■ プロローグ
昨年11月、入院中に取引先の親分から連絡があり一方的に無理難題を押し付けられた。
退院後、そのイベントについてネットで調べてみたらなにやら楽しそうな雰囲気。
FISCO連チャンになるけどのんびり楽しめればいいかな。
妻と娘は連休を利用して京都旅行へ。
彼女らはほとんど毎年京都へ行く。そんなに京都がいいのかねぇ・・・
■ 暖かい朝
当日、午前3時に起床、ほとんど眠れなかった。熱いコーヒーを自分で煎れる。
犬・猫・金魚の世話をした後、ボロテラノで集合場所に向かう。
残念ながら天候は昨夜からの雨である。やれやれ・・
車の外気温計は11度。いつもより暖かいんじゃないの?
「道の駅どうし」で合流しFISCOに向かう。
雨は激しくなるばかり、滑りやすい峠道をゆっくりと進む。
午前5時半に富士スピードウェイに到着、外気温計は14度・・・え?
車から降りると確かに暖かい。着たばかりのキルティングを脱ぐ。
これだけ暖かければ雨のレースでもライダーは楽だろうと思ったのだが・・・。
今回私はレース監督を命じられた。走らなくていいのは楽なのだが。
エントリーの手続き後に指定された23番ピットへ向かう。
ピット裏は既にびっしりとテントの山。ストーブや発電機まで持ち込んで。前泊か?
チップを取り付けたり空気圧をチェックしたりゼッケン (346番) をつけたりと準備。
熱い缶コーヒーを飲みながら作戦会議。
我がチームの出走者はたったの4人。しかし1人だけ競技経験者がいる。
彼をメインにして出走順を決め目標をトップ50位以内を目指した。
今回のエントラントはおよそ
520チーム、どこのピットもお祭り騒ぎ。
でも中には「これがママチャリ?」と疑いを禁じえない多段ギアの自転車もちらほら。
■ スーパーママチャリ・グランプリ
雨はだんだんと激しくなる。気温も下がってきた。
スタート順は並んだ順という極めていい加減なもの。
それならばとゲートが開いた瞬間に自転車をスタートラインに運ぶ。
違反すれすれに並んでポールをゲット。いいのかなぁ・・・
雑誌社やテレビ局の取材があちらこちらで行われている。
事前にメディアが多数来るということを知らされているのでコスプレが多い。
女装はもちろん着ぐるみ、電飾、自転車が隠れる旗などなど・・・
中には海パン一丁という強者も。まさに参加することに意義ありといったところ。
午前8時30分、ペースカーを先導にスタート。7時間後のゴールを目指す。
F1も走るFISCOの本コースを520台のママチャリが疾走する。壮観!
テレビで1コーナーを見る。
ペースカーのヘッドライトが見えるが霧が深く視界不良。
ん?なかなか来ない。まだ来ない。ぜんぜん来ない。
そりゃそうだ、相手は自転車である。車とは違うのだ。
はたして7時間で何周走れることやら。
■ 驚愕・不安・疲労困憊
2周目、ピットウォールに立つと我がチームは何と5番手!!
3周目にはバックマーカーが出るほどのペースで疾走。
1周9分10秒台、ママチャリにしては速過ぎか?
その後4番手に上がる。作戦成功。こりゃすげえ!
チームのメンバーに不安が広がる。「自分が順位を落としたらどうしよう」と。
「無理しなくていいよ、完走を目指そう」と私。
ほとんどのチームは2ラップでピットイン、私は第1走者に5周を命じていた。
だが4周目にピットイン、次の走者の準備ができていない。
あわてまくるピット、怒号が飛ぶ。1分ほどロスしてピットアウト。
第1走者にはエースを当てたが寒くて足の感覚がなくなり緊急ピットイン。
雨は降り続くし走れば風を切るため体温が予想以上に下がってしまったようだ。
着替え後に暖房の効いた2階のクリスタルルームに避難させた。この時気温は7度。
ほとんど運動をしない第2ライダーは次々と順位を落とす。
モニターでチェックすると40位くらいまで落ちてきた。
コース後半の登りテクニカルセクションでは押し歩いているチームが圧倒的に多い。
2ラップして第2ライダーがピットイン、自転車を降りると膝が笑っていた。
全身ずぶぬれで疲労困憊、しゃべろうとしても歯の根が合わない。
第3走者がピットインしてきたときには順位はさらに落ち67位。ま、こんなもんか。
急遽4番手に再度エースを走らせた。5ラップしてこいと送り出す。
途中、テレビ朝日の取材を受ける。が、きっとボツになるだろうww
■ グランプリ・ファイナル
昼過ぎに気温は2度。ピットウォールに立つことがつらい。
でもライダーはもっとつらく寒いはず。通り過ぎるたびに大声で声援と指示を送る。
途中で弁当や飲み物を買ってきたり裏方の仕事をこなす。
エースの頑張りで順位を取り戻す。でもまたライダー交代で順位を落とす。
もう順位はいいからさ、のんびりやろうぜ。
レース中、転倒事故などにより7度も救急車が出動。
泣く泣くリタイヤするチームも。見ているこっちも無念に思う。
気温が1度になった午後4時半、ゴールを示すチェッカーが振られた。
みんな頑張った。7時間を36周走りきり最終結果は28位、もう立派。
またすべてのエントラント、大会運営者、ボランティアの方、お疲れ様でした。
走ったライダーはきっと明日身体中が痛くてたまらなくなることだろう。
出走チーム全員に順位を記したトロフィーが授与された。粋な計らい。
さぁ、暖かい場所であったかいモン食べようか、と帰路に着く。
■ エピローグ
松田から東名に乗り厚木のレストランに向かう。
高速道路は雨もあって非常に空いており、ボロテラノをゆっくりと走らせた。
飛ばす車も時折見かけるが見事に覆面に捕まったりして。
温かい飯と飲み物で体を温める。
わずかな時間だけど反省会という名の談笑で過ごす。
レストランで別れを告げ帰宅の途に。
もうぐったり疲れ果てた。寒い中長時間立ちっぱなしだったので腰も痛い。
こんなんで明日またFISCOに行けるのだろうか?