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2025年06月06日 イイね!

フルブレーキングできますか?(3)


リンク先の記事、いかがでしたか?

ひとつ付け加えるならば、『推測ですが、ABSが効いているとはいえ、もしかしたら急制動の場合、タイヤが熱で融け始めて路面にへばり着こうとして、普段より摩擦係数が高くなるのかもしれません。』と書かれていましたが、理由はともかく、実はタイヤの摩擦係数は、スリップ率15~20%(概ねABSが効いている領域)で最大になります。


画像は「タイヤのおはなし(日本規格協会)」より
※脱線しますが、「マンガだとタイヤがロックしてキキーと急停止するが、実際にタイヤがロックすると自動車を止めようとする力は走行抵抗だけになるので、中々停止しない」などと書かれた、大学教授が監修した一般向けの本もありますが、表のとおりロック時でもタイヤの摩擦係数は十分に高く、「物理の一般原則を当てはめるだけで、常に正しい答えが得られる訳ではない」という一例でしょう(餅は餅屋)


一般的には、「ABSはフルブレーキ時でもハンドル操作ができる」という認識でしかありませんが、ハンドル操作ができるというのはスリップ率が低い(ロックしていない)からで、結果としてABS作動時に制動距離が最も短くなります。
※ABSも早めに作動する車や遅めの車など、メーカー等により微妙に癖があるようですが、このスリップ率15~20%を正確にキープできるABSを備えた車こそが、本当の意味での高性能なブレーキを持つ車だと思う。


いずれにせよ、自動車評論家の言う「ドイツ車はブレーキの効きが良い」は、例えばセミメタルパッドを採用するなどして、踏み始めの効き(食いつき)が良いという所謂感覚上の話に過ぎず、ブレーキの本来の効きである車の制動力とは無関係の話だったのです。
※車検のブレーキテストで、タイヤロック時の制動力を確認するのはこのためです。

【結論】
「日本車のブレーキは効きが悪い」などと、さも解ったかのようにいう人は、
ブレーキがきちんと踏めていないだけの人です。
※正確には「踏み始めの効きが悪い」と表現すべきでしょう。


とは言っても、表題の「フルブレーキングできますか?」のとおり、一度も経験したことがないと、いざという時に思い切りブレーキが踏めないのではないでしょうか?

金と時間さえあれば、サーキット場でJAFなどがやっているドライビングレッスンを受けることもできますが、そこまでやる人は少ないと思います。
なので、教習所での(初速40キロからで良いので)フルブレーキング体験を義務化しても良いのではないでしょうか?


【ここからは余談】
さて、前回紹介したサイトですが、他にも興味深い記事が多いので、時間があったら読まれることをオススメします(中には、少しばかり「?」を付けたくなる記述もありますが・・・)

この方は、見識が広いだけでなく文才もあるため、例えば下記の表現などは秀逸だと思います。

『経験の浅い技術者は、この誤差を新たな発見と早とちりしたり、人類が数世紀も掛けてようやくたどり着いた理論や法則を安易に否定したりしますが、それは単につきとめられない誤差のせいでしかないのです。』


最後に、この方が自動車評論家への提言を書かれていますので、引用します。



私自身、過去のブログで自動車評論家の事を「(アルミテープチューンに簡単に騙されるように)大した感性もないくせに、剛性感だリニアリティだとさも解ったかのような記事を書く」だとか、「車の電気の流れも知らないようなメカ音痴なので、技術系の解説はメーカーの広報資料を書き写すだけ」などと散々批判してきましたが、その辺りも明解にまとめられているように思います。

Posted at 2025/06/06 08:17:18 | トラックバック(0) | 日記
2025年06月05日 イイね!

フルブレーキングできますか?(2)


自分は免許を取って約37年、その間30万キロ以上は走ってきましたが、実は一度もフルブレーキングを経験したことがありません。

そういう人は意外と多い、というよりは、フルブレーキングを経験したことのある人の方が、圧倒的に少ないのではないでしょうか?


さて、前回の最初の質問である(走ったり止まったりに欠かせないモノ)の答えですが、
摩擦力が正解です。

摩擦力があるからこそ、(反力としての)駆動力や制動力が得られる訳です。


で、次の質問である(制動距離を短くするにはどうしたら良いか?)ですが、力学に詳しい人は勿論、勘の良い人ならもう気付いたと思いますが、答えは、
3の「タイヤのグリップ力を上げる」が正解です。

つまり、制動距離L(m)は、
L= v0^2 /(2×g×f)
※道路構造令の解説と運用より

v0:制動開始時の速度(m/s)
g:重力加速度(9.8m/s^2)
f:滑り摩擦係数

ここで重要なのは、fはタイヤと路面との間の摩擦係数なので(制動力=路面との摩擦力の反力)、フルブレーキでタイヤがロックする(あるいはABSでロック寸前)までブレーキを踏めば、欧州製のスーパーカーだろうが軽自動車だろうが(タイヤが一緒なら)同じ値になります。
つまり、ブレーキ性能を上げたところで、制動距離は縮まらないのです。

また、高校で習ったエネルギー保存の法則から、「運動エネルギー(=質量×速さの二乗÷2)が熱エネルギーに変換されたから車が止まるのであって、当然質量が関係するはず」と安直に考える人も多いですが、ここで考えるべきは「力学的」エネルギー保存の法則(運動エネルギー→位置エネルギー)であり、ブレーキが運動エネルギーと同じ大きさで反対向きの仕事(=質量×加速度×距離)をしたから、車が止まるのです。

よって、質量は相殺されて「V^2×1/2=α×X」となり、V=v0、α=g×f、X=Lなので、上記の式L= v0^2 /(2×g×f)を得ます。
※ここでは空気抵抗などは考慮しない。

従って、質量は制動距離には影響しません。
つまり、車体を軽量化したところで、同様に制動距離は縮まらないのです。
※荷重移動による影響については、別掲します。


この件については、下記のサイトで実例を基に非常に解りやすく説明されていますので、「難しい数式を示されてもよく理解できないよ」という方も、下記リンク先を参照いただければ、目から鱗が落ちること請け合いです。

(また続く)


【リンク】
クルマが重くなっても制動距離は変わらない
(常識を覆す車両重量と制動距離の関係)
https://vehicle-cafeteria.com/braking.html

Posted at 2025/06/05 07:43:51 | トラックバック(0) | 日記
2025年06月04日 イイね!

フルブレーキングできますか?


突然ですが、「車は何故走ったり、止まったりできるのか?」と聞かれたら、何と答えますか?

「そりゃ、エンジンとブレーキがあるからだろ」という答えが返ってきそうですが、実はもっと重要、というかもしこれがなければ、いくらエンジンやブレーキがあっても、走ったり止まったりができないモノがあります。

何だか分かりますか?(禅問答ではなく、真面目な質問です)



さて、あなたが今乗っている車の時速100キロからの制動距離が、40Mを超えていたとします。
今時そんなんじゃ危ないから、もっと短くしたいと思ったら、次のうちどれを選択しますか?
(一つだけ選べるとして)

1 スポーツパッドとスリット入りローターに替えて、とにかくブレーキ性能を上げる。
2 内装等を外せるだけ外して、徹底的に軽量化する。
3 とりあえず、タイヤをハイグリップタイヤに替える。


どれももっともらしいですが、一つだけ選ぶなら、ここはやっぱり1ですよね。

実際、欧州車(特にアウトバーンの本拠地であるドイツ車)などは強力なブレーキが魅力の一つですが、自動車評論家も「(欧州車に比べて)日本車のブレーキはプアーで全然効かず、安全性が低い」などと常々批判してきましたので、「ブレーキが強力なほど、制動距離は短くなる」と考える人が多いと思います(実は、自分も昔はそう考えていました)

・・・が、果たしてブレーキを強化すれば、目論見通り制動距離は縮まるのでしょうか?

(続く)
Posted at 2025/06/04 15:56:35 | トラックバック(0) | 日記
2025年05月31日 イイね!

草ヒロ起こしで思い出した、タイヤのユニフォーミティ


先日、「北海道で会社の敷地から勝手に時価20万相当の車を運び出した」としてロシア人が逮捕されたというニュースが流れました。

最初に聞いたときは、てっきり中古の営業車(バンとか)でも盗んだのかと思いましたが、



映像見たら草ヒロじゃん(笑)

しかも会社の敷地って、ただの荒地・・・さすが北海道はスケールが違う。

これも旧車ブーム(?)に乗っかった犯罪でしょうか?


さて、最近はこういう草ヒロを起こしてヤフオクとかで売る人がいますが、中には大手中古車情報サイトに出している販売業者も・・・


ボディに堆積した緑コケ(カビ?)が落としきれてないようです


ここも・・・


ボンネットにはよくわからない汚れも


極めつけはコレ

って、タイヤにも緑コケが付いていることを言いたいんじゃなくて、銘柄に注目して欲しいんですよ。

オーツエクノバEX-711!

自分と同じかそれ以上の世代の方なら、もしかしてご存じかもしれませんが、80年代後半~90年代初頭に売られていた、今は亡きオーツタイヤの中級モデルです。


自分が学生の時(バブル期)、タイヤ&ホイールをドレスアップしたくて、でもお金がなくて、このエクノバのEX-651(711の65版)にしました。

ですが、交換早々強烈なシミーに悩まされることに・・・
ホイールの問題もあったんですが、それを解決してもなお振動は残りました。
(タイヤのユニフォーミティがまるでダメ)

そのせいで、誰よりも振動に敏感になって・・・
おかげで今では、僅か0.1ミリのナットの緩みでも気付けるようになりました(笑)


個人的に言わせてもらえば、トーヨーやヨコハマもユニフォーミティはダメです。
昔新車で買った17クラウンに付いてきたのがトーヨーJ20でしたが、100キロ前後で細かいシミー(の一歩手前、ハンドルが浮くような感じ)が・・・
我慢できないレベルではなかったのですが、結局2年ほどで新しいレグノ(GR8000)が出たので、すぐに履き替えました。


一方、ヨコハマはフラッグシップのアドバンデシベル、中級モデルのブルーアースAのどちらもダメでした。
いずれも程度の差はあれど、90キロ前後での微少なシミー、それ以上の速度域ではシェイク(車体振動)にも悩まされました。
※いつもはBSかDLだったのですが、ほぼ同時期に4セット買う必要があり(出費を抑えるため)「ヨコハマなら大丈夫だろう」と買いましたが、マトモだったのは1セット(ブルーアースRV)だけでした。

ヨコハマはなぜかバルジデントが目立つタイヤが多く、そのせいだったのでしょう(バルジデント→固い部分→たわまない→振動発生)

実はタイヤの製造(原料の調整)って酒造り(麹の仕込み)と一緒で、その日の気温や湿度にも影響される微妙な物なんです。
昔は熟練工がやっていましたが、BSなどはAI化しています。

(参考)
ブリヂストン独自のモノづくりICTを搭載 最新鋭タイヤ成型システム「EXAMATION」を彦根工場に初導入
https://www.bridgestone.co.jp/corporate/news/2016052502.html


このバルジデント(凹)については、「(凸と違って)内部構造上のもので安全上問題はなく、不良品ではありません」というのがタイヤメーカーおよび業界団体の公式見解ですが、酷い場合はユニフォーミティ(RFV)不良で振動が出ます。
安全上問題はなくても、振動が出るのは立派な不良品では?


これらの経験から、今では年数百キロしか走らない趣味車にもレグノを履かせています。


さて、さきほどの車はいくらで売りに出ていると思いますか?
タイヤからして、少なくとも20年以上は放置されていたように思いますが・・・

なんと、本体価格198万です。

あ~びっくりした。


なお、同じ中古車情報サイトには支払総額75万円の極上と思える前期ロイヤルが出ています(それでも、なかなか売れないようですが・・・)

Posted at 2025/05/31 09:53:04 | トラックバック(0) | 日記
2025年05月30日 イイね!

タイヤは何故飛ぶのか?(本編)


では、本題です。


1 ナット(ボルト)が緩んだ状態で走行した

軸力の低下によって、走行中のタイヤ&ホイールに掛かる荷重(垂直荷重+せん断荷重、曲げ荷重)>摩擦力となり、接合面に相対滑り(フレッティング)が生じますが、その結果、支圧接合のようにハブボルトにも(軸力以外に)せん断荷重、曲げ荷重が掛かるようになります。

緩みに気付かずに走行を続けると、緩みは更に進展し、摩擦力の低下→荷重の増加となり、やがて疲労破断します。
そのため1本が折れると、残りも一気に折れてタイヤが飛びます。

自分も過去に低速で波状路を通過した際、若干の違和感を感じたので、念のため点検したらナットが少し緩んでいた事がありました。
※仮に増し締めの角度を15度だったとすると、ピッチ1.5×15/360≒0.06ミリ、つまり僅かに髪の毛1本分ですが、これでもフレッティングが起こります(なお、この段階ですぐに破断する訳ではない)

一般のユーザーだと、もっと緩みが進行しないとまず気付かないと思いますが、逆に言うと少しでも異変を感じたなら、面倒くさがらずに降りて点検すべきでしょう。


2 塑性域まで伸びたボルトを更に締め付けた

ボルトの引張強度を超えると、最後は破断します。


↑画像は土木LIBRARYより

装着時に破断しなくても、ボルトが伸びて永久変形が残っている場合、適正トルクで締め付けたつもりでも必要な軸力が出ていない事も多く、1のナットが緩んだ状態と同じになりますが、強度が落ちている分、早い時点で破断します。


3 ハブボルトが強度不足だった(品質不良、金属疲労など)

ネットで売られている社外ハブボルトを見ると、強度区分はまず記載されていませんが、割と有名なアフターパーツメーカーの物でも、材質がS45C(高炭素鋼)だったりします。
これに対し純正ハブボルト(強度区分10.9)は、ハイテン鋼であるSCM435(クロモリ鋼)を使用しています。
※S45Cだと、強度区分で言えばせいぜい8.8まで。


↑中には、S45Cをクロモリ鋼だと表記している商品もある(拾い画像)

値段が安い場合は、まずS45Cで間違いないでしょう。
※上記のような怪しい商品もありますので、「日本製=安心」という幻想は捨ててください。

そもそもロングハブボルトを使うという事はスペーサーを入れるという事なので、本来そんな物を使用すべきではありませんが、どうしても使うなら高くても高精度のスペーサーと、純正品(他車種用のハブボルト)の流用に留めるべきかと。

【参考】
その社外アフターパーツ、保安基準に適合していますか?
https://minkara.carview.co.jp/userid/2036415/blog/47590722/


他にも、過去にはハブフランジの強度不足(三菱の大型)のような事案もありましたが、あまり一般的ではないので省略します。

Posted at 2025/05/30 09:41:46 | トラックバック(0) | 日記

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「旧車のブレーキテストから見えること http://cvw.jp/b/2036415/48493216/
何シテル?   06/19 08:41
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