(F1の半分として)約195kgとします。
※以下、ざっくりとした計算です。

これを100→0km/hで積分して平均すれば、約65kgとなり、このスポーツカーの車両総重量を1500kgとすれば、平均で+4.3%と見做せます。

で、このスポーツカーの(ウイングなしの)制動加速度を平均で-1G≒-9.8m/s^2とすれば、ウイングありだと-10.2m/s^2になりますので、
・なしの場合の制動時間:2.84s、制動距離:39.5m
・ありの場合の制動時間:2.73s、制動距離:37.9m
となります。

なので、制動距離のランキング上位にスポーツカーやスーパーカーが多いのは、ハイグリップタイヤと高度なABSシステムに加え、低重心のため荷重移動量が少なくて済むという話だけではなく、風を積極的に利用している面も大きいように思います。


注釈
(注1)
ちなみに抗力(空気抵抗)ですが、D=Cd×(1/2×ρ×v²)×Aとなるので、基本的には揚力が増えれば抗力も増えますが、互いに完全な比例関係にある訳ではないので、揚力が最大で抗力がなるべく少なくなるポイントになるよう設計します。
※詳しくは、揚抗比(L/D比)で検索してみてください。

(注2)
F1の車両総重量は650kgぐらいだそうなので、650kg×2倍のダウンフォースが得られれば、マッハ号やゼロゼロマシンのように、逆さになっても普通に走ることが可能です。
※100km/h地点でダウンフォースが約390kgなら、181.6km/h地点で約1,300kg

なお、ダウンフォースが650kg以上なら逆さで走れると言う人もいますが、例えば750kgでは必要な摩擦力が得られず(タイヤが空転して十分なトラクションが得られず)失速するので、やがて車も落ちてしまいます。
※但し、1,200kgなら可能かもしれません。

Posted at 2026/08/10 20:08:35 | トラックバック(0) | 日記
2026年08月08日 イイね!

ダウンフォースを考える(2)


以前、ブレーキについて散々書き連ねましたが、「重い車ほど制動距離が延びる(制動距離は質量に比例する)」は間違いで、確かに運動エネルギーは質量に比例しますが、一方で摩擦力も質量に比例するので、「質量が倍の車は倍の摩擦力を得られるから、制動力は(原則的には)変わらない」とする話をしました。

参考)
ブレーキ強化で制動力向上!?
https://minkara.carview.co.jp/summary/15167/

つまり、制動力=摩擦係数×重力加速度×質量となりますが、ここでの重力加速度×質量は垂直抗力の事であり、逆に言うと質量を変えずに質量以上の垂直抗力が得られれば、制動力は上がり、制動距離も短くなります。

「そんなうまい話がある訳ないだろ?」と思われるかもしれないが、これがあるんです。
そう、それがダウンフォースです。

実際に、これは約25年前のデータですが、F1では既に最大の駆動加速度が1.3G、制動加速度は3Gにも達していたそうです(注)
※これは巨大なウイング等によって強力なダウンフォースを得ているから。

そもそも前回、なぜ飛行機の翼を例に揚力の話をしたかというと、実はウイングはこれを逆さにした形状のものだからです。
※なので、同じ理屈で下方向に車体を押し付ける力が働く。

これによって、最高速付近では実際の質量の何倍ものダウンフォース(荷重)を得ているので、本来のタイヤのグリップ力で得られる摩擦力の何倍もの摩擦力を得られる訳です。

つまり、ウイングの本当の役目は「揚力で車体が浮き上がるのを防ぐため」ではなく、「揚力を積極的に利用し、車体を路面に押し付けて強大な摩擦力を得るため」というのが正解です。


(注釈)
1G≒9.8m/s^2なので、例えば0→100km/hまで加速するのに10秒かかる車と3秒かかるの車を比較すれば、加速度=速度の変化/時間なので、
・27.8(m/s)/10(s)≒2.78(m/s^2)になり、約0.28G
・27.8(m/s)/3(s)≒9.3(m/s^2)になり、約0.95G

逆に、100km/hからの制動に3秒(平均-0.95G)掛かる場合の制動距離は、
・27.8(m/s)/2×3(s)≒41.7m
になります。

また、もし制動時に平均-3Gの加速度が得られるなら、100km/hからの制動を僅か0.95秒&13.2mで止まれる計算になります。
※F1の-3Gはあくまで最高速近辺での最大の制動加速度なので、減速するに従いダウンフォースが減ることで制動加速度は(√)逓減していくので、実際はもっと時間も距離もかかる。

Posted at 2026/08/08 16:30:30 | トラックバック(0) | 日記
2026年08月07日 イイね!

ダウンフォースを考える(1)


ダウンフォースを考える前に、まずは揚力を考えてみます。


(1)揚力って何?

1980年代、若者の間でFFファミリアが大売れした頃から、主にファッションでエアロパーツを組むのがブームになりましたが、当時読んでいたドライバーには「車は高速になれば揚力が発生するので、車体が浮き上がってそのせいでふらつくが、リアスポイラーでダウンフォースを発生させると同時に、アンダースポイラーで車体の下に流れ込む空気を減らせば、高速でも車体が浮き上がらず安定して走行できるようになる」などと書かれていました。

まだ中学生だった自分は、それを読んで「そうか、車の下に空気が流れ込むから、揚力が発生して車体がふらつくのか」と単純に理解した気になっていましたが、あの時もっと深く考える力があれば、もっと違う人生だったかもしれません(笑)
※塾の同級で休み時間にニュートンを読んでいる奴がいましたが、開成→現役で東大に行きました(一方、自分が読んでいたのはドライバー・・・)

で、揚力って何?って話ですが、たとえば飛行機ですが、あんなに重い物が何故飛べるのかというと、翼によって揚力を得ているからですが、これは翼の下側の圧力が上側の圧力よりも高いために働く、上向きの力になります。


(2)ベルヌーイの定理(流体のエネルギー保存則)

これは、流線上における流体エネルギー(運動エネルギー+圧力エネルギー+位置エネルギー)は、常に一定になるというものです。
・1/2ρv²+P+ρgz = 一定
ρ :流体の密度、v :流速、P :圧力、g :重力加速度、z :高さ
※1/2ρv²が運動エネルギー、Pが圧力エネルギー、ρgzが位置エネルギー。

水平に置かれたホースの一部を踏むとそこだけ流速が上がりますが(運動エネルギーの増加)、これを流体のエネルギー保存則に当てはめれば、その分だけ圧力エネルギーは減少します。
※素人考えだと、踏んづけている分だけ圧力はむしろ上がりそうですが。

ではここで、夏休みの自由研究ではありませんが、空き缶を少しだけ離して二つ並べて、その間に息を吹きかけると、どうなるでしょうか?

赤色のボタン:缶同士が離れる
緑色のボタン:缶同士がくっつく
黄色のボタン:缶が二つとも倒れる
さて、正解はどの色のボタンでしょうか?

正解は緑色のボタンで、空き缶は互いに吸い寄せられてくっつきますが、これは缶の間の流速が速くなることで、圧力が(周りの大気圧より)下がったためです。
※黄色のボタンを選んだ人は、肺活量が多すぎ(笑)

と言う訳で、「翼の上側と下側では流速が違うから(上側の方が湾曲している分だけ速く流れるから)揚力が働く」とする説明が多いのですが、それだと高校生レベルの理解で終わってしまうので、もう少し掘り下げてみます。


(3)流線曲率の定理

ベルヌーイの定理があくまで同じ流線上における話だったのに対し、流線曲率の定理は周辺にある流線との関係を示すものです。

翼のような曲がった板に流体が流れると、流線も板に沿って曲がりますが、流線の曲率の中心方向に向かうほど圧力が低くなります。
※流線が曲がると流れる空気にも遠心力が生じるため、中心方向に向かうほど空気が薄くなり気圧が下がるので、流線の外側より内側の方が圧力は低くなる(圧力勾配)

翼の上側について考えると、翼に近い方が(大気圧に対して)圧力が低くなりますが、下側について考えると、逆に翼に近い方が(大気圧に対して)圧力が高くなります。

そのため、翼の上側の圧力<翼の下側の圧力となるために、上向きの力(揚力)が発生することになりますが、この時の流速が大きいほど、また曲率半径が小さいほど、圧力勾配は増えます。
※流速の二乗と曲率の積に比例する(曲率は曲率半径の逆数)

なので、飛行機のフラップを下げれば逆に上昇するのは何故かと考えた時、ベルヌーイの定理ではすっきりと説明できませんが、流線曲率の定理を用いれば、曲率が大きくなることで圧力勾配、即ち揚力が増えるからだと理解できます。
※但し同時に空気抵抗も増えるので、両者のバランスを取る必要がある。

つまり、飛行機の翼は流線を曲げることで圧力差を作り出し、揚力を発生させている訳です。


↓揚力について興味を持たれた方は、こちらもどうぞ。

社会人からの物理と数学
https://youski.hatenablog.com/entry/2018/08/04/132003

Posted at 2026/08/07 13:01:22 | トラックバック(0) | 日記
2026年08月05日 イイね!

バッテリー同士をつないでも、なぜ大電流が流れない?


バッテリーは(短時間ならば)大電流を流す能力があるのに、バッテリー同士をつないでも大電流が流れないのは何故なのか、考察してみます。


(1)電気は流すのではなく、流れるもの(まずは基本的な話)

よく、電気は流すものだと考える人がいますが、実際には電位差(電場)があるから電気(電子)が流れるのであって、電気というのは能動主体ではなく、あくまで受動的に流れるものです。
※電位差を与える事で流す、とも言えるが。

特にカーマニアの場合、例えば充電器で電流値を設定できるものがあるためか、電気は能動的に流せる(電流の大小を自由に変えられる)と言う人がいますが、あれは電位差を調整して流れる量を制限しているに過ぎません。
※この流れる量は、オームの法則V=RIから解るように、基本的には電圧と抵抗の大きさによって決まる。

ところでバッテリーの場合、放電時の起電力と電池電圧の関係はV=E-rIで示されますが、これは仮想の内部抵抗rを用いた概念的な式であり、現実的には、
・取り出す電流が増えると、過電圧(内部抵抗)が増えるので電池電圧は下がる。
・一定の電流でも放電が進むと、同様に過電圧が増えるので電池電圧は下がる。
事になります。

つまり、電池の内部抵抗は、実際に化学反応が起きたときの動的な抵抗であり、その時の電流値や放電率によって変動しますし、また放電時と充電時でも抵抗値は異なります。

一方で、CCAテスター等で測っている内部抵抗は、放電も充電もしていない時の静的な内部抵抗(≒オーミック抵抗)の事なのです。
※「バッテリー同士を繋ぐとショートしたのと同じ」と言っている人は、恐らくここが理解できていない。

で、ここからはその内部抵抗の話になるのですが、その前に「内部抵抗って何?」という方は、こちらを先にどうぞ。

バッテリーの内部抵抗を測る!
https://minkara.carview.co.jp/summary/15856/


(2)放電時と充電時の根本的な違い

さて、バッテリー同士を繋いだ場合、流れる電流は負荷(受入)側の内部抵抗次第という事を理解したうえで、実際に放電する時と充電する時のバッテリーの内部抵抗の違いを考えてみますが、以前にも触れた通り、バッテリーの放電反応は発熱反応で、充電反応は吸熱反応になります。

化学反応には吸熱反応と発熱反応がありますが、基質(反応物)よりも生成物の方がエネルギーが低い場合を発熱反応、基質よりも生成物の方がエネルギーが高い場合を吸熱反応と呼びます。


(画像は「薬学まとめました」より引用)

つまり、充電反応を起こすには、それだけ多くの活性化エネルギー(ここでは電気エネルギー)が必要になる訳です。
※充電反応に必要な活性化エネルギー>放電反応に必要な活性化エネルギー

自然界では物質はエネルギーの低い状態を好むので、放電反応は不可逆反応であり、系の外から仕事(電気エネルギー)を与える事で、無理やり逆反応である充電反応を起こしているのです。

一方、放電が進んだ状態においては、電導パスの減少によりオーミック抵抗も大きくなっていますが、同時に電解液の比重(=硫酸の割合)が低くなっているため、拡散抵抗も大きくなっています。
※H+もSO42-も少ない(なお、水は殆ど電離しておらず、極性分子として振る舞う)

そのため、充電時においては、内部抵抗の3要素(反応抵抗、オーミック抵抗と拡散抵抗)の全てが、放電時より高い状態にあります。
※これが放電時と充電時の根本的な違い。


(3)充電した時の内部抵抗はどう変わる

次に、実際にバッテリーに充電する場合を考えてみますが、外部電源により両極に電圧を掛けると、
①電気二重層の充電
②活物質とイオン間の電子授受(化学反応)
③電解液中のイオンの拡散
が順番に起きます。

①の段階では、電圧が印加された事で正極にSO42-が、一方で負極にH+が引き寄せられます。
※電気二重層キャパシタの原理。

次に、この時に印加された電圧(電力)により反応エネルギーを得て、②の化学反応が進みますが、電導パスが少ないために電子の受け払いが制限されるので、化学反応も思ったほど進みません。

また、この時③のイオンの拡散がスムーズに進まないと、せっかく電子の受け払いが出来ても、やはり化学反応のスピードは抑制されます。

要するに、大きな電流は流れようにも流れられない訳です。
※放電が進んだバッテリーでエンジンが掛けられないのも、同様にオーミック抵抗と拡散抵抗が大きいため。


(4)充電末期にはどうなるか

ところで、充電末期にはバッテリー自体の電圧が上がることで、(定電圧で充電していれば)電位差は縮まっていくので、流れる電流も減ります。

この時、拡散抵抗とオーミック抵抗は充電初期に比べ小さくなっていますが、一方で極板に付着していた硫酸鉛が減少するために、本来の化学反応が進まなくなり、結果として流れた電気は水の電気分解に使われますが、元々バッテリーの電極に使われる鉛や二酸化鉛は、水素過電圧や酸素過電圧(注)が高いので、より多くの反応エネルギーが必要になります。
※その結果、同じ電位差に換算しても流れる電流は減ることになる。

実際に、以前50%放電したバッテリーを補充電した際には、充電初期には1.3Vの電位差で9.5Aが流れましたが、末期には0.61Vの電位差で1Aしか流れませんでした。
※充電初期と末期の内部抵抗をオームの法則に従い計算すると、約137mΩと約610mΩになる。


以上のように、バッテリーを充電する場合の実際の内部抵抗はかなり高い値になるので、バッテリー同士を直接つないでも大電流が流れる事はありません。


(注)
化学用語での過電圧とは、電気化学反応において熱力学的に求められる反応の理論電位(平衡電極電位)と、実際に反応が進行するときの電極電位の差のこと。
※実際にある程度の速さで反応を進行させる(ある程度の電流を得る)には、過電圧分だけ電極電位をさらに上げる必要がある。

水と酸素の酸化還元反応は、電極電位が+1.23Vとなるところで平衡となるので、水に約1.23Vの電圧をかけると理論上は水が電気分解される(バッテリー自身の電圧で電気分解が起きる)が、現実にそうならないのは、鉛は水素過電圧が高く、二酸化鉛は酸素過電圧が高いため、理論上より高い電圧を掛けないと水素や酸素は発生しないため。

Posted at 2026/08/05 16:27:31 | トラックバック(0) | 日記

プロフィール

「ディスク VS ドラム、どちらが強力か?(1) http://cvw.jp/b/2036415/49243861/
何シテル?   08/12 17:12
ネット上には、車の情報に関する様々な誤解やデマ、更にはオカルトチューン (疑似科学)が大手を振ってまかり通っているので、本音で書きます 皮肉屋なので...
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