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ラガーあきのブログ一覧

2020年10月29日 イイね!

カーライフを振り返る_後編

カーライフを振り返る_後編前編から少し時間が空いてしまいました。
Rolls-Royce Wraithに続いて注目したクルマの話です。



次に注目したのが、McLarenのSuperシリーズ。
走行性能は、Ferrari、Lamborghini、Porscheなどのトップモデルに引けを取らない高性能スポーツカーです。
その中で、650Sの登場により先代モデルになったMP4-12C Spiderが候補に挙がりました。



650Sの試乗では、今まで運転したクルマでは体感できない圧倒的な性能に驚かされます。
坂道を駆け上がる際にスロットルを意識的に踏み込むと、背後から押される力が強烈で、まるでBMW M6で慣れた自分の体が遊離して置いていかれるかのようです。
街中では危なくて気軽にフルスロットルなんてできません。



私にとって、最大の悩みどころはそのプロポーション。
FRのスポーツカーに見慣れているので、運転席が前後の中央に位置してボンネットが短く、リアが長く見えるバランスが好きになれません。



高いオプションが色々と入っていたのですが、この車両みたいにドアミラーカバーとサイドエアインテークがカーボン織りで黒くなっていたらもっと格好良いかな、と。



スペシャルカー選びのベンチマークとなっていたのは、Vanquishの2015年モデルです。
TouchtronicⅢの8速ATが搭載され、シフトチェンジで切れのあるエキゾーストを聞かせてくれるように改善されています。
もちろん、トランスミッションにかかる維持費のことを抜きにすれば、V12 Vanquishと同様により高性能なVanquish Sをラインナップし、7速SMGのSportshiftⅢを搭載してくれれば理想的なクルマが出来上がるはずという勝手な構想はありました。
しかし、今になって冷静に考えてみると、予算をどう工面するのかということが唯一にして最大の悩みだったのかもしれません。



そういう意味では、このデモカーとの出逢いが新たな期待を生みました。
Marina Blueと呼ばれる外装色は、ジーンズのような濃い藍色で目に心地良く映ります。



Apple Tree Greenは別格としても、光の濃淡でエッジが引き立つSkyfall Silver、鉛を削り出したときに出るずっしりと重みのある光沢を放つTungsten Silver、あるいはラメが細かくて真珠のようにキラキラ輝くMorning Frostなど、シルバーやホワイトメタリック系でもVanquishの魅力を十分に引き立てますが、できれば有彩色という私の希望に合致します。



内装は柔らかい薄めの茶系色で纏まられ、前席はオプションのベンチレートとアワーグラスキルティングと呼ばれるステッチが選ばれているので申し分ありません。
One-77スタイルのステアリングやブラックピアノのフェイシアも余裕があれば入れたいと思うオプションが選ばれています。



ホイールは、2015年モデルの発表に合わせて新たにデザインされた10スポークのもので、価格設定の一番高いサテンブラック&ダイヤモンドターンドを履かせています。



フロントグリルやテールパイプはオプションのブラックなので、ルーフやドアミラーカバーもカーボン織りを選択すればもっとエクスクルーシブな印象なのかもしれませんが、Ultimate GTとしてスポーツ感を敢えて強調せず、ラグジュアリーに纏めるという点で納得感もありました。
次のデモカーを発注すれば手離すことになると聞いたので、そのチャンスを待つことにしました。



そんな中、V12 Vantage Sをベースにしたスペシャルモデルを販売すると話を伺ったこともありました。
車両価格は Vanquishと同等か少し高くなるということで気乗りせずに流してしまいましたが、登場したVantage GT12は世界限定100台の希少な存在です。
V12エンジンの最高出力が595BHPに高められ、このスペックはのちに発表されるVanquish ZagatoやVanquish Sへ引き継がれます。



メーカーも本気でなければ、こんなに大きなリアウィングは付けないでしょう。



リアディフューザーもレーシングカー顔負けな迫力があります。
しかしながら、これほど高額な限定車をサーキットで走らせる勇気はありませんし、私には扱えきれないという不安が先に立ってしまいます。
特別感は十二分です。
というより、街中で走るには目立ち過ぎるかもしれません。



Aston Martinにはメーカーオプションとしてフロントのリフトアップ機能が用意されていないので、フロントリップを擦らないか気になります。



フロントをより大きく下げて、いまにも飛びかかりそうな攻撃的な姿勢に見えて格好良い675LT。
CoupeとSpiderで世界限定500台ずつ生産されましたが、光栄にも低走行のCoupeを認定中古でとお話し頂きました。
日本では数少ない右ハンドル設定です。
ハンコを押せば確定という土俵際で考えようとかなり前向きに検討しましたが、自然吸気V12エンジンとオープンカーへの夢が頭をよぎり、見送りました。
このクルマを買っていたら、今も大きなローンを抱えながら楽しいカーライフを送っていたかもしれません。



2016年5月にAston MartinからVanquish Zagatoが発表されます。
しかし、最初に披露されたCoupeバージョンを画像で見たとき、そのデザインに違和感を覚えました。



デザインのあちこちに黄金比を取り入れ均整を取りながら、流れるような美しい造形に仕上げられているVanquishに手を加えて、大きな口、異形なサイドガラス、先の尖ったお尻にして斬新さを採り入れたところでオリジナルに馴染まないし、釣り合いがとれていないのではないか。



しかも、その車両価格は、世界限定99台とはいえ、通常モデルの3倍近い価格に設定されています。
過去のZagatoモデルはいずれも希少で高値で取引されているとはいえ、このデザインで人気を博すのだろうかと疑問に思いました。



しかし、世界のセレブはおぼろげな情報で購入を決めていたらしく、プレス発表されたときに購入枠は残っていなかったようです。
展示車両を見る機会に恵まれたので、折角だと思ってお店に伺いました。



ところがというより予想に反して、実車は写真や動画で見るのとは全く異なり、実に格好良く仕上がっているではないですか。
心のなかで、イタリアの老舗カロッツェリアに白旗を上げました。
外装色のLava Redに金色のアクセントも見事に馴染んでいて、車両そのものにセレブ感が漂っています。



その後、99台限定でVolanteが販売され、同じく99台限定のShooting Brakeや28台限定のSpeedster なども製造されていますが、いずれもプレス発表前に完売したようです。
Vanquish Zagatoは、Aston Martinの中でも憧れのモデルになりましたが、これこそ永遠に高嶺の花として心に刻まれるクルマとなるのでしょう。



Zagatoシリーズの発売から半年ほどのち、Vanquishを改良したSバージョンとしてVanquish Sが発表されました。
エンジンの最高出力は、568BHPからZagatoモデルと同じ595BHPに引き上げられています。
トランスミッションはTouchtronicⅢの8速ATと変わりませんが、0-100km/h加速も0.3秒早くなりZagato Coupeと同じ3.5秒。
最も気になるエンジン音は、オフィシャルビデオを確認した印象では、スロットルを踏み込むと、さらに金属的で乾いた音が際立つように変わっています。



個人的には、美しいVanquishの造形には、シンプルな2本出しのテールパイプが似合うと思いますが、クワッドエキゾースト・テールパイプと呼ばれる4本出しになったことが奏功したのか、エキゾーストも明らかに半音は上がって抜けが良くなった感じがします。
私の勝手な解釈でいえば、これでAston Martinから引導は渡されたと思いました。



その後、ライバルメーカーから魅力的なモデルが発表されます。
McLarenのSportsシリーズから発表された600LT。
675LTを見たときに通常モデルとは異なる格好良さにすっかりと魅入ってしまったので、ロングテールといわれると期待してしまいます。



この攻撃的なリアに600LT Spiderへと靡く気持ちが生まれます。
固定式のリアウィングにゴツいリアディフューザーを追加して通常のSportsシリーズとは全く異なるプロポーションになります。



スロットルを煽ると、リアデッキに取り付けられたエキゾーストパイプから炎が出て、リアウィングは高熱の排気ガスで加熱されるので、走行直後は直に触れないよう注意を要するみたい。



実はこのモデルの発表を聞いたとき、MP4-12Cがデビューした8年前と同じ600PSという抑え気味のスペックが気になりました。
Sportsシリーズとしては最も高く設定されたとはいえ、先行発売したSuperシリーズからみれば同じエンジンながら最も抑えられた出力です。
訴求するなら625PSにしても良かったのではないか、と。



ところが、セールスマンいわく、性能的には675LTに近いレベルにあり、コーナリングは720Sに引けを取らない、とのこと。
スペックでは分からないものです。
LTの称号を名乗るに相応しいマシーンといえます。



シートは、オプションでUltimateシリーズの最新モデルMclaren Sennaと同じカーボンファイバー製のものを装着することもできます。
いずれのクルマも乗りこなせる水準を遥かに超越した世界にあることは分かっているのですが、Mclarenから思い切って第一線の走行性能を持つ最新のスポーツカーはどうでしょう、と問われた気がしました。



Aston MartinからVanquishの後継フラグシップとして登場したDBS Superleggera。
迫力ある大きなボディにVanquishにはない威厳のような威圧感を感じます。
外観から分かる通り、DB9とは異なる全く新しい設計のもとで作られた後継車のDB11と共通のプラットフォームのDBS Superleggeraは、憧れのDBS V12やVanquishとは世代の異なる新しいクルマといえます。



DB11の顔立ちはDB9を現代風にアレンジしたと言われれば納得できるのですが、DB11に似た顔立ちのDBS Superleggeraの巨大なフロントグリルは流石にやり過ぎてしまったな、というのが第一印象でした。
Zagatoでは実車を見て自分の感性の完敗を感じましたが、今度こそAston Martinは・・・



エンジンは、伝統の5,935ccのV型12気筒NAと別れを告げ、新しい5.2ℓV型12気筒ツインターボが搭載されています。
そのスペックは、最大出力725PS/6,500rpm、最大トルク91.8kg•m/1,800-5,000rpmという強力なパワーであり、その冷却に必要という説明がなされています。
そういう意味では、機能に見合ったデザインだと言えるのかも知れません。



ボリューム感のあるリアは、DB9の面影が復活しました。
しかし、美しさより迫力が前面に出ている点で印象は異なります。
只者ならぬ雰囲気は、リアウィングやVanquish Sで解禁したクワッドエキゾースト・テールパイプを採用しているあたりに見られるでしょうか。



迫力満点の雰囲気も慣れると、Aston Martinの持つ美しいバランスを保ちながら、格好良く仕上げられているように見えてきます。
次作「007」の予告編を見ると、ボンドカーではなさそうですが、DBS Supeleggeraが登場しています。
V12 Vanquish、DBS V12とフラグシップモデルが『Die Another Day』から3作に渡りボンドカーに採用されましたが、前作『Spectre』ではDB10というVantageベースに開発された映画専用の車両がボンドカーとなり、第二世代Vanquishが「007」に登場することはありませんでした。
ダニエル・クレイグもAston Martin100周年記念モデル「Centenary Edition」の007番のVanquish Coupeにプライベートで乗っていたのですが・・・

さて、次回に続きます。
Posted at 2020/10/30 20:54:07 | コメント(2) | トラックバック(0) | 徒然草 | クルマ
2020年10月02日 イイね!

カーライフを振り返る_前編

カーライフを振り返る_前編現在、いすゞ117CoupeとBMW M6 Coupeの2台を所有しており、充実したカーライフを送っています。
自分の経済力に鑑みれば、恵まれた環境といえますが、人間の欲とは恐ろしいもの。
もう十分といえるはずなのに、もう少し贅沢したいという思いもあります。



自動車免許を取得したときに親から譲り受けた117Coupeをずっと維持してきましたが、9年ほど前、この1台で過ごすのは実用性からみて厳しいとの境地に至り、新たなクルマを探すことにしました。
もちろん、子供の頃から慣れ親しんできた117Coupeを手離す覚悟だったので、入替えても惜しくないクルマにしなければならないと意気込みました。



条件は、デザインが良くて、十分な走行性能もあるけれど、トランクにゴルフバックが2本入ること。
オープンカーに乗りたい気持ちもありましたが、トランクの一部がルーフの収納スペースとして使われると十分な容量を確保できなくなり、条件に合致するクルマが見つからない可能性もあるので、サンルーフ付きならベストだと考えました。



候補を色々と考えているうちに、沢山の思い出が詰まった117Coupeに代わるクルマを探すのは不可能だと悟り、レストアしてセカンドカーにしようと方針転換します。
一方、増車となれば維持費もかさむので、メインカーはほどほどの価格で10年は楽しく乗れるクルマという目安を置くことにしました。



これにより、一番の憧れであったAston Martin DBS V12が選択肢から外れました。
DBS V12は、グランドツアラーの中核車両として美しさを追求したDB9をベースに、よりスポーツ走行が楽しめるよう性能アップが図られたフラグシップモデルです。
DBS V12とDB9の見た目はかなり似ていますが、DBS V12専用に設計されているパーツが多く、外装でいえばフロントスポイラーやボンネットのエアアウトレットにその違いを見て取ることができます。
最高出力は、先代のフラグシップモデルにあたるV12 Vanquish Sから10BHP抑えられて510BHPとなっていますが、180kgもの軽量化が図られたこともあり、0-100km/h加速は0.5秒短縮して4.3秒です。



実用面で考えれば、収納方法を工夫したとしてもトランクにゴルフバック1本が限界ですし、中古車ですら高嶺の花で実現は不可能だろうと薄々分かっていたのですが、117Coupeに代わりうる一生モノとの密かな思いが潰えることになりました。
映画「007」でダニエル・クレイグが扮するジェームズ・ボンドが操るボンドカーに『Casino Royale』、『Quantum of Solace』と2作続けて選ばれたクルマを運転できたらというのは夢で終わりました。



メインカーの条件として、信頼性があって日常で使いやすいという要素は重要なので、ドイツのプレミアムブランドから選ぶことに決めます。
さらに検討を重ねて対象を絞り込み、親しみのあるBMWグループの中から、第一候補にアルピナ、第二候補にMモデルとしました。



アルピナは流通量が少なく、辛抱強く探し続けたものの、私にとって最強の組み合わせであった外装がアルピナグリーンに内装がサンドベージュという個体は見つかりません。



そのうち、第二世代のiDriveであるCICが搭載されたインテルラゴスブルーのBMW M6がとても気になるようになりました。
内装は黒とベージュのツートン、フェイシアにウォールナットという設定も自分の好みに合致します。
売りであるカーボンパネルのルーフのおかげで、サンルーフを諦めざるを得ないのが何とももどかしい。
しかし、そんな悩みも実車を下見した際、初めて聞いたエンジンのスタート音の迫力に圧倒され、全てが吹き切れました。



クルマに興味がない方からすれば、BMW M6と聞いてもドイツのプレミアムブランドのクルマということでしかなく、6 Seriesは上位のモデルに位置付けられていると認識していればそれなりにご存知の方です。
それでも、M6と聞いたところで、どんなクルマなのかまでの知識はないと思います。



二代目M6の魅力といえば、何といってもV10エンジンとSMGとの組み合わせにあるといえます。
とはいえ、クラッチ保護のためシフトチェンジを遅めに設定してオートマモードで街中を走ると、舟漕ぎボートみたいなシフトアップが繰り返されてスムーズに走れません。
しかも、日常域でのスロットルに対するエンジンの反応は鈍く、周囲の流れに乗るのが精一杯という感じ。
ストップ&ゴーでは力が発揮できず、都心部の一般道であればピックアップの良いファミリーカーのほうが運転しやすいと思います。



少しでも快適にとなれば、パドルシフトとスロットルを上手く制御しながらマニュアルモードで走らせる必要があります。
それでも、シングルクラッチの無骨な繋ぎで、シフトアップするならエンジンをもっと回して欲しいと訴えかけてきます。
そして、エンジン回転数が3,000rpmを超えてくるとパワーが湧き出し、V10特有の波長を持った音が室内に充満し始めます。
穏やかに運動するつもりが、クルマに乗せられて気持ちが昂ります。
その結果、都心部の一般道を走り続けると、3.5km/ℓと6ℓ級のV12エンジンを凌ぐ燃費を記録することになります。



また、高級スポーツカーに近い性能を備えているとはいえ、目で追いかけるのは欧米人が中心で、日本人から注目されることはほとんどありません。
逆にいうと、BMW M6というクルマを気兼ねなく日常で使うことができるということになります。
自分だけが知っているという歓びがあるといっても過言ではありません。



さらに、BMW M6に乗るようになって、117Coupeの良さもより認識できるようになりました。
どちらもグランドツアラーで、後席は狭いものの前席はゆったりとしたドライブができるよう、快適な空間が広がっています。
長距離を優雅に駆け抜けるためのクルマであると同時に、スロットルを意識的に踏み込むと爽快な走りが楽しめます。 



このように、BMW M6にはマイナス要素がありますが、私の満足度は極めて高く、次のクルマがイメージできないというジレンマがあります。



もう一つの誤算は、BMW M6の満足度は高いとはいえ普段使いするので、刺激が薄らいでしまうという点です。
もし、メインカーを別に用意してサブカーとして購入していたら、もっと満足感に浸れるのではと思う瞬間があります。
そう、この心の隙に、偶にはスペシャルなクルマを運転したいという思いが芽生えるのです。



この気持ちは第二世代のVanquishの登場により強くなります。
Aston Martinが2013年に創立100周年を迎えるにあたり、Vanquishを「これからの100年の形を象徴した車」と評してDBS V12の後継フラグシップモデルとして発表します。
そして、このクルマを後方から見たときに、ある種の衝撃を覚えました。



サイドを筋肉質な造形で絞り込み、ボディと一体化したリアスポイラーとヒップアップにより、リアに向かって流れるような美しいスタイルに仕立てられています。
このように感じるのは、チーフデザイナーであるMarek Reichmanが、DB9やVantageのリアデザインをOne-77に取り入れて進化させ、Vanquishでさらにスタイリッシュに仕上げたことにより、1つの完成形に到達したからではないかと想像しています。



というのも、Vanquishのリアやサイドのデザインは、One-77からインスピレーションを得たと紹介されていますが、DB9やVantageからOne-77に受け継がれていた愛らしい面影が消えているからです。
Vanquishは軽量化のためAston Martinの量産モデルとして初めて全てのボディパネルにカーボンが採用しており、これによりパネル形状の自由度が格段に向上して、従来のモデルとは異なるデザインが実現可能であるというメリットを生かした点も見逃せません。



2012年の発表から8年が経ちましたが、私にとって、これ以上に均整のとれたクルマは存在しません。
もちろん、購入を断念したDBS V12より新しいモデルのVanquishを手に入れるハードルは高く、新車をオーダーできる経済的な余裕などありません。



そんな中、走行距離は僅か780kmという極上のVanquishと出逢うことになります。
外装色はApple Tree Greenといいます。
この色は、Vanquishのイメージアップのために用意したスペシャルカラーなのか、デモカーとして何台か製造されているようで、本国で撮影されたYouTube動画でも度々見かけていました。



動画で見ると、綺麗なメタリックの黄緑色でかなり目を惹くはずなので、日本に入ってくることはないかな、と。
だから、極上の状態で手に入れられるチャンスが巡ってくるとは予想もしていません。
もう、押っ取り刀でお店に駆け込みました。



実車は予想を遥かに超越する美しさで、目の前にすると溜息すら出てしまいます。
観ているだけで満足感に包まれ、欲しいとか運転したいなどという邪念が湧かない不思議な感覚を味わいました。
傷ものにならないよう、走らせないで飾り物として保管しておくのが良いのではないか、と。



残念なのは、英国車なのに私にとって抵抗感のある左ハンドルという設定です。
また、Vanquishに搭載されているZFと共同開発したTouchtronicⅡの6速ATはシフトチェンジが早くないのか、シフトアップしたとき張りのないエキゾーストが響くというのも引っかかっていました。もし、7速SMGのBMW M6に乗っていなかったら、気にも留めなかったかもしれません。
この点に関し、2015年モデルからシフトスピードを向上させた8速ATであるTouchtronicⅢを搭載するとの発表を認識しており、オフィシャルビデオでも高くて官能的なエキゾーストを轟かせているのを確認していました。
暫く悩みましたが、一世一代の高価なクルマを購入するのに目は瞑れないと見送りを決断しました。



同じスペックのエンジンが搭載されたV12 Vantage Sにも目を向けました。
車両価格は、Vanquishに比べて1,000万円ほどお手頃に設定されています。
Aston Martinのピュアスポーツを担うクルマとして登場したVantageの愛称はベイビーアストン。
その顔はちょっと可愛らしい印象です。



しかし、ボンネットに空いた大きなエアダクトの下には565BHPを発するV12エンジンが搭載されているから伊達ではありません。
0-100km/h加速は、6速ATのVanquishより0.2秒速い3.9秒です。



トランスミッションは、SportshiftⅢという7速SMGが搭載されており、AT車のVanquishとは違ってシフトチェンジによるエキゾーストが締まっていて小気味好いです。
車重もVanquishより70kgほど軽量で、2速、3速での加速は低回転域からレブリミットまで長くて力強い。
V12サウンドの高まりとともに、程良い緊張感に包まれ、極上の瞬間を味わえます。



足回りはVanquishより明らかにタイトに設定されており、路面の凹凸が室内に強く伝わります。
運転するならそれも楽しさの一つといえますが、助手席に人を乗せるのであれば理解がある方でないと厳しいと思います。
実は、このVantageにはゴルフバックがトランクに2本入ります。
リアハッチに沿うように左右に1本ずつ。
後方視界は遮られるでしょうが、ゴルフ場に向かう足として使われる方もいらっしゃるそうです。



そんな中、突如として私の目の前に現れたのがSamalanca Blue Metallicで塗装されたWraith。
光の加減で色目が大きく変化するこのメタリックブルーがWraithの高級感をさらに引き立たせ、新たな世界観を知ることとなります。
Rolls-Royceがクーペを作るとこうなると世に問うたクルマですが、優雅さが漂う均整の取れたリアの造形は他に類がありません。



内装は贅沢な装飾品の集合体になっていて、車両価格は5,000万円と言われても納得するでしょう。
それが今まで夢見たスポーツカーと新車価格がほぼ同じで3,000万円台。



このデモカーには、マイスターがルーフライニングにファイバーを1本1本縫い込んで作ったスターライト・ヘッドライニングが装備されています。
スペシャルな1台にこういうクーペもありなのかと大きな刺激を受けました。



エンジンは6.6ℓV12ツインターボなので、大きなボディながら0-100km/h加速は4.6秒と愛車のM6と同等です。
スロットルを床まで踏み込みと、少しラグは伴いますが、力強い加速を楽しめます。
そして、ブレーキも良く聞きます。



街中では路面の上を滑っているかのような「マジックカーペットライド」は、高速道路に乗ると刺激的な乗り味になります。
うねりのある路面をハイペースで駆け抜けると、車体がゆっくりと揺れるうえにステアリングが軽くて手に舵感が伝わらないので、接地感が薄く、お腹の下あたりがフワフワします。
車窓の流れが速ければ、座席から振り落とされるのでは、と何とも心許なくなります。
例えていうなら、電車内で手すりなどに捕まらずに立っているとき、スピードが上がってくると下半身が軽くなって足裏に力が入らないのに似た感覚と表現するのが一番伝わるでしょうか。



ところが、カーブ手前で速度を落とさずにステアリングを切ると、車体が外側に傾き始めますが、そこでピタリと止まります。
それではと、スロットルを意図的に踏み増して加速させても、更なるロールはなく足回りがしっかりと支え、思いどおりのラインを駆け抜けてくれます。
ナビ情報で舵角を予測して足廻りを制御しているという話もありますが、ここぞというときにしっかりと支えてくれるので、慣れれば最高のセッティングなのかもしれません。
ちなみに、GHOSTでスラロームにチャレンジさせてもらったことがあるのですが、ふらつくこともなく、ステアリング操作に足が反応して頭がしっかりと入って面白いように決まります。



もちろん、エフォートレスを信条に設計されているだけのことはあって、ステアリング径は大きく握りが細いうえに、日本車のパワーステアリングみたいに軽いので、スポーツカーみたいな走りを楽しむには違和感があります。
走行性能の高さに驚かされると同時に、正統な乗り方とも思えず、Wraithに申し訳なくなってしまいます。



一度はオーナーを夢見ましたが、現実的に考えると乗っていく場所が思いつきません。
ファントムより一回りは小さいとはいえ、庶民の生活ではどこに行くにしても、駐車スペースを確保するのに苦労するはずです。
やはり、私の生活環境で選べるクルマではないのかな、と。
Rolls-Royceは、恰幅の良い裕福な紳士が優雅に乗るからこそ、オーナーとクルマの品位が相乗効果で引き出せマッチングするというのが結論です。

長くなりましたので、次号へ続きます。
Posted at 2020/10/02 22:24:07 | コメント(4) | トラックバック(0) | 徒然草 | クルマ
2020年05月02日 イイね!

海外で見かけた名車たち 後編

海外で見かけた名車たち 後編欧州の小国巡りは、ドーハを経由してチューリッヒ国際空港からバスでリヒテンシュタイン公国に向かいます。
面積は153km² と世界で6番目に小さい国ですが、高度な印刷技術を活用して各国の切手を作るとても裕福な国だそうです。
首都ファドゥーツは小さな街で、主要な観光スポットも集まっているので半日もあればひと通り見学できます。
手前右手に写る国旗を掲揚した建物が国会議事堂、その屋根の上あたりの山の上に見える建物が今も公爵が住むファドゥーツ城。



さて、国会議事堂から目と鼻の先にあるファドゥーツ大聖堂の見学を終え、メインストリートに向かって階段を降りている最中に見かけたBMWF06。
6シリーズのグランクーペがやってきたとiPhoneを向けるも、シャッターチャンスを逃してしまいました。
正面右に見える大きな家は、招待客をもてなすゲストハウスとのこと。
ただ、走っているクルマは近隣諸国からやってきているのか、超高級車を見かけることはありませんでした。



次なる小国に向かって移動中、スイス領の中にあるイタリアの飛び地であるカンピョーネ・ディターリアで休憩中に見つけたマセラティレヴァンテ。
このとき、かなり大きなクルマだと初めて認識しました。
マセラティが製造するSUVだけあって高級感が漂っています。



小国巡り2か国目のサンマリノ共和国で見かけたフィアットパンダ。
フロントバンパーに4×4専用のものがついているので、FFではなく4WDになるのでしょうか。
外装色の濃い目の赤が良い感じです。
ここはサンマリノ要塞の中にあるツーリストインフォメーションです。
有料にはなりますが、パスポートに入国のスタンプを押してもらうことができます。
面積が61.2km²と世界で5番目に小さい国ですし、記念になるので押してもらいました。



小国巡り3か国目のヴァチカン市国のサンピエトロ広場前に停まるBMWi3。
ボディカラーからも分かるとおり、イタリア警察の車両です。
ちなみに、軍隊はスイス衛兵が任にあたっているそうです。
面積は0.44km²しかなく、世界で最も小さい国であることはご存知のとおりです。



小国巡り4か国目のモナコ公国で見かけたカジノ・ド・モンテカルロ前に停まる黒塗りの高級車たち。
手前から奥に向かって、アウディRS6、メルセデス・ベンツEクラスクーペ、メルセデス・ベンツSクラス、最後がメルセデス・ベンツBクラスです。
ちょっと現金なことをいうと、建物入口に近い手前に向かって段々と残価が高くなっている気がします。
私のE63M6で乗り込んだらここに停めさせてもらえるのでしょうか。
ちなみに建物内には誰でも入れますが、カジノのフロアに入るにはドレスコードをクリアしなければなりません。
ここはお金持ちの立派な社交場なので、残念ながら、観光客がひと勝負しようと気軽に遊ぶことはできません。



そして、建物入口の正面に置かれた真っ赤なフェラーリFF。
ナンバープレートに「MC」と書かれているので、オーナーはモナコ在住の方でしょう。
面積が2.02km²しかない世界で2番目に小さい国ですが、ここに住みたいと希望する人はかなり多いようです。
しかしながら、許可を得るのに預金1億円以上とか総資産10億円以上などと言われていますが、背後には山が迫り居住地が限られるため、ハードルはかなり高いみたい。



F1モナコグランプリで使われるモンテカルロ市街地コースのフェアモント・ヘアピンからポルティエまで歩いてくると、目の前にはあのトンネルの入口があります。
同じくモナコナンバーを付けたBMWE39のツーリングは反対周りで出てきたところです。



観光バスが停まっている駐車場に近づいたとき、最高級スポーツカーが現れました。
何と、ブガッティヴェイロンが止まっているではないですか。
写真は撮り損ねてしまいましたが、カジノ・ド・モンテカルロとの往復の間、ベントレーコンチネンタルGT、マセラティグランツーリズモ、レンジローバー、メルセデス・ベンツE63AMGなどの海外でほとんどお目にかかれないクラスの高級車が走っているのを目撃しました。
しかし、選ばれしものしか購入が許されない超高級車を海外で目撃するのは初めてです。
ツアーでご一緒の方たちに話をすると、さすがに一同唖然です。



5つ目の小国に向かう途中、ランチ休憩で立ち寄ったリヴィアというイタリア領の中にあるスペインの飛び地で見かけたアウディ100。
トランクリッドに「2.8E」と記されたオーナメントが奢られていたので、V型6気筒2.8ℓSOHCエンジンが搭載されているモデルでしょうか。
ナンバープレートに「E」と書かれているので、スペインの登録車ですね。
ご一緒する方がバブルの頃に乗っていたというので、お金持ちですねと返して話に花が咲きました。



そして、小国巡りの最後となるアンドラ公国は、面積が468km²と観光した5つの小国の中では最も大きいですが、それでも世界で17番目に小さい国です。
ただし、ピレネー山脈の中にあるので、平坦な地形が少なく、住みやすい地形にある場所は限られそうです。
街中を走る自家用車はみなピカピカに磨かれているということに気がつきます。
日本も含めてこれ以上に綺麗にして乗っている国は今のところありません。
民族博物館のカサ・ルール博物館近くに止められたサーブ9-5エステート。
トランクリッドに「3.0TiD」というオーナメントが奢られていたので、V型6気筒3.0ℓのディーゼルエンジンが搭載されたモデルでしょう。



M2クーペのイメージカラーといえば、このロングビーチブルーではないでしょうか。
ゴールドのキャリパーはオプションのカーボンブレーキを採用した証です。
もちろん、このクルマも綺麗に磨かれていました。



さて、2年前のゴールデンウィークに台北に行ったときにホテル入口に停まっていたフェラーリ488GTB。
外装色は、フェラーリでは見たことがないグレー系です。
日本で考えると、多くの方が赤か白を選ぶでしょうし、黒、黄色、青、シルバーなどが少数派として続くのではないでしょうか。
赤といってもフェラーリは純正で何色かありますし、日本人の感覚ではこのオーナーは思い切った選択をしたという印象ではないでしょうか。



その向かいにはフェラーリディーノが止まっていました。
ディーノオーナーのみん友さんにホイールがセンターキャップになっていないので246ではと予想していただきました。
フロントバンパーは細いでしょうか。
残念ながら、リアからの写真もなく見分けるためのヒントは少ないです。
台湾ではフェラーリといえばこういう色が流行りということではないのでしょうが、こちらも488GTBと同じく渋いグレー系で塗装されています。



点心料理店として最も有名といえる鼎泰豊本店で食事した後、腹ごなしに永康街を歩いていると、黄緑色のランボルギーニーウラカンが走ってきました。
純正色のヴェルデマンティスだと思うのですが、グレー系のフェラーリとは違ってとても目を惹きます。



日本統治時代を思わせる街並みの迪化街という問屋街を散策していると、ポルシェパナメーラが止まっており、思わず写真に収めました。
ちょっと場違いな感じなのですが、「黄永生」という乾物屋は日本のガイドブックやテレビで取り上げられるくらいなので、もしかすると、店のオーナーが購入したクルマなのでしょうか。



次は、2年前の夏に行ったポーランドで気になったクルマを紹介します。
まずはホテル前の道路に止められていたBMWE46。
真っ赤なボディカラーにMスポーツとくれば、かなり目を惹くのではないでしょうか。



白いクルマは、パサートヴァリアントでしょうか。
フォルクスワーゲンは各車種の顔が似ているので、見分けるのが苦手です。
この写真の隠れた主役は後ろに写るトラム。
ワルシャワ市内に縦横無尽の網を巡らし、あちこちで走っているので、上手く乗りこなせれば便利だと思います。



ワルシャワの文化科学宮殿の脇にある駐車場に止められていたポーランドの自動車メーカーFSOのポルスキ・フィアット125P。
ポーランド政府がフィアット社とライセンス契約を結んでいた時代に開発したクルマのようです。
サイドガラスの内側から貼られたビラに何が書いているのか分かりませんでしたが、ワルシャワ市内を観光するためのガイド車両であると紹介しているのではないでしょうか。



無名戦士の墓があり、衛兵の交代が目玉のサスキ庭園の脇に停まっていたポーランド警察のパトカー。
韓国自動車にはかなり疎いのですが、起亜自動車のシードという車種のツーリングワゴンではないでしょうか。
ここ10年ほど前から欧州で見慣れないクルマを確認すると韓国車ということが増えました。
日本車はリアから見ると独特の雰囲気があるのですぐに分かるのですが、韓国車は欧州車をお手本にしているのか、周りのクルマに同化してしまってシルエットで見分けるのは不可能だと思います。
国産メーカーの中では、最近のマツダ車はデザインに統一感がありアイデンティティを確立してきていますが、同時に欧州車の雰囲気が漂っているとも言えるでしょうか。



旧王宮近くのポドバレ聖三位一体教会前に止められたBMWE39。
阪急電鉄を思わせる渋いあずき色がかなり素敵です。
ワルシャワは第二次世界大戦により大半が破壊されてしまいましたが、戦前の姿を復元して世界遺産に登録された街ということもあり、現行モデルより一昔前のモデルのほうが溶け込んで自然な感じがします。



旧王宮と旧市街地を結ぶロイヤルルート沿いにあるラッフルズ・オイロペスキー・ワルシャワという5つ星のラグジュアリーホテル前にBMWG11が3台。
G系の7シリーズが発表されたとき、縦に大きなキドニーグリルがヘッドライトと繋がっているフェイスが受け入れられませんでしたが、こう見ると格好良く見えます。
Mスポーツのフロントグリル締まった顔立ちにしているのでしょうか。
フェイスリフトしてキドニーグリルが大型化した後期型はまだ受け入れられません。



その道路の斜め向かいのホテル・ブリストル前にはGMコルベット。
ピカピカに磨かれており、極上の状態を保っていると思います。
2代目以降のエッジを利かせたシャープなデザインがコルベットのイメージなので、この初代は名称こそコルベットですが別のクルマといった印象です。
クリームイエローとホワイトのツートンカラーのボディと薄いグレーの幌がメッキと上手くマッチしています。



昨年のゴールデンウィークも恒例になってきた台北へ。
そして、鼎泰豊本店での食事後に永康街を歩いていると、大胆にも道端に止められたサテン仕上げのBMWG11に出会います。
比較的人通りの多い場所に止めておいてキズでも付けられたらと気にならないのか、と考えるのは神経質過ぎますかね。
7シリーズに艶消し青紫色というのは個性があってとても良いのですが、ブラックのホイールがブレーキダストで汚れていたのが少し残念です。



宿泊したホテルに停まっていたアストンマーティンDB11。
ボンネットベントが4つあるのでV型12気筒5.2ℓツインターボエンジンを搭載したモデルです。
外装色は、シナバーオレンジでしょうか。
グロスブラックとのツートンにすることで締まった印象になります。



最後が半年前に行ったイスラエルから2台を選出。
1台がエルサレムのオリーブ山ユダヤ人墓地を訪れたときに入口付近に止められたBMWE34。
墓地を見学中にこの時代のBMW独特の野太いエキゾーストを轟かせてかなりの坂を駆け上がっていきました。



もう一台がベツレヘムで見かけた真っ赤なフォルクスワーゲンゴルフⅡ。
フロントグリルに高性能グレードの「GTI」のバッチが見えます。
ただ、このグレードの特徴である赤いストライプで囲まれたグリルではないのです。
ただ、心のどこかに高い壁に囲まれたパレスチナ自治区にいるという閉塞感があるなか、このクルマを見て何だか活力をもらえたと感じたのは事実です。

さて、これにて前後編に分けて綴ったブログは終了します。
最後までお読みいただきありがとうございました。
Posted at 2020/05/02 15:18:20 | コメント(5) | トラックバック(0) | 徒然草 | クルマ
2020年04月29日 イイね!

海外で見かけた名車たち 前編

海外で見かけた名車たち 前編行政からの外出自粛要請が続く中、皆さまどのようにお過ごしでしょうか。
幸いにも、今のところ私の周りでウィルス感染が確認された方はおりませんが、連日の報道にもあるとおり、ひとたび発病すれば、本人ばかりか周囲の方の人生まで大きく変えてしまう恐ろしい病気であるといえます。
この世界的なパンデミックがなければ、ゴールデンウィークを前にして台湾で楽しい時間を過ごしているはずでした。
ところが、その予定を早々にキャンセルしたばかりか、今や外出もままならない状況にあります。
そこで思いついたのが、普段より時間があるので、手間のかかりそうなテーマでブログを作ってみよう、と。
ここ十数年、年に1回は海外旅行をしているので、行き先で見つけたクルマの写真を集めることにしました。
ただし、旅行中にクルマを意識的に撮るようになったのは最近になってからであり、デジカメが壊れてPCに取り込めないものもあるので、年数が飛び飛びになることをお許しください。
時間潰しにでも楽しんで頂けると幸甚です。

タイトル画像は、14年前に中欧4か国を周ったときにブダペスト市内で見かけたクルマです。旧ソビエト連邦のアフトヴァース社が、フィアットからライセンスを受けて販売したラーダ1200のようです。
自動車に詳しい方ならフィアット124というかもしれません。
見分けるとしたら、グリルに付けられたエンブレムでしょうか。
フロントグリルに赤いエンブレムが付いているのでフィアットだと言いたいところですが、ラーダというヴァイキングが乗っていた帆船を図案化したものがモチーフとして描かれています。
ちなみに、当時のフィアット社は「FIAT」と黒文字で横書きされたものを使っています。



ブダペスト市内の散策を続けていると、ちょっと草臥れた感じのトラバントP601が止められているのを見つけました。
ドイツ製といっても旧共産圏の東ドイツが製造したこのクルマは何とも洒落っ気のないデザインです。
ハンガリーは、隣国のスロバキアなどとは比べ物にならないほど経済的に発展していましたが、こういうクルマが日常に使われていると思うと何とも切なくなります。
一方、無駄がないという意味では、このボディサイズにしては室内やトランクが広く使える実用性を兼ね備えているように見えます。



次は、10年前に英国旅行でエジンバラを歩いているときに見かけたタスカン。
日本で見かけるTVRは目立ちにくい無彩色が多いという印象がありますが、本国で綺麗なブルーの1台に出逢えてテンションが上がりました。
グリーンシグナルの点灯とともに緩いスロープを低いエキゾーストを轟かせながら駆け上がっていったという記憶があります。
当時のデジカメだけあって画質はかなり粗いですが、偶然に撮った1枚としては、背景・構図とも上出来だと思います。



ロンドンで宿泊したホテル近くにある広場に止められていたモーガン。
英国だとこういうクルマも自然に見えます。
ピカピカに磨かれているのではなく、適度な汚れや使用感があって少しやれた感じが、このクルマを引き立てている気がします。



9年前には初めてのイタリア旅行。
北イタリアの大都市を中心に周遊しました。
日本車を見ることはほとんどありませんでしたが、フィレンツェで見つけたのがトヨタプリウス。
当時、日本でもプリウスのタクシーは珍しかった記憶があります。
いま見るとあまり違和感がないかもしれませんが、私にとっては貴重な1枚です。



その翌年は、シチリア島と南イタリアへ向かいました。
マテーラの洞窟住居を観光中に見かけたスマートクーペ。
ここは世界遺産に指定されている旧市街地なので、今や洞窟を作ることは禁止されていると思います。
ということは、このクルマにとって、暑さ対策に十分な駐車場が用意されていたということでしょう。



マテーラの旧市街地を背景にシトロエンC4ピカソで1枚。
本国ではC4ピカソは2列シート、グランドC4ピカソが3列シートのものをいうようですが、日本ではグランドC4ピカソをC4ピカソとして販売していたというからややこしい。
さて、ここは公開が延期された007 ノー・タイム・トゥ・ダイのロケ地になっています。
この南イタリアの貧困の象徴ともいわれる場所が舞台に選ばれたのは、今度こそジェームズ・ボンド役として最後といわれるダニエル・クレイグと何か関連があるのでしょうか。



7年前にはオーロラ鑑賞のためスウェーデンのサーリセルカに。
ホテル前の駐車場にBMWF30が2台止まっています。
冬は雪道を走ることになるので、私ならBMWより4WDかFFのアウディになびくと思うのですが、ドリフトさせながら駆け抜ける歓びを楽しむのもありなのかもしれません。



ヘルシンキで見かけたのは真っ白のポルシェ911。
この頃、type991はまだ珍しかったと思います。
幌と内装に赤系を選択してオシャレにまとめていました。
慣れない日本人には歩きにくいですが、街中でも石畳というのが良いです。



6年前には黄熱病の予防接種をしてブラジルへ。
旅行の目玉であるイグアスの滝を見るため、アルゼンチン側の入場口に向かっているときに撮影したルノーセニック。
丸みを感じるデザインそのものでも分かりますが、サイドモールの樹脂でボディを飾っているのがフランス車らしいところです。
ちなみに、予防接種は10年有効とのことなので、これから4年以内であればコスト削減ができます。



旅行のもう一つの目玉であったレンソイス白砂漠観光の拠点となるバヘイリーニャスで宿泊したホテル前に停まっていたフィアットパリオ。
車種を特定するまで苦労したのですが、調べるとフィアットの発展途上国向けの世界戦略車であり、日本に正規輸入されていないようです。
赤紫色の花を咲かせている木はイペ・ロショという名の広葉樹で、ブラジルの国花になっているイペ・アマレーロと同樹種です。
さて、ここバヘイリーニャスから日本に帰るには、最寄りのサンルイス空港までバスで4時間かかり、そこからリオディジャネイロまで飛んでアメリカ経由で戻ることになります。
日本の裏側からなので仕方がないのですが、現地から家までちょうど48時間かかり、私が旅行した中では現時点で最長記録です。



5年前には2度目の台湾。
宿泊するホテルに荷物を置いて台北市内を歩き始めるとランエボの痛車が目に入り、思わずシャッターを切ります。
痛車なんて日本だけの文化なのかと思えば、台湾でも浸透しているのですね。
調べてみると、アニメ「ニセコイ」の少女「桐崎 千棘」が描かれていて、「zyjacya in love」は“〜永遠の愛〜”というタイトルのようです。



台北松山空港近くのポルシェセンターに展示されていた911 Turbo S。
911シリーズの中でtype997ファンが結構いらっしゃると思いますが、私はより流れるような滑らかなデザインのtype991が好きです。
デモカーというより展示車に見えるのは、日本のショールームと雰囲気が違うからでしょうか。



美味しい小籠包が食べられると有名な「名月湯包」という店を探して地図を片手に歩いていたときに、読み違えて入り込んでしまった住宅街で見かけたサーブ9-5。
今や消滅してしまいましたが、とても気になるブランドです。
というのも、両親がいすゞ117クーペの次に選んだクルマがサーブ900Turbo S。
当時の実家は車庫が狭く、ミディアムクラスを駐車するので精一杯。
他にも、候補としてBMW5シリーズとメルセデス・ベンツEクラスが収納できるか実家の車庫までやってきましたが、正直なところ、不格好に見えるサーブだけはやめて欲しいと思っていました!
せめて900ではなく、9000だったら馴染めるのに、と。
9000はボディサイズが一回り大きくなるので、我が家の車庫には厳しいというのが父親の答えでした。
サーブがやってきて、3年くらいは好きになれませんでしたが、今では独特なシルエットにもすっかり慣れて、かなり格好良いなあ、と。
エンジン音はマフラーからボロボロと独特のエキゾーストを奏でて、フルスロットルにすると1,800rpmあたりからキュイーンと飛行機が離陸するときのような音を響かせ、ターボの力でドカンと加速します・・・
想い出になると長くなるので次にいきましょう。



4年前には2度目のスロベニア・クロアチアへ。
スロベニアの首都ザグレブで見つけたBMW E60。
現行モデルであった当時、5シリーズとして受け止められなかったデザインですが、後継モデルとして正統的なデザインに戻ったF10が走り始めた頃からクリス・バングルがデザインしたといわれるこのクルマの良さに気がつき始めました。
欧州では、メルセデス・ベンツのEクラスやアウディのA6がタクシーになっていたりします。
日本国内でもE60がタクシーとして走っていたら乗せてもらいたくなります。



この日はクロアチアで「民族および国民の少数の感謝祭の日」というお祝いの日だったので、ザグレブの旧市街地は賑やかな雰囲気でした。その中心広場の道路向かいの端にシトロエンDSが止められていました。
何だかお座りしてご主人様を待っているお行儀の良い犬みたいで、可愛らしさを感じました。



宿泊したホテルの裏の駐車場に停まっていたメルセデス・ベンツW123。
リアシートに荷物をたくさん積載していて室内は整理されていませんでしたが、外装はかなり綺麗です。
外装色は純正カラーのカレドニアグリーンでしょうか。
最近のメルセデス・ベンツには似合わないと思いますが、80年代という時代背景によるものなのか、同じメーカーでもこの時代に製造されたクルマにはマッチするという不思議な色だと思います。



プリトヴィツェ湖群国立公園からアドリア海に向かってハイウェイを走行中に立ち寄ったパーキングエリアに停まっていたアルファロメオ159。トランクリッドに「2.4」と記されたオーナメントが奢られていたので、日本未導入の直列5気筒2.4ℓディーゼルエンジンを搭載したモデルでしょうか。
ちょっと厳つい顔付きは慣れるまで時間がかかりましたが、今となっては味のあると思えるデザインにさすがは巨匠ジウジアーロが参画したデザインだけのことはあるな、と。



旧市街地が世界遺産に登録されているトロギールではBMWE34を見かけました。
5シリーズでは最後の丸目4灯のモデルです。
やはりBMWらしさが際立つデザインです。
それにしても前後をこんなに詰められてしまったら無傷で出ることができないのではと心配しましたが、ランチ後に再び同じ場所を通ると後ろに停まっていた赤いフォードフォーカスがいなくなっていたのでほっとしました。



スロベニア・クロアチアに初めて行った14年前はどの旅行会社のツアーも一緒に組まれていなかったボスニア・ヘルツェゴビナのモスタル
現地の旅行会社との商品開発が進んだからなのか、このツアーは一緒に組まれていました。
もちろん、目玉は世界遺産のスタリ・モストです。
自由時間に橋から少し離れて歩いていると、ちょっと傷んでいるBMWE30を見つけます。
このクルマのリア側の背後に写る建物の壁面が虫食いみたいに見えますが、これはユーゴスラビア内紛の時代に砲弾が当たってできた痕です。



スタリ・モストからバスの乗り場まで歩いている途中で見かけたメルセデス・ベンツW123。
こちらもかなり傷んでいますが、頑強なメルセデス・ベンツにあってはこれくらい何てことはないでしょうか。
トランクリッドに「200D」という見たことがないオーナメントが奢られていたので、調べてみると日本には正規輸入されなかった直列4気筒2ℓのディーゼルエンジン搭載モデルのようです。



クロアチアのドブロクニクから南イタリアのバリーまで移動する夜行のフェリーで見つけたスマートクーペ。
ナンバープレートの登録はドイツなので、南イタリアからドイツまで走破するのでしょうか。
話は逸れますが、ドブロクニクに訪れた14年前は、地雷の撤去作業が未了のため背後に聳えるスルジ山の中腹から先は立入が禁止されていました。
ところが、8年経って訪れてみると、山頂までロープウェーが設置され、展望台から旧市街地の景観を楽しむことができるように変わっていました。
クロアチアでは地雷注意の立て看板を見かけることもほとんどなく、安心して観光できるようになりましたが、ボスニア・ヘルツェゴビナでは内戦により放棄され廃墟となった建物も所々に残っており、その傷跡がまだ残っている印象があります。



南イタリアのアルベロベッロでは、観光客をかき分けるように走ってきたトゥルッリみたいに可愛いルノー4を見かけました。
華やかな北イタリアの大都市に比べると、経済的な格差を感じるアルベロベッロ。
傷みの目立つこのクルマがその象徴のようにも感じました。



帰りはナポリ・カポディキーノ国際空港からローマ経由で帰国しましたが、空港に展示されていた718ケイマンS。
発表から10か月ほどとそれほど時間が経過しておらず、このとき初めて実車を見ました。
このPDKモデルの車両価格は€67,102と表示されていたので、日本での販売価格865.4万円との換算で計算すると€1=129円と当時のレートで考えるとそれほどマージンは考えていないようです。



3年前のゴールデンウィークには北インドへ。
小型三輪タクシー「オート・リキシャ」はニューデリー市内で大活躍です。
大型観光バスなど物ともせずに合間を縫って前に前に走っていきます。
時速40km/hくらいであれば並走できるので、なかなかの性能ではないでしょうか。



市内に通じる信号のない5車線道路は、中心地が近づくにつれて混雑が酷くなります。
この写真は、小型車が幅を利かせている北インドでスズキ車がたくさん走っている中で、希少なトヨタ車を見つけました、というものではありません。
乗車している観光バスは第1走行帯と第2走行帯を跨ぐように走っています。
道路に引かれた白線を見ていただくと分かるのですが、バスの右側の3車線半に5列できています。
写真では分かりませんが、バスの左側では1列走っています。
つまり、5車線をシェアしながら7列で走っているということ。
車速は50km/hくらいまで上がる瞬間もありますが、それぞれが狭い道路幅の中で接触もせずに実に上手く走っています。
後ろにクルマが並んでいない列があると思って眺めていると、後方から結構な勢いでクルマが飛び込んでくるのでびっくりします。



2年半前に行った欧州の小国巡りでは、トランジットで使ったドーハ国際空港内に2台の高級車が展示されていました。
そのうちの1台がベントレーコンチネンタルGTコンバーチブルです。
白いボディカラーに赤い幌は鉄板です。
ただ、気になったのは、マイナーチェンジでフロントバンパーの形状が変わっていたので、一つ前のモデルだなあ、と。
このクルマはDuty Freeショップがセールスプロモーション用に展示しているものなので、そんな細かいことを指摘してはダメですね。



もう一台はポルシェ911カレラ4S
こちらは当時の最新型であるtype991.2です。
シルバーのボディに赤いキャリパーが決まっています。

毎度のことですが、長くなりそうなので残りは後編とします。
Posted at 2020/04/29 21:36:04 | コメント(2) | トラックバック(0) | 徒然草 | クルマ
2015年01月03日 イイね!

徒然草 謹賀新年

徒然草 謹賀新年徒然草 謹賀新年

あけましておめでとうございます。
昨年はみんカラを通じて沢山の方からイイね!やコメントを通じて、色々なことを学び、また励みにもなりました。
本年もよろしくお願いいたします。



1月2日に3か月ぶりに辰巳PAに行ってきました。
昨年はここでは多くのみん友さんと実際にお会いして楽しい時間を過ごすことができました。
今年もこのような時間が共有できればと考えております。

もちろん、距離が遠くてなかなかお目にかかれないみん友さんもいらっしゃいます。
もし、東京へお立ち寄りに際してはご連絡いただければ幸甚です。

さて、どんな1年になるか楽しみです!
Posted at 2015/01/04 00:01:58 | コメント(15) | トラックバック(0) | 徒然草 | クルマ

プロフィール

「@プリマヴェーラさん、こんにちは。
ビルの合間から見える東京タワーに向かって頑張れ〜、と応援したくなる不思議な気持ち。
今日は良いことあるといいですね。」
何シテル?   12/16 13:04
自分が子供の頃に父親が購入したいすゞ117Coupeに乗っています。 この車なら悪くないし譲って貰えるならと免許の取得とともに軽い気持ちで乗り始めたのが私のカ...
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