• 車種別
  • パーツ
  • 整備手帳
  • ブログ
  • みんカラ+

LGtouringのブログ一覧

2024年11月05日 イイね!

車検ステッカーを貼る位置(法令上の解釈)3


もちろん、「通達は法規ではないので、一般国民は直接拘束されない」からと言って、全て無視して良い訳でもありません。

というのも、それが各種税法における法令解釈通達(※1)のようなものであれば、それに従わずに独自に法令を解釈し主張したとしても、その主張が認められることはまずなく、行政側から法令違反に問われ行政処分を受けたり、検察に告発されて、起訴され有罪が確定すれば、最終的には法令に基づく罰則を受けることになるからです(もっとも、行政が常に正しいわけではないので、裁判で争う価値がないとはいえない←裁判官構文になってしまってスミマセン)

そういう意味では、法令解釈通達等の場合は、事実上国民を(間接的に)拘束していると言えます。


一方で、この「自動車検査業務等実施要領について」は、法令の解釈について定めたものではなく、実際の事務要領を定めたもので、事務運営指針なり事務連絡と呼ばれる類の通達(※2)なので、これを根拠に道路運送車両法第66条違反に問われることはありません。

現に国交省の周知文書を読むと、「正式な場所に貼らないと罰則を受ける可能性があります」とは一切書かれていないうえ、「視界を遮る場合は・・・」と例外を認めた記載をしていますので、このことからも明白です。


なお、一部に「警察官に捕まるのでは」と誤解している人もいますが、この法第66条違反という行為自体が、軽微な道路交通法違反のように警察官が行う青切符即ち行政処分の対象ではないので、仮に同法違反に問う場合、裁判を経る必要があります(※3)

例えば、族車(不正改造)の取り締まりは警察と国交省が合同でやっていますが、あれは道路運送車両法(及び保安基準)に違反する場合、基本的にはスピード違反のように警察官が青キップなどの行政処分をすることができないので、国交省の職員が第一段階として是正勧告を行っているのです。

もちろん法令違反が明らかであれば送検はもちろん、場合によっては逮捕も可能と言えば可能ですが、抵抗して公務執行妨害でもしない限り、現実的な話ではありません。



不正改造車に出される是正勧告(画像は国交省のHPより引用)


そもそも今回の改正に至った経緯は、国交省の通知文書を読むと「車検更新のうっかり忘れを防ぐため」だそうで、つまり昨今やたらと増えた「余計なお節介(※4)」の一つとも言えますが、特に最近のホンダ車などに多い濃色トップシェード入りガラスの場合はかなり下に貼らないといけないので(※5)、冒頭で書いたように安全運転の妨げになる可能性があり、明らかに本末転倒です。



(※1)
中学の時に流行ったアンチョコ本(指導者用の教科書)に書かれている注釈と同じ。
法令に基づき具体例等を交えながら解説されており、民間実務者レベルでも必携。

(※2)
下級官庁の官吏向けの、いわば業務マニュアル。

(※3)
行政と言えど、(国税徴収法など一部を除いて)自力執行が認められている訳ではないので、行政処分が認められているケースを除き、法令違反を理由に裁判を経ずに勝手に処分や罰則を科すことは出来ません。

但し、道路運送車両法違反に当たる不正改造でも、マフラーを外したりした場合など一部の違反に関しては、青切符の対象になります(消音機不備違反。交通反則通告制度にその定めがあるため)

(※4)
注意書きに車内アナウンス…街に溢れる“過剰な親切”の異常性。自ら考え判断できない日本人の危機(ヤフーニュース)
https://news.yahoo.co.jp/articles/962e7be9c24e3e05e933e68a986038f852644868

(※5)
定期点検ステッカーとともに濃色トップシェードの内側に貼る人(業者?)もいますが、これでは外から有効期限等が判別できないため「表示」に当たらず、それこそ法第66条違反に問われる可能性あり。

Posted at 2024/11/05 13:20:31 | トラックバック(0) | 日記
2024年11月05日 イイね!

車検ステッカーを貼る位置について(法令上の解釈)2


さて、結論から言うと、「罰則を受ける可能性がある」は、誤った解釈になります。

その根拠を示します。


(1)法令等における根拠

以下は、国交省のプレスリリースから

『自動車に表示する検査標章については、道路運送車両法(昭和26年法律第185号)第66条により、自動車は自動車検査証を備え付け、かつ、検査標章を表示しなければ運行してはならないこととされている。
この検査標章については、道路運送車両法施行規則(昭和26年運輸省令第74号)第37条の3において自動車の前面ガラスの内側に前方から見易いように貼り付けることにより表示するよう規定され、また、「自動車検査業務等実施要領について(依命通達)(昭和36年11月25日付、自車第880号)」(以下、「実施要領」という。)により具体的な貼り付け位置が定められているところ。
(中略)
道路運送車両法及び道路運送車両法施行規則により自動車の前面ガラスに表示することが規定されている検査標章について、具体的な表示位置を定めている実施要領において以下の改正を行う。
〇前面ガラスに貼り付けて表示する検査標章の表示箇所は、前方かつ運転者席から見易い位置として、前面ガラスの運転者席側上部で、車両中心から可能な限り遠い位置。』


以上より、具体的な表示位置を定めているのは法令ではなく、「自動車検査業務等実施要領について(依命通達)(昭和36年11月25日付、自車第880号)」という通達であり、今回はその通達の改正ということがわかります。


(2)通達とは

通達と言っても、一般の方にはなじみが薄いかと思います。

いわゆる法令解釈通達から事務連絡に至るまで、省庁等における下達文書はすべてが通達等として取り扱われますが、簡単に言えば、行政機関の内部文書です。
要するに、民間企業で言う社内文書にあたります。

その法的性格を示した判例があります。


通達の取消の訴が許されないとされた事例(最判昭43.12.24)

(判決要旨)
通達は、原則、法規の性質をもたず、上級行政機関が下級行政機関と職員に対して命令するために出すもので、このような通達は行政組織内部の命令だから、下級行政機関と職員が通達に拘束されることはあっても、一般の国民は直接通達に拘束されず、このことは、通達の内容が、法令の解釈や取扱いに関するもので、国民の権利・義務に重大なかかわりがある場合でも同じ。


このように、通達は行政機関の内部命令で法規ではないから、国民は直接拘束されないとはっきり明示されています。


詳しく知りたい方は、裁判所の判例データベースに出ていますので、そちらをどうぞ(公式サイトです)
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=54975

Posted at 2024/11/05 13:14:31 | トラックバック(0) | 日記

プロフィール

「エアコンの仕組み【永久機関は可能か?編】 http://cvw.jp/b/2036415/48594158/
何シテル?   08/12 13:02
ネット上には、車の情報に関する様々な誤解やデマ、更にはオカルトチューン (疑似科学)が大手を振ってまかり通っているので、本音で書きます 皮肉屋なので...
みんカラ新規会員登録

ユーザー内検索

<< 2024/11 >>

      12
34 56789
1011 12 13141516
17181920 212223
24252627282930

愛車一覧

日産 セドリック 日産 セドリック
18年ぶりのY32 しかも、Ⅴ30E「グランツーリスモ」anniversary これでY ...
トヨタ クラウンハードトップ トヨタ クラウンハードトップ
 短命だったデボネアVに代わり、新たに戦列に加わりました。  13系では希少な前期の7M ...
三菱 デボネア 三菱 デボネア
【長所】  ボディ剛性は、この年式にしてはしっかりしてます(実際、Bピラーはかなり太い) ...
トヨタ マークII トヨタ マークII
 GX81でネオヒスに片足突っ込んだ後に購入。  当時はハチマルヒーローも創刊されておら ...

過去のブログ

2025年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2024年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2022年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2021年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2020年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2019年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2018年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2017年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2016年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2014年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
ヘルプ利用規約サイトマップ
© LY Corporation