稀に過充電による爆発事故とかありますが、ネット上では原因について変な事を書いているサイトも散見されます。
では、なぜ爆発するのか?ですが・・・
満充電になっても高い電圧を掛け充電電流を流し続けると、充電即ち極板物質の酸化還元反応ではなく(=もはやその余地がないので)、
電解液に含まれる水の電気分解に使われます。
つまり、水素と酸素(いずれも気体)が大量に出ると同時に、電解液が減ります。
水素は可燃性ガス、酸素は助燃性ガスなので、火気があると容易に引火爆発します。
なので、過充電で爆発する危険性がある(冬場は静電気にも注意)
なお、ネットを見ると「充電制御じゃない昔の車は過充電になるので気を付けろ」などと言う人もいますが、電気や充電装置について正しく理解していない素人の意見です。
というのも、オルタは充電制御であろうがなかろうが、定電圧方式(浮動充電時の電圧は通常14V台前半)なので、満充電になると微小電流しか流れず、過充電にはならないからです(厳密に言えばいくらか過充電の状態にはなっていますが、それが問題になるほどではない)
また、一般消費者向けに市販されている充電器でも、過充電にはなりません。
なぜなら、これも定電流-定電圧(CC-CV)方式で、殆どの機種は定格電圧がオルタと同じだからです(電流値を設定できる機種が多いことから、定電流で充電していると思っている人が多いが、これも間違い)
更に言えば、大抵の機種には終止電流値が設定してあり、充電電流の減少を検知して自動で電源OFFになります。
なので、通常は過充電によって爆発するかも?などと気にしなくても良いかと。
ただ、ネット上には、そもそも充放電の仕組みすら知らない人が「死にかけたバッテリーをパルス充電器で復活!」なんて動画を意気揚々と上げてるケースも多いので、安易に真似して充電すると危険です。
つまり、過充電にはならなくとも、電解液が減った状態で補充電すると・・・

電池工業会の資料より
パンフにあるように、引火・爆発する危険性があるので注意が必要です。
もっとも、これはトラックなどの業務用車両向けのパンフであり、昨今のMFバッテリー(カルシウムバッテリー)を自家用車で適正に使う分には、寿命末期でもLOWレベル以下にまで減ったりすることは滅多にありませんが、寿命末期というか、死にかけたバッテリーを充電する場合には色々と注意が必要です(※)
そもそも、バッテリーの劣化原因はサルフェーションだけじゃないのに、「サルフェーションさえ除去すれば復活できる」などと、1か0かのデジタル思考で安易に考える人(≒ネットで真実な人)が多い昨今の風潮は、困ったものです。
注釈
(※)
過充電により水の電気分解が起こると、その際に生じる熱でバッテリーの温度が上昇しますが、劣化したバッテリーに充電する際にも異常発熱する事があります。
高比重と高温が重なった場合、電解液中の硫酸イオンと水素イオン等が反応し、多量の硫化水素が発生する危険性があります(SO42⁻+10H⁺+8e⁻ → 4H2O+H2S)
硫化水素は「卵の腐ったような」臭いがありますので大抵は気付くはずですが、高濃度の硫化水素だと死に至ります(草津白根山の殺生河原とか箱根大涌谷とかが有名ですが、必ず立ち入り禁止エリアがあります)
以前から、バッテリーの不適切な使用による硫化水素の事故はありましたが、何年か前に上信越道で道路パトロールをしていた男女2人が、駐車していた車の中で意識不明の状態で見つかり、その後死亡が確認された事故がありました。
これも、室内に積んでいたバッテリーから硫化水素が発生したせいです。
以上より、死にかけたバッテリーを安易に充電したり、バッテリーを本来の目的以外で使う事は避けてください。
この事故を踏まえて、BOSCHなど、バッテリーメーカーでも注意喚起を出しています。
https://ap.boschaftermarket.com/jp/ja/news/latest-news/regular-battery-checks
こちらは、硫化水素が発生する具体的状況についても記載しています。
https://naturalsky.net/wp-content/uploads/2022/06/dee9b6c36bdc8fec8c0ff4ba5a045373.pdf
Posted at 2024/12/19 16:12:56 |
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