
10月20日は日本メンズファッションの生みの親とも言われる石津謙介の誕生日で、健在であったならば100才になる日です。
きのう、かつて在籍したことのある会社のOB会から 「石津謙介会長の100歳誕生日を祝う会」 なる案内状が出欠はがきとともに郵送されて来ました。
もうずいぶん前の話ですが、アパレルのヴァン ヂャケットという会社がありました。
大学3年になり就職を真剣に考えなければならなくなった頃、生保にも、金融にもいまいち興味を持てずにいた私は、就職課で 「これから将来性のある業種はコンピューター関連とファッション産業」 と聞き、元々興味のあったファッション産業なら楽しそうと考え入社試験を受けた結果、私はその会社に運良く入社できました。
入社して研修期間も過ぎたある日のこと、新入社員を対象にした社長の講演会がありました。
話の内容はほとんど忘れましたが、ひとつだけ今でもはっきり覚えていることがあります。
そしてそのことはその後の私の生き方に大きな影響を与えました。
その日、私達新入社員が期待と緊張を胸に社長の登場を待っていると、定刻に少し遅れて社長が入って来ました。
そして前置きもそこそこに社長が話しはじめました。
「今、廊下でこれを拾ったんだが」 と言いながら小さなゼムクリップを掲げました。
「これはゼムクリップでこんな物はいくらもしない物だが、問題はクリップが落ちているということは、誰かがクリップを落としてそのままにして行ってしまったということで、その後何十人もの社員が廊下を歩いてるのに、誰もこのクリップを拾わないで平気でいることに私は疑問を感じるのです。うちの社員はいつからこんなに無関心で鈍感になったのだろう。クリップが落ちているのを見て何も感じないということはとても恐いことなのです。どうか、みなさんは小さな現象に大きな疑問を持ち、反省、工夫、改善を考えてほしいと思います」
大体このようなことを語りました。
私は事情があって、満5年でこの会社を退社して現在に至るのですが、日常の特に仕事の面で 「なぜこの店はお客が多く繁盛しているのだろう」 とか 「なぜこの会社は電灯が切れてるのに平気なんだろう。社員の気がゆるんでるのだろうか?」 というように、なぜ?なぜ?と考え改善するように努めて来ました。
もしかするとあのゼムクリップは予め用意されていたのかもしれませんが、折に触れ石津社長のこの話を直に聞けたことに感謝し、この話を聞けただけでもヴァン ヂャケットに入社してよかったと今でも思っているのです。
Posted at 2011/08/31 22:35:51 | |
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