家の片付けをしていたら、中高生の頃(80年代中頃)に買ったカー雑誌が何冊か出てきました
片付けそっちのけで(笑)中身を見てみると・・・
ネットのなかった当時は、カー雑誌の投稿欄が今でいうSNSみたいなもので、愛車レポートから意見欄、個人売買、更には雑誌によっては恋人募集コーナーまであり、後者だと氏名や細かい住所だけでなく、電話番号まで載っていたりして。
物騒な事件の多い昨今に比べ、
昭和は今思えば平和な時代だったんですね・・・
で、ついつい興味を持ったのが、オカルトチューン(笑)
実はこの手のチューンって、80年代当時は今よりも流行っていたように思う。
というのも、自分もこの時代の車が好きでハチマルやキューマルを所有していますが、キューマルは今乗ってもそれほど違和感がないけど、ハチマルはブレーキや加速性能が明らかに低く、イマドキはおばちゃんの乗った普通の軽にも煽られるぐらいなので(笑)
裏を返せば、まだ日本車が発展途上だった時代であり、それゆえに少しでも性能UPしたいというユーザー心理があったのだと思う。
まず定番なのは、ハスコーのガンスパーク(画像はカーアンドドライバーより)
「ノーマル比3倍のスパーク」がウリですが、多くの人が誤解していますが、そもそもスパークが強くなってもパワーアップなどしません。
というのも、スパークの強さと火炎核の成長過程に因果関係はなく、火炎伝播速度は専らシリンダー内の渦(乱流)に依存するため、スパークが強くなったからと言って火炎伝播が速くなることはないからです。
つまり、正常に引火さえすれば、その後の燃え広がる早さは一緒だということ。
また、百歩譲ってスパーク強化で火炎伝播が早まったとしても、優秀なメーカーの技術者が設計した最適バランスを崩し、かえってノッキング等を起こすだけで、何も良い事はありません。
もしノッキングが起これば、ノックセンサー(振動センサー)の信号により点火時期を遅らせることになるので、むしろパワーダウンします。
(教訓:下らないチューニングをするより、ハイオクでも入れた方が良い)
但しコレ、完全なオカルトパーツではなくて、失火が当たり前だった60年代以前のポイント式の車にはそれなりの恩恵があった商品でした・・・(接点式だとアークにより1次コイルの電流を完全に遮断できず、2次コイルの電圧が昇圧しきらない状態で放電が始まって失火する事があったため、それなりに効果があった)
しかしながら、80年代当時は10年以上経過した車に乗っている人は殆どおらず(60年代どころか70年代の車でもガタが来るのが早かったので、10年経たずに廃車されていた)、既に過去の遺物でした。
それにもかかわらず「クルマはつねに失火をしています」などと出鱈目を書いて、さも全ての車に効果がある様に謳っていたのだから、これも立派なオカルトパーツ。
おまけに各誌に毎号のように宣伝を載せるなど、大々的な販促活動を行っていたので、(理屈を知らずに)当時の現行車に装着していた人が多くいました。
この手のスパークを強化するという化石のようなパーツは、今でもしつこく売られていて、たとえばホットワイヤーなる商品は「スパークをノーマルの約330倍まで高めることができ、混合気を燃やしきる完全燃焼を実現する」とか書いてますが、こういう文言に騙されるのは「火花の強さに比例してパワーが上がる」と単純に考える人、あるいは自然発火現象を知らない人、例えばノッキングという言葉は知っているが、その意味をよく解っていない人でしょうか。
同じハスコーからは、ラクールというのもありました(画像はモーターファンより)
こちらは加速時にエアコンのコンプレッサーをOFFにする装置で、オカルトパーツではなく実用パーツです。
ちなみに、現代の車なら廉価車でもコンプのオンオフ制御ぐらいはやっていますし、上級車では可変容量式のコンプが当たり前のように採用されています。
当時の車はカタログ性能はそこそこでも、実際にはエアコンを付けるとパワー(特に低速トルク)不足が顕著だったので、このラクールによってパワーアップ効果をかなり体感できたのではないでしょうか?
Posted at 2025/02/24 08:45:59 |
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