
こんばんは。mm21です。
こんばんは,
コスモスポーツのロータリーピストンエンジンの本家のお話です。
初めスパイダーというスポーツカーを発売しましたが,エンジン改良して高速での安定した乗用車を売り出しました。当時ヨーロッパで大評判になった車でした。車名はNSU Ro80と言いました。
日本では当時安全自動車株式会社が日本の代理店をしていましたので,国内で貴重な一台を購入された方のご好意でモーター毎日誌がロードインプレッションを行いました。その様子を今回,原文のまま綴りました。後半にスライドショウも入れ,皆様に楽しめればと思いました。
コスモスポーツだけでは面白くないと存じまして載せてみました。
お読みくださった後ショウをご覧下さい。日本のロータリーエンジンはこの会社の源がなければコスモスポーツも初代コスモ,サバンナもRX-8も御座いません。今あるのはバンケル型のエンジンあればこそのマツダです。
珍しい写真がありますのでお楽しみ下さい。
では,以下の通りに掲載致します。
モーター毎日71968年7月号より
ロードインプレッションNSURo80
レポータ望月修氏による報告。
さいきん,NSU・Ro80ほど注目を集めた自動車はない.その由縁は単にロータリーエンジンを搭載したというにとどまらず,Ro80が本格的な5人乗セダンとして申し分のない出来栄えをみせていることにある.
当初の生産予定は年間12000台とのことであったが単なる物珍しさだけでなく,乗用車としての優秀さから人気は高まり,生産台数は大幅に上回っているとのことである.
今迄にレシプロエンジンのアウトサイダーとしてタービンエンジンを含めて数外くの新機構内燃機関が登場したが,ロータリーエンジンがこのRo80をもって完全実用化の域に達したことは自動車史上画期的な出来事といってよいだろう.
ハイメカニズム・セダンのねらい
Ro80はかなり大柄のボディをもち,全長4780mm,全幅1760mm,全高1410mm.全長ににたいして幅が広く,低目のボディといえよう.軸距2860mm.トレッドが前1480mm.後1434mmといずれも大きな値でロードホールディングに好影響をもたらす.
コンパクトなロータリーエンジンによってエンジン・フードを極く押さることができ,Ro80特有の前傾度の強い模型のスタイルが可能となった.このボディ形状は空気抵抗係数が少なく,横風に対しても風圧中心が車体重心点に近く直進安定がよい.
ボディ・フロア一体のユニットコントラクションで鋼性に富み,同時に衝突時のルーム変型を押へ乗員を保護するためサイド・シル,フロント・ピラーその他ルーフ周辺のエッヂを二重構造としている.
ルーム・フロアーにも横方向に太いメンバーを3本並べ,強度を高めている。
駆動方式はフロント・ドライブ、エンジン額同軸よりまえにある。したがって運転席ノスペースは広々としている。無論リヤシート周辺も余裕があり,レッグ・ルームその他窮屈に感ずることはない.
フロント・ウインドウ上端は殆んどドライバーの頭上にあり,低いフードと相俟って前方視野は申し分ない.
むしろドライバーにとって日照が強すぎるほどだ.リア・クォーターライトが設けられているのでルーム全周ガラス張りといつた具合である.
フロントシートはセパレート・タイプ,左右方向のサポートは余りよくないがシート面積は大きく,クッションも良好である.フロアトンネルが無いので二つのシートとの間隙を大きくとっている.三点ベルトを用いればフロントシートの乗員は横方向からの衝撃に対して充分に保護されることになろう.
シート位置の調整は前後方向及び上下、バックレストのリクライニングと三方向が可能である.
リアシートは引き出し式のセンター・アームレストがあって、本来は二人掛けとなっているが大人3人が座っても無理と言う事はない.
フエシアのレイアウトはドライバー正面にメーター,スイッチ類,中央がエア・コントロール,右側にグローブ・ボックス.左右端に径50mmのエアー・アウトレットがある.
回転計・速度計・水温・燃料以外はすべてウォーニング・ランプであるが,これが9箇もありそれぞれ何の表示マークもないので,各ランプの意味するところを覚えこむにはやや時間を要する.
スイッチ類にも表示がなく,その位置も着座位置から見るとステアリングホイールの2本のスポークの陰に隠れてしまい適当ではない.
フエシア中央の長方形のエアアウトレットからは相当量の空気が流入するが,広い面積から噴出すのでドライバーに向かってほど良く拡散されてくる.
又室内の空気はリアシート下端のエアー・ヴェントからサイドピラー表面に設けられたスリットを通じて排出される.走行中このスリット附近は負圧を生じているのでヴェンチレーションはスムーズに行われる.
リアウインドにはニクロム線のデミスターが埋め込まれ,ウインドウ下端にはデフロスターも開口している.
シート位置を好みの位置にセットすればコントロール関係には十分のリーチが確保される.日本人の体格でも特に不具合はない.
ステアリングホイールは細身で扱い易い.ラック&ピニオンでギヤ比18.3:1.Vベルトで駆動されるオイルポンプとそれによって与圧される大きな油圧プランヂャーによるパワーアシストが附属する.操舵力は小さい.
ラック&ピニオンのロッドとタイロッドはリンクで直結しているので,タイヤが路面をグリップしている状態は確実にドライバーの手元に伝えられる.しかしその連結リンクの位置は油圧プランヂャーの次の段階にあるので,F・F方式特有の路面からの鋭いキックバックはほとんど消されている.
アクセル・ペダル,ブレーキ・ペダル共に踏力は軽い.ブレーキはサーボアシスト付四輪ディスク,銘柄はATE・ダンロップ,タイプはフロントがインボード,リアがアウトボード,デイスク径はそれぞれ284mm.272.5mm.パーキングとしてリアに160mmΦのドラムブレーキがある.
踏力は軽いが効きは強力である.しかも作動はあくまで漸進的に推移する.これほどコントロールし易いブレーキは他に例がない.
ブレーキ回路は二系統あり,片方は四輪に作動,他は前二輪にのみ作用する.
走行性,操縦性
エンジンはツインローター式,2*497ccで圧縮比9:1,最大出力115ps/5500rpm,最大トルク16.2kgm/4500rpm.出力特性をみると判るが最大出力と最大トルクの間に1000rpmの幅しかない.特に3000rpm以下ではトルクが急激に減少する.これはローターの円周方向に吸気孔がある所謂ペリフエラルポートタイプの特徴で,高回転時の出力,トルクは増大するが反面中速以下のトルクが低い.
変速機はフィッテル&ザックス製トルクコンバーターとZFのフルシンクロ3段ギアボックスを組合わた,セレクテイブオートマチィク方式.
シフトレバーノブ内のマシクロスイッチで作動するヴァキューム・サーボ・コントロール乾燥単板クラッチを有する.
マイクロスイッチは敏感でノブを一寸押さえるとクラッチの断続が瞬間的に開始される.クラッチペダルは存在せずシフトレバーの操作だけでマニュアルセレクトが可能だ.
トルクコンバーターのストーリング・スピード(失速時の回転数)は3500rpm.カップリング・スピード(連結時回転数)は3500rpm前後とされている.
エンジン出力特性とトルクコンバーター特性を組合わせると3000rpm以下での加速力が弱いという現象が現れる.事実この回転数以下ではレスポンスが鈍い.ハイスピードクルージングを対象としオーバーレシオ気味のTopではこの現象が強い.
活発なレスポンスを示すのはLowで30km/h.2ndで50km/h.Topで90km/hのレンヂである.
出力115psに対し車重1210kg.この数字からみた限りでは些かも不足はない筈であるが,上記のパフォーマンス特性はハーフスロットル以下での走行時には極く温和しい運転を要求する.もっともLowレンヂでは駆動力の絶対値が大きいので30km/h以下においても瞬間的なレスポンスが多少遅れるだけで実用上は何等差支えない.市街地ならば2ndに固定したままの走行も可能でフルオートマチックとしても使用できる.
ツインローターによるコンスタント・トルクを加えてトルクコンバーターの働きにより走行は全くスムーズである.この特性はあらゆる種類の滑り易い路面に対しては最大の利点となることだろう.
フロントドライブの強味も兼ね合わせ,グリップの良いラヂアルタイヤをもってすれば雪中走行も苦にしない筈だ.
第3京浜においてTopギャ4000rpmで120km/hを維持したが,この間ノイズ・レベルが低いことは特筆に値する.
エンジン回転音は全く気にならないし,風切り音も小さい.向い風の影響が少ないこともよく判った.
ハイウエイで140~150km/hのクルージング・スピードはこの車にとって易々たることであろう.高回転の余裕ある出力,回転を上げることに何等の抵抗感もない特質,これらの要素は高速ドライビングを容易にする.
サスペンションは前後共にストラッツ・ユニットによる独立懸架で前はロアーAアームとトーションスタビライザー,後はトレーリングアーム,このピボット部は直進方向に対し斜めにセットされているので車体が沈むとネガテイブキャンパーが増大する.これはコーナリングで車体のロールにつれて後輪のグリップが強化される(結果的にはグリップを一定レベルに保つ)ことになる.
後輪のネガテイブキャンパーは最初から大きく,目視で-3/4度2人乗車では-1.5度位になる.
したがってハイスピードコーナリングでのアクセルコントロールに対する操縦性の変化(スリップアングルの変化)は通常のリアドライブ車と殆んど変わらず,普通のコーナリングでは終始アンダーを維持する.
ホイールサイズは5J-14,タイヤは非対象パターンのミシュランXAS175SR-14で強力なコーナリングパワーを保有する.
バネ下重量はセダンのレベルを遥かに超える軽さである.ロードホールデイングは申し分ない.しかし1200kgの車重を勘案してかタイヤの指定圧は前2.0,後1.7と高く,コンクリート断面の様な路面の細かくて鋭いエッヂに敏感に反応し,ラヂアルタイヤ固有のコツンというショクが伝わる.この点を除けば軌道敷その他の凹凸路面を非常にスムーズに通過する.
クッション・ストロークは前188mm,後257mmと大きい.重い車重を考え車体ロールは大きい筈であるが,普通街中で行うコーナリングの段階では他車に較べてロールが少ない.
軽量低重心のエンジンにより,車体前半部の重心位置が低いこと,フロント・トレットが広いこと,スタビライザーが良く効く事などこの現象を生じる原因であろう.
テストラン途中で試みたハイスピードコーナリングでも(そのコーナーに対する限界スピードよりは大分遅い,タイヤがスキール音を発生し始める附近でのコーナリングスピード)車体ロールは夫々目立たない.クッションストロークが大きいだけにスタビライザーの効きの限界を超えれば大きく傾くに違いない.
マシンとドライバーの相互関係
以上振り返ってみると,ののNSU Ro80ではドライバー対マシンという相互関係がかなり巧く連繫されていることが印象に深い.
即ち,ドライバーの意志を忠実に制動力に反映するブレーキ・パワーアシストの理想的なマッチングによって慣性重量が少なく取りまわしの楽ナステアリング,スムーズなマニュアルコントロールとフルオートマチチックを使い分け出来るトランスミッション.バネ下重量が少なく,また適正なアライメントによって優れたロードホールデイング操作性を備える足廻り,エンジンノイズ,走行音が低いこと,電気モーターのように滑らかな加速,高速走行時の安定の良さ,広い視野など殆んど如何なる走行条件においてもRo80はドライバーに必要以上の緊張うぃ強いることがない.
大きなラゲッヂスペ-スも備え,長距離ツーリングには従来のGTカー,スポテイサルーンとも異なった快適な乗心地を満喫出来ることであろう.平均的な技倆をもつドライバーにとってこれほど安全で運転の楽な乗用車を他に見出す事は困難である.
Ro80にたいする唯一最大の不満は低速時のレスポンスの鈍いことである.将来,これと同じスケールのエンジンを車重700~800kgのセダンに搭載すれば抜群のパフォーマンスを示すに違いない.
バンケル・ロータリー・エンジンはノーマルセダン,スポーテイサルーン,GTカーの各分野で地歩を伸ばすことになろう.その萠しをわれわれはRo80に見出すことが出来た.
終りに,まだ日本に1台しかない貴重なRo80を試乗に提供下されたカーオーナーにお礼を申しあ出るとともに,モータージャーナリストに対する理解の深さに敬意を表したい.
と長々と文章続きました。最後までお読みくださり有難う御座います。
夜半以後にスライドショウは追加で入れますね。
本編を原文位置と添え写真の内容は最後にパーツレビューにでもまとめれいれます。
これが一番判りやすいと思います。
コスモスポーツとはまるで違う次元。今のRX-8の原型に思えてならないと思いました。
最後までご覧頂いた皆様如何でしょうか。
尚,パーツレビュで①-③まで細分化して雑誌内容に近く構成を作ってみました。
其方でご覧頂くと判りやすいとおもいます.
ではでは。