2008年12月16日
少なくともその端にいる私なんだけどね、自動車業界は今、未曾有(みぞゆうとは云わないでくれ)の不況に直面していて大変なのよ。尤も自動車業界に限らないけどね。
あの米国リーマン・ショック以来、大激変。もう別の世界。開発が延期され、あるいは停止され、部品の出荷も仕事量も半端じゃなく落ちた。メーカーの3割減ってのは下請けからすりゃ5割以上減となる、もう尋常じゃない。
当然ながら我が社でもパートや派遣社員を全部削減した。ま、威張れることのもんじゃないが。
昨年の春、事業拡大に伴い社員を募集したが全然集まらなかった。少なくとも将来を託せる優秀な若者は皆無であった。零細企業にはなかなか有望な人材が集まらない現実を思い知ったわけだ。
仕方がなく派遣社員を数名入れた。彼等に「何故ちゃんと就職し正社員にならないのか?」と尋ねた。誰もが一様に「他のやりたいことがある、会社に縛られるのは嫌だ」などと。将来への不安はと聞けば「まだ若いしそれほど心配していない」とずいぶん他人事のよう。時代は変わった、と思ったね。
それがどうだ、今では「派遣切り」がまるで犯罪かのように報道され社会問題になっている。どーして?
派遣社員を多くの業種で可能にしたのは国。つまりほとんどの企業に派遣雇い入れの旗振りをし安い労働力供給の原動力になったわけ。誰かさんの構造改革って奴さ。バブルのツケで疲弊した企業にはありがたいことに正社員を入れずに派遣で賄うっていうおいしい話。つまるところ派遣社員と呼ばれる非正規雇用労働者が信じられないほど増えた。にもかかわらず彼等の失業後のセーフティネットや法整備がおざなりで今になって大騒ぎしてんだよ。
企業側から見れば不景気になって仕事量が減れば余剰設備や人員を削減するのは至極まっとうな手段。好き好んで人員整理をしているわけじゃない。1年も一緒に仕事をすりゃ仲間意識も芽生え情が湧くってもの。それを切らなければならない現実を考えちゃうとね、どこかでパラダイムシフトを起こさなければと思うのは私だけじゃないだろう。
若い人がクルマを欲しがらないわけじゃない。ちゃんと免許人口は増えているんだから。だけど低賃金で働かされている若い人に(若い人に限らないが)クルマを買えってのが土台無理な話。生産と販売は需要と供給でっせ。こーんな簡単なことが誰も分かっちゃいない。利益の再配分はどこ行っちゃったの?
少子高齢化然り、産みたくても金がないし産もうとすれば脆弱な医療体制で誰が安心できるってぇの?
ホンダのF1、スズキのWRC共に経済環境の悪化で撤退。スバルも撤退や休止・継続を含め検討し年内に結論を出すと声明。変化に対応するのは当たり前といえばそれまでだが何ともわびしいことばかり。しかし、下請けは更に悲惨なのだよ。お気楽に自動車競技なんてもってのほかなんて突き上げがあるのも事実。どうにも暗いことばかりで気分が滅入っちまって愚痴ばかり。ま、朝の来ない夜は無いって言うけど、この夜が長くないことを祈るばかりだね。
今日、ハローワークから電話がかかってきた。「今なら優秀な若い人がたくさんいます、どうですか?」って明るい声。何となくイヤミに聞こえる。気がする。
世の中、うまい具合にいかんもんだね。欲しいときになくて要らないときに余る。オバマさんじゃないけど世の中ひっくり返るような変革は必要だなとつくづく思う今日この頃。
今年もあと2週間、来年はどうなるんだ・・・?
Posted at 2008/12/16 18:58:36 | |
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