
ホンダのシビックは、さまざまな車種に“化ける”。ワゴンの「シャトル」になったり、アメリカではクーペになったり、英国ではサルーン(ローバー)になったりする。したがって、サスペンションなどの基本コンポーネンツは、そういった多様なファミリーに展開することを前提に設計されるという。
そのシビック・グループから、スポーツ性を追求したモデルが出現。それが「CR-X」だった。(1983年、バラードスポーツCR-Xとして登場)
ただシビックというのは、ノーマル状態でもかなりスポーツライクなクルマであり、最速のシビックは、いつも3ドア仕様だった。そんな中で、もし“シビック・スポーツ”を作るのであれば、さらにスポーツ方向に振らねばならない。この時にホンダが採った方法と成果は、ほとんどFFの定説を打ち破るものだった。そう、徹底的に「曲がるFF」としたのだ。
初代CR-Xの、小さなコーナーでの挙動は凄かった。ノーズの向きは、ステアリングをちょっと切るだけでスパッと変わった。さらにはFFのくせに、コーナリング中にアクセル・オンすると、テールが外に流れだすような感覚さえあった。
こういう「曲がる」タイプのクルマをセッティングするのに、いかにもよさそうな、ツイスティなテストコースが、ホンダ栃木研究所の中にある。CR-Xは、おそらくそこでの優等生だったはずだ。北海道の鷹栖に、高速ワインディングのテスト・コースができる前の、ホンダらしいスポーツ車だった。
(「カーセンサー」誌、1995年。「昭和名車伝」より)
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クルマ史探索file | 日記
Posted at
2015/04/28 19:00:35