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2026年09月13日 イイね!

パワーとトルクって何ぞや?(パワー編)


さて、今回はパワー編です。

パワーを言葉で表せば、「単位時間あたりの仕事量(単位時間内にどれだけ仕事をするか)」つまり仕事率(W)の事になりますが、それでは「何を言ってるか、さっぱりわからん!」と思うので、もう少し掘り下げてみます。


で、再びSI単位系の話ですが、
・N(ニュートン):力=質量×加速度だから、kg×m/s^2=kg·m/s^2
・J(ジュール):仕事=力×距離だから、N×m=kg·m^2/s^2
・W(ワット):仕事率(単位時間あたりの仕事)だから、J÷s=kg·m^2/s^3

以上より、
・W=J/s=N・m/s、つまり「仕事率P=力F×速度v」と表現することが出来ます。

さて、ここでエンジン出力の場合、直線運動ではなく回転運動になるので、
・仕事率P=トルクT×角速度ω

角速度ωは、回転数をnとすれば、ω=2πn/60なので(注1)
・パワー[W]=トルク[N・m]×2πn[rpm]/60
例)トルク20N・m/3,000回転の場合、パワーは6,280W(約6.3kW)


従って、パワーを言葉で表現すれば、
「パワーとは、トルクと回転数の積に比例定数(π/30)を掛けたもの」となります。
⇒パワーは、トルクと回転数の積に比例する(注2)

なので、トルクが不足していればパワーも不足する訳だし、パワーが不足しているならトルクも不足しているという事になります(同じ回転数での話)

一般的には、「(ディーゼル車のように)低速でトルクがあれば、エンジンを回さなくてもパワーは十分だし、(昔のDOHC車のように)低速でトルクが足りなくても、回転を稼げばパワーは出る」ことになりますが、エンジン単体での出力についてはエンジン性能曲線を、更には実際の走行では走行性能曲線を見ないと何とも言えません。


いずれにせよ、パワー(仕事率)とトルク(力)は次元が違う物理量なので、同列に語るものではないし、エンジンは熱機関(熱を仕事に換える装置)なのだから、重要なのは単位時間内にどれだけ仕事をするかという仕事率(パワー)です。
※家電製品の場合も同じで、重要なのは仕事率であって電圧や電流ではない。

仮に加速力(パワー)の要因を表現するにしても、発進及び登坂時をトルクで語るなら、高速走行時は回転の伸びの良さで語るべきで、片方をトルクで、もう片方をパワーで語るとか意味不明です。
※家電に無理やり例えれば、「扇風機の風を最強にした時は出力電力で評価するのに、ゆらぎ風にした時の回転の立ち上がりは電圧で評価する」みたいな(笑)


余談ですが、日本語(日常語)としてのパワーとは、力あるいは能力の意味であり、昔の試乗記では(日常語としての)パワーという言葉のみが使われていたように思いますが、CGなどの一部の雑誌に寄稿していた自称意識高い系の評論家が、(物理に詳しいわけでもないのに)他者との差別化のため、やれパワーだトルクだと走行シーン毎に使い分けしたのが始まりのような気がします。

まあそんな話はどうでもいいけど、ようつべとかでも玄人気取りで「パワーが~」とか「トルクが~」と言ってる人がいますが、
はっきり言って、痛い人ですね。


↑再登場(youtubeドンキ公式より)


【注釈】
(注1)
・n:回転数[rpm、min-1] ←1分当り何回転するか
・360度=2πradなので、2πrad×nを60秒で割れば角速度になる。

(注2)
なお、最大出力(パワー)と最大トルクは同じ回転数で出る訳ではない。
・最大トルク20N・m/1k回転のエンジンなら、この時の出力は約2.1kW。
・このエンジンの2k回転時のトルクが15N・mなら、2k回転時の方が出力は高くなる(約3.1kW)

Posted at 2026/09/13 08:38:57 | トラックバック(0) | 日記
2026年09月11日 イイね!

パワーとトルクって何ぞや?(トルク編)


自動車評論家などがよく試乗記で、「この車はパワーが~」だとか「トルクが~」などと走行シーンによって使い分けていますが、結局何だかよく解らない(伝わらない)表現だと思いませんか?

ネット(カーメディア等)の記事だと、パワーとトルクの違いについて、「パワーは高速走行時の加速力に、トルクは発進や登坂時の力強さに直結する指標」であるなどと書かれていますが、これもまた何を言っているのかよく解りません。

で、まずはトルクの話からですが、世間では「回転させる力」のことだと言われていますが、それでは自動車評論家などと同じ素人説明なので(笑)、もう少し物理的に考えてみたいと思います。


まず、レンチを使ってボルト等を締める場合、締付トルクをどう表すかというと、
・T=F×r・・・①
つまり力×腕の長さになります。

ところで、以前ブレーキの話をした際に、ローター(タイヤ)の慣性モーメントとトルクについて、以下のように書きました。
・慣性モーメント I [kg・m^2]=M×r^2(M:質量[kg]、r:回転半径[m])
・トルク T [Nm]=I×α(α:角加速度[rad/s^2])

つまり、この場合のトルクは、慣性モーメント×角加速度で表され、
・T=I×α・・・②
になります。

同じトルクを表す式なのに、①と②は何が違うのでしょうか?


実は、トルクには2種類のものが存在し、①は静的な意味でのトルク、②は動的な意味でのトルクになります。

もう少し詳しく言うと、①は、静止状態から回転方向に力を加えれば、回転体に回転させる力が発生するという意味で、②は、現に回転している回転体に角加速度を加えれば、回転体を加速させる力、つまり慣性モーメントに打ち勝ち回転の状態を変化させる力が発生するという意味です。
※慣性モーメントとは、物体が回転運動を行う際の慣性(抵抗)の大きさを表す物理量。

具体的に言うと、ボルトやナットを締める場合の締付トルクは①ですが、エンジンの駆動トルクは②になります。
※なので、エンジンのトルクは「回転させる力」ではなく、「回転の状態を変化させる力」になる(注)

つまり、ドヤ顔で、
「トルクってさあ~、回転させる力なんだよ!」と主張するのは、痛い人です。
※ここは少し前のドンキCMの瑛太風に。


↑youtubeドンキ公式より

で、「トルクって、2種類あるじゃ~ん」と言われ、
「ん?(一瞬間が開く)あるよ・・・」みたいな(笑)


ちなみに、エンジンのパワー&トルクは、ダイナモメーター(渦電流式電気動力計)を使ってエンジン単体での軸出力を測っています。


↑東京プラント㈱のHPより(ホンダ、三菱、スバルなどに納入実績あり)

一方、チューニングショップなどにあるシャシダイに載せてパワー&トルクを計測し、「メーカーが言う程パワーもトルクも出てないじゃん」という人がいますが、測定方法が違うので当たり前です。
※トランスミッションやデフ等を経て、最終的にタイヤに伝えられた状態で出力を測定するので。

あと試乗記で、2.0Lモデルと1.8Lモデルを乗り比べて、「1.8Lでも(街中走行なら)パワー&トルクともに2.0Lと比べて遜色がない」などという自動車評論家もいますが、これも主にギヤ比のマジックで加速力に差がないと感じるだけであり、エンジン単体のパワーやトルクが実際どうなのかを伝えたことにはなりません。
※同じ速さで走ろうとすると、(ギヤ比の違いにより)当然1.8Lの方がエンジンを回すことになるので、その分(同じ回転数では)トルクは細いことになる。

この辺りの話は、次回のパワー編で。


(注釈)
自動車のエンジンの場合、スターターモーターの起動トルクが①で、駆動トルクが②に当たりますが、EVのモーターの場合は①と②の両方を兼ねています。

Posted at 2026/09/11 21:26:40 | トラックバック(0) | 日記
2026年09月09日 イイね!

締付トルクの単位は、NmかN・mか?


さて、締付トルクは力[N]×腕の長さ[m]で表されるので、単位は仕事(ジュール)の単位と同じN・mです。
※なので、トルクは仕事?と勘違いする人もいるかもしれないが、トルクは力であって仕事ではない(次元が異なる)


まず、仕事(=力×距離)ですが、1ジュールとは、「1ニュートンの力で、力を加えた方向に物体を1メートル動かすときの仕事」になります。

ここで重要なのは下線部分で、例えば、床にある重量1キログラムの物体を(力を加えた方向に)1メートル押し続ければ、1ジュールの仕事をしたことになります。

つまり、ここでいう距離は、力を加え続けた距離だと言い換えることが出来ますが、このように「物体に力を加えて、力を加えた方向に動かす」ことを「仕事をする」と言います。


一方、締付トルクにおける腕の長さとは支点と力点間の距離であり、単位は同じメートルであるものの、仕事における距離ではありません。

では、締付トルクによって仕事をした場合はどうなるかですが、力を加え続けた方向の距離(円弧長)を求めて、それを掛けてやれば仕事になります。
※腕の長さr[m]を半径として、角度θ[rad]をかけてやれば、円弧長L=r×θになる(注1)

締付トルクによる仕事=力×腕の長さ×円弧長なので、P=T×r^2×θと表せますが、円弧長は角速度ωを用いて、角速度ω[rad/s]×時間t[s]で表します。

即ち、円弧長L=角速度ω×時間t=角度θなので(注2)、
締付トルクによる仕事[N・m]=トルク[Nm]×角度θ[rad]になります。
※radは無次元量なので単位からは消滅して、左辺の単位N・m=右辺の単位Nm。


以上より、「トルクは力であって仕事ではないよ」という意味から、単位はN・mではなくNmと区別して表記するのが正解なのですが、一般的には(物理の専門家を除き)混同してN・mが使われているのが現状ですし、仕事は通常Jで表記するので、特に問題はないと思います。
※自分も混同していた(笑)


注釈
(注1)
高校数学を忘れている人へ
rad(ラジアン)とは弧度法における角度の表し方で、円弧長Lを半径rで割ったものです。
※L/r=θ[rad]

r=1かつL=1のとき、1ラジアンとなるので、360度=2πラジアンになります。
※360度のときの円弧長は、直径2×円周率π=2πだから。

(注2)
角度θと角速度ωと角加速度αについて
角速度(ω)とは、「物体が回転中心を軸として単位時間にどれだけ角度を変えるか」を示す量、つまり単位時間における角度の変化量のことで、角度θを時間tで割れば角速度になるので、
・ω=θ/t
となります。

角速度は半径に関わらず一定のため、地球の自転による角速度は、
・ω[rad/s]=2π[rad]/t[s]≒2×3.14/(24×3,600)≒7.27×10^(-5)

一方、周速度vは半径r×角速度ωになるので、赤道上だと半径が約6,738kmのため、
・v[m/s]=r[m]×ω[rad/s]≒674×10^4×7.27×10^(-5)≒490
これを時速に直せば、約1,760km/hになります。

なお、角加速度は単位時間当たりの角速度の変化量なので、
・α=ω/t=θ/t^2
になります。

Posted at 2026/09/09 09:26:39 | トラックバック(0) | 日記
2026年09月04日 イイね!

5分でSI単位系を極める?


昔はタイヤの締付トルクは、例えば10kgf・m(もしくは1,000kgf・cm)と表しましたが、今では98N・mになりましたが、何故そうなるのか考えたことはありますか?
※多くの修理書でkg・m(kgm)と表記していたが、正しくはkgf・m(キログラム重メートル)

答えから言うと、キログラム重とはメートル法(MKS単位系)において、質量1kgの物体の重量(=質量×重力加速度)を1kgfと定義したものであるため、SI単位系では1kgf=約9.8Nとなるので、10kgf・m=98N・mになります。
※重力加速度が約9.8m/s^2のため(その昔、標準重力加速度を9.80665m/s^2と規定したため)


で、そのSI単位系ですが、基本となるのは次の7つです。

【基本単位】
長さ:m
質量:kg
時間:s
電流:A
温度:K
物質量:mol
光度:cd

次に、これを基本に掛け合わせるなどすると、組立単位になります。

【組立単位(代表的なものだけ)】
N(ニュートン):力=質量×加速度だから、kg×m/s^2=kg·m/s^2
J(ジュール):仕事=力×距離だから、N×m=kg·m^2/s^2
W(ワット):仕事率(単位時間あたりの仕事)だから、J÷s=kg·m^2/s^3
Pa(パスカル):圧力や応力(1m^2あたりの力)だから、N÷m^2=kg/(m·s^2)


昭和世代だと、気圧はミリバール(mbar)、馬力はPS、熱量はカロリー(cal)で習ったと思いますが、今はヘクトパスカル(hPa)、kW、JになったのもSI単位系になったからです。
※食品栄養表示のカロリーは(食品表示法の関係か)今でもそのまま使われているが、SI単位系においてはエネルギーは全てJが基本になる。


ところで、上記のニュートン(1N)を言葉で表すと、「1キログラムの質量を持つ物体に、1メートル毎秒毎秒の加速度を生じさせる力」になります。
※理由はというより、そのように定義されたものが1ニュートンであるため。

一方、ジュールはN×mなので、これも言葉で表すと(1J)、「1ニュートンの力で、力を加えた方向に物体を1メートル動かすときの仕事」という定義になります。
※よって、1J=1N・m


【おまけの話】

さて、冒頭の締付トルクは力×腕の長さ(T=F×r)で求められるので、質量[kg]×加速度[m/s^2]×長さ[m]となり、単位はkg·m^2/s^2になりますが、組立単位のN=kg·m/s^2なので、SI単位系ではN・mで表しますが、これは上記のJ(仕事)と同じ単位になります。

ですが、トルクは力であって仕事ではないので(次元が異なる)、締付トルクはN・mではなくNmと区別して表記するのが正解のようです。
※一般的には区別している場合の方が少ないが、Nmと表記した方がプロっぽさが出せるかも(笑)

では、なぜ力であるトルクが仕事と同じ単位になるのか?という疑問が残りますが、この話はまたの機会に。


P.S.
単位の世界標準化作業を進めることになった直接の要因は、NASAとEUの宇宙開発機構が共同開発した火星探査機が、互いに単位を取り違えたせいで制御不能になった事故がきっかけだと言われています。

Posted at 2026/09/04 13:22:28 | トラックバック(0) | 日記
2026年08月29日 イイね!

やりすぎなテンバイヤー


最近は、業者オークションでもせいぜい20~30万しか値が付かない2000年前後の不人気中古車を、100万とか200万とかの信じられない店頭価格で並べている中古屋が増えましたが、
「いくら何でもこれはないだろう」的な車を見つけました。




5速のGTとかじゃなくマイロード、それも15万キロ走行車・・・っていうか、パワステ、パワーウインドにハロゲンライトを売り文句にするって、'80年代の中古屋ですか?



バンパーはズタボロ、もしかしてボンネット締まらない?

車検シールの貼り位置からしても、どこかから放置車(不動車)を引き揚げてきたのでしょう。

いくらで売ろうが勝手だけど、さすがにこれを買う情弱はいないでしょ?
まあ〇リバーらしいといえばそれまでだけど・・・

Posted at 2026/08/29 14:59:48 | トラックバック(0) | 日記

プロフィール

「パワーとトルクって何ぞや?(パワー編) http://cvw.jp/b/2036415/49288312/
何シテル?   09/13 08:38
ネット上には、車に関する様々な誤解やデマが溢れています また、オカルトチューンが大手を振ってまかり通っています それらを科学的に検証して、ぶった斬り...
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