
前回投稿からずいぶんと間が空いてしまった。
忙しかったこともあるけど、この車が想像とかなり違っていて、調子により印象が変わったり、走り方によって燃費が変わったりと言うことで、車を理解できないので書けなかったのだ。
最近ようやく自分なりの評価ができるようになったので、ここに書いておきたい。
まず結論を言ってしまおう。
基本的に良い車だ。2人乗りのコミューターとして王道にあると思う。燃費が良く、コーナリングが快感で、小さいのに遠出でも安心感がある。
しかしこれは私にとっては予想と全く違う印象だった。同じインサイトのマニュアルからAT:CVTへの乗り換えだったので、車の印象は継続されると思ったのだが、そうではなかった。
マニュアルインサイトの魅力は、世界一の低燃費を実現するために、技術者が考え得るあらゆる手立てをぬかりなく実施したことにあった。この中には顧客に分からないギヤボックスの中の手の込んだ軽量化や、合金の軽量化など、顧客どころか設計者本人の計測でも数値の差が出そうもない細かなことが沢山ある。技術者魂を徹底したと言うよりは、自分の心の中にある技術の神様への忠誠心と言うか、妥協したい自分との闘いと言うか、合理性を超越した神聖なものを感じさせるのだ。そしてこれを具体的に感じさせるのが、スウィートスポットをつなげていかないとスムーズに走れない5速ミッションと非力だけどスムーズなエンジンなのだ。(慣れるとド素人に簡単にこれができてしまう設定が絶妙。)
ところが、AT:CVTでは、〝低燃費のための非力さ”を感じさせる部分がCVTとモーターアシストによって消されてしまい、“適切なパワー”か、ちょっとスポーティなパワーに変わってしまっているのだ。
人類の夢の最先端にチャレンジする華奢で先鋭的なプロトタイプが、AT:CVTに変わっただけで、機敏で頼りがいある日常の友に変わってしまったのだ。これをどう理解すれば良いだろうか。
元々、IMAバッテリー以外は壊れない車だったのだが、IMAバッテリーが華奢な印象を作り出していたのだ。これがX氏のバッテリー載せ替えで、「もう壊れないよ」と言われたのと、デリカシーを感じさせるMTがなくなったことで、欠点が是正され、ある種の魅力のポイントが失われたのだ。現在はいつもの通勤ルートでレギュラーでほぼ22㎞/Lを達成しており、燃費もMTより幾分良いことになる。
しかしこうなると“20世紀末に現れた特別な車”を感じさせる部分がなくなって、最新のエコカーと比較したくなってしまう。
最近わが艦隊に加わったプリウスPHVは29㎞/Lを超える勢いだ。以前試乗した新型インサイトもそれくらい走るだろうし、乗り味が洗練されている。それに対しこちらは路面状況を伝える乗り心地やロードノイズやCVT音などの暗騒音満載、武骨な剛性感。しかし不快感はなくスポーティとも解釈できる。プリウスと並べると、理想のファミリーカーとお愉しみ用のマイクロスポーツカーと言った感じ。20年たってもまだまだ現役である。
ここまで分かるまでにいろいろな経過があったが、これについては次回のお愉しみ。
Posted at 2020/10/10 21:07:20 | |
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