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家村浩明のブログ一覧

2016年07月08日 イイね!

【 70's J-car selection 】vol.04 カペラ・ロータリー・クーペ

【 70's J-car selection 】vol.04 カペラ・ロータリー・クーペカペラ・ロータリー・クーペ S122A(1970)

大衆車ファミリアの上位に位置して、ブルーバードやコロナと張り合っていたマツダのミドルサイズ乗用車シリーズがカペラだった。そして、他社のファミリー・セダンとこのクルマとの決定的な違いは、スカイラインGTにも対抗できるスーパースポーツをそのラインナップに持っていたこと。それが新開発の12Aロータリー・ユニットを積む「ロータリー(RE)クーペ」である。

1960年代後半に“羊の皮を被った狼”を名乗ったのはスカイラインGTだったが、しかし「スカG」の場合はロングノーズ造形で、6気筒エンジン搭載であることは見た目でも知れた。一方、このクルマはルックス的には地味なクーペで、“羊と狼”、つまり外観とリアル性能とのギャップ、そしてそのインパクトの強烈さでは、このカペラ・ロータリーはスカGをしのぐものがあった。このクルマは輸出名に「RX-2」という名を持ち、このコードネームが後年のロータリー・ピュア・スポーツ、サバンナRX-7(1978年)につながっていく。

(ホリデーオートBG 2000年3月より加筆修整)
Posted at 2016/07/08 22:23:30 | コメント(1) | トラックバック(0) | 00年代こんなコラムを | 日記
2016年07月06日 イイね!

【 70's J-car selection 】vol.03 フロンテ・クーペ

【 70's J-car selection 】vol.03 フロンテ・クーペフロンテ・クーペ LC10W (1971)

当時はまだ「FF」がメジャーになる前で、スバルとスズキは軽自動車には「RR」を採用していた。つまり、リヤエンジン/リヤドライブ。この方式はVWビートルやルノー4CV(日野ルノー)、フィアット500など、欧州の小型車で一般的に採用されていて、リヤにエンジンを積み、そのまま後輪を駆動するというコンセプトだ。

スバル360やスズキ・フロンテのセダンは「RR」によってスペース・ユーティリティを確保していたが、そのメカを実用性のためでなく「スポーツ的」に用いようとしたモデルとして、このフロンテ・クーペは日本車の歴史に残る。流麗なデザインの「RRスポーツ車」、そのクーペ・ボディの全高は1200ミリしかなく、デビュー時には2シーター(二人乗り)仕様のみが設定されるという徹底ぶりだった。

きわめて低い位置にあるシートに収まると、丸形メーターが目の前に6個も並ぶインテリアがドライバーを包んで、スポーツの主張は強烈そのもの。搭載されていた2ストローク3気筒エンジンはパワフルで、かつ低速域でのトルクも太く、市街地を流すような走行でも何ら支障はなかった。この360ccのエンジンはフォーミュラ・カーにも積まれ、サーキットでも大活躍した。

(ホリデーオートBG 2000年3月より加筆修整)
Posted at 2016/07/06 11:01:03 | コメント(1) | トラックバック(0) | 00年代こんなコラムを | 日記
2016年06月28日 イイね!

【 70's J-car selection 】vol.02 セリカ1600GT

【 70's J-car selection 】vol.02 セリカ1600GT○セリカ1600GT TA22(1970)

日本のスペシャリティカーの原点というべきモデルが、このセリカだ。企画の手本はアメリカで、当時、フォードのマスタングが“ポニーカー”としてヒットしていたこと。(マスタングのデビューは1964年)。スポーツカーとかGTカーといった“本格もの”ではなく、高性能だが、もっとカジュアルで乗りやすいパーソナルカーとして仕立てられ、それが「スペシャルティカー」と呼ばれて新ジャンルを形成していた。トヨタはそのトレンドにいち早く目をつけ、このような、スタイリッシュなクーペを送り出してきたというわけ。

シリーズの中でもGTは当時はレアだったツインカム(DOHC)の強力なエンジンを搭載し、モータースポーツにも進出。国際ラリーでは、このセリカが主戦機種となって、これ以後のトヨタのラリー活動を支えることになる。当時のトヨタには、ガタイが小さめで、それにパワフルなエンジン搭載という組み合わせが、実はこれしかなかったという事情もあったが。

このセリカは「スペシャリティカー」=特別なモデルを名乗るに相応しく、仕様や装備品を購入者が自由にフルチョイスできるという販売方式で登場したが、これはさすがに時期尚早であったようだ。当時はマーケット&カスタマーの方がその「買い方」に上手く対応できず、次第に、従来通りにメーカーによって決められた仕様での販売という他車並みのかたちに収束していった。

(ホリデーオートBG 2000年3月より加筆修整)
Posted at 2016/06/28 00:11:14 | コメント(1) | トラックバック(0) | 00年代こんなコラムを | 日記
2016年06月27日 イイね!

【 70's J-car selection 】vol.01 サニー・クーペ1200GX

【 70's J-car selection 】vol.01 サニー・クーペ1200GXサニー・クーペ1200GX B110(1970)

1970年代のニッサン・サニーは、今日のイメージよりもずっと“熱い”モデルだった。それにこの頃は、FFであることはむしろニュースで、サニーのような小さいクルマであっても、駆動方式はFRがほとんどであり、またATもまだマイナーだった。

そしてMTということでは、このGX-5のミッションは異色だった。このクルマのシフトパターンは2速から5速までがH型で、1速はHパターンの外側に置かれていたのだ。1速は発進時しか使わず、走り出したら「2~5」までのギヤを駆使するというレーシングカーによくある方式が採用されていた。今日でいうなら、このGXは、おそらくインテグラの「タイプR」に相当するポジションにいた。

そして後年、ミッションだけでなく、小型・軽量で後輪駆動といったこのクルマの属性にレース界が着目し、サニーはサーキットで大活躍する。多くのチューナーが参入し、エンジンは140馬力にまでパワーアップされたレーシング・サニーが競う「マイナー・ツーリング」カテゴリーは、前座ながらも、富士スピードウェイでの最もエキサイティングなレース(接近バトル!)として観客に愛された。

(ホリデーオートBG 2000年3月より加筆修整)
Posted at 2016/06/27 07:05:58 | コメント(1) | トラックバック(0) | 00年代こんなコラムを | 日記
2016年06月11日 イイね!

「ミニバン」と「SUV」 《2》

「ミニバン」と「SUV」 《2》もうひとつの「SUV」だが、これも手短かに説明するのはけっこうむずかしい。まず辞書的には、これは「スポーツ・ユーティリティ・ビークル」の略語であり、最初の「S」は「スペース」ではない。

モデルでいうと(2004年時点)、日本メーカーではホンダCR-V、スバルのフォレスター、またわが国でいうクロカン系(パジェロなど)もこれに含まれるはず。さらにややこしいことでは、近年はこのSUVにセダン(乗用車)の要素を加えた「クロスオーバーSUV」というジャンルが、アメリカでは出現している。たとえばトヨタのハリアー(日本名、海外ではレクサスRX300)は、もはや単なるSUVではなく、クロスオーバーであると位置づけられているようだ。

ではアメリカで、なぜ、このような用語が生まれたか。これにはアメリカ的なクルマの「分類」がその根底にある。アメリカ市場の場合、セダンやステーションワゴン、あるいはクーペといった「乗用車」系ではないタイプ。それらのクルマのすべてを、まずは「トラック」系として分類する……らしいのだ。

そして、そうした「トラック」系の中で、変化や進化が生まれる。たとえばチェロキーのような、普段の乗用ユースにも十分使えて、走りも鈍重ではないというタイプ。それらがミニバンと期を同じくして、アメリカのマーケットで注目され、そういった新タイプ車を日常的に使用する人々が増えた。

こうして1990年代の半ば頃から、大きな分類では「トラック」系に属するものの、その中で、乗用車としての十分な快適性や「ユーティリティ」を持つ新ジャンル・ビークルがマーケットの一角を占め始めた。そしてそれらは例外なく、トラックに較べるとはるかに「スポーティ」に走った。そこから、そうした軽快な“乗用トラック”を呼び慣わす名称として、以上の形容句を全部つないだ「スポーツ・ユーティリティ・ビークル」(=SUV)という用語が生まれた……というのが私の解釈である。

「トラック」系のはずなのに、しかし、異様にスポーツ・ライクに走れる! こうした米人ドライバーの驚きから、この“新種”は評価された。ゆえに「スポーツ・ユーティリティ……」ということなのだ。

アメリカ映画を見ていると、農家などで所有しているクルマはピックアップ車一台だといったシーンに出くわすことがある。こういう人々にとっては、乗り物(ビークル)とは「トラック系」を意味しているはず。その種のクルマだけを乗り継いできたユーザーが、チェロキーを動かしてみた。あれ、これは全然違うぜ!……ということ。人々の間にそうした感覚の共有があったから、「スポーツ・ユーティリティ・ビークル」という表現も浸透したのだろう。

対して、私たち日本人の場合は、「クルマ」といえば、まず最初に「乗用車系」を連想するのではないか。そして、そういう環境の中でチェロキーやハリアーを見れば、最近は「乗用車」が新展開して、オフにも行けそうな多用途車がいっぱい出て来たなと感じる。その時に、そんな“新種”をアメリカでは「SUV」と称している……と言われれば、「なるほど、スペース・ユーティリティってことだな?」と直感した。これはムリのない誤用であったな、とも思う。

さて、「歌は世につれ、世は歌につれ」は、音楽があまりにも細分化されてしまったためムカシ話になってしまったが、自動車とそのマーケットは、まだ「世につれて」さまざまな新種が登場する状況だ。「ミニバン」も「SUV」も、人とクルマの関係性と、人がクルマに求めるものが変わったことから生じた新ジャンルといえる。

ただ、歴史をさかのぼれば、これら二つのジャンルは、それぞれ「商用ワゴン」と「クロスカントリー車」をそのルーツとしているはず。そして1980年代あたりから、これらのジャンルのモデルが乗用車として「転用」され始め、1990年代に入ると、とくにアメリカと日本で、その「転用」がいっそう日常化した。マーケットとカスタマーは、メーカーの思惑や歴史とは無関係に、商用ワゴンやクロカン車を乗用車として使った。

そうなればメーカーとも、そんな「転用」を前提にしての、そして「その次」もニラんでのクルマ作りになる。そんなに「非・乗用車」系の乗り物がほしいなら、そしてそれを日常的に使うなら、そのための新車を作ってあげましょうということ。クルマ世界の20世紀が「セダンとクーペ」の時代であったとすれば、その21世紀は「バンとSUV」の時代──。この大雑把な分類と解析は、たぶんハズレではない。

(了)

(2004年5月、web「Poplar Beach」掲載文より加筆修整)
Posted at 2016/06/11 09:40:28 | コメント(0) | トラックバック(0) | 00年代こんなコラムを | 日記
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何シテル?   01/15 10:59
家村浩明です、どうぞよろしく。 クルマとその世界への関心から、いろいろ文章を書いてきました。 「クルマは多面体の鏡である」なんて、最初の本の前書きに...
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