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2025年06月09日 イイね!

ブレーキの話(追記)


前回までに「制動距離に、車重は影響しない」と書きましたが、「じゃあ、なぜ大型車はエアブレーキのような強力なブレーキを備える必要があるのか?話が矛盾しているじゃないか」と納得できない人もいると思うので、おまけで。

おそらくそういう人は、ブレーキによってタイヤの回転を止めるのと、タイヤによって車を停止させるのとを混同しているのではないでしょうか?(実際、ネット上にはそういう論調のサイトが多い)


1 ブレーキによってタイヤの回転を止めるには?【ブレーキの制動力】

ディスクブレーキなら、ブレーキによってローター(タイヤ)の回転を止めるには、ローターとパッドとの間の摩擦力を考える必要があります。

この場合、最大静止摩擦力(F=μN)において、μはローターとパッドの間の摩擦係数、Nはパッドを押し付ける力(正式にはその反力)ですが、大型車ほどタイヤの慣性モーメントが大きいので、ローターの回転を止めるにはより大きな垂直抗力、つまりは油圧よりも強力なエアが必要になります。
※なお、「ローターやパッドを大型化して接触面積を増やし、(ブレーキの)制動力を上げる」などと平気で言う自動車評論家もいますが、接触面積がいくら増えようが摩擦力は上がりません(∵F=μN)


2 タイヤによって車を停止させるには?【車(タイヤ)の制動力】

この場合には、ブレーキそのものではなく、(前回までに書いたように)タイヤと路面との間の摩擦力を考える必要があります。

タイヤと路面間の摩擦力は車重と比例関係にあり(タイヤに掛かる荷重が垂直抗力となるため)、車重が倍になれば運動エネルギーも倍になりますが、同時に摩擦力(⇔制動力)も倍になるので、制動距離は同じという事です。
・F’=μ’N(動摩擦力=滑り摩擦係数×垂直抗力)
 ここでN=Mg(垂直抗力=質量×重力加速度)より、F’=μ’Mg
※厳密にはタイヤ(ゴム)の摩擦係数は荷重に対して一定ではなく、また荷重移動の程度によっても各タイヤの滑り摩擦係数は変化するため、完全な比例関係にはならない。


要は、車の制動力(制動距離)を考えるにあたっては、
・ブレーキはローター(タイヤ)の回転さえ止められれば十分で、それ以上に強力であっても宝の持ち腐れである。
・車の制動力は、タイヤが同じなら(荷重移動等を考えなければ)車重に関わらず一定である。
という話です。


P.S.
前に紹介したリンク先が、過去に価格コム上で炎上していたようです(笑)
真っ向否定する人も多いようですが、「ブレーキ強化→制動距離が短縮される」と思い込んでいる人は、まず1と2を区別できていないのだと思う。

かつてブリヂストンが、「タイヤは(ハガキ1枚に)命を乗せている」とCMしていましたが、走る・曲がる・止まるはタイヤと路面と間の摩擦力があるから可能な訳で、いかに高性能なエンジンやブレーキの車であろうとも、タイヤの能力以上のことは出来ません。

Posted at 2025/06/09 17:03:32 | トラックバック(0) | 日記

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