
今日は久々の2日勤。最近の夜勤メイン生活の自分にとって、日勤が2日も続くことは極稀になってきました。
そんな中、のんべんだらりと患者様と冗談言い合いながら笑ってすごし、昼下がりでやわら夕方に差し掛かる午後3時、お使いで薬局に行った帰り、突然患者様のAさんが「あの、後で話があるんですけどいいですか?」と自分を呼び止めました。今はちょっと忙しいので、病棟に戻って声かけてみてとお願いしました。
今回登場の方はA氏、20歳代の女性で病名は摂食障害、過食と嘔吐を繰り返す典型例で、背後には自分の思い通りにならなかったりすると過食に走るという、どちらかというとパーソナリティの問題が目立つような感じでした。先日より状態が思わしくなく、幾度となく不安を訴えていました。そんな時自分は夜勤で、Aさんは消灯後にスタッフルームの前にやってきましたが特に何か話すわけでもなく、その場に立っていました。そこで自分は、とりあえず休んでもらおうとベッドに戻るよう促しました。その後Aさんは戻っていきましたが、もうすぐ深夜と交代と言うところでAさんは再び来て、今度は睡眠剤を希望しました。すぐに出して渡しましたが、これはあまり効かないと言い残し、その晩はあまり休まれなかったばかりか、その後強く不安を訴えるようになり、しまいには強い吐気、過呼吸まで出現していました。その間、自分にはぜんぜん声をかけることなく、別のスタッフに「あの人に話を聞いてもらえなかった」とこぼしていました。
そんな状況で、自分は「あの時話を聞いてもらえなかったのがよほど気に入らなかったみたいなんだな」と思っていました。事実、複数のスタッフに「あの人は話を聞いてくれなかった」とこぼしていると言う情報は得ていました。なので、今回の面談の希望はきっとあの時の夜勤の話しなんだなと思いました。
案の定、開口一番から静かに先日の夜勤の場面の話を始めました。あの時昼間から辛いときに話を聞いてもらえるように申し送りして欲しいと言っていたはずなのにDaiさんは話を聞いてくれなかった、その後他のスタッフもきっと話を聞いてくれないと思ってしまい自分を追い込み、以前の辛いことも合わせて思い出して過呼吸や吐気が出てきた、と話しました。
この時なんと自分本位だと思ってしまいました。(でも後で考えたら自分は病棟の顔の1人なんだから自分=病棟と言う考えかたもできると思いましたが…)あたかも自分のせいで人間不信に陥り、追い込んで辛い目に逢ったと言わんばっかでした。
しかし、話は続きました。「でも、そのとき話を聞いてもらえなかったとDaiさんを無視してしまったのは後悔したし、冷静になって考えるとそこまで必要なのかと考えました。その間、過呼吸になった時に来て下さった当直の先生にもいろんな場面があるから一概に希望に添えるとは限らない、と言われましたし、今日主治医の先生にも相談しました。そしたら思ったことを直接話してきなさい、そしたら勉強になるからと言われて思い切って声をかけました。無視してしまってすいませんでした」と話されました。
続きを聞いて驚きました。まさかそこまで考えが及んでいたとは!特にパーソナリティに偏りがあるような方では、このようなことがあれば待ってましたとばかりに相手を非難、攻撃し、それをあちこちに言って回ることもするでしょう。ましてや人は強く責めても自分も悪かったなどととてもじゃないですが言うことはありません。
そこで自分はこう話しました。「まず、どんな理由であれ、話が聞けなかったことに対しては謝ります。そして、今の話を聞いて驚きました。自分にとって辛いことに対して振り返り、人に自分の気持ちを話して相談でき、しかも当事者であるじぶんにきちんと気持ちが話せるとは、嬉しいと同時によくできましたね。これが振り返るということで、今回は辛い目にもあったけど、いい経験ができたんじゃないですか?先生が言った勉強とはきっとこのことだと思いますよ」と、思ったことを素直に返しました。
これこそが振り返りだと思いました。Aさんのように、特に摂食障害、パーソナリティ障害やそれに近いものを持つ方では、自分のしたことに対する振り返りなど、ほぼ不可能です。しかし、今回は自分の感情や、思ったことに対しての行動について適切だったかを検討できていました。最近主治医の先生にいろいろ振り返りなさいと言われて考えてはいたようですが、今回はその振り返る作業の中でいい経験ができたのではないかと思いました。最後に自分は、今回の一連を大切にして欲しいと話し、面談を終えました。
最近特に思います。昨今増加の一途をたどるパーソナリティの障害、果たして改善の見込みは無いと言ってしまってもよいのかと。この方々にはまず薬は効かない、治療関係も成立しにくい、気に入らなければ逃げをうつ、激しい感情の起伏やそれに伴う一貫性の無い話の内容、対人操作(ようは人を振り回すこと)、リストカットや大量服薬に代表される自傷行為を目の当たりにすることになり、医療者側は強いストレスを受けることになります。でも、その内側にある思いに気づき、耳を傾けることによって、また違った一面を見せることがあります。
今回は、自分にとっても関わりを見つめなおす機会になったこと、相手のおもいにきちんと耳を傾けられたことは良かったと思いました。これからは、対応には十分な配慮と気配りが必要と改めて感じました。
今日のこの場面は自分にとって嬉しかったので、つい長々と書きました。これからも、日々精進で頑張りたいと思います。
Posted at 2007/01/29 20:36:06 | |
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