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2014年08月25日

初代シビックを語る 《15》(最終回)

初代シビックを語る 《15》(最終回)  ~ シビック開発担当 木澤博司氏 ロング・インタビュー

第15回 海外体験と初代シビック

----歴史の「if」はあまり意味がないことですが、もし木澤さんの、あの1年間のロンドン体験がなかったら、「初代シビック」は、ああなっていなかったでしょうか?

木澤 ヨーロッパ体験があったから、非常に細かいところでの味付けや仕様の決定を、自信をもってできた。そのことは言えます。でも、コンセプトそのものは、オール・ホンダ含めて、研究所の中に、みんなが乗れるクルマを作りたいというものが、あの頃すでに、できあがっていた。それを、なぜか(私が)LPLをやらされて……。

ただ、だめなものはだめ、いいものはいいというように、非常に正確に判断ができて、決めていくことができたのは、ヨーロッパの体験が生きたとは思ってます。

正直言って久米さんなんかも、クルマをそんなにわかっている人じゃないし、二輪やレースをやってきた人ですからね。普通の「街用」のクルマというのはこんなものだよというのを、自信を持って、ぼくは旗を振れた。そういうことはあったと思います。

----「シビック」のコンセプト、その出処は研究所の中から?

木澤 そうです。ただ、その後もずっとホンダの四輪、「アコード」をやり「プレリュード」をやり、そのあとも、それこそ「オデッセイ」の前ぐらいまでやってきて、“生活の中でのクルマ”のあり方みたいなものは、自分の中でひとつ、(ヨーロッパ体験が)大きなエポックになっていたんだろうなと思います。

後年に、ヨーロッパの研究所の社長になって、4年半ばかりドイツにいたことも含めて、いまのぼくのクルマの知識というのは、そういうところから学んだものですね。

あと、アメリカを知ったのも……。(シビックのための)テストとか、「シビックCVCC」(の開発)で半年ぐらいフォードの中にいて。アメリカもそういう意味では知ることになった。

クルマというのは、いまは日本だ、アメリカだ、ヨーロッパだ……というのはなくなってきましたけれども。でも、まだホンダが四輪をやり始めてしばらく、中間期ぐらいまでの間というのは、アメリカ、ヨーロッパみたいな(外の)世界を見てきたことは、かなり勉強になっていたという気はします。

たとえばフォードで学んだのは、当時排気ガス規制が厳しくなってきていましたが、CVCCというのは、初期のものは非常に「ドライバビリティ」が悪かった。

「ドライバビリティ」というのは、クルマにとってどんなものか。それについての非常に細かなテスト・プロシージャーを持っていて、それに基づいて(開発を)やっていたのがアメリカだったし。それから、EPA(アメリカ環境保護局)の耐久(試験)だとか、排気ガスの劣化だとかいうようなことも、アメリカは日本よりもかなり進んでいました。

結果として排ガス規制の場合は、アメリカより日本のほうが最終的には(規制値が)上回って、燃費にしても(日本が)クリアしていったけれども、そのプロシージャー(所定の手順)だったり、考え方みたいなものは、アメリカの方がはるかに進んでいた。これは事実です。

こっちがCVCCをやっている頃には、アメリカではすでに「ドライバビリティ」の評価のプロシージャーがちゃんとありましたからね。これも、ぼくのクルマ人生の中で勉強になったことのひとつです。

----たしかに、「ドライバビリティ」っていまだに日本語になっていない?

木澤 なってないですね。(でも当時のフォードには)「ドライバビリティ何点」だとか、どういうクルーズをしながら、アクセルをどのぐらい開くか、そのときにサージングをどのぐらい起こせば何点であるとか。そういう細かい評価基準はすでにできていました。

----もし日本語に訳すと何でしょう、運転性みたいなものですか?

木澤 運転性というと広くなりすぎる。

----エンジンだけのことじゃないですしね。

木澤 ええ、エンジンだけじゃないです。マウント系も入っています。(要するに)「過渡現象」でしょうか。(単なる)アクセル・レスポンスとも違うんですよね。アクセルに対応する過渡現象みたいな、そういうようにしか言えないのではないですか。アクセルワークに対する過渡現象、クルマの挙動というか、そういう風なことですね。

----ドライバビリティはともかく、シビックについては、今日はいろいろ謎が解けました。どうもありがとうございました。

(了)
ブログ一覧 | クルマ史探索file 1972初代シビック | 日記
Posted at 2014/08/25 22:43:15

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