久しぶりに愉しいクルマに乗った。
新型クラウンの最上級仕様、G Executiveだ。
"マジェスタ"にあたるモデルで、装備や質感、そして佇まい。まさにクラウンの、いや、トヨタのフラッグシップモデルといえるクルマだ。
パワートレインはなんでも新型LS500hと同じ3.5ℓV6マルチステージハイブリッドが与えられている。
LS500hのバージョンLと比較すると、400kgも軽い車体なので、LSよりも速いのは間違いないだろう。
アルバイト先の社長の運転手さんとたまにお話をするのだが、600hLから500hになって、重くて走らないと仰っていた。このクラウンに乗ってみて欲しいところだ(笑)
先代マジェスタも確かに速かった。3.5ℓV6エンジンに電気式無段変速機を介して後輪駆動する。ただ、高速域でのアクセルを踏み足したときのモタツキ感や、加速フィールそのものがプリウスと同じで、正直物足りなさというか運転は面白くは無かった。
しかし、今回進化したマルチステージハイブリッドと呼ばれるミッションになったことで、全ての加減速においてダイレクト感がありながらも、今まで通り"静かに滑らかでトルク感のある走り"が味わえるようになった。
マルチステージハイブリッドとは、言わばCVTのステップ変速制御の応用で、4段の有段ギアをベースとして9段のステップ変速を作り上げている。最後の10速目は高速のクルージング用ギアで、合わせて10速に仕立てている。
まずはエコモードで恐る恐る店を出た。
モーターでするりと走り出す感覚は2.5HVと変わらない出足。むしろ、車重が重いので重厚感のある乗り心地といったところだ。
3.5ℓV6エンジンが静かに目を覚ます。すると、明らかに2.5ℓエンジンよりトルク感のある走りになる。ああ、やっぱりこれだなと。
しかも、エンジン音は2.5の4気筒の安っぽさは微塵もなく、モーターの音に協調して、優雅にそして静かに回る。
市街地に出て走っていると、あまり人目を浴びない。おそらく、先代クラウンとフロントフェイスも似ているし、知っている人じゃないと新型クラウンだとぱっと見判別出来ないだろう。
とはいえ、乗ると全くの別物なのが所有欲を満たすポイントなんだろうな、と思いながらいつもの場所で写真を撮った。
今回、RSグレードとその他のグレードで結構差別化がなされている。
1番は電子制御サスペンションだろう。2.0ターボのRSアドバンスの試乗車に乗った時、ここまで脚の味付けが変わるものかと驚いた。まぁ、欧州の同セグメントセダンは前からあったのだろうが、これはRSにぴったりな装備だなと。
とくに、コンフォートモードのすっきり感と、スポーツ S+のガチガチなスポーティ感のギャップに驚く。もはやクラウンというより何か新しいスポーツセダンかなと思わせるそんな乗り心地だ。
メルセデスにはAMG、BMWにはMスポーツがあるように、クラウンもRSというブランドにしたかったのだろう。外観的には小規模な差別化だが、乗ってみるとGなどとは面白さが別物である。まさにドライバーズカーだなと。個人的に、シーケンシャルターンシグナル(流れるウィンカー)が好きで、RSにだけ標準装備だ。しかもC-HRのように前だけではなく、前後とも綺麗に流れる。
今回乗ったG Executiveは、後席に社長なり部長が寛いで乗れる空間が確保され、また運転手も気持ちよく運転が出来るそんなクラウンになっている。乗り心地はソフトなままであるが、スポーツモードに入れるとマルチステージハイブリッドの多段変速感がより強調され、パワーステアリングの味付けも重たく変わる。
少し速いペースで気持ちよく走ると、先代に比べてプラットフォーム自体の剛性感と、思い通りに走るライントレース性、モーターの上手いアシストで思い通りのアクセルレスポンスを感じられる。本当にいいクルマだ。
マルチステージは常時、小気味いい変速リズムを刻み、ドライバーをワクワクさせる。ハイブリッドに乗っている感覚を忘れさせ、これが新時代のフラッグシップモデルだと言わんばかりに走る。
もちろん、パドルシフトでマニュアルモードも愉しいのだが、Dレンジのままクルマに任せちゃうのも面白い。とくに、減速するとブリッピングしてエンジンブレーキと回生ブレーキを上手くかけてくれる。ハイブリッドもここまできたかと舌を巻いた。
試乗では思いっきりアクセルを踏み込んだり、パドルシフトでカチャカチャ変速を楽しんだりしたが、通常の運転ではゆったりと走るのがベターだろう。馬力トルクともに十二分にあるので、エンジンを上まで回さなくてもしっとり走る。これこそ高級車の扱い方だ。
今度はぜひRSの3.5ℓモデルに乗ってみたいと思った。
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2018/08/30 09:59:03