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世の中、1番低いグレードに惹かれる車好きが少なからずいるもので、何故ローグレードか。それを問われると答えに困ります。

好きだから。

敢えて言わせてもらうなら、豪華な車の対局だろうか。さらに言うなら豪華な車と同じ車体だからだろうか。

無駄を削ぎ落とした結果、車に最低限必要な装備にあって機能美を感じると言ったところでしょうか。

この度新しくマイカーになったクラウン。

カタログでは「クラウン営業車」と名乗ります。営業車とはここではタクシーのことです。僕のクラウンの形式はYS130で純粋に「クラウン」のコンポーネントを使ったモデルとしては最後になります。

この手の車はかつては自家用車体と共有でした。クラウンにしろセドリックにしろ、売れ筋で個人使用の多いハードトップ以外にこうした用途に主に使われるセダンモデルがありました。今のクラウンやセドリックの後継たるフーガもセダンボディですが、これらのセダンと違うのは業務用途に比重を置いてる事です。

例えばセダンボディにはタクシー以外にもパトカーに使われたりしました。こうした業務用途の需要があったからこそ、敢えてセダンボディを別立てで用意する必要があったかと思われます。

閑話休題。現在、クラウンのタクシーモデルは「クラウンコンフォート」ですが、今のクラウンを含めて系譜的には繋がりは薄く、寧ろマーク2に近いかと思われます。










上がクラウン、下がクラウンコンフォートです。曲がりなりにも自家用モデルがあったセダンはスタイルに流麗さを持ち合わせてます。対してクラウンコンフォートは無骨なまでの直線的なデザインに高い屋根、寸詰まりなドアと言う具合にタクシーとしての合理性に基づいた車になっています。







クラウンのアイデンティティでもある王冠のエンブレムとフロントグリルはどちらも共通です。しかし、バンパーはクラウンはスチールバンパーに対して、クラウンコンフォートは樹脂性です。さらにこのバンパーは上下で分割できる構造で、こすったりしてもその部分だけ変えれば良いので、これまた合理性に富んだものになってます。







リアデザインはさらに大きな違いがあります。このクラウンはYS130でも後期にあたり、ハードトップの140のテールに似せた物になってます。それゆえにトランクの開口部はテールの上に設置されています。クラウンコンフォートは縦長にして開口部をバンパー付近にまで広げています。これにより、ドライバー氏が荷物を容易にトランクへ収納出来るようになってます。テールの形状は同時期に登場した150マジェスタに似た風になってますが、偶然でしょうね。

どちらも実に味のある車ですが、成り立ちが正反対で興味深いものです。片や曲がりなりにも自家用メインな車、片やタクシーとしての用途がメインな車。

カローラバンとプロボックスの関係みたいです。