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2025年05月29日 イイね!

タイヤは何故飛ぶのか?(基礎理論編)


既に夏タイヤへの履き替えシーズンも過ぎたのに、相変わらずタイヤが飛んだというニュースが後を絶たないですが、改めて「タイヤは何故飛ぶ(ボルトは何故折れる)のか?」を力学的に考察します。


1 摩擦接合とは?

高力ボルトにより部材を締結した際に、接合面に生じる摩擦力によって(部材間の)応力を伝達する方法。
車のタイヤ&ホイールがまさにそれ。

※高力ボルト:強度区分8.8以上のハイテンボルト(純正ハブボルトは10.9)
※応力:物体に外部から力が作用したとき(外力)、物体内部に発生する反力を内力というが、その内力を断面積で割ったものが応力(N/㎟)
応力には、垂直応力(圧縮応力、引張応力)と、せん断応力がある。


2 タイヤ&ホイールに掛かる力

(1)停止中
圧縮荷重、即ち質量(車重)分の重さが掛かる。
(2)走行中
上記に加え、主として慣性モーメントによるせん断荷重、曲げ荷重が掛かる(回転軸を中心に振り回す力が掛かる)

※いずれの場合も、ホイールとハブを一体として捉えると、応力はホイールとハブの接触面に生じる摩擦力によって伝達されるため、ハブボルトには圧縮荷重やせん断荷重等は掛からず、引張荷重(軸力)のみが掛かっている。


3 慣性モーメントとは?

慣性モーメント(I)は、
I=M×R^2
ここで、M:質量、R:回転半径

※同じ質量の場合、重さの中心が軸から離れるほど回転半径は大きくなる。
つまり、同じ質量のタイヤ&ホイールの場合、より軽量なアルミと重いタイヤを組み合わせた方が回転半径は大きく(=慣性モーメントは大きく)なるが、一般的には大径タイヤほど慣性モーメントは大きくなると理解してください。

なお、日常的によく使うトルク(T)とは何かと言うと、
T=I×α
ここで、α:角加速度
よって、T=M×R^2×α
言葉で言うと、回転軸の周りに働く力のうち、回転方向の成分です。


続いて、本題です。

Posted at 2025/05/29 16:52:50 | トラックバック(0) | 日記
2025年05月23日 イイね!

【ハブボルト】どのくらいの力で締めると伸びてしまうのか?【降伏点】


ホイール&タイヤについては、「ハブボルトで支えているのではなく、接触面の摩擦力で支えている」事については過去にもしつこく書いたので省略しますが、では、どのくらいの力で締めるとボルトが伸びてしまうのでしょうか?

1.
まず、標準的な締め付けトルクについては、T系列という規定がありますが、それぞれ用いられるボルトの用途によって標準トルクが規定されています。

・一般=T系列[N・m]
・電子部品=0.5系列[N・m]
・自動車(車両・エンジン)=1.8系列[N・m]
・建設=2.4系列[N・m]

例えば、M12のボルトだとT系列では42[N・m]、0.5系列では21[N・m]、1.8系列では76[N・m]、2.4系列では100[N・m]になります。

2.
さて、殆どの日本車のハブボルトにはM12が用いられますが、指定トルクは100[N・m]前後が多いようです。

ここで、「あれ?自動車なら76[N・m]じゃないの?締めすぎでは?」と思われた方もいるかもしれませんが、実はハブボルトには2.4系列が用いられているのです。
従って、使用されるボルトは強度区分10.9の高力ボルトになります。

強度区分10.9とは、引張強度が1000[ N/mm²]、降伏強度はその0.9倍なので[900 N/mm²]です。

3.
では、次に締付トルクと軸力の関係についてですが、
T=k×d×F
となります。

T=締付トルク(N・m)
k=トルク係数
d=呼び径(m)
F=軸力(N)

トルク係数はトルクから軸力への変換効率を表す係数で、主に摩擦の影響により、0.2前後が一般的な値となります。

4.
で、この式を変形すると、
F=T/(k×d)
になります。

つまり、軸力=締付トルク/(トルク係数×呼び径)になるので、M12のハブボルトを100[N・m]で締め付けた場合、k=0.2と設定した場合の軸力は、
100[N・m]/(0.2×0.012[m])≒41,667 [N]です。

5.
さて、では表題の「限界はどこか?」と言うと、ハブボルトの強度区分は10.9なので、降伏強度をベースに考えると、
900[N/mm²]×88.1 [mm²]=79,290 [N] 
※M12×1.5の場合の有効断面積(JIS規格)=88.1mm²のため

つまり、軸力が79,290 [N]を超えると降伏点を超えて伸びきってしまいますが、一方で、JISには保証荷重(弾性限度)が定められており、M12の10.9では70,000[N]とされています。
※保証荷重=これ以下の使用であれば、締めたり緩めたりを繰り返しても問題が起きないとされている(降伏強度の概ね90%)

軸力が79,290 [N]、70,000[N]の時の締付トルクは、T=k×d×Fより、
0.2×0.012[m]×79,290[N]≒190[N・m]
0.2×0.012[m]×70,000[N]≒168[N・m]
※k=0.2と設定した場合

よって、概ね168[N・m]なら安全圏、190[N・m]を超えると危険
(もっとも、手締めでここまでトルクを掛けられる人は滅多にいないと思いますが・・・)


P.S.
なお、これはあくまで純正のハブボルトの話であって、社外品のハブボルトがどの程度の強度を有しているのかは不明です(「競技用ですので一般公道での走行はお避け下さい」と言うのは、「保安基準に適合していません」と同義)

過去にも書きましたが、こうした社外品は設計段階や品質の面で怪しい商品も多いので、足回りなどの重要な部位での使用は避けるべきと考えます。

Posted at 2025/05/23 10:14:03 | トラックバック(0) | 日記
2025年05月14日 イイね!

電制スロットルなのに冷却水が・・・?


前回書いたようにアイシングとは元来キャブレター、それも殆どは剥き出しで冷風に晒されるバイクの世界の話なんですが、よく見たら自分が乗ってるトヨタ車(2016年式)にも、なぜかスロットルボディに冷却水が回っていた。

気になったので、メーカーに何の為かメールで聞いたところ、「温水通路を設けて、極寒時の作動の安定化をはかっています。(原文ママ)」とのこと。
それってつまり、アイシング防止って事?

2016年式だから当然電スロだし、おまけにエンジンルームの狭いコンパクトなFF車で前方排気なんですが・・・
そもそも流路の狭いバイパス経路(ISCV)が付いていたワイスロならまだしも、
電スロで凍るか?

百歩譲って、世界中で売るのだから、冬場はマイナス50℃にもなる極寒のロシア辺りの事も考えないといけないのかもしれないが、こんな構造にしてるのはトヨタぐらいでは?(良く調べたら、日産も初代ティアナのVQエンジンなど初期にはやっていたようですが、今はやめているようです)


確かにコンピューターシミュレーション全盛の今でも、車の設計における安全率とかって実は経験則に基づくものが多いようなので、これも石橋を叩いて渡るって事かもしれないけど、経年劣化の事は考えないんだろうか?

それとも「帯電によりクーロン力で空気の剥離が起こり云々(※)」とか本気で言うトヨタの事だから、
まさか帯電で空気が剥離して凍るとか本気で思ってるのかも・・・


(※)
何言ってるか解らない方は、こちらをどうぞ↓
GRエアロスタビライジングボディコートと三段論法【改訂版】
https://minkara.carview.co.jp/userid/2036415/blog/47666987/

Posted at 2025/05/14 15:47:33 | トラックバック(0) | 日記
2025年05月11日 イイね!

昔のアイシング対策


で、前回書いたアイシング(キャブ車)ですが、殆どは剥き出しで冷風が当たるバイクの世界の話で、乗用車だとあまり聞いたことがありません。

そもそも、昭和40年代以前の車はともかく、排ガス対策車以降はエンジンルーム内なんて熱だらけだったし(おまけにブローバイガスも回ってるので)


あと、アイシングとは別に「吸気温度を上げて燃焼云々」という人もいますが、あの細いホースで冷却水(せいぜい100℃)を流した程度でスロットルボディの温度が大して上がる訳でもなく(通過する冷風で冷やされる)、仮に大きく上がったとしても(境界層付近はともかく)吸気全体の温度上昇など微々たるものでしょう。

↓やるならこのぐらいしないと(笑)


自分が子供の頃(昭和50年代)の郵政カブには、アイシング防止のためにダクト(キャブヒーター)が付いていた
(画像は「2輪(働くスーパーカブたち)」より引用)

Posted at 2025/05/11 08:36:36 | トラックバック(0) | 日記
2025年05月10日 イイね!

スロットルボディ(ISCV)に冷却水を循環させるのは何故?


表題についてネット上では、アイシング防止のためだとか、ISCVバルブをバイメタルで調整しているから・・・などと言った意見が出てくるが、アイシングなんてキャブ車じゃあるまいし、またISCV自体が80年代以降のECU制御と共に登場したアイテムなので、バイメタルで流量調整なんて前時代的な事はやっていません(※)


まずはISCVの種類ですが、メーカーやグレード、年式等によって様々で、
(1)負圧制御電磁弁式バルブ
例)初期の日産ECCS(79年登場のL28Eに初採用)

(2)ロータリーソレノイド式バルブ
例)マツダ(ワックスペレット式FIAV一体型)、トヨタの大衆車など(バイメタル式FIAV一体型)

(3)ステッパモーター式バルブ
例)三菱(FIAV&STM並列型→リミッターバルブ&STM直列型→STMのみ)、トヨタの高級車など(STMのみ)

がありますが、いずれにしても水温センサーを始めとする各種センサーからの情報を基にECUから電気信号を送り、目標回転数になるようISCVの流量を調節しています。

ソレノイド式とステッパモーター式の違いを知りたい方は、こちらをどうぞ↓

アイドル回転速度制御装置・ISCV
https://katuhito.info/iscv/


となると、FIAVやリミッターバルブを併用しているタイプを除いて、なぜ冷却水を循環させているのかは謎です(キャブ車やセントラルインジェクション車じゃないので殆ど意味はないはずだが、まさかアイシング防止の為?)

なお、ECU制御に移行する以前のEFI(EGI)エンジンでは、冷間時は副通路に設けられたバイメタル式のエアバルブで流量を調整して、ファーストアイドルを制御していたので、FIAVはその名残ですが、併用したのはISCVの信頼性(故障)の問題があったからでしょうか。


なので、もし経年劣化で漏れが生じているようなら、ホースを直結するとかメクラ栓とかで循環させないようにしても、殆ど問題はないように思う。


注釈
(※)
FIAVやリミッターバルブ一体型の場合、そちらのバルブを冷却水温の変動で動かしているので、整備士でも勘違いしている人が多い(「バラせば解る」という職人タイプ)

ちなみにアイシングとは、外気温が低くかつ湿度が高いときに、キャブレター内に取り込んだ空気中の水分が、気化熱により凍る現象のこと。
空気がベンチュリーを通過する際、吸い上げた霧状のガソリンが気化する時にまわりの熱を奪うため生じる(今の若い人は知らないだろうが、昔はキャブレターの事を日本語で気化器と呼んだ)

構造上、キャブ車、もしくは昔のトヨタCiや三菱ECI(マルチでない初期モデル)のように、スロットルバルブ手前で燃料噴射するシングルポイントインジェクション車でないと起こらない。
もしアイシングによりバルブが凍結すると、最悪アクセルを戻してもエンジン回転が下がらなくなることがあり危険。


Posted at 2025/05/10 14:44:34 | トラックバック(0) | 日記

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「旧車ブームに踊らされるな!【初心者向けアドバイス】 http://cvw.jp/b/2036415/48679463/
何シテル?   09/27 08:56
ネット上には、車の情報に関する様々な誤解やデマ、更にはオカルトチューン (疑似科学)が大手を振ってまかり通っているので、本音で書きます 皮肉屋なので...
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