(覚書)バルブクリアランス
目的 |
修理・故障・メンテナンス |
作業 |
DIY |
難易度 |
 初級 |
作業時間 |
30分以内 |
1
前回40,000kmでの調整から 8,000km走行して「ショコンショコン」音が出て来ました。今回は(も)、基準範囲に入れずに狭い方向で調整します。
以前は数百円の安いシックネスゲージを使用していましたが国内メーカーのちゃんとした物に変更しました。全然フィーリングが違って作業がやり易くなりました。シックネスゲージは良い物を使用した方が感覚が掴み易い様です。
インテーク基準値 0.07〜0.12
調整前 0.10
調整後 0.06 にセット
音が出て来たのはこっちかな?
2
エキゾースト基準値 0.12〜0.17
調整前 0.12
調整後 0.08 にセット
3
・SR400final の新車のバルブクリアランスは出荷時に基準値下限に設定されている。
・バルブ端面の虫食い。
この2点が基準値未満で調整する理由。
デメリットは詰め過ぎた場合に冷機時にエンジンをかけた時の1分未満でのエンストや再始動不可の可能性。もう一度冷やせば再始動可能、又は暖気が取れて仕舞えば不具合は無くなる。
理由は冷えたヘッドと排気ガスで急速に温められたバルブの熱膨張の差でバルブクリアランスが不足してバルブが閉まらなく成り圧縮不良を起こす。ヘッドが温まるまではバルブの膨張分をバルブクリアランスで吸収しなければならない。逆にこれが起こらない範囲で有れば詰めることは可能。特に冬は注意って事になるかな?
エキゾースト側のクリアランスの基準値がインテークに比べて広いのはその理由からでしょう。(多分)
クリアランスを詰める理由はメンテナンスサイクルの延長。
逆にオーバーホール後などはバルブシートの初期馴染みがあるので広めに取っておくのが正解かな(シートが初期馴染みするとクリアランスは詰まりますよね)
メンテサイクルを長くする為にバルブクリアランスを狭く取るか広く取るかは車種・エンジンにより異なります。
・バルブシートの摩耗 < 動弁系(ロッカーアームなど)の摩耗となるクリアランスが走行に応じて広がる車種は初期値を小さめに。
・バルブシートの摩耗 > 動弁系の摩耗
となるクリアランスが狭まる車種は初期値を大きめに取ります。
SRは前者の「クリアランスが広がるタイプ」です。(丈夫で長持ちタイプ)
両方の要素がバランスすると長期間バルブクリアランスを気にしないで済むエンジンになりますね。
昔に軽自動車のサンバーに “赤帽仕様”ってのがありましたが、通常品との大きな違いはこのバルブシートの材質だったそうです。通常品は気密優先の柔らかめの金属で、赤帽仕様は耐久性重視の硬めの金属が使用されていたそうです。
250TRがバルブシートに不具合を抱えていたので色々考えるキッカケに成りました。
SRは調整の手間は掛かりますがシートはダメにならないので長期維持には向いてますね。
覚え書きなのに長くなっちゃったなwww
【48,000km】
4
覚書きまだ続きますw
根本的に、なぜバルブクリアランスを適正範囲に収めなければならないか?は、
・狭い方
前述の通りバルブが閉まり切らない不具合があるから。
・広い方
エンジンの出力を確保する為にバルブが開いている時間の中で出来るだけ多くのガスを流したいので開ける時は素早く、閉める時も素早く閉じてリフトの大きい時間の割合を増やしたいのでバルブの動きを高速にする為にカム山は最大限の傾斜を持って形状が決められています。
ですが止まっているバルブを高速で叩くと強い衝撃となって打音や摩耗が出てしまいます。例えると一時停止で合流しなければいけない高速道路ですかね。そこでバルブとカム(ロッカーアーム)がソフトに接触・加速するためにカム山に緩い傾斜の“ランプ”と言う部分が設けられています。高速道路だと “合流車線”になります。そのままのランプですね。
このランプですがバルブを早く大きく開けたいと言う目的とは逆の作用なので極力短くしたいので最小限となっています。なのでバルブクリアランスが広がると、バルブが開き始める前にランプが終わり強い傾斜が始まってしまうので強い接触が起きてしまい打音が出てしまう。と言うメカニズムになっています。例えで言うと「高速道路の合流部での玉突き事故」になります。閉まる側もソフトに閉まるか衝突する様に閉まるかの違いになります。そのまま運転を続けるとカム山の腹やロッカーアームが摩耗(虫食い)してしまう事になります。
トータルするとエンジン内の温度変化で起きる部品毎の熱膨張の差を吸収しつつ、ランプを利用出来る範囲に収める。そんな事が “バルブクリアランス調整”なんですね。
エンジンってバルブクリアランス一つとっても見えないメカニズムが詰まっていて面白いですね。
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