毎年2月後半の土日に日本最大級のクラシックモーターショーがパシフィコ横浜で開催されています。
その後、名古屋、大阪と転戦していますが、イベントを失念を続けて行くのは3年ぶりとなります。
前回は地下駐車場に停めるのに苦労したので、電車を使うことにしました。
東急東横線が副都心線と繋がり、最寄りのみなとみらい駅から会場までは徒歩5分ほど。
日中はFライナーと呼ばれる列車に乗ると特急と同じで停車駅で移動時間が短縮できます。
横浜駅から先は地下鉄で別料金となりますが、終着駅が桜木町までの時代より利便性が高まった利用者も多いのではないでしょうか。
一般入場料は2,000円ですが、500円分の金券が付いていて会場内の物品や飲食の購入に使えます。
500円の金券と交換という商品も用意されていますが、使わないと損になるしどうせなら気に入ったものにしようと探すと結局は500円を超えてしまい、現金を足して買ってしまうという行動心理を巧みに利用していると思います。
前回は117クーペのミニカー、今回はNostalgic Heroのバックナンバーでいずれも500円オーバー。
金券がなければ出費は入場料1,500円で済んでいたはずです。
とはいえ、折角の旧車のイベントですし、自分だけの記念品を手にして祭典に参加した気分が味わえるので、悪い気はしません。
さて、入口から会場内に入るといきなり真っ赤な2000GTが出迎えてくれます。
前回はゴールドの2000GTに度肝を抜かれましたが、赤の2000GTは本当に格好良いです。
街中で走っていたら注目の的になることは間違いありません。
最近のクルマの大きさからすると、もうふた回りほど大きくすると迫力が出るだろうと思わせるほど、コンパクトなサイズです。
どこにも破綻の感じさせない流れるようなデザインが見事で、見ていて飽きさせません。
E-Typeをお手本にデザインされたという説があるようですが、フロントノーズ・ショートデッキを代表するクラシックなデザインと言えるのではないでしょうか。
シンプルなだけに美しさを感じるリア。
格好良さを意識しているのか、ゴテゴテしている最近のデザインは一時的な流行に過ぎないのではないかと思わずにはいられません。
こちらはフォグランプが小型化した後期型でしょうか。
製作された337台のうち、国内向けは前期が110台、後期が108台ということは希少さでいうとほぼ同じということになります。
2台とも販売車両でしたが価格は応談。
家が買えるような金額が提示されることは容易に想像できます。
3M型エンジンを搭載したX型フレームも展示されていました。
隣の実車のボディに収まらないようにも見えましたが、奥屋が載ると車高が下がるのでしょうか。
ヤマハの協力も得て完成した1,988cc直列6気筒DOHCエンジンは、最高出力150ps/6,600rpm、最大トルク18.0kg・m/5,000rpmを発揮します。
谷田部試験場で数々の世界記録を樹立したことは、当時の日本の自動車メーカーがすでに世界に伍したクルマを作れたという意味で、大きな金字塔になっていると思います。
フェアレディZの最高峰といえば、箱スカやケンメリのGT-Rと同じ直列6気筒DOHCエンジンを搭載したZ432でしょうか。
4バルブ、3キャブレター、2カムシャフトに因んでいると言われています。
S20型と呼ばれる1,989cc直列6気筒DOHCエンジンは、最高出力160ps/7,000rpm、最大トルク18.0kg・m/5,600rpmを発揮します。
展示車両は、その中でもレース仕様に軽量化して発売されたZ432Rです。
製造台数は30台〜50台とかなり限られており、現存するのは10台程度のようです。
人気で双璧をなすといえば、もう一台は240ZGでしょう。
こちらは直列6気筒SOHCエンジンながら、2,393ccの排気量を生かして、最高出力150ps/7,000rpm、最大トルク18.0kg・m/4,800rpmを発揮します。
Gノーズによりフロント周りがスッキリして伸びやかに見えます。
また、リベット留めしたオーバーフェンダーが特別なZであることを教えてくれます。
コスモスポーツのイメージカラーはやはり白でしょうか。
走行距離6.1万kmの72年式のこのクルマは、888万円で売り出されていました。
1,200万円超えの物件が出てくるほど人気が高いので、状態次第では良い買い物になるのでしょうか。
水冷直列2ローターのエンジンは、最高出力128ps/7,000rpm、最大トルク14.2kg・m/5,000rpmを発揮します。
当時で比較すると、1.6ℓ直列4気筒DOHCエンジンに相当する性能です。
ただ、大きなエアクリーナーの存在感が抜群で、低位置に配された小さなロータリーエンジンが上手く捉えられませんでした。
117クーペといえば、高嶺の花であった初期型のいわゆるハンドメイドでしょう。
当時の販売価格でライバルだった他の旧車が相応の価格になっていることを考えれば、498万円という値段はかなりお手頃と言えるのではないでしょうか。
ただ、プレートには排気量が1.8ℓとあったので、DOHCエンジンが搭載された上級グレードではなくSOHCエンジンが搭載された普及モデルとなります。
走行距離は11.5万kmというのもマイナス要因かもしれませんが、製造から45年も経過しているので、これくらい走っていたほうが調子は良いタマに当たる可能性が高い気もします。
大型化したコンビネーションランプが採用された中期型以降と異なり、前期型はスッキリとしています。
他にも、前期型にはリアクォーターパネルにリフレクターがありませんし、フロントの高さに合わせたのか、リアのバンパーも一本分ほど下げた位置に取り付けられています。
そのことが奏功しているのか、こういう角度から見るとスッキリとした造形が中期型にはない気品を感じます。
117クーペといえば、ハンドメイドに限ると思われる方がいるのも頷けるところです。
そのお隣はグロリア スーパー6です。
当時はパーソナルカーとして夢であった高級サルーンを個人で所有することの経済的なハードルはかなり下がりました。
昔は威厳があった黒塗りも色違いで個人が所有できる時代です。
社用車だったらこれくらいの威厳があっても良いかなあと。
ただし、エアコンを強化しないと寒暖に対応して快適な室内を保てないことと、最近の社用車よりサイズが小さいので並んで止まると迫力負けすることがネックになりそうです。
車両価格は450万円とありましたが、購入する方は個人の趣味としてということになるでしょうか。
日本の伝統的な最高級サルーンといえば、センチュリーでしょう。
昨年に第三世代の発売が開始されましたが、第一世代でも最近の黒塗りの中で十分に通用するサイズだと思います。
車両価格は450万円と残価はかなりあります。
売約済みの車両も展示されており、こういうイベントでも売れるクルマなのかと意外な感じがしました。
ジアッロのディーノ246GTSの周りには入れ替わり立ち替わりで人が集まってきます。
連れのお仲間にディーノはフェラーリではないと蘊蓄を語っていた人がいましたが、実車を前にするとどうでも良くなってしまう魅力が備わっている気がします。
リアエンドに向かってトランクが作れそうなほど穏やかに伸びるラインが何ともいえません。
リアフェンダーの膨らみも躍動感あるデザインに貢献しています。
それなのに、エンドを切断面のようにバッサリと落としたのは、これらを引き立たせるためなのでしょうか。
バランスとアンバランスの狭間に作られた感じのリアが、このクルマを魅力的に仕立てている最大のポイントだと思います。
車両価格は税別5,000万円。
ごく一部のスポーツカーを除き、最新のスポーツカーが新車で買えてしまいます。
さらに希少性が高い206だと果たしていくらになるのでしょう。
ネロのボディカラーが目立たないのか、細めの通路で歩くことに気を取られてしまうのか、308GTSは、周囲に多くの方が立ち止まることもなく、静かに佇んでいました。
ディーノに続くモデルが5.8万kmで車両価格900万円となるとお買い得にも思えてしまいます。
完璧なプロポーションに美しいデザインが相まって、スーパーカーとして非の打ち所がないといっても過言ではありません。
ワク井ミュージアムから2台が出展されていました。
1台は66年製のベントレーTです。
生産台数は1,703台と少なく、コレクターズアイテムと化しているようです。
トランクリッドの取っ手は見事な装飾品です。
こういうクルマに乗っていた方がいかに優雅な生活だったのかを想像させるアイテムといえます。
シルバーのトリムを挟むように2本の赤いコーチラインが入っています。
ボディの上に綺麗に描かれていました。
ロールスロイス社にのクルマに乗るならこの装飾は是非とも欲しいです。
もう1台は21年製のベントレー 3リットル。
このクルマは、新車当時に架装されたスコットランドのゲイルン製ボディがそのまま残されており、最も古いフルオリジナル車両として知られているそうです。
280SLも展示されていました。
トランクリッドには誇らしげに「AUTOMATIC」とオーナメントが飾られていました。
SLは当時も優雅に乗るメルセデスのフラグシップクーペとして最高のトランスミッションが与えられていたのでしょう。
このクルマも注目度は高かったです。
特別展示されたレーザーとミザール。
どちらも世界で1台しか存在せず、2台が並んで展示されるのは初めてだそうです。
レーザーは、フランスの自動車メーカーであるマトラ社のシムカ・パゲーラの試作で、ミケロッティが自身の名義で製作されたとありました。
他にも紹介したいクルマは色々とあるのですが、長くなってしまったのでまたの機会とします。
最後までお付き合いいただきありがとうございます。