
先日のオフ会『アルピナ・M を「ゆるりと楽しむ」ツーリング』でご一緒した0239さんとは初顔合わせでしたが、次はお互いの愛車の乗り比べをしょうと意気投合。
ただ、このスピンオフ企画を実現するために、解消しなければならない懸念事項が1つありました。
それは、このオフ会の前日に出たミッションエラーの原因を究明しておくことでした。
オフ会終了とともにディーラーへ直行しましたが、なかなか修理から戻ってきません。
エラーは1回出ただけでしたが、延長保証が切れる直前とあってサービスも真剣に調査してくれていたようです。
そして、入庫から3週間ほど経過したところで原因は特定されましたと連絡が入りましたが、部品の発注はこれからで修理に1か月ほどかかると。
この時点で、数日後に迫ったスピンオフ企画に愛車のM6で向かう夢は断たれました。
さて、それならどうするのが最良かと思案を巡らせる段階に突入します。
代わりのクルマはカーシェアリングで調達するとして何を選ぶか。
実はE63 M6を貸し出している方もいらっしゃるのですが、愛車はいずれ戻ってきて乗り比べはできるのだからお金を払って借りるなら他の車種にしようと。
思い切って趣向を変えてAudi、BMW、Porscheなどのオープンカーというジャンルも考えましたが、やはり当初のコンセプトから大きく外さないという基本に立ち返り、同世代のBMW 650i Coupeを借りることに決めます。
外装色はディープシーブルーでBMWに似合うカラーです。
E63 M6がV10 5ℓエンジンということでいえば、E63 650iもV8 5ℓエンジンです。
レギュラーの6 Seriesとして最高峰モデルである650iがM6とどんな違いがあるのかは興味があるところです。
E63 M6に乗っていると、6シリーズとしての仕上がりはE63 650iがベストなのではないかという漠然とした思いが湧きあがることがあります。
M6は6シリーズをベースにチューンして作ったクルマです。650iより高次元でバランスさせていると実感できれば良いのですが、GTクーペというカテゴリーのクルマであることを鑑みれば650iの完成度のほうが高いのではないかと。
当日、オーナーさんから650iのキーを受け取りエンジンスタートさせると野太いエキゾーストが響きます。第一印象は、これならM6と遜色のない走りができるのではないかというものです。
M6のエンジンは、4,999ccのV型10気筒DOHCです。
最高出力:507 ps /7,750rpm
最大トルク:53.0kgm/6,100rpm
0-100km/h:4.6秒
一方、650iのエンジンは4,798ccのV型8気筒DOHCと排気量はM6より200ccほど小さく、最高出力だけで比較すれば圧倒的に不利にみえます。
最高出力:367 ps /6,300rpm
最大トルク:50.0kgm/3,400rpm
0-100km/h:5.4秒
実は、スペックで注目していたのは最大トルクです。
M6は3,000rpmを超えてこないとV10エンジンの力強さは感じません。
大排気量NAエンジンとして鋭いレスポンスを示すのは4,000rpmあたりからです。
しかし、公道を走るのに4,000rpm近辺を維持し続けるというのは特殊な状況でしか実現しません。
それに、0-100km/h加速の4.6秒も上級者がローンチコントロールを使い、リミッター付近まで引っ張ってシフトアップのタイミングも決まった時に初めて記録できるタイムのはずです。
だとすれば、私のような下手が運転するのであれば、3,000rpm強で最大トルクが引き出せる650iでも同じような速さで走れるのではないかと。
走り始めてすぐにフルスロットルを試みますが、予想を超えるような強烈な加速感は感じません。
残念だったのは、走行中にフルスロットルにすると後ろからググッと押される加速ではなく、前から突然引っ張られたような加速になること。
5ℓ近い大排気量エンジンを搭載したクルマだからこそ生み出される強い加速といえますが・・・
これなら、M6の400psモードで走った時の高回転域のほうが加速感は心地良く強いです。
そこで、マニュアルモードで積極的にシフトダウンして真の力を引き出そうと試みますが、慣れない左ハンドルで右手のシフトノブでは頭の中が混乱します。
M6のシフトノブのように手を添えながら積極的に使って走ることを想定した形状になっているようにも思えませんし・・・
目線をステアリングに向けると小さなシフトが目に入ります。
要領が分からなかったので押したり引いたりしてみると、左右のシフトとも表から押し込むとシフトダウン、裏から手前に引くとシフトアップします。
M6のパドルシフトは、左を裏から引くとシフトダウンで右を裏から引くとシフトアップと固定されているので、650iのように左右対称で自由に操作ができるとかえって頭が混乱してシフトチェンジがままなりません。
ステアリングがM6より径が小さく軽く感じます。
そうなると、車速が上がってくるとステアリングを握る腕に緊張感が宿ります。
カーブしているときの切ったステアリングの戻りももっと軽い方が自然です。
そんな状況ではギアに意識を集中させることもができず、短時間での習得は断念するしかありません。
とりあえず、待ち合わせ場所の大黒PAに到着するまではオートマモードで走ります。
クルマから降りるとカメラを向けますが、フロントとリアにアルピナのスポイラーを装着した格好良さに惹かれます。
鉄道車両の先頭車両ではスカート付きと表現されたりしますが、E63に関していえばM6よりB6のフロントスポイラー形状のほうが格好良く見えて好みです。
内装も茶系に黒のツートンカラーにトリムにウッドパネルを使っていてオシャレに決めています。
さらに、ダッシュボードはレザー張りにされており、M6も顔負けです。
このクルマに乗ったときに自分のクルマと同じ匂いがしたので、IndividualにしてM6と同じレザーでオーダーしたのではないかと思っています。
自分の好みでいえば、アルピナのクラシックⅡホイールを履かせたら内外装とも文句の付けようがなかったかなあと。
そうこうしているうちに0239さんが到着します。
M6の出撃ができない事情は予めお知らせしておきましたが、アルピナ仕様の650iを乗ってくることは当日の楽しみとして伏せておきましたのでエンジンルームも含めて紹介します。
もちろん、B5 Superchargeのボンネットも見せて頂きました。
B5 Superchargeのエンジンは、545iや645iCで使われた4,398ccのV型8気筒DOHCがベースになっていますが、Mモデルを凌ぐスペックを誇ります。
最高出力:510 ps /5,500rpm
最大トルク:71.4kgm/4,250rpm
0-100km/h:4.6秒
スーパーチャージャーのおかげでエンジンルームは満杯です。
ちょっとマニアックな方向に話が進んで、最終形のB5S Superchargeとのエンジンルームの違いにまで発展・・・
万が一のケースの取り決めを確認していざ出発です。
最初にB5 Superchargeを運転させてもらいます。
エンジンスタートさせると控えめのエキゾーストを響かせます。
音だけで比較したら650iのほうが高性能モデルと勘違いするはずです。
恐るべきスペックを誇るクルマであることは重々承知しているので、本線に向かってパーキングエリア内を走行する際にスロットルペダルを慎重に踏みますが、ここで650iとは違ってペダルの踏み加減をフォローするような滑らかな加速をすることに気がつきます。
同じ6速ATなのにこんなにスムーズに走るものなのかとビックリ。
本線に入って全開のタイミングをうかがいますが、この日はクルマが多くてなかなかチャンスが訪れません。
何といっても慣れない左ハンドルでこれだけの大トルクを誇るクルマを運転するわけですから、ラフなアクセルワークでどんな挙動が出るのかと考えると安易にフルスロットルはできません。
ようやくチャンスが訪れスロットルペダルを踏み込むと、途切れのないスムーズで強い加速であっという間にマージンはなくなってしまいます。
ステアリングはM6のようにどっしりとした重さはありませんが、650iで感じた心もとない印象やカーブでステアリングを切ったときに過度に戻るような動きがなくて悪くありません。
できればスイッチトロニックでシフトダウンしてもっと強い加速を試してみたかったのですが、交通量が多くて今後の楽しみに残そうと。
F系の現行モデルのように段階的にサスペンションを設定するような機能はありませんが、アルピナ社がベストセッティングにして提供してくれた足回りは路面の凹凸が気になる首都高速を走るには快適な仕様になっています。
中央環状線に入ると速度はさらに落ちましたが、追い越しをかけるのに全開にしたときに後ろから蹴られるような加速を感じる場面がありました。
多くの方が表現するそれを体験するとこれだと分かります。
鞭が入って気合の走りに豹変する馬にまたがっているとでもいえば良いのか・・・
エキゾーストは650iと似た音質ですが、かなり控えめです。
650iは低回転域で低音が響き、4,000rpm辺りから高音交じりの痺れるような音質に変わって物凄い速度で走行をしているように感じますが、M6やB5と違って速度メーターをチェックする余裕はありますし、少なくともM6と同等の加速感や速度ではないかなあと。
その点、B5のエキゾーストは大人しくても体に感じる加速感はさすがという印象です。
もちろん、0239さんに650iを運転していただき、印象を話し合います。
概ね一致した意見と言って良いと思います。
大黒PAでランチをともにするとタイムアップとなりました。
次こそB5 VS M6と約束してお開きとなります。
帰りに650iの運転のコツを見出します。
右手の人差し指と中指でパドルを引いてシフトアップするのに慣れているので、左手の親指をシフトの表から上に置いてシフトダウンするときは押し込めば良いのだと。
これでマニュアルモードの走りが楽しめるようになります。
少し慣れて分かったのは、速く走らせるコツはB5のように全開にすれば良いのではなく、M6のように積極的にシフトチェンジしてトルクのあるレンジにエンジン回転数を合わせにいって走らせるクルマだということです。
500馬力級のクルマを基準に考えると、圧倒的な加速と表現すると誇張になってしまいますが、一般の車両とは違った走りを体感できます。
いずれこのクルマは内外装ともお気に入りですし、いずれシェアをリクエストしてもっと軽快な走りをしてみたいと思います。
0239さんは若くて私とはかなり年齢が離れていますが、アルピナやMモデルの話になると夢中になってしまうという点で共通項があります。
B5 VS M6が実現したらブログを書きたいと思います。