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2017年12月31日 イイね!

他のジャガーの使用感は?(XF ガソリンモデル 2016年仕様 25t)

他のジャガーの使用感は?(XF ガソリンモデル 2016年仕様 25t)-JLR新作ラッシュの中でひっそりと咲く良質ラグジュアリー・サルーン-


2015~2017年辺りのジャガー・ランドローバーはこれまでに無い新作、モデルチェンジラッシュだった。ざっと挙げても以下のような感じ(発売年月は国によっても違いが有るので細かい違いはご容赦を)。

☆新車種☆
・ランドローバー・ディスカバリー・スポーツ(2014年~、日本には2015年から) C,Dセグメント・SUV ※フリーランダーの実質後継
・ジャガーXE(2015年~) Dセグメント・サルーン
・ジャガー F-Pace(2016年~) Dセグメント・SUV
・レンジローバー・ヴェラール(2017年~) D,Eセグメント・SUV
・ジャガー E-Pace(2017年~、日本には2018年から) Cセグメント・SUV

☆モデルチェンジ☆
・ジャガーXF(2015年~) Eセグメント・サルーン
・ジャガーXF スポーツブレイク[ワゴン](2017年~) Eセグメント・ステーション・ワゴン

こんな感じでここ2年位でこれだけの新車種やモデルチェンジが行われている。更にはここまでも多く触れているが、ジャガー・ランドローバーとして久々の自社開発エンジンである最新モジュラーユニット"インジニウム"が先ずディーゼル(2015年)、追ってガソリン(2017年)とリリースが続き、これらが、モデルチェンジと関係なく既存のジャガー・ランドローバーの2Lモデルを次々置き換えていき(例えばイヴォークはそれまでのフォード系エンジン、2Lガソリンと2.2Lディーゼルをインジニウムの2Lガソリン、ディーゼルに置き換えた)、それらもほぼ終わったところだ。

これはジャガー・ランドローバーの企業規模やこれまでの展開を勘案するとかなりドラスティックな動きで、今までにも無かったと言って良い。今のJLRはタタ体制以降の大きな勝負に出ていると考えて良いだろう。ただ、これだけの展開が出来るのは勿論資金力が付いたこともあるけど、大きいのはベースとなるモジュラーエンジン、プラットホームの開発が出来たことだろう。ガソリン、ディーゼルのパーツを共通化し、なおかつ2Lで出力も200~300馬力位までECUや過給器で調整できるエンジン、XEのようなセダンからF-PaceのようなSUVまで共通のシャーシベースで共有できるプラットホーム。これによって一つのベースで幾つもの車種を作り出すことが出来るようになった。そしてこれが現代の自動車メーカーの潮流でも有る。そこにJLRも乗ったのだ。

この流れ、偶然か必然か分からないが、ボルボと本当によく似ている。ボルボもジャガー・ランドローバーもフォードグループ以降は時間をかけてここまで来たのだ。そしてそれを支えているのが中国(ボルボ)とインド(ジャガー・ランドローバー)というアジアの新興国なのもまた現代的である。

毎度話が逸れてしまうが、今日の本題はジャガーの現在(いま)に至る礎となったラグジュアリー・サルーン「XF」の話だ。僕の乗るXEよりはワンサイズ上、要するに"Eセグメント"呼ばれるゾーンに属するモデル。わかりやすく言えばライバルはメルセデスEクラス、BMW5シリーズ、アウディA6となる。

XEとプラットホーム共有化された2代目は見た目こそキープコンセプトだが、中身は刷新され、お得意のアルミ75%シャーシとなる。初代XFは見た目こそ今につながる新しいジャガーの提示第一弾となったが、シャーシはフォード時代のSタイプのものを流用していたり、エンジンも特にダウンサイジングな時代に合致したものでもなかった。モデル後期にはフェイスリフトや、直噴ターボの採用など、変えられる部分は年次改良も含めてどんどん変えていき、今に繋がるジャガー像の橋渡しをしたとも言える。その過程を受けての二代目XFと言うことになる。

前回のXEガソリンの試乗記?と同じく僕が代車で借りたXFは実質フォードのエコブースト2Lガソリンエンジンを搭載したモデルとなる。但し、今回のXFの場合、グレードが25t Prestigeとなり、エンジン出力が240馬力のハイチューン仕様となる。BMWで言ったら528iのような感じ。

だからXEガソリンの時と同じようにエンジンフィールは来年以降新車で購入する人には参考にならないかも。中古や在庫車を安く買おうと考えている人向け、と言えば良いのかな。ただ、今回はエンジン云々よりは普段XEに乗っている自分から見たワンランク上のモデルが持つ意味という事について主に書こうかなと思う。エンジン自体の特徴は前回のXEガソリンモデルの項で長所、短所について触れているので気になる方はこちらを。

・ジャガーXF Prestige 25t 2000cc 直4直噴ターボ 240ps/5500rpm 34.7kgm/1750rpm

良くXEとXFは区別が付かないほど似てると言われている。確かにパッと見はその通りで、意図的な気すらする。何故かと言えば、今はイアン・カラムの提案した「新しくモダンな英国車像としてのジャガー」をアピールしている最中と言えるので、基幹モデルの顔つきを敢えて似せてイメージの浸透を図っていると想像出来る。だから、XE、XF、XJ、F-Paceは本当に良く似ているし、スポーツカーのF-Typeのみ少し顔つきが異なっていたが、そこに敢えてコンパクトSUVのE-Paceを寄せて、ジャガー全体でブレないように腐心している。

だが、良く見れば細かく違う。特に毎日XEに乗っている身なので分かりやすいのかもしれないが、フロントライトの切り欠きが逆だったり、テールランプの半円デザインがXFでは2つ、XEでは1つとか(更に更にテールにクロームラインが入るのもXFのみ)だ。まぁ何よりも横から見ると長さが結構違うし、やはりサイズが大きい分XFの方が伸びやかでエレガントだ。クーペスタイルなのも共通では有るが、リアが寸詰まりっぽいXEに対して、XFは高級サルーンの証?でもある所謂"6ライト(リアドアの後ろ、Cピラー部分にウィンドウがある)"なのでリアシートへの配慮も外から伝わる。XEも一見6ライトっぽいのだが、実際はリアドアと一体だ。

中に乗ってもやはり広々している。まぁ全長5m弱、全幅1.9m弱の車が狭かったら困ったもんだが、サイズ以上にタイトさを強調しているXEと比べると、ダッシュボード付近も含めて広々感のあるデザインをしている。リアシートも偉い人が座るのにぴったりな雰囲気だ。

XFのダッシュボードはアルミパネルがドアサイドまで広がる独特のデザインで、最近のジャガー(XEやF-Pace)の傾向と少し違う。つまり初代XFから引き継がれている部分が見受けられる。エンジンをかけると空調の吹き出し口が回転して開くのもキープコンセプト(以前と違い、サイド部分のみになったが)。この辺りは乗り換えのユーザに配慮してという部分も有るのだろう。何せ今のジャガーで2世代以上続いている、若しくはそれが確実なのはこのXFとモデルチェンジを控えているフラッグシップのXJしか無いのだから。

実はこのダッシュボードデザイン、写真で見たりする限りは余り好きになれず、せめてウッドパネルとかも選べたら良いのにとか思っていた。何というか、アルミばかり主張して色気がなく、さめざめしているように感じていたのだ。だが、実際に乗り込んでみると、XEで足りなかった質感(ソフトパッドやレザーのあしらい方等)もちゃんと全体でカバーされているし、ちょっと他には無いデザインなのでこれはこれで新しい高級感は有るのかなと思った。

xfint01.jpg

メーター部分もいち早く"デジタルメータークラスター"と呼ばれるデジタル表示とナビ表示等を可能にする今流行り?の液晶化が成されている(XEも2017年後半モデルから既にデジタル化された)。これが期待していたより見やすく、地図にも出来るのには結構感動した。何か新しものっぽくて悪くない。僕のXEではInControlをアップグレードしても出来ないので少し羨ましい。これからXE買う人には付いてくるのでご安心を。

乗り始めて分かるのが遮音の確かさ。前回XEガソリンの話で書いたとおり、フォード由来エンジンは余り静かではない。だのでその音が少々気になる所なのだが、XFの場合、遮音が確かなのでそういった外部の音が気にならない。良く見てみると、ドア部分の遮音パッキンが、内側の閉まる部分だけでなく、ドアの端(ドアエッジとでも居言えばよいのか)部分も遮音用のゴムが裏側に付いていて、これは今まで自分が乗ってきたクルマには付いていたことがない。流石XF、というかEセグくらいになるとこの辺りまで気遣いされているのだと知った。乗ってないので想像では有るが、これだけの遮音が効いていればディーゼル・モデルでも全く気にならないだろう。

走りは借りたのが240馬力の25tだったので、やはり余裕を感じるし、このサイズにはこのくらいのパワーが欲しい。足回りもホイールベースの長さも手伝ってXEより滑らか。サイズはデカいのだが、思ったより見切りも良くて運転もしやすかった。勿論絶対的なサイズはデカいので細い道では気をつけたほうが良さそうだが。

自分はやはりミニで育った人間だし、基本的にコンパクトなクルマが好きなので、Eクラス、5シリーズ級のモデルになると大きいなと思ってしまうのだが(そもそもこのクラスくらいになるとエントリーグレードでも高くて手が出ない)、ワンサイズ上のクルマに乗るということは、単に大きくて人が乗りやすいという事だけではなく、価格相応のプレミアム感も上がってくるのだなと感じた。まぁ700万以上出して買うようなクルマだったらそれくらいユーザの要求も高くなるか。

ジャガーにとって久々の普及車だったXE、そして初のSUVであったF-Paceの話題に埋もれがちでは有るが、このXF、このクラスのクルマの選択肢としては十分有り得る良いクルマだと思う。今なら程度の良い中古が場合によってオトクな価格で流通しているのではないだろうか。絶対的なタマは少ないだろうけど。

最近"スポーツブレイク"と呼ばれるワゴン・モデルも登場した。正直ワゴン好きにはこのクルマに興味津々ではある。初代XFでもスポーツブレイクは存在したのだが、日本への導入は見送られてしまったので(どうやらDuratorqエンジンのディーゼルしか設定が無かったためらしい)XFならワゴンに乗りたい。

xfsportsbreke01.jpg

XF、単にXEよりワンサイズ大きいというだけでなく、見える所、見えないところにもラグジュアリーな気配りの有る良いクルマでした。XEにもスポーツブレイクが出たらいいのになー。
(ジャガーやイアン・カラムの話だと、XEのスポーツブレイクは発表予定が無いとのこと)
Posted at 2018/01/12 01:42:54 | コメント(0) | トラックバック(0) | Jaguar | クルマ
2017年12月26日 イイね!

他のジャガーの使用感は?(XEガソリンモデル 2016年仕様 20t)

他のジャガーの使用感は?(XEガソリンモデル 2016年仕様 20t)-「EcoBoost(フォードエンジン)なガソリンモデルのジャガーはどう?」って話-
※代車の写真撮り忘れたので、海外のWallpaperサイトからのイメージ。


最初に断っておくと、この話は2018年以降の新車ジャガーを買う人には関係が無いと言うか、参考にはならない話である。何故かと言うと、18年モデル(正確には17年秋モデル)から、ジャガー、そしてランドローバーのガソリンモデルの殆どはフォード由来のエンジン(エコブースト)から自社開発の"インジニウム・エンジン"に切り替わるからである。

また、特にジャガーからこれまでのエンジンがエコブーストであると日本で正式に発表されているわけではないが(ディーラーさんも知らなかったりする)、海外の情報やボア*ストローク、エンジンサイズや出力からの情報なので、参考程度に(ecoboostで海外サイトをググったりすると情報は出てきたりする)。一応このブログではエコブーストであるという想定で進めますが個人の感想です。

ジャガーXE発表と同時期に久々の自社開発であるインジニウム・エンジンも登場したわけだが、先んじて出てきたのはディーゼルである。ガソリンモデルに関しては発売当初はフォード由来のエンジンが搭載された。要するにガソリンエンジンの開発はXE登場には間に合わなかったとも言える。それはディーゼルが主流であるヨーロッパでは然程珍しいことではない。そもそもガソリンモデルは初代XF等の後期モデルに既に搭載されていたし、レンジローバー・イヴォークのエンジンも同系で既に実績が有った、つまり、焦る必要が無かったというのも有るだろう。

但し、インジニウムはディーゼル、ガソリン共にパーツを共有するモジュラーユニットエンジンなので、2年強のタイムラグで来年度モデルからXEを始め、全ての2L搭載モデルのジャガー車でエコブーストからインジニウムに切り替わると言うのは冒頭の説明の通り。

こんな事情もあり、当初からXEはインジニウムの発表もあり、ディーゼルモデルのほうが俄然注目されたのだが、VWの問題も有ったりして日本の導入は発売から半年以上遅れた(実はこの問題後、厳しくなった日本のディーゼル試験に最初に合格したのがXEらしい)。なので初期モデルではフォード由来のガソリン・モデルのみが出回った。このエンジン、定評もあり、レスポンスの良くフォードでも実績を十分に積んだエンジンだと思うので(クーガやエクスプローラーにも同型エンジンが積まれたことはフォード好きならご存知だろう)、例えば中古でXEを探す際にこの感想を参考にしてもらえればと思う。

考えようによっては安心してサポートを受けられる数少ない"フォード"エンジン車と言う事も出来る。エコブースト好きなら一考の余地ありだ。

なお、自分が乗ったエコブースト・ジャガーは以下の2車種。何れも同型のエンジンだが、チューニングにより若干出力が異なる。

・ジャガーXE Prestige 20t 2000cc 直4直噴ターボ 200ps/5500rpm 32.6kgm/1750~4000rpm → 今回はこのガソリンモデルのXEの話。

・ジャガーXF Prestige 25t 2000cc 直4直噴ターボ 240ps/5500rpm 34.7kgm/1750rpm

最初にガソリンモデルの、良い所、悪い所をざっと書くとこんな感じだ。

長所
・ショートストロークらしく吹け上がりが軽快

・恐らくディーゼルより速い、若しくは加速感を感じやすい(ディーゼル[20d]とガソリンモデル[20t]の0-100kmのタイム公表値は双方とも7秒台で大体同じだが、踏み込んだ時の馬力感に差が出る、先述の吹け上がりの良さも関係している)

・ライバルの2L標準モデルよりパワーで勝る(BMW320i→184PS、Audi A4 2.0TFSI→190PS)

・リリースから時間が経っているので(エンジンとしては2010年登場)、枯れており、実績の少ないインジニウムより細かい改善が進んでいる(はず)

・上と共通するが、エコブーストはフォードが社を上げて開発したエンジンなので自社だけでなくボルボやランドローバーなど多くのモデルで採用例がある


短所
・直噴ターボの割に燃費が良くない(設計年次が一世代前というのもある)。特に都内街乗りだと7km/Lを切ることすら有る(高速巡航なら10km/Lは超えられるが)

・ショートストロークなせいか、最大トルク、馬力の付近(加給がかかるところ)で突然加速する、所謂"ドッカンターボ"っぽい(好きな人もいると思うけど)

・上記に関連し、極低速のトルクがやや細い

・リリースから時間が経っている分、一世代前のエンジン感は有る(振動、日本には関係ないがEU環境性能レベル等)



読んでみれば分かるかと思うが、要するにこのエンジンは「長所が短所」なのである。それをユーザがどう捉えるかと言う所だろう。つまりはショートストローク特有の吹け上がりの良さはスポーティなサルーンにはふさわしいけど(ハッキリ言って見た目からすればこの軽やかさの方がディーゼルよりXEに似合う)、現代のエンジンは省燃費、トルクを稼ぎやすいロングストローク時代である。昔はロングストロークだとかったるいエンジンになりがちだったが、今は摩擦係数などの技術が上がり、そんなに気にならない時代だ。

それでもインジニウム辺りはロングストローク特有のダルさも感じるのだが、そもそも直噴ターボやディーゼルは、高回転までエンジンを回さなくても十分力の出るような中低回転向きのセッティングなので、回さなくても良くなった時代なのだ(特に回転数の低いディーゼルは知らない内に思ったよりスピードが出ているという事が多い)。

だが、エコブーストはちょっと他の欧州メーカーのそれら(直噴ターボエンジン)と味付けが異なり、ある程度軽快に吹けあがりながらクルマを走らせていくエンジンだ。とは言え、高回転型のN/Aエンジン程回す必要はない。良い塩梅って感じ。だから乗っている分にはそこそこの所で回ってる感じがクルマらしくて楽しい。

その分、燃費ではややライバルには劣る。いや、はっきり劣ると言って良いだろう。近年のBMWやアウディのそれら2L直噴ターボは、180~200PS、30kgm辺りは当然稼ぎながら、JC08モード燃費も15km/Lを超えてくるものが多いし、実際都心街乗りでも10km/L近くまで行く車種が多いが、このエンジンとジャガーXEの組み合わせだと、良くて7km/L後半、悪いと6km/L後半辺りで推移する(ジャガーXEののJC08燃費は11.8km/L)。これはショートストロークで回転の上がりやすいエコブーストがストップアンドゴーを然程得意にしてないことや、ライバルに比べてやや古い(2010年発表)設計年次もあるだろう。

直噴ガソリンターボも世に出回るようになってから10年以上経過し、VWやBMW辺りでも2世代目、3世代目のサイクルに入っている。それらは環境対策(EURO6基準、燃費向上)、静音化(特に振動など)、モジュラーユニット化(4気筒なら2L、3気筒なら1.5Lのように組み合わせでエンジンを構成できる)が進んでいる。

そういう中で言えばジャガーに搭載されたエコブーストは、1世代前の感は有る。燃費も然りだが、振動系、これはR世代のミニのエンジン辺りもそうだったけど、冷却ファンの作動頻度や振動が多いエンジンだった。とは言え、R世代ミニ(2代目、R56系)で積まれたPSA(プジョー・シトロエングループ)とBMWで共同開発された通称"Prince"エンジンはアップデートされて現在でもプジョーやシトロエンのガソリンエンジンではメインだ。

つまり、ヨーロッパでは既に環境対策としてEV化を急ピッチで進めており、過渡期である現在ではPHVやディーゼルのほうがガソリンより優先される。CO2排出量の多いガソリンエンジン、もっと言えば長らく自動車を支えてきたレシプロエンジン自体が急速でオワコンに向かい始めている。だから特にガソリンエンジンに関しては順番が最後になる傾向が目立つ(それだけガソリンエンジンは完成してるとも言えるが)。

そうは言っても、市場に出て枯れているからこそインジニウムのような未知の問題は少なく、安心して乗れるとも言えるのだ。フォード・エコブーストやPSAのPrinceエンジンにおけるこの10年のダウンサイジングにおける貢献度は高いし、十分信頼できるとは思う。

クルマ好きなら御存知の通り、フォードのクルマ、エンジンは昔から一定以上のものがある。元々英国フォードとしてヨーロッパ向けのコンパクトモデル、フェイスタやフォーカスは、B、Cセグメントの実用車としてVWポロやゴルフと対峙し、時には彼らの立場を脅かすほどの評価やセールスを欧州ではあげてきた。残念ながら日本ではアメ車自体のセールスが伸び悩み日本市場からは撤退してしまった。それでも特にフォードにはエンスー中心にファンは多いし、今でもエクスプローラーが街を元気に走っていたりする(知人でもエクスプローラー乗りは居たりする)。

そう言ったヨーロッパの「ダウンサイジング」の波の中で切磋琢磨して生まれたのが"エコブーストEcoBoost(ガソリン)"、"デュラトルクDuratorq(ディーゼル)"エンジン(どちらも過去にジャガーランドローバーで採用されたと言われているエンジンだ)なので、美点も多く存在する。だから、もし中古や在庫品でガソリンモデルが欲しいと言う向きで、インジニウムではないジャガーはどうなんだろうと感じてる人がいるなら、それは全然気にする必要はないと思う。

まだ自分もインジニウムのガソリンモデルは乗ったことが無いのだが、リリースしたてのエンジンは大小問題が多いだろうから(自分のインジニウムXEなんてバランサーシャフト不良から大きな交換作業が起きた)、チョイスして後悔することは無いと思う。先述の通り今となっては日本でサポートを受けられる数少ないフォード由来エンジン搭載車種(別にフォードで面倒見てくれるわけではないので、悪しからず)なので、そういうエンスーにも◯である。

もし、PORTFOLIO(25t)のガソリンモデルが中古でタマがある場合、これは同じ2Lでもハイパワーモデル(240PS)なので、Sみたいなハイチューンまでは必要ないけど、そこそこ速い車が欲しいという向きにはお得かもしれない。BMWで言ったら328i相当だ。

こんな感じで、フォード由来のジャガーXEも中々良いのだが、中古を手に入れようとする時にディーゼルとの最大の違いは何かなと考えてみると、燃費かなと思う。都心ではJC08モードで20km/L走るクルマでもハイブリットでもない限り、高速に乗らないで走っていれば大体10km/L前後行けば良い方だ。それは過酷なストップアンドゴーや渋滞が日常茶飯事だからである。

そういう意味でエンジンフィールとかフォード由来とか新しく作ったエンジンだとかそういう細かいことを抜きにしてしまえば、基本的に大きくパワー関係は変わらないので、大雑把にガソリンもディーゼルも性能差はあまり無いと仮定した場合、一番大きく変わるところは燃費かなと思う。

仮にガソリンを7km/L、ディーゼルを10km/L(実際は走り方でもう少し良く出来ます)として、その差は3km/L程度だが、かたやハイオク、かたやディーゼルなので、L辺りの価格差は30~40円/L出ることになる。その辺りのコスパにもシビアに行きたいならディーゼルだとは思う。条件は様々なので細かくは書かないけど、このペースで1年8000km走ったりするとディーゼルは燃料費が半額程度になることも有り得る(実際は8000kmも走れば色んなケースが出てくるのでこの限りではないけど)。

コスパ重視ならディーゼル、ルックス通りの軽快さならガソリンなのかな。ありきたりな回答だけど。


別の回でも書いているが、インジニウムの実績のなさから来るネガも有るには有るし、良く言われる「ディーゼルの絶頂感の無い加速」は慣れが必要かもしれないが、基本的にはディーゼルも十分良いエンジンだとは思うし、このクラスにおけるディーゼルの恩恵は燃費、性能(坂道や巡航では特に)共に小さくない。ま、それでも新しいジャガー自体がまだまだ人柱な部分も有ると思うので、何れにせよ中古とかでもサポートを受けやすいメーカー認定の中古車を勧めるけど。

そんな訳で、僕的にはやっぱりディーゼルだけど、ガソリンモデルも良さは有るので後は好みかと。来年には出回るインジニウム・ガソリン車も乗る機会が有ればまたここで。

最後にだけど、エンジン以外に中古で大きなところとしては、初期モデルにはインフォテイメントシステムとしてInControlが導入されてないので、ここはこの手のものが気になる人は要注意かも。最も別の回で書いたようにInControl自体もかなり発展途上系なので、ちゃんとナビが使えて車内の設定にアクセス出来ればこだわらないよって人には余り気にしなくても良いかも。
Posted at 2018/01/09 06:11:48 | コメント(0) | トラックバック(0) | Jaguar | クルマ
2017年12月14日 イイね!

納車にまつわるエトセトラ(Jaguar XE) その2

-納車は2月の小春日和、こ、この使いにくいタッチ・インフォテイメントは・・・-

ミニも含めて、BMW系に乗って長いせいだろうか、知らず知らずの内にBMW式に慣らされて育っている。それが使いやすいかづらいかは置いておいても、慣れてるので自分的には使いやすいのだ。それか気が合うんだろう。実際VW EOSには4年くらい乗ったのだが、何処かインパネがしっくり来なかったり(デザインありきで配置がメチャクチャなミニの方が慣れればこなしてた)、何となく足回りのマナーがBMW系と違うのでコーナリングが気になったのだ。勿論VWのクルマって当たり前のように使いやすく出来てるので、EOSのせいではなく、こちらの問題なんだろうけど。

その最たるものがiDriveで、これは素晴らしいインフォテイメントシステムだと思っている。とにかくメカ感の強い操作ボタンが慣れてしまうと使いやすい。全然見なくても操作できるし。強いて言えばナビでフリーワードをコントローラ上のタッチパッドから一文字づつ書くわけも無いし、ピンチイン・ピンチアウトは出来ない(F世代の3シリーズはタッチパネルではない)、ナビの場所移動もコントローラでしか出来ないなどウィークポイントも有ったりするのだが、何となくメカ好きなら慣れてしまえるような、そんな良さがiDriveには有る。

そして、ジャガーのインフォテイメントシステム、InControlだ。これは色んな意味で悩ましい。先ず「クルマでタッチパネルって使いやすいのか?」という原理的な疑問だよね。基本的に空調やナビの操作は止まって安全な時にやる、それはアタリマエの事として分かっては居るけど、それでも、例えば寒い日の夜にさっと車で出かけます、暖房が効く前にシートヒーターを付けましょうってなった時、ミニやBMWなら位置やタッチ感を覚えているから見なくても出来るわけ。似たような話でラジオのボリューム調整とかも見なくても出来るし、運転中に音量を変えるなんてザラに有るでしょう。まぁその手のオーディオ操作はBMWもジャガーもハンドルに操作系が有るから今はそれで問題ないわけだけど、たとえ停車中でも、インフォテイメントに集中しないといけないタッチパネルだけのインターフェイスって、やっぱりクルマにはどうなのかと思うんだよね。画面サイズを稼ぐというスマホと同じ理由も有るんだろうけど。

でも、その画面サイズを全く活かせないクソみたいなビルトインナビゲーションにも凹む。日本仕様は恐らく日本のメーカーのナビをOEMとして導入しているのだろうけど、それにしても酷い。先ず、これだけ横長な画面なら多くのユーザが二画面表示(右に広域、左に詳細マップのあれね)にしたくなるだろう。元々自分は余程小さいナビでもない限りその表示を好むので早速設定しようとしたが、何と出来ない。。。何のための膨大な横長画面なんだろう。

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パッと見は中々雰囲気と存在感のあるInControl Touch Pro、今のジャガー・ランドローバーの多くにはこれが導入されている。画面もきれいだし、一見操作系も分かりやすそうで、ナビは馬鹿、大事な機能が足りないという悩ましい発展途上インフォテイメントシステム。

因みに初期導入時はInControlではなく、独自の簡易なインフォテイメントシステムで、画面サイズも8インチだった。この初期システムは画素こそ荒くて見てくれはイマイチだったのだけど、ナビも2画面表示が出来て、音声コマンドにも対応し、案内精度も日本のナビのアベレージくらいは行っていたのだ(恐らく反応速度から察するにDVDナビなのだろうが)。それと比べると、InControlのビルトインナビはSSDナビかつ10インチのワイド画面で、画素も精細で表示も美しいのだが、二画面表示、音声認識(英語では対話機能に対応してるらしいが)は出来ず、更には案内精度が酷い。馬鹿みたいに裏道の右左折多めルートとか普通に案内してしまう。

結局近年だとナビは地図のアップデートも含めてスマホ、タブレットのほうが早いので、ざっくりと使うならGoogleマップで事足りるし(それが気に入らなくてもいくらでも有料、無料のスマホナビは存在する)、音声認識(検索)もネットも絡ませて精度が高いのでそっちをと言う人が多いだろう。現にVWのインフォテイメントシステムは遂にスマホのGoogleマップを車内の画面にエクスポート出来るようになった訳だし。

とは言え、やはりスマホだと回線が切れた所でどうするとか(これも有料でオフライン動作するナビを使うという手も有るけど)、VWみたいな連携が無いのなら、これだけ立派な画面が有るのだから活用したいと思うことだって有るだろう。しかし今のところInControlにはそのような連携は無い(JaguarAppsの今後には期待したいが)。

ちょっと話がずれるけど、そもそも車のナビに対して、僕は10年位前から旧態依然な感じがしていたのだ。考えても見ればiPhoneが出た頃、いや、もっと前のPDAの時代からそうだったけど、何故クルマって30万も40万もするたいそう高価なナビを一生懸命オプションで選んだり、後付で買わないと駄目みたいな風潮が有ったのだろうと当時から思っていた。更にそれをアップデートするにはまた高額を払わされるのである。

既にスマホが定着する前から、ネット経由でアップデートできるアプリなら、それらは簡単だし、そもそもソフトウェアだって自由に選べるわけだ(PCでもスマホでもマップソフトなんて無数に有るわけで)。なのに(特に日本では)それがとても遅れていたと思う。結局こんなのは利権絡みで、簡単にナビやら操作システムをスマホに取って代わられたらメーカーは困ってしまうからプレッシャーをかけていたとしか思えない。だが、結局Googleと大手IT企業が段々ナビとかにも力を入れてきたので、結局ユーザがスマホなりを代替えに選び始めて、更にはVWグループがインフォテイメントシステムとの連携も進めてしまったので力負けし始めただけのことに思える。

ナビのことがそうなのかは置いておくとしても、日本って利権やしがらみのせいで出遅れることが多いと思う。技術や緻密さはどの国よりも優秀なのに、中々パイオニアに成り得ない。逆に独自技術は普及が下手(利権は幅を利かせる割にロビー活動は上手くない)だ。結局根底にある保守的な発想が邪魔をしてるんだと思う。故にガラパゴスになりやすい。燃料電池車(FCV、水素が燃料のアレ、トヨタMIRAIね)はどんな道を辿るんだろう。EVがヨーロッパでは主流になりそうな気配だが、さて。

閑話休題、InControlシステムの話だった。とにかく現在もアップデートが続いてるようなので、機会が有ればシステムアップデートをディーラーにお願いするつもりだが、まだ試行錯誤は続いてるようだ。XEに関しても日本導入直後から以下のような遍歴を経ている。

XE導入初期:InControl未導入、サイドに操作ボタンの有るナビを中心としたシステム(DVDナビ) → 2017年モデル:10インチのInControl Touch Pro導入(SSDナビ、僕のはこれ) → 2018年モデル:更にバーチャルインストルメントクラスター化(最近流行りのデジタルメーター+ナビやインフォメーションをメーター部分にフル表示出来るやつ。XF以上には先んじて装備されていた)

機能としてもSIM+WiFiによる車内ホットスポット化や、InControl Appsとの連携によるスマホ画面の表示などアップデートは続いている(恐らくこれが強化されるとGoogleマップの表示も時間の問題かも)。だので、今が駄目なだけで、どんどんブラッシュアップされていくだろう。新しいもの好きは意外と損をする。

今のところ、唯一評価してるのがデジタルTVが標準装備なこと(フルセグ、ワンセグ自動切り替え、結構切り替わりまくって見づらいが)。実はBMW3シリーズはTVチューナーはオプションです。残念ながら僕はほとんどTV見ないんだけどね。。

機能、精度は良くなっていくのかもしれない、しかし、やっぱりタッチパネルってクルマで使いやすいのかなぁという根本的な疑問は拭えない。

せっかく直近でBMW3シリーズ乗っていたので、次は比較になるような話をしようと思う。
Posted at 2018/01/07 03:32:06 | コメント(0) | トラックバック(0) | Jaguar | 日記
2017年12月13日 イイね!

納車にまつわるエトセトラ(Jaguar XE) その1

-納車は2月の小春日和、素晴らしいコーナリング性能に舌鼓-

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納車の日、たった一日だけ一緒に並ぶ新旧のマイカー。左のベントレークライスラーは他のお客さんのクルマ。

ジャガーXEの納車日は冬の終わりの2月後半、BMW320dと入れ替えで納車した。そんな経緯もあり、ちょうどガチンコのライバルであるDセグメントの、しかも近年流行りのクリーンディーゼル車の乗り換えと相成った。

そんな訳で結構リアルな比較も出来るというか実際に感じたことも多かった。勿論モデルがワゴン(BMW320d)からセダン(ジャガーXE)に変わったので、細かい違いは有るのだが、乗り始めて数日で感じたことは、ジャガーXEがこれまでの不遇を払拭するべく肩肘張った作りであるのに対して、BMWはこのセグメントの王者な訳で、その作りは貫禄が有るというか、一見スポーティでプレミアムな風情なのだが、実は利便性も生活感を出しすぎない中で実に痒いところに手が届く的な作りになっていることを実感したことだ。

だからと言ってBMWが素晴らしいからジャガーを選ぶのはやっぱり無しとかそういう事でも無いのがクルマの面白さだ。3シリーズは昔からそのコンパクトさからスポーティかつ家族持ちにも耐え得るワゴン、セダンと言われてきたが、既にDセグは随分大きくなり(Cセグが普通に3ナンバーの時代なのだから全てのセグメントが肥大化の一途を辿っている)、日本ではとても"コンパクト"なクルマとは言えなくなって来ている。これは3シリーズだけでなく、今回のジャガーXEやアウディA4も同じことだが、既にDセグは15年前のクラウンやセドリック並みの大きさなのである。80年代の3シリーズがクラウンより大きいなんて事有り得なかった。

それはクルマのカラーにも現れてきていて、既に3シリーズは、良く言われるほど「スポーティ」ではないような気がする。どちらかと言うとハンドルやアクセル反応自体は鷹揚さ、ラグジュアリーさも有るし、何よりF世代のBMWは随分足回りもしなやかになったと思う。僕の乗っていた320dはランフラットタイヤを履いていたが、良く言われるランフラット特有の硬さなんて殆ど感じなかった。むしろ高速のコーナーとかではスピードが高いと少し柔らかいと感じる時も有ったくらいだ。勿論数多の日本車よりは足回りは締まっている方なのだろうが、それでも一昔前のドイツ車のイメージとは随分違う気がする。

僕が乗っていたのはスポーツサスを装着しているM-Sportsとかではなく、Luxuryの方だったのも有るのかもしれないが、それが普通なわけだから。何よりサイズが大きいし、1.6トンも有る車だからコーナーをスイスイ曲がると言うよりは、ディーゼルなのも手伝い、とにかく巡航時の快適さがハンドリングのチューニングも含めて印象に残っている。それでも50:50のバランスが織りなすコーナーで体がカーブの真ん中に居るような安心感は、それまでFF車に乗ってきた自分には新鮮で有り、感動したものだが。

つまり、サイズの肥大化や、Dセグの高級化、更には一つ下の1シリーズの登場によってBMWとしては、スポーティなキャラクターは1シリーズに任せ始めていて(近年唯一のCセグFR車と言える1シリーズはレビューなどでもそのオンザレールなコーナー性能を良く絶賛されている)、明らかに3シリーズ辺りからは値段相応のプレミアム感や快適さを感じやすいようにチューニングされているのではないだろうか。勿論潜在的な能力は健在だが、3シリーズに乗っている時は100km位でクルージングしている時こそドイツ車らしさを感じた気がする。

逆にジャガーXEは、Dセグというサイズを忘れるほどタイトに作られている。そもそも車内が狭い!サイズなんて3シリーズより大きいくらいなのに、先ず傾斜のきついAピラーや低い車高のせいで、乗るときですら頭をぶつけないよう気を使う。クーペスタイルとは言えセダンなのに。。。更には全体的に囲まれ感の強い内装が狭さを演出している。良く言えば「クルマを着るような」なのかもしれないが、リアなんて直ぐ頭が天井に当たる。実は足回りとかは結構余裕が有るのに、その辺りは損している気も。でも、それこそがジャガーの狙いなんだろう。

そもそも現時点ではジャガーはXEより下のサイズのモデルは出ていない。現時点で発表されたばかりのE-PaceはいよいよCセグの範疇なのかもしれないが、SUVだから一概に比較できないし、恐らくXEよりは広く感じる作りになるはず。だから、小気味良いスポーツ感はジャガーにとってXEの役目になるわけだ。よって、かなりスポーティなチューニングがされていると思う。

例えば、ハンドルだ。かなりセンターの遊びが少なく、3シリーズとミニならミニに近いと思う。だから、コーナーなんかはその素晴らしい足回りと相まって気持ち良いのだが、大きさの割にハンドル反応が鋭くて、結構高速直進の時は気を使うのだ。

そして、車内の狭さが精神的に影響しているのと、足回りを中心としたチューニングも有ると思うが、コーナリングではサイズを感じない。とにかくコーナーは得意。特に首都高速くらいのコーナーはジャガーXEが得意とするところだと思う。アルミシャーシ特有の硬い剛性感も有るんだと思う。そして、バランスもBMWと同じくほぼ50:50のFRなので、つんのめり感は皆無でコーナーのハンドリングはちょっとドキッとするくらいのスピードで入り込んでも全くバランスを崩すような素振りを見せない。FRならではのハンドリングのクリーンさも心地よい(既に前輪が操舵だけに徹している自家用車は贅沢な時代になってきた)。

遊びが少ないことも含めたシャープなハンドリング、タイトな室内空間、アルミならではのボディ剛性、そしてワイドアンドロー(ドレッドがライバルに比べても広めなのも一因に有ると思う)なボディバランスの良さがコーナリング性能に寄与していることは間違いないが、絶対的には小さい車ではないし、重さも1.6トンあり、ごく普通のプレミアムDセグのアベレージの重量だ。これも後述するがジャガーのエンジンはややターボラグが他のディーゼルや直噴ターボより強く感じるので(その割に特定の回転から急激にトルクが出るのでドッカンターボっぽい)、出足のアクセリング次第ではそれなりに重さを感じる時も有る。

それでもコーナーのオンザレール感は少なくとも今まで乗ったクルマの中ではベスト。ミニみたいな軽めで足回りも硬く(クーパーS)、やや強引なことをしてもその小ささでグイグイ行ってしまう感じとは異なり、恐怖感というものを感じないで曲がってしまうことがちょっと危ない位の足回りの良さだ。かと言ってさほど足回りは固くない(ドイツ車、ヨーロッパ車に慣れてるという前提で)。

はっきり言ってエンジンより足回りが完全に勝っているクルマだと思う。少なくともディーゼルの20dや近いパワーの20tではそういうクルマ。V6 380馬力のSならまた話は少し変わるという前提で。

何というか、昔のジャガーが言われていた「ネコ足」、つまりイギリスのレンガ道をいなしながら柔らかくこなしていくそれのモダンアップデート版とでも言ったら良いのだろうか。柔らかい足回りとは言わないが、ドイツ車みたいなゴツゴツ感はあまり無く、それでいながら高速でもひたひた路面を捉えて話さない感じなのだ。それは直進の時でもそうで、多くのクルマは普段乗りではそこそこ良い足回りも、流石に100km以上のところでは多少なりともふわふわ感が出てくるものである。例えば高速のジョイント間隔が短めでスピードが出ていると、相応の足回りでも多少ロールが出ることが有る。それが殆ど無いのだ。これは上位のスポーツグレードでも、スポーツサスペンションでもない僕のジャガー(プレステージ)ですらそうなのだから特筆すべき事だと思う。

ジャガーのセールスの人と最初に試乗した時に、彼が「足回りはかなり頑張ってベンチマークの3シリーズに大分近づいてますよね」と言っていたが、最初に軽く試乗した時から「いや、これは負けてるどころか今の3シリーズよりスポーティな足回りとしては一枚上でしょう」と思っていた。謙遜も有ったと思うが普段正に3シリーズに乗っていた自分が最初に響いた所がエンジンとかよりも足回りだったので、あながち的外れではないと思うんだよね。

実際にXEの足回りはフロントにWウイッシュボーン、リアにインテグラルリンク(マルチリンクの発展系とでも言えばよいのかな)という、このクラスではかなり奢ったシステムを採用している(WウイッシュボーンはBMWなら5シリーズからだ)。最もメーカーが異なるので直接どちらが良いと言う事ではないが、とにかくジャガーXEの最も素晴らしいところはそのコーナリング性能なので、是非試乗でチェックして欲しい。そう高速でなくてもちょっとコーナーを走れば車好き(SUVに未だ抵抗がある人は特に(笑))なら思わず微笑んでしまうほどだと思う。硬いだけの足とは全く異なる上品で引き締まった足回りに最も価値がある。

良いことから始めたが、乗って直ぐ解るネガも有る。それは次回に。

つづく
Posted at 2018/01/07 03:28:17 | コメント(1) | トラックバック(0) | Jaguar | クルマ
2017年12月10日 イイね!

ジャガーXEに至る経緯と英国車史の背景 -その4-

-イギリス発の主要セグメントを一手に担うJLRの今後-

「何故XEを選んだか」という話をするはずが、長々今日までの英国車の歴史と現在の立ち位置まで踏み込んでしまったが、もう少しお付き合いを。

ドイツ車(VW、アウディ、BMW、、メルセデス)、フランス車(PSGグループ、ルノー)、そしてイタリア車(フィアット、アルファロメオ)と対等に向かえるイギリス車のラインアップはB~Cセグメントをおさえる"ミニ"とDセグ以降のプレミアム・ラインが揃ってきた"ジャガー"、そしてプレミアムSUVとしては老舗かつ同門の"ランドローバー"が並んだことで形は整ってきたと思う。しかし、一点ポイントなのは、ミニは突き詰めればイギリスのブランドとは言い切れないし、資本自体も100%BMWだ。プロダクトもイギリスで生産されているとは言え基本的にはBMWと同じプラットフォームになった。そしてJLR(ジャガー・ランドローバー)には何の関係もない。

ここからは勝手な想像なのだが、この先ジャガーはもしかしたらCセグくらいまではモデルを用意するのではないかと考えている。XE,F-Pace,XFは成功と言えるし、それによりセールスも急激に回復している。恐らくE-Paceもかなり売れるだろう。次世代的にはEVのI-Paceも開発中だ。ここまでくればCセグハッチバックの"XD"を出しても何も変ではない。

ただ、ジャガーブランドとして、これ以下のサイズのクルマを用意するかと言われれば疑問が残る。アウディもポロベースのA1を売っている現在では何が起こるかは分からないけど、僕はこのコンパクトセグメントやもう少し大衆寄りのクルマで、もしかしたら"Rover"というブランド名を復活させるのではないかと思っている。

実はローバー75、Xタイプと比べたり、いや、75の方が好きだったという人も居ると思うんだよね。少し値段もこちらの方が安かったし。ローバーブランドでリーズナブルかつ英国的なハッチバックやコンパクトが出てきたら、英国車好きには夢が広がるとは思うのだけど。ちょっとクラシカルな路線をローバーに残すってのも悪くないと思う。まぁ妄想だけどね。特にミニはかなり手強い相手だからね。ミニと戦う"Rover"ってのも何とも皮肉なことにはなるけど。名前は、そうだな、やっぱり「メトロ」がいいんじゃないかな。英国車好きの方々なら分かってもらえるネーミングだと思う(笑)。

mini1997concept.jpg
"1997 MINI Concept"1997年に提示されていた来るべき次世代ミニのコンセプトモデル。2タイプ提示された。BMW買収以前のRover時代から開発は始まっており、そのRover主体で作られたものが右側。今のプレミアム・コンパクト感やスポーティな印象とは異なり、小さいボディの中に大人4人がちゃんと乗り込めるようなシティコミューター的な側面が強い。初期のベンツAクラスや、三菱のi(アイ)辺りとの共通点も。逆にBMW主体で作られたものはアイコン的な部分は活かしつつもボリュームを増し、スポーティさを全面に押し出したもの。こんなに極端な形にこそならなかったが、2代目ミニはどちらかと言うと、左のモデルに近いのが良く分かる。恐らくこの時点でミニだけは手放すつもりが無かったんだろうな、BMWは


metro01.jpg
"Austin(Rover) Metro"1980年頃、ミニの後継としてリリースされたメトロ。ゴルフやフォード・フィエスタが流行った頃のものらしいデザイン。モデルチェンジなども後に行われるが基本のスタイルは変わらず98年まで販売された。それはミニのようにユーザに支えられたものではなく、根本的なモデルチェンジを行う資金が無かったという当時のRoverの事情による所が大きい。

しかし、タタ・モーターズがジャガーとランドローバーを買収した時、ここまでの復権を予想できただろうか。特にイヴォーク以降のランドローバーは、その都会的な路線をどんどん強めており、高級化も著しい。以前はファミリーやエントリー向けだった"ディスカバリー"は最低でも800万以上、オプションなど必要品を載せれば簡単に1000万超えしてしまう高級車で、僕には「家族多めの富裕層向けSUVデザインの高級ミニバン」に見える。また、イヴォークの路線として、ワンサイズ上のアバンギャルドなレンジとしてデビューした"ヴェラール"も、かつて無いスムースなデザインで、こちらもエグゼクティブ向けにヒットは間違いないだろう。

つくづく商売というのはタイミングも存在すると思う。勿論現在のJLRの復権はその質を今までのイギリスのそれらとは大きく見直したことが一番の勝因なのだが、ローバー末期、ホンダやBMWがテコ入れしてもどうにもならず、はたまたイギリスを良く知るアメリカのメーカーであるフォードがジャガーやランドローバーを買収した時は、きっと上手くいくだろうと思われたが、むしろ混迷させてしまったイギリス車の復権は、ミニ以外かなり厳しいと予想された。

しかしタタが資金的に支えたJLRはイギリスのブランド感、プレミアム感は強調しつつも、クラシカルというか懐古的路線を捨て去って、ドイツ車を「欧州車の標準」と認めた上で、それに習ってモダンに豹変した戦略は、ニッチで一部のマイノリティが愛してやまない英国車を葬り去って、富裕層にとって普遍的な高級感を醸し出すことに成功したわけだ。

ただ、それには一抹の寂しさも有る(XEに乗って何を言ってるんだという話だけど)。これはイギリス車に限らず、フランス車やイタリア車もそうだけど、今はグローバリゼーションが強く広まり、また、情報や流通、ディーラー体制の完備、発達で何処の国のクルマでも入手しやすくなった。情報社会だから事前にネガ、ポジも十分入ってくる中でキテレツなクルマや故障率が高いと噂されるクルマにわざわざ手を出すような輩は居なくなっている。それは当たり前の事だし、ポジも沢山有るのだけど、その反面、世の中で良いとされるデファクトスタンダード、もしくはマジョリティにメーカーも向かわざるを得ず、ネガと表裏一体な、メーカーや国ごとの味も何処かで置いていかなかければならなくなったとも言えるのではないだろうか。

だって、携帯選ぶ時に、これは日本製とか、アメリカ製とか意識する人はあまり居なくなったと思う。勿論メーカーは気になるし(Appleとかね)、一部国産メーカーに拘る人も居るし、韓国中国の製品は絶対イヤという人も居ないわけではないけど、多くは使いやすいものを選んでいると思う(そもそも国産メーカーのスマホって昔より減っている)。iPhoneもGALAXYはアメリカ人も日本人も意識せずに使っているわけ。クルマも段々と同じことが言えると思うし、それは強まっていくだろう。

最早シトロエンだって、とてもソフトで良い乗り心地だけど、重量は嵩むし、故障するとサスペンション機能を果たさなくなり、車高までおかしくなるハイドロサスは遂にC5の生産中止と共にその役目を終えるようだ。ルノーのアヴァンタイムも比較的近年では衝撃的なクルマで、ミニバンフォルムに常軌を逸した大型2ドアを取り付けて、何故かリアをえぐり取ったようなフォルムにしたため(ミニバンとクーペの融合だそうだ、でもリアのサスは安価なFF車的なトーションビーム・・・)ミニバンなのに後ろの座席の足元が狭いという、本当にフランス車好きでないとちょっと意味が分からないモデルも有った。好き嫌いは置いておき、それも個性だと思う。

renaultavantime.jpg
どう見てもヤヴァイスタイルをしている真にアバンギャルドな"ルノー・アヴァンタイム"。ミニバンベースなのに2ドア、積載性やリアシートのスペースを削り取るCピラー周辺(そもそもこのクルマにBピラーはない)のアバンギャルドなデザイン。フランス車なら何でもアートに見えるホンモノのフレンチエンスーに捧ぐ逸品。

ジャガーの話で言えば、残念ながらフォードとジャガーが描いたネオクラシカル路線とも言うべきXタイプとSタイプはそのデザインはともかくとして商業的に大失敗に終わった結果として、ジャガーは今の道に邁進することになった。このネオクラシカル路線、もう少しプラットフォームやエンジンにもお金をかけて(ミニのように)、デザインももう少し煮詰めれば違う結果も有ったのではないかと思う。そうしたらジャガーは今どうなっていたのだろう。でも、現在が結果であり、それはたらればの話でしか無い。

でも、個人的にはやっぱりアメリカのフォードとコンサバなイギリスを代表するジャガーの相性がつくづく悪かったんじゃないかなぁと思う。アメリカが求めるもの、イギリスが求めるもの、それは生まれが同じながらもフィロソフィが全く異なる愛憎関係のようなものだ。イギリスのコンサバさに嫌気がさして、新しく自由な国を作り上げたアメリカ人にとって、イギリス人の嗜好に合わせるのは苦痛というか、何処か相容れない感情が邪魔してしまったのではないだろうか。やっぱりSタイプとか見ていても、クラシカルで良いデザインなのに何処か愛情や思い入れが足りないような気がしてしまうのは僕だけだろうか、絶妙にCピラーとかはアメ車っぽい気がするんだよね。

JaguarSType.jpg
"ジャガー Sタイプ"サイズ的にはXFの前身、つまりBMW5シリーズやメルセデスEクラスと対峙するEセグサルーン。こうしてみると中々悪くないんだけどね。アメ車っぽい内装とかリンカーンと乗り味が一緒だとか評判は当時から微妙だった(後年改良されていくが)。

それでも、やっぱりドイツ車は何処か無骨さや機能美が残ってるし、フランス車も、プラットフォームやエンジンの共用化は進んでいるが、その一方で最近出たシトロエンC3やカクタスは庶民車としてはぶっ飛んだデザインをしていると思うし、アルファロメオのラインアップを見ていると、やっぱりイタリア車はセクシーで格好良い(ジュリアはジャガーXEを参考に、よりイタリアらしく格好良く味付けした感じもする)し、ジャガーに乗っていると、プロコン含めてそこはかとなく「普段はドイツ車と変わんないなと思ってもやっぱイギリス車だなぁ~」と思う瞬間は有るのだ。ま、それはこれから追々話していく事で。

citoroenc301.jpg
ブサイク(ごめんなさい)顔なのに何処か愛着も持てそうなニュー・シトロエンC3。先に出たC4カクタスもこんな顔だったよね。ミニバンのピカソも含めこれが新しいシトロエンの顔。やっぱりフランス車じゃないと出てこないデザインだよね。

まだまだ新しい英国車像は発展途上なんだけど、それについて行ってみようと思ったというところかな。と言うわけで、普段使いの感想、レビューもここからはそろそろ書いていく。
Posted at 2018/01/06 22:36:40 | コメント(0) | トラックバック(0) | Car Review | クルマ

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