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2024年10月15日 イイね!

焼き入れ?


で、ナットが固着して外れない場合にバーナーで熱する方法ですが、そのメカニズムについてはよくわかっていない人も多いようです。
実際、ネットで検索すると、例えばつべに次のような動画がありました。

・ナットをボルトごとバーナーで赤くなるまでガンガンに熱する
    ↓
・すぐ水を掛けて一気に冷やす

もはや「ヤキ入れっぞ(゚Д゚)ゴルァ!」の世界です。


ちびチタノ総長(画像は、TOHO animation ちびゴジラの逆襲より)

因みに、個人の作成した動画のようですが、完全な素人ではなく、ピットを持っていること等から業者(整備士)のようです。

この動画を作った人は、おそらく5円玉を熱すれば、中の穴は小さくなると思っているのでしょう。
なので、ナットとボルトの両方を膨張させると、ネジ山が狭くなる(隙間に出来た錆を砕いて潰す)→冷やすと膨張が元に戻って隙間が空くので外れる・・・という発想なのだと思います。

実際、ネット上にはそのように説明しているサイトが結構多いので(錆を潰す説)、この焼き入れ法を実行している人も案外いるかも・・・(※)


(※)
鋼を無闇に焼き入れすると(特に水で急速冷却する場合)硬化はしますが、同時に脆くなります。
つまり硬度は上がるが、強度は落ちるので、最悪外す時にボルトが折れたり、そうでなくても再使用は難しくなります(強度を上げるには適切な焼き戻しが必要で、素人には難しい)

硬度と強度と剛性の違いについては、こちらをどうぞ(ボルトに必要なのは、剛性ではなく強度)

「欧州車のホイールボルトのほうが優れている」は本当か?(前編)
https://minkara.carview.co.jp/userid/2036415/blog/47651671/


Posted at 2024/10/15 12:59:32 | トラックバック(0) | 日記
2024年10月10日 イイね!

熱するか、冷やすか?


では、「バーナーと冷却ケミカル、どちらが良いのか?」ですが、ネット上では(そもそも理屈が解っていないので)火気厳禁な場所か否かで使い分けろ、とステレオタイプな事が書かれています。

ですが、例えば、錆でボロボロになっているマフラーのボルト&ナットだったら、バーナーで赤くなるまでガンガンに熱しないとダメかもしれませんが、通常はそこまで熱する必要はありません(※)

つまり、小型のヒートガンやターボライター、ミニバーナー等でスポット的に温めれば十分なので、使用厳禁な場所は限られます。
逆にそれで緩まなければ、仮に相手がナットならナットブレーカーでぶった切る方が結果的に早い(なお、ナットブレーカーですが、汎用性を考えればO型よりもC型の方がお勧め)


それでは何を基準にすべきかというと、対象物の大小です。

エンジンブロックに刺さってるボルトであれば、ボルトを冷やす方が早い。
逆にナットであれば、ナットを温める方が早い。
熱伝導率は材質に依りますが、当たり前ですが同じ材質でも質量や厚みが影響するため、逆をやろうとしたら当然時間がかかるし、相手材へも熱が伝わりやすくなります。


(※)
前回紹介した凍結浸透ルブのようなケミカルは、概ねマイナス40度くらいに下げるようなので、常温を25度とすれば、-60~70度の降下温度で隙間を作り(+潤滑剤の助けを得て)ナットを緩ませるようにする商品であることがわかる。
逆に言えば、熱する場合は100度くらいに熱すれば、隙間は出来るという話になる(ちなみに、鉄が赤くなるのは550℃~)

一方、バーナーでどのぐらいの時間熱すれば100度に達するか?ですが、
・ある消防局の実験では、ガスコンロでフライパンを空焚きして200℃に達するまでの時間は、鉄製のもの(917g)で50秒。
・ガスコンロの標準火力は約3kw、一方でバーナー(ガストーチ)は1200~1500kcal/hなので、kwに換算すれば1.4~1.7kwぐらいで約半分。
つまり、単純計算で、約1Kgの鉄製フライパンを50秒温めれば100度になるぐらいのパワーがあるので、少々オーバースペックです。

因みに、冷却系ケミカルが-40℃ぐらいなのは、おそらく潤滑剤の流動点との絡みで、前回紹介したラストブリザードの方が低いのは、より低温流動性の高い潤滑剤を使用しているからだと思います。

冷やすだけが目的なら、フマキラーの凍殺ジェットが-55℃(30℃からの降下温度が-85℃)なので、そちらの方が効果が高いかと。
値段も1,000円ぐらいで半額だし、いずれもHFO冷媒を使用しているのは同じでしょうが、凍殺ジェットは溶剤不使用らしく、冷却ケミカルと違い周辺がベタベタにならないという利点(言い換えれば弱点)はあります。
もちろん自己責任で・・・



Posted at 2024/10/10 13:11:47 | トラックバック(0) | 日記
2024年10月09日 イイね!

5円玉を熱すると、どうなるか?


熱で金属も伸び縮みする、つまり熱膨張ついては高校物理で習ったので、ご存じだと思いますが、そこでクイズです。

5円玉を熱したとき、中の穴は小さくなるのでしょうか?それとも大きくなるのでしょうか?
(言い換えれば、ドーナツが水でふやけたようになるのか、拡大コピーしたようになるのか?)


答えはこちらです。

「5円玉を熱すると穴はどうなる? 面白くて眠れなくなる物理の話」
https://shuchi.php.co.jp/article/897


で、なぜこの話をしたかというと、固着したボルトやナットを外す際、この熱膨張を利用してネジ山に隙間を作ってあげて緩める方法(バーナーで温める方法)がありますが、その逆パターンで、冷やすことにより金属を縮ませるケミカルもあります。

USA発祥のケミカルだと思いますが、呉工業でも類似品(凍結浸透ルブ)を商品化しています。
その説明図では、ボルトとナットの両方に吹き掛けることで、次のように収縮すると説明しています。


(画像は呉工業のHPより引用)

ですが、先の5円玉の話を考えると、この図のナットの収縮する方向は明らかにおかしいです。

正しくは、ナットは赤矢印の方向にそれぞれ縮むので、黒色→青色になるはず。


つまりは、この手の商品はボルト、つまり雄ネジ側に吹き掛けないとダメということです。
以下は、本家(?)のラストブリザードの説明図です。



まともな商品説明もできないKUREのパチモン類似商品より、こちらの方をオススメします(冷却温度も-33℃→-42℃と、ラストブリザードの方が低い)


Posted at 2024/10/09 09:51:21 | トラックバック(0) | 日記
2024年10月02日 イイね!

【なぜ必要?】ホイールナットの増し締め(3)


初期なじみによる緩みについては、一定走行後に増し締めすることによって、その後のなじみによる軸力の低下幅を抑える事ができ、緩みを防止できます。


(画像は日本自動車工業会の資料より引用)


なお、ナットの脱落までいかなくても、軸力の低下によって、発進や加速など逆Gが掛かる度にフレッティングが発生し、それが長期に渡ることで微動摩耗によるゆるみを誘発するようなケースもあります(※1)
この場合も放っておくと、最終的には脱落します。


また、殆ど指摘する人がいませんが、冬タイヤに多い汎用タイプの社外ホイールだと、ハブ径が合わないため、トルクレンチを使うなどしてきちんと締めたつもりでもセンタリングが不完全で、ナットが片当たりしていて緩んでくるケースも多いのではと思います(交換して数日内に、中には当日に外れたというケースなどは、その可能性が濃厚)

ホイールのセンタリングは平面座を除いて最終的にナットで行いますが(※2)、軽自動車などの軽いタイヤならまだしも、大型のものになると重いため、慣れていてもナットだけでセンタリングするのは結構難しいです。

なので、街中しか走らない場合でも、ハブリング、特に冬タイヤには固着しない樹脂製の物をお勧めします(※3)


ところで、ショップや整備工場などでは、(増し締めしない客を見越して)強めのトルクで締めるところも多いですが、あまりに強く塑性域まで締め付けると、今度はスタッドボルトがバカになってしまいます(業者なら加減しているだろうが、素人はやりがち←高齢の方など、未だにレンチに足を載せて体重を掛ける人もいるようです)

そうなると、最悪ボルトが折れてしまう危険性がありますので、ナットを最後まで締め込む手前で手応えがおかしいなと少しでも感じたら、一旦作業を中止して、ボルトの山が伸びきっていないか確認してください。

最近は電動工具も安くなっているので、タイヤ交換程度しかしないサンデーメカニックの方でも、電動インパクトを持っている方もいるようですが、慣れない方こそ基本に戻ってナットは手で締め(ディープソケットなどを使うと早く回せる)、最後にトルクレンチを使う方が安心かと。


更に、(今時は運行前点検なども非現実的ですが)運転していて少しでも異変を感じた時などは、必ず停止して確認することが大事だと思います。
いずれにしても、事故のない安全運行を・・・


(※)
例の三菱製大型車のハブ破損は、このフレッティングによる摩耗が起こることで、定期点検時に繰り返されたナットの増し締めのせいで、ハブフランジの根元に想定外の応力が集中したことが原因で起きました(軽量化した新型ハブが強度不足だったため←つまりは許容応力の見誤り)

(※2)
テーパーナットは(球面ナットも)、実は面接触ではなく線接触なので、片当たりだと簡単に緩んできます。
https://minkara.carview.co.jp/userid/2036415/blog/47659807/

(※3)
タイヤ(ホイール)はボルトやハブ孔で支えているので、樹脂製では強度が低く危険・・・などと勘違いしている方も多いですが、ハブリングはセンタリングのための治具に過ぎないので、樹脂製で十分です。
https://minkara.carview.co.jp/userid/2036415/blog/47586694/



Posted at 2024/10/02 14:51:03 | トラックバック(0) | 日記
2024年10月02日 イイね!

【なぜ必要?】ホイールナットの増し締め(2)


で、答えですが、ホイールナットの場合は、主に初期なじみが原因です。


(画像は日本自動車工業会の資料より引用)


以前、軸力を揃えるためにネジ山等の清掃が重要と書きましたが、併せて接触面も綺麗にすることで、初期なじみを防止あるいは軽減できます。



Posted at 2024/10/02 14:49:38 | トラックバック(0) | 日記

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