
レオーネ4WDエステート・バン(1972)
当時はその意義や意味がイマイチよくわからなくても、時間が経つとともに、「歴史」によってその価値や評価が“発見”されることがある。1972年にむしろひっそりと、追加仕様として、まず「バン」が登場。この時点では、主に不整地や雪上でもスタックすることなく走行するため、つまり特殊業務用という意味合いが強いとマーケットは受け止めていた。
しかしメーカーの「そのメカニズム」についての本気度は、当時のマーケットやカスタマーの意識よりはるかに高かった。オフやスノーだけでなくオンロード走行においても、トラクションやスタビリティで「4WD」はその本領を発揮する。そのことを確信していたメーカーは、当時に“準・乗用車”的に使われていた商用ライトバン(それにエステート・バンという名を与えた)に続けて、4ドア・セダンにも「4WD」仕様を設定して発売した(1975年)。それが1970年代初めに登場した、スバルのレオーネ・シリーズである。
単にエマージェンシー用ではなく、オンロードでも、つまり日常的に「全輪」を駆動した方が安全性も向上する。あのアウディ・クワトロはこのように主張し、乗用車のための4WD仕様を華々しく登場させてクルマ世界にインパクトを与えたが、そのクワトロのデビューは1980年のことだ。
一方、、彼ら(欧州人)にとっての「極東」の地であるこの島国では、1970年代の前半という時点で、既に「オンロード4WD」の提案が行なわれていたのだ。その意味でレオーネ(初代)は、記録と記憶に残すべき“私たちの日本車”の一台なのである。
ここでは、72年のバンか75年のセダンか、どちらの「乗用4WD」を採り上げるべきか、若干悩んだのだが、エステート・バンからステーション・ワゴンへと展開して稀代の人気モデルとなった、あのレガシィの原点という意味も込めて、“祖”というべきエステート・バンにスポットライトを当てる。
(ホリデーオートBG 2000年3月より加筆修整)
Posted at 2016/09/16 07:18:55 | |
トラックバック(0) |
00年代こんなコラムを | 日記