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LGtouringのブログ一覧

2025年08月10日 イイね!

【超雑学】バッテリーは12Vなのか? それとも12.6Vなのか?


今までバッテリー関連の話を色々書いてきましたが、元々の出発点は、ドチテ坊やじゃないが「何故そうなるの?」という素朴な疑問が都度浮かんできたからです。

自分は文系で、以前は電気の知識も殆どありませんでした。

それでも共通一次(5教科5科目時代)では化学を選択、私大入試でも定番だった英国社ではなく、英国数を選択したので、いくらかは理系的な能力があったのかもしれません。
※当時は「大学への数学」なども買って勉強していましたが、いまでは微積などすっかり忘れていて解くのは無理ですが(笑)

そんな中で色々調べるうちに、自分でも多少の事は解ってきましたが、先日「標準電極電位」について調べていたら、バッテリーについて非常に詳しく書かれたサイトが見つかったので、ここで紹介しておきます。


【リンク先】

産業用蓄電池について(充電・放電反応、標準電極電位)(記事4)
https://note.com/kobutade/n/n1c82bbde97f7

産業用蓄電池について(蓄電池の種類・充放電反応の詳細)(記事5)
https://note.com/kobutade/n/n762efc60d1f0


以前、化学反応について【保存版】と称して書きましたが、あれは恥ずかしながら高校生レベルの説明だった訳ですが(笑)、リンク先の内容を一通り理解できれば、もはや専門家領域でしょう。


前置きが長くなりましたが、今回は何を言いたいかというと、
・鉛蓄電池の起電力(電圧)は、2Vなのか2.1Vなのか?
についてです。


(1)電極電位(反応電位)について

標準電極電位については、詳しい説明はリンク先を読んでいただくとして、
・水素と水素イオンとの反応に対する電極電位(2H⁺+2e⁻→H2):0.000 V(基準)
・鉛蓄電池の正極板(PbSO4+2H2O→PbO2+H2SO4+2H⁺+2e⁻)での電極電位:1.685 V
・鉛蓄電池の負極板(PbSO4+2e⁻→Pb+SO42⁻)での電極電位:-0.355 V

なので、電位差は1.685 V-(-0.355 V)=2.04 V
※これを四捨五入すれば2Vとなる。

以上が、鉛蓄電池の起電力(電圧)が2V、つまり合計で12Vと言われる所以です。


(2)過電圧について

過電圧についても、詳しい説明はリンク先を読んでいただくとして、
・過電圧は、電極電位と実際に反応が起こる電位との差分である。
・過電圧には、活性化過電圧、濃度過電圧、抵抗過電圧の3つがある。
・実際の起電力は、正極と負極の電極電位だけでなく、活性化過電圧、濃度過電圧が影響する(なお、抵抗過電圧は一般に言う内部抵抗であり、起電力とは分けて考える)
・具体的には、充電時の端子電圧=電極電位+過電圧(=起電力+内部抵抗)、放電時の端子電圧=電極電位-過電圧(=起電力-内部抵抗)となる。

以上が、ざっくりとした説明です。


(3)なぜ一般に2.1Vと言われるのか?

上記(2)で起電力(電圧)には活性化過電圧や濃度過電圧が影響すると書きましたが、中でも濃度過電圧については、元の電解液濃度が影響します。
そこでJISを見ると、「出荷時には濃度37%の電解液を入れろ」と書かれていますが、この場合の比重は液温が20℃で1.28なので、その時の電圧は約2.1Vです。

一般的に「バッテリーは(満充電で)12.6V」と言われる理由は、たぶんこれです。


ただ、これもJISの定義上の話で、実際にネットで買った製造後1か月程度のバッテリー(カオス)を測ると、開放電圧で13Vぐらいあります。



で、JISをよく読むと「製造業者が推奨する密度がある場合は、この限りではない」と書かれているので、標準的なバッテリー(廉価バッテリー)だと比重1.28を使うのかもしれませんが、カオスのような高性能を謳うバッテリーの場合、比重1.30(濃度約40%)~の電解液を工場で充填しているのだと思います。

実際、日置が出している資料を見ると、「満充電では2.14V(12.84V)、濃度約39.7%、比重約1.30」とされているので、イマドキは比重1.28を使っているバッテリーの方が少ないのかもしれません。
※なお、AGMだとさらに高く比重1.32~が使われているようですが、市販(業販)されている補充用の電解液は、今でもJISの規定通り1.28が一般的なようです。


つまり、高性能バッテリーとは、実は電解液の濃度を高める事で過電圧を小さくして充放電性能を上げている、とみる事も出来ます。
※もちろんそれだけではない。

従って、正確に言えば「JISに定める標準的なバッテリーの場合は、(満充電で)2.1V」となるだけで、巷でよく言われる「満充電で12.6Vあれば大丈夫」という判断基準には根拠がありません。

この電圧測定による具体的な劣化判断基準は、また機会があれば書きます。

Posted at 2025/08/10 10:16:32 | トラックバック(0) | 日記
2025年07月30日 イイね!

やっちまった日産!(ハブ固定方法の雑学)


たいやき屋に後輪タイヤが(2本とも)ハブごと飛んでった事故、当初の報道では車検を受けた直後という話だったので、それで運転者(顧客)の責任を問うのはどうか?とも思ったが、どうやら整備士が試運転中に起こした事故だったらしい。しかも日産ディーラー。


※記事には「ブレーキドラムと車軸を結ぶ」とありますが、正確には「ハブとナックルを結ぶ」です。


内容がお粗末すぎて、どうコメントしていいのか解らないが、最初に読んだ時に「これって旧車?」と思った。

というのも、80年代以前の車ならベアリングとハブが別体だったので、ナット仮締後にプリロード調整をし、割りピンで止めてハブキャップを嵌めると言う作業が必要だったが、イマドキの車はハブが非分解(ASSY)になっていて、通常4本のボルトで止める構造になっているはず(非駆動輪の場合)

参考)
ブレーキ移植など
https://minkara.carview.co.jp/userid/2036415/car/2073284/3836623/note.aspx


なので、若い整備士が慣れない旧車の整備をしてドジを踏んだのかと思ったが、車種はノートだったようで。
不思議に思って調べたら、今でも軽の殆どや、日産車などはナット止めのようです。


なお、それぞれの構造については、三菱の修理書に詳しく載っているので、掲載しておきます。

(1)別体型(ナット仮締→プリロード調整→割りピン)

86年型デボネアV

(2)一体型(ロックナット締付)※軽以外の三菱車では過渡的に採用

90年型ディアマンテ

(3)一体型(4本ボルト締付)

95年型ディアマンテ


単純に指定トルクだけで考えれば、(2)のナット止め(T=20~26)よりも、(3)の4本ボルト止め(T=30~36)の方が軸力は高くなりますが、(2)の場合はロックナットなので、カシメておけば緩まない(割りピン式もある)
※ボルトの呼び径即ち有効断面積(太い1本と細い4本の合計)が同じとした場合。

作業性やヒューマンエラーなども含めて、どちらが優れているかは一概には言えないと思いますが、主流は(3)です。


おまけ)
そういえば、以前トヨタが「(ハブとホイールの締結を)欧州車のようなハブボルトにすると、足回りの剛性が上がって操縦安定性が高くなる」などと出鱈目を言っていましたが、(百歩譲って)もしそれが本当だとしたら、ハブボルトを採用したbZ4Xなんかは、当然ここ(ハブとナックルの結合部)のボルトも本数を増やすなどの対策をしてるんだよね?・・・でなきゃ本末転倒だべさ(笑)

何を言っているか解らない方は、こちらをどうぞ↓
間違いだらけの自動車評論家選び?(ホイールボルト編)
https://minkara.carview.co.jp/summary/13686/

Posted at 2025/07/30 09:19:47 | トラックバック(0) | 日記
2025年07月17日 イイね!

AGMバッテリーとは?


AGMの話をする前に、自動車用補機バッテリーの分類から

(1)制御弁式鉛蓄電池(VRLAバッテリー)
 ≒ドライバッテリー、シールドバッテリー、ディープサイクルバッテリー
 ・AGM
 ・GEL
(2)開放型鉛蓄電池(従来型の液入りバッテリー)
 ・液栓あり
 ・液栓なし(セミシールドタイプ)

主にこのような感じでしょうか?
一部に、EFBバッテリーを独自のジャンルに分類しているメーカー(商社)もありますが、独自技術のグリッドを持つと謳っているだけで、(2)のセミシールドバッテリーです。

参考)VARTA、BOSCH、ACデルコの違い
https://minkara.carview.co.jp/userid/2036415/blog/48349476/


では、まずAGMバッテリーの特徴ですが、Absorbed Glass Matという特殊な多孔質のガラス繊維マット(セパレータ)が、電解液を保持しています。

一方、GELバッテリーは、電解液をゲル状の状態に変えることによって、電解質を保持しています。
※ジェルバッテリーと言う人もいますが、イマドキは学校でもジェルって教えるんでしょうか?(オッサンの自分はペーハー、ゲルピンの昭和世代)


で、AGMバッテリーですが、最大の特徴は主に過充電により水の電気分解が起きたときに正極板で発生した酸素を、多孔質のガラス繊維マットを通して負極板に移動させ、負極板で発生した水素と反応させて水に戻す仕組みにあります。


↑説明がやや不正確ですが、イメージとしてはこのような感じ(GSユアサのHPより引用)


良く言われる長所は
(1)液漏れのリスクが低い(振動や衝撃に強い)
(2)高性能(CCAが高い)
(3)深放電にも強い。
(4)寿命が長い(メンテナンスフリー)
です。

が、(1)はプリウスみたいに室内置きにする場合はともかく、エンジンルームに設置する限りメリットはなく、せいぜい運送屋さんにメリットがある程度。
(2)や(3)にしてもメリットを享受できるのは、よほど普段車に乗らずに車庫に置きっぱなしの人くらいでしょう。
(4)にしてもカオスなら最低でも6年以上は使えるし・・・

要するに、産業用で使う場合とは違い、車の補機バッテリーとして使う分には値段が高いだけで殆どメリットがないのが実情(なので、新車でAGMを搭載している車以外には無用の長物)


そもそも世の中の9割方の人が「自動車のバッテリーは常時電装品に電気を供給している」と考えていますが、二次電池は逆向きに電流を流さないと充電できません(一応、高校化学の範囲内です)

なのに、業者でも「AGMバッテリーは高レベルの電力供給が可能であり、高度な電子機器やハイエンドのサウンドシステム、アフターマーケットアクセサリなど、電気需要の大きい車両に最適です」と書いているので、「AGMに替えればオーディオの音が良くなる」と信じてわざわざAGMに替える人もいますが、消費者だけでなく業者までこういう話をするのは何故なのでしょうね(高価な商品を売りつけたいが故の確信犯か、あるいは本当に無知なのか・・・)


ちなみに、話は違いますが、MFバッテリーとは、元々はカルシウムバッテリーのように液減り(水の電気分解)を抑制することで、補水メンテナンスをフリーにした商品を指して命名されたので、カオスのような液栓ありの液入りバッテリーもMFバッテリーの一種なのですが、訴訟王国のアメリカでは曖昧な表現を避けるため、MFバッテリー=ドライバッテリーやセミシールドバッテリーを指すようです。

Posted at 2025/07/17 09:26:48 | トラックバック(0) | 日記
2025年07月16日 イイね!

マジでヤバい?・・・WEB CARTOP


WEB CARTOPのダメ記事は過去にも何度か取り上げてきましたが、もはや驚きを通り越して呆れるしかない記事がアップされていました・・・


【全文読みたい方はこちらを】
誰もが見たことのあるクルマのバッテリーは「鉛酸バッテリー」! じつは「AGM」と「GEL」と種類があるって知ってた?
https://www.webcartop.jp/2025/01/1535321/

(以下は抜粋)






なんと、鉛(酸)バッテリーにはAGMとGELの2種類しかないそうです。
で、画像のような液式のメンテナンスフリーバッテリーもAGMなんだそうです。

イヤー、知らなかったなあ・・・


なお、そのWEB CARTOPですが「独自の企画と情報でクルマを斬る自動車メディア」を標榜しているようですが、あまりに独自過ぎて(失笑)レベルですね。

ちなみにこの記事の執筆者ですが、毎度おなじみの御堀さんです。



経歴を見る限り、「典型的な自動車評論家」って感じですね・・・

Posted at 2025/07/16 09:28:42 | トラックバック(0) | 日記
2025年07月10日 イイね!

ちょっとガッカリなGSユアサ



以前、半年使用のエコRハイクラスと2年使用のカオスC7で、CCAがほぼ同じだったと書きました。
※エコRハイクラス(黒ボディ)はカオスの充電制御/標準車用相当品で、新品時CCAはほぼ同じ。

参考)
【バッテリー】カオスの性能を検証する【耐久性】
https://minkara.carview.co.jp/userid/2036415/blog/47620897/


そのエコRハイクラスですが、使用開始2年弱で更にガッカリな結果となりました。



このままだと、カオスの半分(3~4年)位で要交換になりそう・・・
※比較のため、前回の図に上書き。


ちなみに、ディーラーで中古車購入した際に付けてもらった製造後1か月程の新品ホヤホヤなバッテリーでしたが、この有様です。

最近のGSユアサは品質が下がっていると言う人もいますが、その昔新車購入した車に付いていたGSユアサのバッテリーは5年使えました(当時はCCAテスターなども持っておらず予防のため交換したが、もう少し使えたように思う)

いずれにしても、今後GSユアサのバッテリーを買うことはないでしょう・・・


P.S.
驚いたことに、HP上に寿命は2~3年と明記していました(アトラスと同じ)
これでは高かろう悪かろうですね。
※パナも「カオスに変えればオーディオの音が良くなる」などと怪しげな広告をしていますが、寿命は間違いなく長いので(通常7年は使える)、結局はカオス一択でしょうか?



更に追記)
なんと、パナもHP上に寿命は平均2~3年と明記していました。
同業他社、電池工業会あたりと申し合わせているんでしょうね。
つまり「エンジンオイルは3000キロごとに交換」「ラジエーターキャップは1年毎に交換」と一緒。

口ではSDGsみたいな事を言っておいて、裏では政界に働きかけて新車の税制優遇(及び旧車の重課)に躍起になり、ユーザーに短期買い替えばかりを薦める自動車メーカーだけでなく、末端のアフターパーツメーカーも含めて、この業界はちょっとおかしすぎる。
まあ、「それが資本主義だよ」と言われれば、それまでですが・・・

Posted at 2025/07/10 10:38:42 | トラックバック(0) | 日記

プロフィール

「バッテリー交換時、スパークさせないためには? http://cvw.jp/b/2036415/48812316/
何シテル?   12/16 09:31
ネット上には、車の情報に関する様々な誤解やデマ、更にはオカルトチューン (疑似科学)が大手を振ってまかり通っているので、本音で書きます 皮肉屋なので...
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