カムシャフト ST-1M、583、5F0。横並びでの比較
目的 |
修理・故障・メンテナンス |
作業 |
DIY |
難易度 |
![](/images/icon_difficult_on.svg) 初級 |
作業時間 |
30分以内 |
1
現在も購入出来てノーマルスプリング(リテーナー)が使用出来るカムシャフトを探すと、
候補になるモノは、
・YOSHIMURAの「ST-1M」
・純正初期型用の「583」
・純正後期型?88-Final用の「5F0」
の3本に成ると思います。この3本の性能?特性?を横並びで比較するデータが無いので、データを作成して比較してみたいと思います。
※1JNカムは購入出来ないので対象外ですが、583カムとプロフィールは同等と思います。
2
比較をしたい項目を下記に羅列します。
・最大リフト量
→バルブを最大でどれだけ開く事が出来るのかの値。数値が大きい方がバルブ周りのガスの流路が広くなる。
・作用角
→クランクアングルに対して何度の期間バルブを開いて保持しているかを見る値。
ST-1Mなどアフターパーツは通常1mm開いた時点から完全に閉じる1mm手前の、1mmリフト時の値が使用される。純正は0.15mmリフト時の値が公表されている。0mmが起点ではないので何mmリフト時の値なのか?条件によって作用角の値は変動する。
・中心角
→バルブが開いている作用角の範囲を「早め」とか「遅め」とかクランクアングルに対する位相を設定する値。作用角の範囲の中心を起点に取り上死点からの角度のズレで表す。
作用角と中心角を合わせる事でバルブが開いて閉じる期間とタイミングを表現できる。
・ロブセンター
→バルブリフトが一番大きく成るクランクの角度。表し方は中心角に同じ。通常は中心角とロブセンターは同一になるが、生産の精度や製作者の意図でズレる事がある。
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各カムシャフトのSPECを横並びにした一覧がこちら。
ST-1Mは公称値を入れました。
583 と 5F0 は実測値を使用しています。位相のズレは排気カムのL.C.を110°として補正して統一しました。他条件はST-1Mに揃えました。要するに何も気にする事はなく比較表のデータをご覧頂けます。
簡単に書いていますが大分苦労して値を取得しました。
気になるのは純正カムのどちらもインテークの中心角が公称値から3°のズレがあります。公称の0.15mmでデータを見ても同じ程度ズレがありました。どちらかと言うと常識的な方にズレているのでメーカーが意図的に行っている事だと思われます。アフターファイヤー対策かな?
数字の羅列だと分かり難いので、
4
図形に表します。
ST-1M と 583 を搭載したエンジンのフィーリングが似ているとどこかのレビューで見かけましたが、数値を見ると分かる様な気がします。純正カム同士の差異は大きいようです。
各数字から分かる特性は。。
取り敢えずST-1Mは583と比較して I.C.に変更がないのでノーマルの圧縮比を前提にしたあまり変化の無いかカムだと言うのが分かります。←前回の整備手帳の内容が解るとこの言葉の意味がわかると思います。エンジンが300%楽しくなりますね♪
前回の整備手帳です
↓↓↓
https://minkara.carview.co.jp/userid/2092714/car/2422595/7482416/note.aspx
ST-1MのSPECが大人しく見えるのはストリート向けで販売されているので当然でもありますが、583カムの作用角がスポーツカム並に広角なのも要因となっていると思います。583カムは元を糺せばTT500用のレーシングカムですからね。(修正、240°前後なので極々普通でした。※1mmリフト時)
それでもST-1Mはオーバーラップは583に比しても大きく、排気工程側に大きく寄っているのも特徴です。使い方に選択の余地を与えているのかな?。250度の作用角は他車種であればST-2相当です。
SRあるあるの「蒟蒻問答」は各自でお願い致します。笑。。
中心角の説明は言葉では大変だったのでココで補足します。(図中下の方の左右の矢印の図形です)
排気上死点を基準として作用角の中心(通常はロブセンター)がどこに位置しているか?という事です。
排気カムは数字が大きく成るとタイミングが進角して、吸気カムは数字を小さくすると進角となります。
ST-1Mの中心角は 101°ー110° と呼ぶ事になります。中心角はインテーク側から表記するのが通例だそうです。これが理解出来る様になるとこちらのブログの内容がよく解るかと思います。
↓↓↓
https://minkara.carview.co.jp/userid/2092714/blog/47165824/
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リフトの表現が足りないのでグラフをもう1枚。
ST-1Mはインテークのリフト量が大きく増加しています。きっと排気量アップに対応する意図があるのだと思いますが、作用角を広げた事で起こる副作用なだけかも知れません。
SR500のヘッドはバルブが“不必要”に大きいので 500ccで乗る分にはリフト量はあまり必要としません。(意味が無い訳ではない)
500ccに適切なのはバルブの小さいXT500(TT500)のヘッド。583ヘッドとか呼べば良いのかな?SR500のヘッド(2J2ヘッドと呼べば良いのかな?)はロード競技用に排気量アップを前提にバルブ周りが設計されていると思います。その証拠に?500ccではXT500の方がパンチが有って良い筈。吸気で起こる燃焼室のガス流動が適切なんです。SRは大体570cc位を前提に設計されているようです。ポートの形状やステム回り、バルブ径から計算するとこの辺りの設定が分かります。それでもポートとのバランスは悪いので修正は必要になります。(多分400ccとのヘッドの共用で配慮があったものと思う。SR用のヘッドは400ccにはデカ過ぎるので回せば回すほどガス流動が良くなる事になります。なので7000rpmレッドゾーンのエンジンで最高出力回転が7000rpmとか変わったSPECに成る原因でもあります。なので400ccのヘッドはもっと小さく(色んな意味で)した方が燃焼室のガス流動が良くなってパンチが出てくる筈です)
(ここら辺の事はナンデモカンデモ全て書ける訳では無いので、言葉は少しずつズラして居たりkeyになるwordは避けていたりします。悪しからずです。こちらのブログが少し参考になるかな??)
↓↓↓
https://minkara.carview.co.jp/userid/2092714/blog/46833846/
話が脱線してしまいましたが、ST-1Mは排気量アップした際にも手軽に対応が出来て良いカムなんじゃないでしょうか?
エキゾーストは如何なんだと言うこともありますが、排気ガスは圧力が高いので割とどうであれ勝手に出ていくと言う状況があるようです。最近の4輪エンジンのヘッド一体型エキマニ?エキマニ一体型ヘッド?とかもそんな思想なのかな?
インテークの方がリフトが大きかったり、エキゾーストの方が大きかったり。特性にはどう影響するんでしょうか?。コレばかりは経験を積まなければ分かりません。
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本当のイメージはこっちですね。
こういうのアチコチの商品説明で見掛けますね。
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参考に、
583 と 5F0 のプロフィールを重ね合わせたグラフです。
作用角や中心角だけでは分からない事も有るので、ST-1Mのプロフィールも重ねると意外な事が分かるかも知れません。
気になる人は極少数かと思いますが、冒頭からの図中のクランクアングルが工程とは360度ズレています。
これはこちらのブログ
↓↓↓
https://minkara.carview.co.jp/userid/2092714/blog/46672332/
でバルブタイミングを理解するのにわかりやすい表現は無いのか?と考えた結果こうなっています。
実際の工程に対するクランクアングルの表記とはズレがありますのでご承知おきを。
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ー蛇足ー
私の計測のミスかも知れませんが、583カムのランプ付近のプロフィールには変なカーブが現れます。でかい音が出るかも?
No Limit ! SR.
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