
TAF-Meetに参加した。
自動車趣味のミーティングに参加するのは初めてだったが、最初からディープな集いに参加することになった。
工場閉鎖後16年にもなるが、毎年TAF-Meetが開催され、近年は参加者が増えていると言う。今年も私以外にも初参加が数名いて、トータル77名、60台を超えるミーティングになった。
40km /Lを超えるようです。
インサイトは強度が高いミグ溶接のアルミモノコックに挑戦したのだそうだ。ところが熱変形が大きいアルミのミグ溶接は大変で、結局熱変形を見越した職人の勘で組み上げたのだそうだ。私も建築でアルミの構造体に関わったが、アルミは溶接すると強度が低下するので大変だった。
今回の基調講演は、新型NSXを作る米国工場の責任者のクレメント デ ソーサさんだ。なぜTAF-Meetの基調講演が新型NSXの工場長なのかと言うと、新型NSXの工場は、高根沢工場の考え方でアメリカに作ったのだそうだ。工場の裏庭にあるNSXの文字が浮き出る植え込みも、まったく同じものがあると言う。ここで「選ばれし200人」でスタートしたのだという。
講演内容は詳細かつ分かりやすかった。
工場計画にあたってアルミボディを作る世界の主要メーカーの工場を見学させてもらったそうだが、基本的に同じ構成で、最後の工程に、溶接で変形してしまった状態で次のパーツをつけるための穴あけ工程の部屋があるのだそうだ。
今回の工場計画でもそのスペースを確保したそうだが、高根沢工場でのインサイトの溶接の際の変形の経験を活かして、変形の度合いを考慮した溶接計画を採用したそうだ。その結果、最初のパーツに開けた穴がずれることがなく、最後の穴あけ工程が不要になったそうだ。
懇親会を待つ間に、ソーサさんに「私が買えるようなインサイトのような安い車も作って下さいよ!」、とお願いしたところ、周囲の賛同者から「そしたらアメリカでTAF-Meetやろう」との声まであがったのだが、色よい返事は得られなかった。ソーサさんはまるで日本人のような心使いの人だった。今回のイベントで沢山のホンダ関係者にお会いして、ホンダファミリーは、世界中どこでも一体なのだという印象を受けた。
私はインサイトオーナーなのに、インサイトの総括責任者の講演は、2年前に終わってしまったと聞いて嘆いていたところ、ご本人が懇親会場にいるとのことで、ご紹介いただいた。
私のインサイトは26万キロ走っているが、走行距離が延びるにつれて滑らかさが増して、いまだに少しづつパワーアップしているように感じる、などを伝えたところ、想定内だったようだが喜んでいただいた。
インサイトのような究極の技術的チャレンジをした車をまた出してほしい、と話したところ、それは無理とのことだった。インサイトは製造原価が250万円なのに200万円で売ったことで、大変なことになったとのこと。一切の広告費がなく、新車発表会もできなかった。企業イメージのUPにつながること以外では露出できないので、たくさんの講演会に参加して宣伝に変えたそうだ。
ホンダがイギリスから撤退することに関して、私はホンダの英国モデルは気に入っていたので、英国から撤退するのは残念だ、と話したところ、「コレクションホールの玄関に展示してあるスーパーカブは、九州で作っているが、部品の80~90%はタイ製なんだ。」との回答だった。要するに、ホンダは、どんなモデルもどこででも作れる。イギリスで作ったモデルがイギリス風になったのではなく、イギリス風に味つけたモデルをイギリスで作ったのであって、同じものをどこででも作れるということのようだ。
地域から離れてしまったホンダに少し寂しいものを感じた。
新型インサイトを試乗したら、非常に洗練された高級車になっていた。米国ではプリウスより安いのに、日本では100万円近く高いのは、米国仕様はシビックハイブリッド的な位置付けで、日本仕様は高級車として開発したのではないか、と聞いたところ、米国仕様と日本仕様はほぼ同じ車なのだそうだ。価格差は主に売れる台数の差を反映させたものなのだそうだ。これにはびっくりだった。自動車メーカーが中国リスクを知りながら、中国から離れられないのはこれが原因だろう。
これに対して、NSXは地域性が出たようだ。「ショーでNSXを発表したときに、made in USAと言ったときに会場から歓声が上がった」のだそうだ。ほとんどが米国で売れるなかで、こういうことは無視できないと言う。米国で開発したことで、価格が3000万円(2500万円じゃなかったかな?)になって、あのような車になったが、日本主導で開発すると、絶対にそう言う価格にはならないし、車も初代NSXを進化させたようなものになっただろう、とのことだった。
Posted at 2019/04/22 21:06:09 | |
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