
GTOは、先行して売られていたギャラン・セダンのクーペ・バージョン。グランツーリスモを名乗るとおりに、スペシャリティを謳うセリカよりは、ぐっとスポーツに寄っていたスポーツマシンだった。もちろんこれにも、アメリカのポニーカーの影響は顕著で、スタイリングとしては、このGTOは、初代マスタングのイメージをかなりダブらせているといえよう。
 このMRという仕様は、シリーズ中唯一のツインカム・ユニット搭載のバージョン。当時はカムシャフトが2本であるというのは、それだけで稀少価値であり、価格的にも高価で、いま風にいえば相当なレアものだった。GTOというシリーズは、精悍なスタイリングが受けてそれなりのヒット作となり、このカッコウを見かけることも多かったが、しかし、このMRは滅多なことでは街を走っていなかった。
 ギャランのセダンは、当時走りには定評があり、それを低重心化しタイヤを強化した仕様であるこのGTOも、シャープなハンドリングで楽しめた。だが、三菱のスポーツ活動はラリーが中心だというイメージがあり(フォーミュラ・カーもやっていたのだが)、その意味でこのGTOは「三菱的」にはあまりコンペティションの匂いがせず、それがある種の上品さではあったが、一方ではイメージ的な弱さにつながっていたかもしれない。
(ホリデーオートBG 2000年3月より加筆修整)
 
				  Posted at 2016/08/24 02:19:33 |  | 
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