名車と語り継がれ、今でも非常に高い人気を誇るE46 3シリーズ。
私も、そんなE46のファンです。
では、新車当時、どの様に評価されていたのでしょうか。
手元の雑誌で、調べてみました。
今回つかうのは、職人斎藤浩之氏と沢村慎太朗氏が辛辣な文章を書いていたカーマガジン誌とオートカージャパン誌です。
他にもBMWコンプリートやモーターマガジンもありますが、KKやHHといった、BMWドライバーズトレーニングの給料という名の接待を受けてる評論家達の気持ち悪いほどBMWを褒め称える記事は参考にしません。
では、1998年のカーマガジンから。
斎藤浩之による日本仕様の試乗記。
E46はスポーツサルーンを名乗りはするものの、US仕様のボテ脚(スポーティーコンフォートサスペンションと呼ぶそうです)+オールシーズンタイヤでは脚がフニャフニャで全てが台無しだとの事です。
この記事によれば、E39も日本仕様はUSの脚+オールシーズンタイヤなのに、全く車のバランスが崩れていないとのこと。
本来はそういう事が出来る能力がBMWの設計部門にはあるのに、大黒柱の3シリーズでそういう細かい詰めをせずに、E46本来のシャシー性能を発揮出来ないチューンにしているのは納得できないとのことでした。
続いては総評

いや〜、辛辣ですね斎藤氏。
ただ、現在副編集長をしているENGINE誌ではここまで辛辣に書けてないのが残念ですね…
各紙が絶賛したW205 Cクラスを福野礼一郎氏同様、煮詰め不足と書いていたのはさすがでしたが、ここまでのものではありませんでしたし…
彼は以前、色々と辛辣に書いていた結果、仕事が減ってとても苦しい思いをした事があったらしいので、もうこの頃のようには戻れないのでしょうかね…
残念なものです。
でも、ダメな点は今でもきちんと記してくれるので、十分信頼に足る評論家ではありますけれどね。
とまぁ、デビュー当初、あまり評価が良くなかったのですね、E46…
職人斎藤浩之氏曰く、E36 318iは4ドアのユーノスロードスターと言いたくなるハンドリング性能を備えていたとのことなので、自ずと基準も高くなってしまったのでしょう。
さて、こんな感じで余り評価の高くなかったE46ですが、職人サイトーの指摘は真っ当だと気付いたのでしょう。
BMW japanはMY2000からサマータイヤを標準化したのです。
さらにMY2002では、サスペンションを固めます。
その結果…
こちらは2004年版オートカージャパン
渡辺敏文氏に(メジャーな評論家の中では割とホンネをかけている方だと思います。)もはや見栄えはしないけれど、本当に良いものを買いたいという方にはオススメと絶賛されます。

そして、沢村慎太朗氏(斎藤氏同様にE46のmy1998のボテ脚+オールシーズンタイヤを酷評)にも、往年のBMWならではの操縦性を色濃く残していると評されます。
おまけに、2004年当時の今買っておかないと後悔する事になる車にE46 318iが選ばれる事にまでなるのです。

初期モデルを酷評していた斎藤浩之氏もノーマルサスペンション(スポーティーコンフォート)ながら、シャシーのチューニングに一定の成果が出ていると評します。
こうして、細かい改良を繰り返していった結果ようやく日本仕様のE46も名車となったわけです。
ちなみに、導入当初から名車だったE46もありますよ。
それは、本国仕様のスポーツサスキットを標準装着したE46/5の非Mスポーツ。

あの斎藤浩之氏が絶賛しているのです。
顔が人気ありませんが、通な方には本当にオススメな車です。
さて、E46のノーマルモデルは最後には名車になれて、現在でも語り継がれているわけですが、最後まで名車になれなかった車もあります。
それがMスポーツです。
2004年版のオートカージャパンによれば

沢村氏曰く、私の愛した繊細な世界観のある車では無いとの事で

ズタボロに評されます。
因みに、前期モデルのMスポーツはここまで酷くなかったみたいです。
後期になり、サスペンションの小変更があってからは特にズタボロになった模様。

ドテッとした重さを感じさせるシャシーでは、もはやBMWでは無いですね。
軽やかで繊細な動きこそBMWの美点でしたから。
最後の斎藤 浩之氏による総評では、

Mスポーツは本来のBMWの良さを知るものからすれば被虐的な倒錯趣味にすら映るとまで書かれます。
最も、E90以降のBMWでは、ノーマルモデルにまでこういう子供じみた演出が蔓延する事になるわけですが…
(例外がノーマルのF10 5シリーズ。あの車は上品に脚が動きかつ爽やか動きをします。)
ところで気になるのは、E46の後期Mスポーツに乗っていてE90を酷評する人々がいる事。
実際のところ、E90のスプリングにコストをかけるのを止めて、スルスルと動くダンパーをパンプストッパーを用いる事でストロークを強制的に規制するという脚は、E46のMスポーツと同様のセッティングなのです。
また、リア優勢でグリップ力が無闇に高い物になっているのという点もこの2車の共通点です。
E46のMスポーツ(ベリースポーツサスペンションのついた後期モデル)を良い車だと言いながら乗っているのに、E90の事をクソメソに言う人は多分乗ったことが無いのか、E90にコンプレックスを感じているので無いかと思ってしまう事すらあります。
勿論、Mスポーツの外観や高いスタビリティ性能に惹かれるのは分からなくもありませんし、こういう乗り味が好きな人がいたっておかしくは無い。
でも、こういう味わいってE90以降でも味わえるものだと思うのです。
E90の乗り味がどうこう言っているE46 Mスポーツ乗りには、一度はE90に乗ってみてほしいものです。乗り味は近いものがある事に気づくので無いかと思います。
そしてE90を否定していた自分はE46のMスポーツをも否定していた事になるとも気づくので無いかと思います。
(まぁ、この点は人それぞれではありますが…)
とまぁ、ダラダラ書いてきましたがE46で名車と呼べるのはオールシーズンタイヤを脱ぎ捨てたmy2000以降のノーマルモデル(流石に今となってはmy1999までのモデルもタイヤを交換しているでしょうから大丈夫でしょう。)と脚が後期のベリースポーツサスペンションになる前のmy2001までのMスポーツとの事になりました。
本国仕様はデビュー当初から素晴らしかったみたいなだけに、BMWjapanの余計な改悪作業を恨みますね。
分かりやすい商品性を上げるために、日本仕様の中には本来の実力を発揮出来なかった仕様が導入されていたのが本当にもったい無い事だと思います。
いや、逆にこの分かりやすい商品性のお陰でE46は人気だったのでしょうか?
そうだとすると、なんだか色々と考えさせられますね…