← 「昇天の氷柱」 遠望
3年ほど前から、登ろうと思いながら諸条件(氷結状況、天候等)が合わず登れないままでいた
荒船山 の 艫岩のルンゼにかかる氷柱
「昇天の氷柱」 (ルートグレード:5級上 ピッチグレード:Ⅵ-) を登ってきました。
過去に偵察に行った記事は
こちら
休日朝の関越は酷い渋滞なので、それを避けるために前夜(3/4 夜)発。
荒船山周辺に行くときの定宿(笑) 道の駅「下仁田」にて車中泊。
3/5 試登?
昨夜は寝たのが1:30頃だったので、非常に眠い。
ボーとしながら飯食ったり準備していたので、目的地への最寄り駐車場である
内山峠駐車場についたのが9時頃。
パッキングやら着替えやらで歩き出したのが9:30頃。
一般登山道を歩いて、「一杯水」の看板から登山道はずれて艫岩基部に出る。
あとは歩き安そうな場所を選んでひたすら岸壁の基部をトラバース。
11:20頃に目的の 「昇天の氷柱」 の取り付き点へ到着。
休憩しつつ、状況を観察。 クライミングの準備をしつつ、
時間も遅いけど、2ピッチくらいは登れるでしょう等と相談しつつ
「取りあえず登れるところまで登ってみましょう」 というこで
12:00 クライミング開始
1P目-前半:O氏リード 後半:ラキ リード
当初は、一気に登る予定だったが、中間部の氷柱の状況が良くない、との事で
中央から右寄りを登って中間部のチムニーで一旦ピッチを切った。
フォローで登って休憩しつつ氷柱を観察すると、まぁ、登れなくは無いでしょう。
確保して貰いつつ、スクリューを入れ、アックスの届く範囲でコツコツ穴を開けて
から、その穴を利用しながら登る。 脆い部分は、3m程度なのでココさえ慎重に
登れば後は大したこと無い。 チムニー登りやバック&フットを等のムーブを部分的に
使用しつつ登る。 スクリューx3本。 ビレイ点は右岸の木。
2P目-O氏リード
最初が立っているが、そこを越えると傾斜が落ちる。 緩傾斜帯は一部、膝上のラッセル。
氷り付けされた灌木でビレイ。 スクリュー5本。
3P目-観察のみ
結構立ってるし、見るからに硬そう。 でも、スクリューはバッチリ効きそう。
時間的に無理そうだったので、明日また登ることにして今日はここで、降りる。
灌木を支点に2P懸垂。
この時に
1P目にロープを残置したのだが、これが結果的に大失敗・・・・。
17:00 駐車場
戻ってくると駐車場に車1台にテント1張り。
片づけをしていると、テントの2人組から話しかけられる。 彼らも昇天を登るつもり
らしいので、3P目までの状況を簡単に説明すると、他への転進を検討し始めた。
この辺りの氷は言った事が無いらしいので、犬殺し、相沢のアプローチを説明してあげた。
(分かるかどうかは? エアリアMAPだけじゃ・・・地形図があれば説明し安いんだけど)
18:30 下仁田のスーパーで買い物して、またしても道の駅「下仁田」へ。
おでん+α &アルコールの夕食
21:00 就寝。
3/6
9:00 駐車場
10:00 一杯水
10:30 取り付き そこそこ早い時間に起きたにも関わらず・・・この時間。
11:00 クライミング スタート
昨日セットしておいたトップロープで登ろうとするも、上部で氷り漬けになっており、
どんなに引っ張ってもびくともしない。 氷面に触れないようセットしたのだが、
緩んじゃったのかな? しょうがないので、自己確保用にアッセンダーをセットして登る。
1P目:昨日と順番を入れ替え、下部:ラキ 上部:O氏 で登る
上部をフォローした私が氷り漬けになったロープを外したのだが、これが凄い労力が必要で
非常に疲れた。 (南沢大滝を登り切る程アックスを振った様な気がします)
当初は昨日苦労した箇所をTRでサクッと登ろうとしたのだが、1時間弱のロス。
楽をするつもりが、逆に多大な労力を必要とする状態になってしまった。
2P目:ラキ リード
このルートで1番簡単なピッチ。 昨日も登っているんで、スイスイ登って
氷り漬けの灌木でビレイ。 スクリューx4本。
3P目:O氏リード (途中、ラキに交代)
凍って針金の様になったロープはココに残置。 ここから上は60mシングルロープ。

↑ 3P目の下部 1/3 程度しか写ってません
テッカテカに光る氷で見るからに硬そう。 その上、アックスを打つと割れる。
何回もアックスを振るのでかなり疲れる。 1/3程登った時点で一旦降りる、と。
ここで、リードを交代。 確かに登ってみると大変だ。
こんな硬い氷は初めてかも?
O氏が3本ほどスクリューを入れていたので、そこまではTR状態だから思い切って
登る。 最上部のスクリューを支点に一旦、
休憩してから、リード開始。
アックスを打つと表面にクラックが入って、それを取り除いてから、再度アックスを打ち込む
という動作を80度の氷瀑で繰り返すので、腕が非常に疲れるし、ふくらはぎ がツライ。
中間部からは多少スタンスもあってマシになるが、氷の堅さは変わらず。
右側の岩壁にステミングして傾斜を殺しつつ、なんとか2/3程登って右側の岩の上に
乗り込んでホッと一息。 ここからは傾斜も落ち、氷も柔らかく快適な登攀。
見上げると4P目の落ち口もハッキリ見える。
ニードル状の岩が格好いい。
30m登って、氷質の良い部分にスクリューx2本(19+22Cm)でビレイ。
ランニングはスクリュー7本。
今回使用したアックスは岩を叩いたり、フッキングする事を考慮して、最近愛用している
FLAMINGO では無く、
クォークを使用しました。 これはFLAMINGOのピックは高価(\11,500)
なので、痛めたくない為。 また、4P目でハーケンを打つ可能性を考慮して、普段は取り外して
いるハンマーもクォークにセットしています。 (FLAMIONGOにはハンマー装着不可)
クォークを使うのは2年ぶりですが、やっぱり良いアックスです。
また、今回は左手のみリーシュを装着。 これに助けられました。
4P目は、氷だけを登って行ける状況では無いが、左右の岸壁にステミングかバック&フットを
多用してのクライミング。
15:30 クライミング終了
取り付きにザックをデポしてあるので懸垂下降で取り付き点へ。
終了点からは、樹木が選び放題。 3P目の下降はアバラコフ、2P目は氷り漬けの灌木。
1P目の下降は右岸の木、と、懸垂の支点には困らない。
↑ 3P目を懸垂下降するパートナー (人との比較で氷のスケールが分かると思います)
16:10 取り付き 点
後かたづけをして、駐車場へ。 駐車場へ着く15分ほど前に暗くなってヘッドランプを
使って下山。 この下山がとても長く感じた。
18:00 駐車場 着
19:00 荒船の湯 にて入浴
関越の渋滞が凄いことになっているので、飯を食いながら時間を潰して20:30頃出発。
23:10 八王子 着
24:10 帰宅 通常は一般道を走るが、今回は疲れていたので首都高を飛ばして帰宅。
取りあえず、3年越しの目標を達成できて良かったんですが、あのアクシデントが無ければ、
もっと短時間で登れたのに・・・。
それにしても、3P目は厳しかった。 ガイドブックには
「ちゃんと凍ってさえいれば、さほど難かしくない」
との記載がある。 確かに近年、氷が薄かったり、ほとんど無かったりして岩登りをする様な
状態が多く、 それに比べれば良い状況だとは思う。
今回は、
難しいと言うよりも、氷が硬くて大変だった、と言うべきか。
ここに比べれば、快適に登れる
「千波の滝」 の方が、数段楽で楽しい。
もう、しばらく、ここはイイかな(笑)。
アルバムは
コチラ カメラを忘れて携帯での撮影なので画質悪し