かたのくりこです。
少々、ディープなネタですが、お読みいただけるとうれしいです。
先日、朝日新聞に「救急外来のコンビニ化」という記事が掲載されました。
昨今、緊急性の無い患者が夜間に殺到し、救急外来がパンク寸前ということが問題視されています。救急車の適正利用と同じ問題です。
日本の病院は、一次救急~三次救急までに分類されています。
詳細は
こちらを参照してください。
全国的な統計で、夜間に救急外来を訪れる患者は、多くが受診の必要性は「あり」という見解です。でも、「緊急性」という面では7割近くは軽症患者です。つまり、風邪症状など緊急性を要さない病気の方ですね。
その中でほとんどの患者は、日中の外来が開いている時間に具合が悪くなったかたであるとの調査結果も出ています。
日中、受診をしなかった理由は、①仕事が休めない ②様子を見ていたが、夜間になっても症状が改善しなかった。 ③日中は外来が混雑しているので受診したくないという理由が大半を占めています。
これらの理由、とてもよく分かるんです。理解できます。
でも、病院としては出来ないことも多々ある訳です。
夜間、いわゆる二次救急や三次救急といわれる病院が開いているのは、生命の危機にある患者や開業医では対応できない患者を素早く収容し、対応するためです。
実際は、そのような患者が搬送されてくるのは、ほんの数%で大多数が、軽症患者であるのは、何処の病院でも同じ状況なのです。
では、軽症患者は何処の病院にかかれば良いか。
夜間でも一次救急病院はあります。休日夜間診療所や軽症対応の病院は必ずあります。地域の医療情報センターに電話で問い合わせをしたり、各自治体の広報誌やインターネットでも検索できます。
かたのくりこが勤務している病院も二次救急指定です。軽症患者には、出来るだけ一次救急病院や診療所の受診をお願いしています。
でも、中には「何で診ないんだ!」と怒り心頭になる方もおられます。
ここで、誤解をして欲しくないのは「診察しない」と言っている訳ではなく、症状に応じてしかるべき医療機関を選択してくださいと言っているのです。
もちろん、ただお願いするわけではなく、きちんと一次対応病院を紹介します。
救急車を呼んでも、状況は同じです。救急車で行けば最優先で診てもらえるという考え方は間違っています。
うちの病院でも軽症患者が救急車で来院することは良くあります。でも、救急車で来院しても自家用車で来院された方の方が重症であれば、救急車の患者でもお待ちいただきます。
そうしなければ、助けられる命も助けられないのが今の日本の医療現場の実情なのです。
病気になれば誰もが早く対応して欲しいと願います。それは、自分も同じです。でも、問題なのは軽症患者を対応することにより、早急に対応すべき重症患者が診れないという状況が発生してしまうことなのです。重症でも軽症でも、対応するマンパワーは同じです。収容できる患者数も限られています。
それが、結果として「患者のたらいまわし」にも繋がっているのが現状なのです。
その部分においては、病院の役割をきちんとアナウンスできていない国や地方自治体、病院側にも責任はあると思います。
なので、かたのくりこはブログを通して、少しでも多くの方に理解して欲しいと思い、このような内容を書き続けている訳です。
Drは、日中は外来をこなし、入院患者を診察・治療し、夜間は救急対応をしています。下手をしたら、一睡もしないで仕事をしているDrもいます。
どんなに志が高い人間でも、このような状況が連日続いたらどうでしょう。いつかは壊れてしまいます。結果、一人の医師が辞めてしまったら、被害を蒙るのは患者自身なのです。
私たち医療者は、患者に対して決して意地悪をしたいわけではありません。一人でも多くの患者を救うために、日夜努力をしている方は大勢います。病院だけでなく、救急車で働いている救急救命士や救急隊員も同じです。
どうぞ、医療者の声に耳を傾けてください。今の日本の医療に関心を持ってください。
私たち医療者も、皆さんの声を出来るだけ多く聞き入れ、改善できる部分は改善しています。
医療は、無限ではありません。医師は病気を治す神様ではありません。看護師は天使ではありません。救急救命士や救急隊は、病院へ連れて行ってくれる便利屋ではありません。みんな、同じ人間なのです。
患者と同じ人間です。病気もすれば怪我もします。いつでも、逆の立場になる可能性があります。
だからこそ、ルールを守る、モラルを持つことが大切だと思うのです。一人一人が、ほんの少し考えて行動することが出来れば、解決できる問題は多いのです。
このような話をすると、どうしても上から目線のようになってしまいますが、決してそんな気持ちでは書いていません。現場でしか見えない目線を伝えることによって、一人でも多くの方に理解をして欲しい。どうぞ、その点をご理解くださいませ。
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Posted at
2008/05/20 01:05:25