日産自動車の新しいクルマに試乗してきた。
ノートのe-powerだ。
普段トヨタのハイブリッドに良く乗っている身として、ライバルのハイブリッドにも乗っておきたかった。
結論から言うと、想像を絶する素晴らしさだった。
ノートは先月はじめにデビューして、11月の販売台数は1万5千台以上で軽自動車を含めたランキングで1位を獲得している。
新型ノートを購入する人の実に7割がe-powerを選んでいるそうだ。
e-powerとは何か。
ハイブリッドには大きくわけて2つあり、ひとつはトヨタが採用しているパラレルハイブリッド。そして、e-powerはレンジエクステンダーEVと呼ばれる。
どちらもエンジンとモーターを上手く使って走るクルマだが、パラレルハイブリッドはエンジンの動力が駆動に関与する。
対してレンジエクステンダーEVは、エンジンは発電機を回してバッテリーに蓄電、その電気で100%モーター駆動で走る。
つまり、EVに近いハイブリッドなのである。
今回は車格的に似たトヨタのアクアと比較する。
アクアのエンジンは1.5ℓ直4なのに対し、ノートe-powerのエンジンは1.2ℓ直3。
エンジンがかかると嫌な振動とともに不快なエンジンサウンドが車内にも入ってくるのがトヨタのハイブリッド。
プリウスなどはそこまで不快ではないのだが、アクアやシエンタの1.5ℓハイブリッドはとにかくやかましい。
しかし、ノートのe-powerは明らかに遮音性に優れていた。エンジンが始動したのは分かるがロードノイズなどの環境音にかき消される程度なのでやかましくなかった。
試乗コースは神戸なので坂道がかなりキツい所を走ったが、パワー不足に感じることはなかった。
おそらく同程度のガソリン車やアクアだとエンジンが唸るほどの坂道だろう。ノートe-powerは軽々とグイグイ登れちゃうなんとも不思議な感覚に陥った。
登坂を登ったところで10秒ほどエンジンの回転が大きくなった。おそらく調子にのって踏みすぎたのでバッテリーが少なくなったのだろう。
ここまではノーマルモードで走った。
そして、折り返しの下り坂。ここからノートe-powerの本領が発揮される。
ノートe-powerには3つのモードがある。
ガソリン車と同じようなフィーリングの「ノーマルモード」、回生ブレーキが強くなり、加速は穏やかな「エコモード」、回生ブレーキも加速も強い「Sモード」。
下り坂はエコモードがぴったりだった。
普通のクルマはブレーキをかけて下っていくだろう。しかし、ノートe-powerはノーブレーキ(あるいはアクセルを踏んで)下り坂を下るのである!
クルマが勝手にブレーキをかけてくれるという表現が正しいのかはさておき、強い回生ブレーキによって停止する時以外ブレーキは踏まなかった。これが1ペダルというやつだ。
坂を下り、再び平坦路を走った。
交通量が多く、あまり踏めなかったが十分ノートe-powerのリニアな加速は体感できた。
アクアの場合、発進時はモーターの太いトルクによってふっと強い出足が体感できる。
しかし、走り出して再び加速しようとアクセルを多く開けると、エンジンの頼りなさが露骨に出る。
市街地を流す分にはあまりパワー不足は感じないが、追い越しや高速道路ではエンジンだけが唸り加速感は鈍い。
それに対し、ノートe-powerはエコモードでも快適に走ることができた。
少しの試乗だったのでエコモードとSモードの加速フィールの違いははっきりと試せなかったが、Sモードは発電機からの電気と、バッテリーからの電気の2つを同時にモーターに供給し、出力を高めているという。
カタログには2ℓターボ並の加速を実現したと謳っている。
内装の質感もこのクラスを考えると悪くない。試乗車はメダリストという上位グレードだった。
アクアも後期で質感が向上したが、このノートも負けていない。むしろシートなどはこちらの方がいい気がした。
メーターも見やすくていい。
ノート、内外装前モデルより質感が向上していた。
やっちゃえ日産。
矢沢永吉がドヤ顔で言っていた意味が今回の試乗で分かった気がした(笑)
ぱっと見はただのコンパクトカー。
しかし、乗るとスポーツカーなのではという錯覚が起こるかもしれない。
そしてノートe-power nismoはかなり気になる。
また、e-powerはセレナなどに展開していくと店の方が言っていた。これは間違いなく日産のスタンダードとなり、各社このようなシステムを採用していくことが予想できる。
自動車の電動化は間違いなくやってくるので、もしかしたら将来電気自動車が主流となり、このようなハイブリッドは軽自動車クラスのスタンダードとなり、EVと差別化される日が来るかもしれない。
ノートe-power、騙されたと思って試乗してみることをおすすめする。
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2016/12/19 15:03:45