
全日本ラリーは北海道ニセコ町のグラベル(非舗装路)に戦いの場を移します。
羊蹄山のふもとに広がるニセコ町。
グラベルの知識がまったくないので北海道のラリー好き「
れいぽん」さんに概要、各コースの特徴、見どころポイントを教えていただきました。読めば一気にラリーカムイに詳しくなれます!
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コース概要
高低差が比較的少なく、土が踏み固まった路面のステージが多く選手からも「走りやすい」と評判のラリーです。しかし浮き砂利が少ない分、ウェットになると滑りやすくなり、車両コントロールが難しい路面に激変します。
また轍(わだち)も深く掘れてマシンへのダメージも大きく、走り切るのが優先される場面も出てきます。2024年もウェットで勝負を難しくするなど何度も雨の大会になりました。このあたりクルー、チームの対応力が勝負を分けるかもしれません。
7月5日(土)
●SS1+5【STREAM】10.46km
ストリームは路面が柔らかく轍ができやすいが比較的道幅が広く、コース特性に合わせたリズミカルな走行が必要。2018年まで使用していたコース(11.24Km)から幾分スタート位置が変わり短くなっています。
この最初の1キロがかなりの登り勾配で、マシンのパワー差やギアの違いが顕著に表れます。以前は外すと勝負になりませんでしたが、コースが短くなってからは多少差がつきにくくなったそうです。
●SS2+6【ORCHID SHORT】12.35km
オーキッドは速度が乗りやすいが所々に舗装路面が登場する高難易度なステージ。グラベル、ターマックと走りのリズムを掴めるかどうかがタイムに表れます。また勝負の仕掛けどころと言えるでしょう。ここで勝負が決するパターンも多いです。
反面、距離も長いためタイヤの選択や摩耗マネージメントもタイムを大きく左右します。走行が続くに従って舗装区間に前走車のインカットしていった泥が乗り急激なグリップ変化に悩まされることになります。
●SS3+7【KNOLL】7.84km
クノールは低速コーナー主体のコース。深い轍が出来る。回り込むコーナーも多く進入から立ち上がりのアングルの付け方でトラクションの乗り、タイムに差がついてきます。
走行順が後の方のマシンには路面が深く掘れて下回りにもダメージが出やすい厳しいコース。地区戦では逆走で使われる事も多いステージで地元選手に有利な部分もあります。
●SS4【NEW SENMU】0.33km ※当方予想
急遽用意されたギャラリーステージ。蘭越町総合運動公園野球場を利用するダートトライアル的なコースになると思われます。
中学生以下のお子様と同伴者を観戦無料で招待。ご家族、ご近所のお子様を連れて、迫力あるラリー競技を見に来てほしいとのこと。
7月6日(日)
●SS8+10【SUNFLOWER】16.24km ※当方予想
新たに設けられたステージで16kmを越える今大会最長のステージとなります。アイテナリーから予想すると羊蹄山の東側、中岳との間に広がる山林を登るコースになりそう。違ってたらすみません。
Googleマップではゆるやかな丘陵地に見えるけど登るほどに谷間も深くなるので、コース設定によっては難所となるかもしれません。
●SS9+11【NEW SUN-RISE】3.65km
3.65kmと最も短いステージ。路面は比較的硬く轍は出来にくいが、速度が乗りやすく道幅が狭いためコースアウトの危険性もまた高いです。
ギャラリーステージのヘアピンでは大迫力のターンが見られます。ギャラリーを意識して車速乗せて意図的に進入してくるマシンも多く見応えのあるステージ。地区戦でたびたび使用されるので地元勢が多少有利といえます。
●JN-1 出場選手と見どころ
勝田範彦/保井隆宏(トヨタGRヤリスRally2),コバライネン/北川紗衣(トヨタGRヤリスRally2),新井大輝/立久井大輝(シュコダファビアR5),鎌田卓麻/松本優一(シュコダファビアR5),奴田原文雄/東 駿吾(トヨタGRヤリスRally2),福永 修/齊田美早子(シュコダファビアRS),石黒一暢/穴井謙志郎(トヨタGRヤリス),新井敏弘/小坂典嵩(スバルWRXVBH),金岡義樹/山口大輝(シュコダファビアEVO),今井 聡/高橋芙悠(シトロエンC3R5)
★2024年は新井大輝/松尾俊亮組が旧年式ファビアでパーフェクトウィンを飾りました。2位に勝田範彦/木村裕介、3位に奴田原文雄/東 駿吾組のトヨタ勢。
コバライネン/北川紗衣組を含めた3台のヤリスラリー2で新井大選手の3連勝を阻止したいところです。
ダートが得意な鎌田卓麻/松本優一組はなんとかファビアをグラベルに合わせ込んで表彰台(できれば真ん中)を狙って欲しいです。
●JN-2(一部を除きGRヤリス)出場選手と見どころ
貝原聖也/藤沢繁利,大倉 聡/豊田耕司,小泉敏志/村山朋香(スバルインプレッサGRB),内藤学武/大高徹也,三枝聖弥/木村裕介,石川昌平/大倉 瞳,松岡孝典/坂口慎一(スバルインプレッサGRB),塙 将司/西村正義,関根正人/松川萌子,マクリン大地/大橋正典(スバルインプレッサGRB)堀田 信/河西晴雄,田村吾郎/鶴巻駿介
★ランキングトップの山田啓介/藤井俊樹組はカムイをスキップするので、他の選手はここで差を詰めておきたいところ。
三枝聖弥/木村裕介組、石川昌平/大倉瞳組のトップ争いに地元勢(関根正人/松川萌子組やマクリン大地/大橋正典組)がどこまで絡んでくるか。松岡孝典/坂口慎一組のスバルは今回こそJN-2に参戦できるのか気になります。
貝原聖也/藤沢繁利組はグラベル初挑戦。小泉敏志選手のGRB参戦はGRヤリスを温存する作戦と思われます。昨年は10台中6台がリタイヤ。
●JN-2・MCC(全車GRヤリス)出場選手と見どころ
大竹直生/橋本美咲,ジョーンズ/トムソン,長尾綱也/安藤裕一,松原周勢/槻島もも,奥井優介/藤田めぐみ,平川真子/竹原静香,木内秀柾/加勢直毅
★今年からモリゾウチャレンジカップにもグラベル戦が取り入れられました。ガズー、クスコ、ウェルパインといったチームが参戦。
グラベル抜きにラリーは語れないので喜ばしいことです。事前に陸別のサーキットで講習会を開催するなど恵まれた環境です。
ニュージーランドから参戦中のジョーンズ選手や長尾選手は本来グラベルが得意。大竹選手にどこまで迫れるか見どころ。
●JN-3 出場選手と見どころ
山本悠太/立久井和子(トヨタGR86),山口清司/丸山晃助(トヨタGR86),上原 淳/漆戸あゆみ(スバルBRZ),曽根崇仁/小川由起(トヨタGR86),加納武彦/萱原直子(スバルBRZ),牧瀬貫慈/御領親幸(トヨタ86)
★2024年は7台中5台がリタイヤする荒れ模様となったJN-3。曽根崇仁選手とトップ争いをしていた山本悠太選手が最終SSでまさかのリタイヤ。曽根選手優勝、山口清司選手2位、以下リタイヤという結果になりました。
86BRZは轍から受けるダメージが一番大きそうな車体なので、今年はかなり車高を上げてくるんじゃないかと思いますが、イメージではないですね。
●JN-4 出場選手と見どころ
高橋悟志/箕作裕子(スズキスイスフトスポーツ),筒井克彦/本橋貴司(スズキスイスフトスポーツ),藤原友貴/宮本大輝(スズキスイスフトスポーツ),鶴岡雄次/山岸典将(スズキスイスフトスポーツ),鮫島大湖/船木佐知子(スズキスイスフトスポーツ),小倉雅俊/平山真理(ホンダシビックR FN2),辻 祥汰/堀切利純(トヨタセリカZZT231)
★JN-4も2024年は10台中5台がリタイヤするサバイバルレースでした。こちらも轍対策が重要になりそうです。優勝した内藤学武選手はJN-2にステップアップしたので本命は高橋悟志選手。
グラベル初挑戦の藤原友貴選手はまさかがあり得るので、対するベテラン勢は「表彰台には登らせないぞっ」くらいの意地を見せて欲しいところです。
●JN-5 出場選手と見どころ
河本拓哉/有川大輔(マツダデミオ),小川 剛/山本祐也(トヨタヤリス),中溝悠太/竹下紀子(トヨタビッツ),島根 剛/粕川 凌(トヨタヤリス),松倉拓郎/山田真記子(トヨタヤリス),三苫和義/遠藤 彰(ホンダフィット),本名修也/湊 比呂美(トヨタヤリス),松原 久/和田善明(マツダデミオ)
★グラベルが得意な松倉拓郎選手。動画を見るとほとんどFRのような走りをしていてリアが流れるなんて全然気にしてない様子が異次元です。
デミオからヤリスに乗り換えてもあの走りが再現されるか楽しみ。河本拓哉選手にはなんとか追いかけて欲しいところです。
●JN-X 出場選手と見どころ
天野智之/井上裕紀子(トヨタアクア),清水和夫/山本磨美(トヨタヤリス),中西昌人/山村浩三(ホンダCR-Z),海老原孝敬/蔭山 恵(ホンダCR-Z),木村謙治/多比羅二三男(スバルインプレッサHV)
★RAV4をグラベルダメージから守るためか昨年乗っていたアクアを引っ張り出して出場する天野智之選手。4分以上の差をつけて優勝しているのでやはり本命であることに変わりありません。
他の選手にももう少しがんばって欲しいところですが、勝負できる武器に欠けるのが現状。木村謙治選手のインプレッサもモントレーでの走りを見る限り重量がかなりのネックになっている感じでした。
●OPEN 出場選手と見どころ
伊藤 暁/藪本啓介(三菱ランサー),遠藤文俊/小林春樹(三菱ランサー),喜多見孝弘/浦 雅史(トヨタハイエース),大井貴之/植草浩昌(トヨタハイエース),板倉麻美/木原雅彦(トヨタハイエース)
★三菱ランサーが2台参戦の他、ハイエース軍団が久々の登場。ロングボディのドリフトはすごい迫力ですのでぜひギャラリーステージで見て欲しいです。
●XC 出場選手と見どころ
番場 彬/梅本まどか(トヨタハイラックス),浅井明幸/古川和樹(三菱エクリプス),羽根田 琴/星 野杏(トヨタハイラックス),三浦 昂/羽琉(トヨタランドクルーザー),竹岡 圭/山田政樹(三菱トライトン),川畑真人/中谷 篤(三菱トライトン),橘 礼太/渡邊雄矢(トヨタハイラックス),藤野秀之/玉城詩菜(スズキジムニー),奈良 裕/花田圭一(スズキジムニー),相原泰祐/上原あずみ(ダイハツロッキー),大塚祐樹/前花亮平(トヨタライズ),松岡晃史/渡辺文緒(スズキジムニー),小玉絵里加/坂井理崇(スズキジムニー)
★クロスカントリーマシンが13台参戦。XCRスプリントカップ北海道の一環として全日本ラリーで併催されます。2024年はXC2クラスで番場 彬/梅本まどか組が、XC3クラスで塙 郁夫/佐竹尚子組が優勝。D1ドライバーの川畑真人選手も参戦します。
Posted at 2025/06/30 22:38:07 | |
ラリー | クルマ