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イイね!
2015年12月15日

ハンドル位置と「左ウインカー」

> ウインカーのレバーはドライバーにとっての「窓側」にあるべし。これがクル
> マ作りの原理もしくは不文律のひとつなのだと、あらためて気づく。この理由
> の探索は、今後の課題ということで……。

こんな締めくくりで終わってしまった前回だったが、その答えらしきものをひとつ見つけた。「日本製の右ハンドル/MT車」に乗っていた頃は、そういえば、ウインカーの操作をしながら、同時にシフトダウンもしていた。つまり、右手と左手では違う“仕事”ができるようにする。こうした役割分担から、ウインカーのスイッチ/レバーは「窓側」にあった方がいいとなったはずだ。

……というか、これはちょっと順番が逆なのかもしれない。“馬なし馬車”から「自動車」になり、さらに「丸ハンドル」でクルマの操舵を行なうようになった時に、「窓側」ではない方のドライバーの「手」には重要な仕事が付与されていた。そう、ミッションの操作である。左ハンドル車なら右手、右ハンドル車であれば左手が、車体の中央付近に位置する変速機のレバーを操作する役目を担った。

そして、ステアリングとペダルとシフトレバーだけでクルマを操作していた(短くない)歴史の後に、「方向指示器」という社会的なパーツが出現する。その際、ウインカー・レバーの操作は、空いていた方の手に委ねられたが、これはむしろ必然だっただろう。つまり「窓側」の手で、方向指示器は操作する。このようにして、「右ハンドル → 右ウインカー」「左ハンドル → 左ウインカー」という習慣、もしくはクルマ作りの原則がまずは定着したと思う。

なぜ、左ハンドルと右ハンドルの二種があったかというのは、右側通行と左側通行の“二制度”があったからで、この点に突っ込んでいくと、また別のハナシになってしまうが、ともかく現象として、ヨーロッパ大陸ではクルマが右側通行であり、ドーバー海峡を隔てた島々の英国では左側通行だった。

ただ、こうして欧州圏だけを見ると、大陸側が圧倒的に優勢のようだが、ただし“大英帝国グループ”というものが存在したので、地球規模では「左側通行/右ハンドル」である国や地域はそんなにマイナーではなかった。オーストラリア、ニュージーランド、インド亜大陸、マレーシア、香港、シンガポール、ケニア、南アフリカ、マルタなどが「英領」であり、さらには、どこの「領」にもならなかったが、仏領インドシナとビルマ(現・ミャンマー)の間に位置していたタイなど。これらの国や地域が「右ハンドル」で、わが国も1860年代(明治)の“開国”期に、おそらくは英国に倣って「左側通行・右ハンドル」を採用した。

そして、欧州大陸圏と英国圏、それぞれでクルマを作り、使い分けていた時代はよかったのだが、やがて、クルマが「国際商品」になる時代が来る。そして、この「左ハンドル/右ハンドル」問題にISO(=国際標準化機構)が介入し、ウインカー・スイッチの位置はどうする、どのように“標準化”するのかということになった。この時、欧州大陸側の意見が支配的であるISOに、少数派の英国側がさして抵抗せず、右ハンドル車を作る場合に、左ハンドル車のステアリングとそれに付随するスイッチ類を「そのまま」右側に移せばそれでいいという決定に従ったといわれる。これはたぶん、その通りであったのだろう。

この「ISO決定」以後、英国で生産される英国向けのクルマ、これは当然「右ハンドル」」だが、その仕様であっても、ウインカーの操作レバーは左側(車体中央側)に付けられるようになって、今日に至る。

一方、日本の場合はどうなっているかというと、JIS規格で「右ハンドル車のウインカー・スイッチは右側に」と決められているのだそうだ。でも、これは毅然たる姿勢でいいと思う。なぜなら「右ハンドル/左ウインカー」にすると、左手だけがやたら“忙しい”(笑)ことになるからだ。

つまり、「右ハンドル/右ウインカー」は合理的であり、“ガラパゴス”などと非難されるべきものではない。左右の手を均等に使ってクルマを操作するという意味でも、今後ともキープされるべき仕様であると考える。

ただ一方で、どんな仕様のクルマに乗ったとしても、ウインカー・レバーは「左側」に付いている。だから、この点だけは間違いようがない。……というメリットが一方であることも認める。これ(共通認識)こそがISOの狙いであるのだろうが。

まあこういう問題で、私たちの場合は、よくも悪くも「島国」であることを意識しつつやっていくしかないのではないか。島国だからこそ「右ハンドル/右ウインカー」の利便性も享受できる。これがたとえば、半島国家の韓国であれば、巨大な中国大陸とつながっていることを考えずに、トラフィックのシステムを決定することはできなかったはず。(ちなみに中国は右側通行/左ハンドル)

ただ、これから先の問題として、右ハンドルでも「左ウインカー」が事実上のワールド・スタンダードとなっていった時に、たとえばタイやネパールといった「右ハンドル車」の国に日本製のクルマを輸出する場合はどうするか。こういったことが浮上するかもしれない。この場合は、それぞれのマーケットで、右ハンドル車でウインカーはどっち側に付いているのが多いのか。こうした状況なども読みながら、ひとつひとつ個別に対処していくことになるのだろう。

ただし最後に、そして繰り返しにはなるが、私はこの日本では、これから先もずっと、たとえAT車であっても、「右ウインカー」でクルマを運転したいと思う。“ガラパゴス”けっこう! これは“島国の民”の特権である。
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Posted at 2015/12/15 08:11:39

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