
せっかくボディ換装という大掛かりな修理をするのだから少しは自分好みの車にしようとした。雨降って地固まるか。
修理に当たって何度もミーティングを重ね、パーツを選び、作業の工程などを検討しあってきた。依頼したショップはオーナー1人だけなので私もお手伝いという格好だ。
で、どんな車にする?
まぁ、早い話がインフォメーションが豊かにつかみ取れることとか
リアを粘らせること、ブレーキががっちりと利くこと、等など。
パーツは財政的なこともあり純正・社外品と価格や性能等を比較し
ある部分では中古品を使ったりもした。
某メーカーから車高全長調整式サスの試作品がただ同然で手に入った。
スバルではホワイトボディの供給がまったく不可能なため
F型ではないが中古のGDBボディを使うしかなかった。
ついでにスポット溶接を加えて補強を入れてもらった。
車台番号が変わるため、修理後には陸事に行くことになった。
ホイールはBBSの知人に修理を依頼したが不可能とのこと。
歪みがひどく熱を入れて修理しても強度が保証できない返事。
カリキズ程度なら完璧に修理できるらしい
。(へいほ~さん、いかがですか?)
ショップと相談し「OZが軽くていいよ」と薦めてくれた。
車は4月中旬に出来上がったがセッティングに苦労することになった。
そんな折、S203を運転する機会が訪れた。それも碓氷峠で。
203のハンドリングは204のそれとは全然違った。
うまく言葉で表せないが203は舵に対してダイレクトでシャープ。
どうも204はダルというか何となく「間」がある。ような気がする。
203は実にソリッドで俊敏、クルマの動きが手に取るように分かる。
だから安心感があってパニック時も余裕があった
。(ゴメンね、ブリちゃん)
乗り心地は云われるほど差がない、
しっとりしているけどヤワじゃく腰砕け感がない。
その203はタイヤがBSの01Rだったこともあるので
正確な比較はできないけど、ハンドリングは実に気持ちよかった。
セッティングに当たって非常に大きなヒントになった。
エンジン、ミッション、デフなどはせっかく降ろしたのだからと
各部を細かく点検調整した。が、まったく異常はなかった。
車高調の取り付けはアームが突っ張らないよう各ボルトを緩め
取り付け後に再度締めこむという基本に忠実に行った。
その後、204のPDを取り付けたり外したり、
スプリングやスタビを前後で何度も取っ替えひっかえ、
減衰力調整も幾度となくいじった。
リアのピロを強化ブッシュに取り替えたりロアアームをつけたり
締め込んだり緩めたり、その都度峠で走行チェック、
そんなこんなで土日のほとんどをショップで過ごした。
1ヶ月以上もセッティングで油まみれ汗まみれ。
間違ったりドンピシャだったり。あーでもないこーでもない。
実はこういう時が一番楽しかったりして・・・答えはないけどね。
最終的に仕上がったのは6月の末。
当初の乗り心地の良いクルマとはならなかったがいい感じにできた。
ブレーキはキャリパーごと交換するつもりだったけど
ショップのオーナーが言うには純正ブレンボでも容量は大きいのだからと
ローターとパッド、ホースを交換するにとどめた。
パッドは以前から興味を持っていたPFC、効きは抜群。
今は早くこのクルマに慣れるためいつものコースを走ることに専念。
走るごとに納得する部分と疑問な部分が見えてくる。
それでも自分流のクルマを作り上げた満足感はある。
時間はかかったがボディどんがらから1つずつ組み上げて
少しずつ形になっていく瞬間は何とも言えない感慨があった。
ある部分は単純で、またある部分は理に適った複雑さがあった。
レーシングカーはある意味で単能化しており幅が狭いけど
ロードカーは使用目的や走行場面が多様で実に難解。
その意味ではノーマルってのはよくできていると思う。
チューニング、セッティングは奥が深いことを再認識した。
それにしてもS203はいいクルマだった。
オーナー諸君、手放すのはくれぐれも慎重に。
車いじりが講じて半世紀弱も前の車を衝動買いしてしまった。
近所に住むオーナーが亡くなってずっと放置されていた不動車。
廃車されて20年以上経ち腐りやサビもひどい。破格の値段で譲り受けた。
当分こいつと格闘する日々が続きそう。