
BMW M6(E63)に乗ろうと決めるまで一本道ではありませんでした。
このインテルラゴス・ブルーというボディーカラーがなければ、M6に興味を抱くことはなかったと思います。
足回りが柔らかく、低回転域でも高トルクでグイグイと加速するアルピナを選んでいたでしょう。
大排気量時代に開発されたこの先代Mモデルは、今のご時世や技術レベルを考えるとスマートなクルマではありません。
それでも、今も乗るたびに誇らしげにMモデルであることを伝えてきます。
だから、私の心の中のMモデルのライバルはアルピナなのです。
しかし、BMW車をベースに話をしていて良いのかという疑問があります。
ドイツ御三家でいっても同じような立ち位置のクルマがいます。
言うまでもありませんが、メルセデス・ベンツのAMGとアウディのRSです。
今までこれらのクルマを運転する機会がありませんでしたが、情報を色々と収集して何とかRSモデルに試乗できるチャンスを得ました。
再来週はM6の対抗馬としてRS7の試乗を予定していますが、違いを慎重に見極めたいのでまずはもう少し手頃なRS4にチャレンジすることにしました。
とはいえ、このクルマの車両価格は1,195万円と1,000万円超のモデルです。
エンジンはV8 4,163ccでスペックは次のとおり。
最大出力:450ps/8,250rpm
最大トルク:43,8kgm/4,000-6,000rpm
0-100km/h:4.7秒
最高速:250km/h(リミッター作動)
ボディーサイズからするとBMWの対抗馬はM4でしょうか。
M4 全長4,685×全幅1,870×全高1,385mm ホイールベース2,810mm
RS4 全長4,720×全幅1,850×全高1,435mm ホイールベース2,810mm
今回の試乗はナビゲーションに従って一人で運転するというものです。
したがって、試乗中のアクシデントは全て自己責任という誓約書にサインすることになります。
運転席に乗り込みブレーキを踏みながらプッシュボタンでスタート。
スタートボタンがシフトノブの左側(運転席からはシフトノブの奥側)にあるのに違和感を覚えますが、左ハンドル用と共用なのでしょうか。
運転中は使わないボタンなのでほとんど問題はありませんが、・・・
もう少し現実的な難点といえば、ハザードランプのボタンがナビゲーションモニターの左側でちょっと遠い。
「ありがとう」のハザードは二の次の話としても、いざというときに少し手を伸ばせば押せる場所に欲しいです。
エンジンスタートはなかなか魅せます。
ブウォーンという低音とともにスピードメーターとタコメーターの赤い針が瞬間的に振り切れんばかりに動いてすぐに定位置に戻ります。
通常のモデルでも採用されているようですが、私にはこれからRSモデルを運転するのだよと訴えかけてくれているみたいに感じました。
試乗車のシートはオプションのレカロシートが装着されていました。
標準シートだと調整は電動だそうですが、このシートは前後と背もたれの調整は手動です。
スポーツモデルなら少しは軽くできるし、手動でも良いと思います。
普段から使う機能ではないですし、調整もしやすく実用性からして問題ありません。
特筆すべきはこのレカロシートです。
ちょうど良いクッションなのでお尻と背中の全体がピッタリとフィットします。
かといって、ホールド感は強いわけではなく、硬いわけでもなく、表面は柔らかみがあって座っている感じがとても心地良いです。
体の荷重がシート全体で支えてくれるので疲れる感じがしません。
M6のスポーツシートもかなり良いと思いますが、これは負けています。
運転席と助手席を交換して30万円とのことですが、私が買うのであればこれは盛り込みます。
(標準シートはどんな感じか確認しないといけませんね。)
トランスミッションは7速のDCTなのでアクセルを踏まないと始動しない苦手なシチュエーションですが、今回は何故かナーバスにならずに自然にアクセルを踏みスムーズに走りはじめます。
アクセルレスポンスも過剰な感じがなく低速走行でも扱いやすいです。
最初にスタッフに同乗してもらって運転しながら操作方法の説明を受けます。
くるりと小さく1周してから一人旅の開始です。
走行モードは「コンフォート」、「オート」、「ダイナミック」、「インディビデュアル」があり、「オート」はアクセルの踏込みに応じて「コンフォート」と「ダイナミック」の切り替えをクルマが勝手に行うという優れもののようです。
ちなみに「インディデュアル」は予めドライバーが好きな設定をしておくものだそうです。
BMWでいうiDriveの設定と同じ要領でショートカットボタンを押したあとにダイアルを回して切り替えます。
乗りはじめは「コンフォート」だったようで「ダイナミック」に切り替えた途端にアイドリング音が室内に大きくこだまし始めました。
無理に低音を響かせている感じがしてちょっと大げさな印象があります。
シフトレバーを左に倒すとマニュアルモード、右に倒すとオートマモードなので切り替えは簡単です。
オートマモードでも走行中にパドルシフトを使えばマニュアルモードに切り替わります。
何度か試したところでいうと、クルマが止まるとオートマモードに戻るようです。
一般道なのでアクセルワークはかなり制約を受けますが、4速からの加速は薄い感じでした。
やはり、2速に落とさないと流石はRSモデルというほどのインパクトはありません。
ただし、スタートダッシュの反応は良いと思います。
1速のまま8,250rpmのリミッターにあたるとシフトアップして立て直すのに時間がかかります。
思い切って7,000rpmを超えたあたりで2速にシフトアップするとちょうどイイ感じに決まります。
排気音は5,000rpmを超えたあたりからレーシーな音質に変わります。
ランボルギーニを傘下に持つメーカーだけあって流石だなあという感想とこのクルマの性能や力感からすると少しデコレーションし過ぎかなあという感想が入り混じります。
ウィンカーがハンドルから少し遠いせいか、ハンドルから少し手を離して操作していました。
このあたりは慣れなのかもしれません。
遠慮せずに運転できるという意味では堪能できたと思います。
ツーリングであるということも全く気になりませんでした。
ただ、BMWがライバルとすると運転している凄みはM4に軍配を上げたくなります。
Audiの4輪駆動が生きる場面だと評価が変わってくるのかもしれません。
暗い中での試乗だったので内装の質感などがほとんど分かりませんでした。
革の匂いが好みのものではなかったかなあ。
2週間後はRS7にチャレンジします。
試乗コースも一度走って少し要領を得たので、次はもう少し上手く運転したいです。
帰路に気になって銀杏並木へ再び寄ります。
日曜日の夜は空いているようです。
昨日より天気が良かったので写真も綺麗に撮れているような・・・
毎回の長文の試乗記にお付き合いいただきありがとうございました。