いよいよ組み上げ?と思いきやまだまだです。
ヘッドとシリンダーですがCD90のノーマルを使おうかどうか悩みました。
と言うのも、うちにCD90よりも大きなバルブのヘッドが転がっているんです。

武川のR-STAGEヘッド。
元々、ホンダが昔に自らカブ70用にビッグバルブヘッドを作っていたんですが、それをコピーし一部改良して作られた物です。
ちなみに、その後ホンダはパワー重視路線から少燃費路線に向かいビッグバルブヘッドも小さいバルブにされてしまいました(CD90のヘッドとかはその小さくなったバルブのヘッドね)
しかし驚く事にこの路線変更って40年近く前に行われていたんですよ。
今現在のエコカーブーム、ホンダのカブは何十年も時代を先取りしていたわけですね。流石世界のホンダ。
とは言うものの、私ぁエコカーとか関係ありませんから(ぉ
コイツを使いたいなぁっと思ってまして、悩んでました。
ただ、一つ問題があって、このヘッドってバルブが大きいと同時に燃焼室もデカイんですよ。

右が使いたいヘッドで左がCD90のノーマルヘッド。
燃焼室の球状がノーマルヘッドの方が小さく使いたい奴はビッグバルブに合わせて大きいです。
なぜ、燃焼室がデカイと問題になるのか?と言うと

これは中華シリンダとピストン。上死点の位置が大体この位の位置になり燃焼室には飛び出ない形状です。
このようなフラットのピストンを使った場合、燃焼室が大きくなればなる程、圧縮比ががくんと下がってしまうんです。
このシリンダーとピストン、例の中華エンジンで使われていたシリンダーとピストンですが、シリンダーに関しては結構まともそうだし、スチールシリンダーなのでオーバーサイズピストンを取り寄せて(ピストン売っている所は見つけたんで→日本製でしたw)シリンダーをボーリングに出そうと思ってました。
ただ、ちょっと気になっていた所が燃焼室に伴う圧縮比の問題。
この部分ばかり気になっていたんで、簡易的にシリンダー容量と燃焼室容量を測ってみた所、恐らく8前後位の圧縮比にしかならない……
ターボ車ならともかくNAだと8なんて低い数値は致命的です。CD90とかのノーマルエンジンでも圧縮比9ちょっとあるのに8なんてボアアップしてビッグバルブヘッド付けてもノーマル以下にしかならんでしょうね。
調べてみると、Y!にこのサイズのボアでハイコンプピストンも見つけたんですが、オーバーサイズは無いか?と聞いて見ても返事が返ってこないw
返事が返ってこない時は、大抵物が無いか都合の悪い質問された時なのでこの業者はボツ。
色々調べてみるとモンキー弄っている人では結構有名なJUNと言う所から90ccカブ系用にビッグバルブ用のシリンダーピストンキットが売っています。
ただ、中華シリンダーに比べるとスリーブの肉厚が薄かったり(ノーマルクランクケースに無加工で入るように→中華シリンダーはクランクケースにボーリング加工が必要)本体がアルミだったり(やっぱり全て鉄の方が熱膨張とかの関係とかで耐久性は上かと)、中華シリンダーを使うよりも耐久性が落ちそうですがこれ位しか選択肢が無い。
まぁ、後から加工しようと思っていた表面加工とかも最初からされているようなので、結果的に手間が減ると言うのもあります。
あと懸案の圧縮比。メーカー曰く11前後という事で高過ぎず低過ぎずとまずまずな数値(耐久性考えるともう少し低くても良いですけど)
ちなみに、某有名メーカーのだと圧縮比13以上とかとんでもない数値になっていますけど、ここまで高いと耐久性に問題出て来るし日常使うにしても色々と面倒な事多いですね(昔何度か使って味わいました……数千キロも走れば壊れます。殆どレース用w)
という事でJUNのボアアップキットを買ってみました。

コイツがそのシリンダ。
通常のシリンダと違って、タイカブとかに使われているのと同じビッグフィンになっています(これが後に問題になるんだけど……)
それに、フィンの仕上げが凄く綺麗!
純正のとか他の社外品のとか見てきたけど、どれも鋳型から抜き取ってそのままと言うような物でしたけど、コイツは削り出しをしたみたいにフィンが綺麗(でも削り出しでは無いと思います)
製品の質の良さが伺えます。
シリンダーのスリーブは鋳鉄打ち込みですがターカロイというスリーブ用の高性能素材が使われて、更にWPC加工がされています。

シリンダー内はこんな感じ。通常のシリンダーだとホーニング跡(細かい斜め方向の筋)が見えるけど、このシリンダーはその上にWPC加工されているので全体的に艶消しの灰色っぽく見えます(うっすらとホーニング跡も見えます)
いかにも滑らかそうな表面でとても綺麗です。
ちなみにWPC加工とは簡単に言っちゃうとサンドブラストの超微粒子版って感じ。
物凄い細かい粒を高速で表面に打ち付けて表面を滑らかに馴らし細かい凹凸を作ると同時に表面に焼入れをして強度を上げる物です。
殆どのレース車両とかに使われている技術ですね。
よく、シリンダーのホーニング跡に入り込んで表面を滑らかにするという謳い文句のオイル添加剤が有りますが信用しちゃ駄目ですよ。シリンダーは細かい凹凸がある事でオイルを保持しシリンダとピストンリングが直接接触しないようになってます。ボートが水の上に浮いている感じです。水を抜いて川底をツルッツルにしたとしてもボートが水の上に浮いている方がスムーズに移動出来ますよね?
添加剤を入れるくらいなら、そのお金でワンランク上のオイルを買った方がずっと良いです。
あ、脱線した・・・・・・w
ちなみにピストンも同様にWPC加工されてます(その上にメッキ加工もされているかも)
ただ、オイルも塗らずにシリンダー内にピストン入れておくのもどうかと思うぞ(そうやって納品されたけどシリンダーに傷が入ってたら返品物だよ……)
さて、この手のボアアップキット、結構シリンダーとピストンのクリアランスが滅茶苦茶の物もあるようなので一応計測。
滅茶苦茶な数値の物だったら返品しちゃると言う気分でw

スリーブ一番下の部分から1cm位の位置のシリンダー内径52.01mm

ピストンスカート部分の外径51.97mm
ピストンは正確には円柱ではなく円錐状なので、スカート部分の方が外径が大きいからこの部分を測ります。
WPC加工されているんで鈍い輝きですね(チタングレーぽいと言うか)
で、クリアランス4/100という事で合格!
ここら辺のクリアランスですが、Y!とかで売っている激安ボアアップキットとか大抵滅茶苦茶でとんでもない数値の物が多いとか(広すぎたり狭くてギチギチだったり……)
稀に良クリアランスの物も有るようですが、まぁ値段相応と言う所でしょうか。
まともな物が欲しかったら手を出す物じゃありませんね。
(話しによると一流メーカーのボアアップキットも一部……な物もあるようですが)
ちなみにCD90純正のクリアランスも大体4/100位でした。
お次は、このシリンダーはアルミで表面がそのままだから銀色ですが、ノーマルのスチールシリンダーは防錆の為に黒に塗られています。
で、ノーマルっぽく見せようという事で黒く塗っちゃいましょうw

脱脂をした後、塗らない所をマスキングして耐熱塗料で塗っちゃいます(純正は耐熱塗料じゃ無さそうだから普通の塗料でも良さそうですが)
最初、メタルプライマーを塗ってから耐熱塗料で塗ったら、物凄い塗装ヒビ割れが起きてしまって泣きそうになりましたわ。
シンナーで全部落としてやり直しorz
なんか、メタルプライマーと耐熱塗料の相性が物凄く悪いみたいです……
もうメタルプライマーいいやとそのまま塗装。

こんな感じにマットな奴になりましたとさ。イイ感じ。
あ、耐熱塗料は塗って乾燥させただけじゃ完全硬化せず薬品などで剥がれちゃうので焼入れが必要です。
この後、石油ファンヒーターの出口前に置いておき非接触温度計で100度以上になるように2時間位置いて、臭いが出なくなるまで焼入れしましたわ。