
サーキットを走るとき、大抵の場合は一人でステアリングを握ることになります。
車との対話に集中し、自分と機械の限界を探る、それは車好きにとって、何より大切な時間です。
ただ、時にはそんな“大抵の場合”から外れることもあります。
先日、瀬戸内海サーキットに、竹原商店アルトバン(HA23V)で友人と走りに行きました。
たまたまその日は、アルトの仕様を大幅に変更した直後。いわばシェイクダウンでもありました。挙動の確認も兼ねて、今回は友人と二人で同乗走行することに。車内には、私という“追加装備”が約60kgほどオプションされた状態でした。
2人乗りでのんびりと周回していたのですが、途中で友人がふいにアタックを開始。結果は、過去のベストよりも約2秒遅いペース。「一旦頭冷やそうか」と、いったんピットへ。どうも走りの感覚も、タイムも噛み合っていない様子。
「次は自分降りて見てるから」。そう言って私は車を降り、コースサイドから友人の走りを見守ることに。
すると――たった今までとは見違えるような走り。タイムは一気に約2秒も更新され、さらには前回のベストを0.4秒も上回ってしまいました。
思わず笑ってしまいました。
考えてみれば、当たり前の話で、アルトはわずか50馬力、車重も650kg程度しかありません。その軽量低出力マシンに、約60kgの大人がもう一人乗れば…そりゃあ、タイムに響くに決まっています。
たった一人分の重み。それでも、こんなに差が出るとは。
一説にはミニサーキットなら0.5秒から100馬力程度のローパワー車なら1秒タイムダウンと言うのは聞いたことがありましたが…
事実を数字として突きつけられ、納得せざるを得ません。
「せっかくチューニングしたのに…」と一瞬落ち込んでいた友人も、走り終えた後は笑顔を取り戻していて、なんだかホッとしました。
それにしても、アルトバンはたった60kgで約2秒もタイムが落ちるのか。
そう考えると、今回の一件もなかなか興味深い“実験”だったのかもしれません。思わぬところで、いい研究材料が取れました。笑
実際のチューニング内容は、ギア比の繋がりの良さを目論んだミッション載せ替え、1.5wayLSD組み込み、ロールケージ でしたが、この効果の程、考察は次回とします。
Posted at 2025/06/18 21:22:38 | |
トラックバック(0)