
カローラ・レビン TE27(1972)
トヨタのコンパクト・スポーツ「レビン/トレノ」の“先祖”で、登場は1972年。もちろん当時のことであり、駆動方式はFR。そういえば、1970年代前半のトヨタ車は、最小のスターレットでもFR方式で、1978年のターセル/コルサのエンジン縦置き+FFの登場まで、コンパクト車であっても前輪駆動方式はなかった。
このレビンだが、カローラ・シリーズにはそれまで、愉しめるスポーティ機種として「SR」というグレードがあり、《走り》重視のユーザーには人気の仕様になっていた。そんな素地があったところに、このレビンが一気にSRの数段上を行くモデルとして出現して、マーケット&カスタマーを驚かせた。兄貴分に当たるセリカ用、そのツインカム・ユニットである「2T-G」を小さくて軽量なカローラに搭載する。これはそういうコンセプトのメーカー製“チューンド・カー”だった。
もちろん、総合的なパフォーマンスとしてはスカイラインGT-Rの比ではなかったかもしれないが、しかし、当時はツインカム(DOHCエンジン)がそもそも稀少。そうした“特別性”と合わせて、小さなクルマながら圧倒的な加速感を持つこのレビンのインパクトは、オーバー・フェンダーで武装した外観とともに、GT-Rに匹敵するものがあったのではないか。このオリジナル・レビンの好評が、あの「AE86」の人気にもつながっていく。トヨタのコンパクト車史上に燦然と輝く“ベビー・ギャング”、それがこの初代カローラ・レビンなのである。
○フォトはトヨタ博物館にて。
(ホリデーオートBG 2000年3月より加筆修整)
Posted at 2016/09/30 21:06:39 | |
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